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129話
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「では、どうしても聖国に居を構えていただくことは叶わないと言われるのですか」
大司教から伝えられたのは、過去の冤罪に対する謝罪と聖国に戻って欲しいとの要請だった。
「そうですね。僕たちは既に帝国の貴族、それも侯爵として根を張って暮らしています。帝国においても皆に受け入れられております。暮らした時間も聖国も帝国も既にほぼ同じ期間くらして愛着もあります。更に言えば僕たちが最もつらかった時期を支えてくれた人たちも帝国にいます。聖国に戻る理由がありません」
「理由が無いなどと。故郷ではないですか」
「スタンピードで壊滅した、のつく故郷ですね。その時に僕たちは親を亡くしました。村の人たちに思い入れはありますが、それで聖国に戻るということにはなりませんね。まあ、今回の事で冤罪は晴れたとして偶の帰省程度はあるかもしれませんが、それ以上は無理です」
周囲にいる聖国の重鎮たちがザワリと殺気立つのを感じた。
「例えばスタンピードの発生があったとしても助けてもらうことは出来ないと言われますか」
「そういう場合、心情的には助けたい気持ちにはなると思いますが、現状では僕たちは帝国の戦力です。先に帝国に援助要請をしてください」
「そ、それで無駄に人が死ぬかもしれないとは考えないのですか」
「それは国としての責任でしょう。僕たちに押し付けられても困りますね。そもそもこの状況を作った原因はあなた方ですよね」
「それを言われてしまうと、一言もないのですが」
苦し気な表情を作る大司教。昔の僕たちならここで押し切られたと思う。でも、今の僕たちは当時のままではない。彼らが表面上の表情の裏でさまざまな企みを巡らしていることを知っている。だからこそ、僕は突き放す。
「あなた方国の重鎮の行動の結果です。あなた方自身で責任を取るべきでしょう」
場を沈黙が覆う。
「お話は、ここまでのようですね。冤罪を晴らしていただいたことはありがたく思います。これからは生まれ故郷として偶には訪れることにします」
そう言って僕とミーアは大司教に背を向ける。大司教は何かを言いたげな雰囲気があったけれどこれ以上は無理だろうと大聖堂を辞した。
「パパ、ママおかえりなさい」
僕たちが夜の羊亭に戻ると2人の子供たちが真っ先に出迎えてくれた。2人を抱きしめながら
「ただいま、2人とも良い子にしてたかい」
「うん、あたしもエルンストもちゃんと良い子にしてたよ」
「そうかそうか、2人とも偉かったね。明日は勇者様に会いに行こうか」
「え、勇者様に会えるの。行きたい」
やはり男の子。エルンストは勇者というものに憧れのようなものを持っているようだ。僕はそんな我が子に微笑ましいものを感じながら
「ギディオン。聞いての通りだ。勇者様に明日午前中に訪問する旨連絡しておいてくれ」
「はい、お伝えしておきます」
そう言いつつ何か言いたげなギディオンに目線で促すと。
「聖騎士団団長殿には、いかがいたしますか」
「そうだな、明後日にでも出向くと伝えておいてくれ」
ゲーリックさんはギルドマスターとはいえ、ギルド所属だから2日後にでも直接行けばいいだろう。そしたら子供たちを連れて2,3日聖都観光をして。その後で村に行ってみよう。ミーアにそう伝えると
「そうね、子供たちにも色々みせてあげたいものね」
と微笑んでくれた。最近ではその笑顔にあった影もほとんど見られず昔と変わらない温かい笑顔を向けてくれるようになっている。そっとミーアを抱き寄せ肩を寄せ合い静かな時間を過ごした。
大司教から伝えられたのは、過去の冤罪に対する謝罪と聖国に戻って欲しいとの要請だった。
「そうですね。僕たちは既に帝国の貴族、それも侯爵として根を張って暮らしています。帝国においても皆に受け入れられております。暮らした時間も聖国も帝国も既にほぼ同じ期間くらして愛着もあります。更に言えば僕たちが最もつらかった時期を支えてくれた人たちも帝国にいます。聖国に戻る理由がありません」
「理由が無いなどと。故郷ではないですか」
「スタンピードで壊滅した、のつく故郷ですね。その時に僕たちは親を亡くしました。村の人たちに思い入れはありますが、それで聖国に戻るということにはなりませんね。まあ、今回の事で冤罪は晴れたとして偶の帰省程度はあるかもしれませんが、それ以上は無理です」
周囲にいる聖国の重鎮たちがザワリと殺気立つのを感じた。
「例えばスタンピードの発生があったとしても助けてもらうことは出来ないと言われますか」
「そういう場合、心情的には助けたい気持ちにはなると思いますが、現状では僕たちは帝国の戦力です。先に帝国に援助要請をしてください」
「そ、それで無駄に人が死ぬかもしれないとは考えないのですか」
「それは国としての責任でしょう。僕たちに押し付けられても困りますね。そもそもこの状況を作った原因はあなた方ですよね」
「それを言われてしまうと、一言もないのですが」
苦し気な表情を作る大司教。昔の僕たちならここで押し切られたと思う。でも、今の僕たちは当時のままではない。彼らが表面上の表情の裏でさまざまな企みを巡らしていることを知っている。だからこそ、僕は突き放す。
「あなた方国の重鎮の行動の結果です。あなた方自身で責任を取るべきでしょう」
場を沈黙が覆う。
「お話は、ここまでのようですね。冤罪を晴らしていただいたことはありがたく思います。これからは生まれ故郷として偶には訪れることにします」
そう言って僕とミーアは大司教に背を向ける。大司教は何かを言いたげな雰囲気があったけれどこれ以上は無理だろうと大聖堂を辞した。
「パパ、ママおかえりなさい」
僕たちが夜の羊亭に戻ると2人の子供たちが真っ先に出迎えてくれた。2人を抱きしめながら
「ただいま、2人とも良い子にしてたかい」
「うん、あたしもエルンストもちゃんと良い子にしてたよ」
「そうかそうか、2人とも偉かったね。明日は勇者様に会いに行こうか」
「え、勇者様に会えるの。行きたい」
やはり男の子。エルンストは勇者というものに憧れのようなものを持っているようだ。僕はそんな我が子に微笑ましいものを感じながら
「ギディオン。聞いての通りだ。勇者様に明日午前中に訪問する旨連絡しておいてくれ」
「はい、お伝えしておきます」
そう言いつつ何か言いたげなギディオンに目線で促すと。
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「そうね、子供たちにも色々みせてあげたいものね」
と微笑んでくれた。最近ではその笑顔にあった影もほとんど見られず昔と変わらない温かい笑顔を向けてくれるようになっている。そっとミーアを抱き寄せ肩を寄せ合い静かな時間を過ごした。
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