36 / 166
36話
しおりを挟む
僕は屋台で買った串焼きを1本ミーアに渡し、自分も齧りついた。こんな屋台の串焼きでさえ、香辛料が使われ旨さが違う。
「聖都だと屋台の串焼きにも香辛料とか使ってて旨いな」
目だけは「幸福な夢」の出入口を注視しながらお雑談で時間を繋いでいる。
「ハグハグハグ」
ミーアも目は出入口を見ているが、ちょうど夕飯時で小腹が空いているタイミングだったこともあり、口は串焼きに夢中だ。これなら監視しているとは思われないだろう。そうして僕たちがそれぞれ3本の串焼きを食べ終え、傍目からはいちゃつくカップル程度に見えるように抱き合っていると、来た。勇者様のパーティーだ。勇者様、アーセルは良い、あの縦にも横にもでかいフルプレートを着込み背にカイトシールドを背負った男が戦士だろう。あれは間違いなく戦士の祝福持ちだな。そうでなければフルプレートを着込んであんな風に普通に動けるわけがない。そして、紫のローブにシルバーのサークレットで腰までの長い髪を抑えているキツイ目つきの女が魔術師だろう、スカウトはまだ合流していないようだ。4人は特に警戒することもなく「幸福な夢」の入り口をくぐっていった。
「スカウトは一緒にいないみたいだ」
僕の言葉にミーアの声が応える。
「そうすると出てくるのを待つしかないね」
それから待つこと1刻あまり、勇者様のパーティーが入り口から出てきた。入るときに一緒だったメンバーの他に一人細身に要部に皮の補強の入った厚手の布の防具を着た小柄な男を伴って何やら話しながら僕たちの10メルドほど先の通りを歩いて行った。声が届かない程度に離れたところで僕はミーアに
「じゃあ打ち合わせ通りに、ミーアは宿で待っていて。僕は宿の確認だけしてくる」
僕はミーアにそっと唇を合わせ、バサリとコートを翻して勇者様のパーティーを追跡しはじめる。振り返ればミーアはそっとその場を離れ「夜の羊亭」に向かって歩き出したところだった。
いくら僕が銀の狩人でも本職のスカウト相手では追跡が難しい。実際に何度か訝しげに振り返るのをどうにかやり過ごしたくらいだ。あの感じだと黄のスカウトだだと思われる。赤ならおそらく見つかっているし、青ならそもそも怪しむことすらなかっただろうから。そして勇者様のパーティーが入っていったのは「森の菜園亭」という特別良くはなさそうだけれども、特別悪そうではない、極々平均的な宿だった。今日はこれで十分。僕は「夜の羊亭」に足を向けた。
部屋に戻るとミーアがハグで迎えてくれた。
「フェイ、おかえりなさい」
「ただいま。ミーア」
スカウト相手の追跡で神経をすり減らし強張った身体が温かいものに包まれほぐれていく。やはり僕はもうミーアを心から愛している。そう実感する温かさだった。
抱擁を解くと僕とミーアはベッドに並んで腰かけた。
「それで、どうだったの」
ミーアが早速聞いてきた。
「なんとか宿まで追跡できたよ」
「気付かれなかった」
「何度か危なかったけど、でもなんとか最後までついていけたよ。あのスカウト多分黄だね」
「そっか、じゃあ、宿はわかったのね」
「うん、森の菜園亭。それが勇者様のパーティーの宿だよ」
「それじゃ、明日からは」
「とりあえず、スカウトの動きを僕が追跡するから、ミーアはギルドで情報収集お願い。勇者様のパーティーについてと、スタンピードの事後調査の件で頼むね。ただし……」
「ただし、勇者様のパーティーについて探っていることは知られないようにすることよね。わかってる」
翌日、僕は宿の朝食を食べることなく森の菜園亭に向かった。昨日と同じようにフード付きのコートを羽織り、森の菜園亭の入口が確認できる路地に身を潜める。
そこに至ってようやく「夜の羊亭」で準備してもらったサンドウィッチを口にした。おそらく勇者様のパーティーは「森の菜園亭」を出るときは全員一緒に出ると予想できる。そして、聖都を離れる前にスカウトだけが別行動をするこのになると僕は予想している。しばらくして勇者様のパーティーが姿を現した。普通の冒険者なら、ここからギルドに向かい美味しい依頼が無いか確認し、その状況次第で依頼を果たしに行くか、単純に狩りに出るかを決めるのだけれど、おそらく彼らはギルドには向かわず直接森に向かうのではないだろうか。口の中に苦いものを感じながら僕は追跡を行う。相手はスカウトで僕は狩人。僕の能力は本来森での行動に最適化している。街での行動に応用も出来るけれど、今回のような場合どちらかと言えば相手のフィールドで勝負をしているようなもの。慎重に行動しないといけない。およそ30メルドの距離を置いてスカウトを追跡。いくつかの角を曲がり彼が入っていったのは決して後ろ暗い場所ではなさそうだけれど、表立って勇者様のパーティーメンバーが訪れるような場所ではない裏通りの古ぼけた酒場。僕は一瞬の躊躇の後、酒場のドアをくぐる。中はカウンター席が5つ、4人掛けの丸テーブルが4つのこじんまりとした酒場で、スカウトはカウンター席の壁際の席にすわっていた。スカウトの他にカウンター席の真ん中に1人、テーブルに2人組が1組で、店は比較的空いていた。時間的に当たり前ではあるけれど、他に誰もいないよりむしろ助かった。僕は店内をサッと眺め、スカウトの後ろ1つ開けたテーブルに背を向けて席をとり聞き耳をたてる。注文を取りに来た煽情的な格好をしたウェイトレスに小声でエールを頼み、盗み聞きを継続した。
ウェイトレスが持ってきてくれたエールの代金を銀貨で払い一口含む。意図的に抑えた声音で酒場の主人とスカウトが話す内容を聞き取ったところ、どうも付与術師を探しているのは本当のようだ。それでいて店主には勇者様のパーティーについては全く情報を与えていない。そして、これまでも何度もここで情報を集めていたのは間違いなさそうだ。今回もお目当ての付与術師は見つからず、スカウトの疲れたような声が最後に
「わかった、引き続き頼む」
ちらりと見るとスカウトはエール1杯の値段としては破格の小金貨1枚をカウンターに置いて出て行った。本来は先払いの料金を後で置いている時点で普通でないことがわかるが、まあそういう事なのだろう。僕は、エールの最後の一口を飲み干し席をたった。おそらくもう追跡はできなさそうだけれど一応外で確認をする。驚いたことにスカウトはまだそれほど離れていなかった。そこから1日追跡を行ったけれど、あとは普通の冒険者の必需品の買い出し程度で「森の菜園亭」から1本路地を隔てた場所にある安宿「孤独な梟亭」の入口を潜っていった。
これで今日の追跡はおわりにする。ひょっとしたら夜中に裏の人間とのやり取りをする可能性もあるけれど、いくらなんでも勇者様のパーティーがそれはないだろうということで僕も「夜の羊亭」に引き上げた。
念のため翌日もスカウトの追跡を行い、ほぼ同じ行動を確認したところでこちらは終了。
3日目、僕とミーアはギルドでスタンピードの事後調査結果を聞いた。
いよいよ、明日勇者様のパーティーを追跡して、今回の仕上げの予定だ。
「聖都だと屋台の串焼きにも香辛料とか使ってて旨いな」
目だけは「幸福な夢」の出入口を注視しながらお雑談で時間を繋いでいる。
「ハグハグハグ」
ミーアも目は出入口を見ているが、ちょうど夕飯時で小腹が空いているタイミングだったこともあり、口は串焼きに夢中だ。これなら監視しているとは思われないだろう。そうして僕たちがそれぞれ3本の串焼きを食べ終え、傍目からはいちゃつくカップル程度に見えるように抱き合っていると、来た。勇者様のパーティーだ。勇者様、アーセルは良い、あの縦にも横にもでかいフルプレートを着込み背にカイトシールドを背負った男が戦士だろう。あれは間違いなく戦士の祝福持ちだな。そうでなければフルプレートを着込んであんな風に普通に動けるわけがない。そして、紫のローブにシルバーのサークレットで腰までの長い髪を抑えているキツイ目つきの女が魔術師だろう、スカウトはまだ合流していないようだ。4人は特に警戒することもなく「幸福な夢」の入り口をくぐっていった。
「スカウトは一緒にいないみたいだ」
僕の言葉にミーアの声が応える。
「そうすると出てくるのを待つしかないね」
それから待つこと1刻あまり、勇者様のパーティーが入り口から出てきた。入るときに一緒だったメンバーの他に一人細身に要部に皮の補強の入った厚手の布の防具を着た小柄な男を伴って何やら話しながら僕たちの10メルドほど先の通りを歩いて行った。声が届かない程度に離れたところで僕はミーアに
「じゃあ打ち合わせ通りに、ミーアは宿で待っていて。僕は宿の確認だけしてくる」
僕はミーアにそっと唇を合わせ、バサリとコートを翻して勇者様のパーティーを追跡しはじめる。振り返ればミーアはそっとその場を離れ「夜の羊亭」に向かって歩き出したところだった。
いくら僕が銀の狩人でも本職のスカウト相手では追跡が難しい。実際に何度か訝しげに振り返るのをどうにかやり過ごしたくらいだ。あの感じだと黄のスカウトだだと思われる。赤ならおそらく見つかっているし、青ならそもそも怪しむことすらなかっただろうから。そして勇者様のパーティーが入っていったのは「森の菜園亭」という特別良くはなさそうだけれども、特別悪そうではない、極々平均的な宿だった。今日はこれで十分。僕は「夜の羊亭」に足を向けた。
部屋に戻るとミーアがハグで迎えてくれた。
「フェイ、おかえりなさい」
「ただいま。ミーア」
スカウト相手の追跡で神経をすり減らし強張った身体が温かいものに包まれほぐれていく。やはり僕はもうミーアを心から愛している。そう実感する温かさだった。
抱擁を解くと僕とミーアはベッドに並んで腰かけた。
「それで、どうだったの」
ミーアが早速聞いてきた。
「なんとか宿まで追跡できたよ」
「気付かれなかった」
「何度か危なかったけど、でもなんとか最後までついていけたよ。あのスカウト多分黄だね」
「そっか、じゃあ、宿はわかったのね」
「うん、森の菜園亭。それが勇者様のパーティーの宿だよ」
「それじゃ、明日からは」
「とりあえず、スカウトの動きを僕が追跡するから、ミーアはギルドで情報収集お願い。勇者様のパーティーについてと、スタンピードの事後調査の件で頼むね。ただし……」
「ただし、勇者様のパーティーについて探っていることは知られないようにすることよね。わかってる」
翌日、僕は宿の朝食を食べることなく森の菜園亭に向かった。昨日と同じようにフード付きのコートを羽織り、森の菜園亭の入口が確認できる路地に身を潜める。
そこに至ってようやく「夜の羊亭」で準備してもらったサンドウィッチを口にした。おそらく勇者様のパーティーは「森の菜園亭」を出るときは全員一緒に出ると予想できる。そして、聖都を離れる前にスカウトだけが別行動をするこのになると僕は予想している。しばらくして勇者様のパーティーが姿を現した。普通の冒険者なら、ここからギルドに向かい美味しい依頼が無いか確認し、その状況次第で依頼を果たしに行くか、単純に狩りに出るかを決めるのだけれど、おそらく彼らはギルドには向かわず直接森に向かうのではないだろうか。口の中に苦いものを感じながら僕は追跡を行う。相手はスカウトで僕は狩人。僕の能力は本来森での行動に最適化している。街での行動に応用も出来るけれど、今回のような場合どちらかと言えば相手のフィールドで勝負をしているようなもの。慎重に行動しないといけない。およそ30メルドの距離を置いてスカウトを追跡。いくつかの角を曲がり彼が入っていったのは決して後ろ暗い場所ではなさそうだけれど、表立って勇者様のパーティーメンバーが訪れるような場所ではない裏通りの古ぼけた酒場。僕は一瞬の躊躇の後、酒場のドアをくぐる。中はカウンター席が5つ、4人掛けの丸テーブルが4つのこじんまりとした酒場で、スカウトはカウンター席の壁際の席にすわっていた。スカウトの他にカウンター席の真ん中に1人、テーブルに2人組が1組で、店は比較的空いていた。時間的に当たり前ではあるけれど、他に誰もいないよりむしろ助かった。僕は店内をサッと眺め、スカウトの後ろ1つ開けたテーブルに背を向けて席をとり聞き耳をたてる。注文を取りに来た煽情的な格好をしたウェイトレスに小声でエールを頼み、盗み聞きを継続した。
ウェイトレスが持ってきてくれたエールの代金を銀貨で払い一口含む。意図的に抑えた声音で酒場の主人とスカウトが話す内容を聞き取ったところ、どうも付与術師を探しているのは本当のようだ。それでいて店主には勇者様のパーティーについては全く情報を与えていない。そして、これまでも何度もここで情報を集めていたのは間違いなさそうだ。今回もお目当ての付与術師は見つからず、スカウトの疲れたような声が最後に
「わかった、引き続き頼む」
ちらりと見るとスカウトはエール1杯の値段としては破格の小金貨1枚をカウンターに置いて出て行った。本来は先払いの料金を後で置いている時点で普通でないことがわかるが、まあそういう事なのだろう。僕は、エールの最後の一口を飲み干し席をたった。おそらくもう追跡はできなさそうだけれど一応外で確認をする。驚いたことにスカウトはまだそれほど離れていなかった。そこから1日追跡を行ったけれど、あとは普通の冒険者の必需品の買い出し程度で「森の菜園亭」から1本路地を隔てた場所にある安宿「孤独な梟亭」の入口を潜っていった。
これで今日の追跡はおわりにする。ひょっとしたら夜中に裏の人間とのやり取りをする可能性もあるけれど、いくらなんでも勇者様のパーティーがそれはないだろうということで僕も「夜の羊亭」に引き上げた。
念のため翌日もスカウトの追跡を行い、ほぼ同じ行動を確認したところでこちらは終了。
3日目、僕とミーアはギルドでスタンピードの事後調査結果を聞いた。
いよいよ、明日勇者様のパーティーを追跡して、今回の仕上げの予定だ。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
王太子さま、側室さまがご懐妊です
家紋武範
恋愛
王太子の第二夫人が子どもを宿した。
愛する彼女を妃としたい王太子。
本妻である第一夫人は政略結婚の醜女。
そして国を奪い女王として君臨するとの噂もある。
あやしき第一夫人をどうにかして廃したいのであった。
もういらないと言われたので隣国で聖女やります。
ゆーぞー
ファンタジー
孤児院出身のアリスは5歳の時に天女様の加護があることがわかり、王都で聖女をしていた。
しかし国王が崩御したため、国外追放されてしまう。
しかし隣国で聖女をやることになり、アリスは幸せを掴んでいく。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
彼女をイケメンに取られた俺が異世界帰り
あおアンドあお
ファンタジー
俺...光野朔夜(こうのさくや)には、大好きな彼女がいた。
しかし親の都合で遠くへと転校してしまった。
だが今は遠くの人と通信が出来る手段は多々ある。
その通信手段を使い、彼女と毎日連絡を取り合っていた。
―――そんな恋愛関係が続くこと、数ヶ月。
いつものように朝食を食べていると、母が母友から聞いたという話を
俺に教えてきた。
―――それは俺の彼女...海川恵美(うみかわめぐみ)の浮気情報だった。
「――――は!?」
俺は思わず、嘘だろうという声が口から洩れてしまう。
あいつが浮気してをいたなんて信じたくなかった。
だが残念ながら、母友の集まりで流れる情報はガセがない事で
有名だった。
恵美の浮気にショックを受けた俺は、未練が残らないようにと、
あいつとの連絡手段の全て絶ち切った。
恵美の浮気を聞かされ、一体どれだけの月日が流れただろうか?
時が経てば、少しずつあいつの事を忘れていくものだと思っていた。
―――だが、現実は厳しかった。
幾ら時が過ぎろうとも、未だに恵美の裏切りを忘れる事なんて
出来ずにいた。
......そんな日々が幾ばくか過ぎ去った、とある日。
―――――俺はトラックに跳ねられてしまった。
今度こそ良い人生を願いつつ、薄れゆく意識と共にまぶたを閉じていく。
......が、その瞬間、
突如と聞こえてくる大きな声にて、俺の消え入った意識は無理やり
引き戻されてしまう。
俺は目を開け、声の聞こえた方向を見ると、そこには美しい女性が
立っていた。
その女性にここはどこだと訊ねてみると、ニコッとした微笑みで
こう告げてくる。
―――ここは天国に近い場所、天界です。
そしてその女性は俺の顔を見て、続け様にこう言った。
―――ようこそ、天界に勇者様。
...と。
どうやら俺は、この女性...女神メリアーナの管轄する異世界に蔓延る
魔族の王、魔王を打ち倒す勇者として選ばれたらしい。
んなもん、無理無理と最初は断った。
だが、俺はふと考える。
「勇者となって使命に没頭すれば、恵美の事を忘れられるのでは!?」
そう思った俺は、女神様の嘆願を快く受諾する。
こうして俺は魔王の討伐の為、異世界へと旅立って行く。
―――それから、五年と数ヶ月後が流れた。
幾度の艱難辛苦を乗り越えた俺は、女神様の願いであった魔王の討伐に
見事成功し、女神様からの恩恵...『勇者』の力を保持したまま元の世界へと
帰還するのだった。
※小説家になろう様とツギクル様でも掲載中です。
冤罪をかけられ、彼女まで寝取られた俺。潔白が証明され、皆は後悔しても戻れない事を知ったらしい
一本橋
恋愛
痴漢という犯罪者のレッテルを張られた鈴木正俊は、周りの信用を失った。
しかし、その実態は私人逮捕による冤罪だった。
家族をはじめ、友人やクラスメイトまでもが見限り、ひとり孤独へとなってしまう。
そんな正俊を慰めようと現れた彼女だったが、そこへ私人逮捕の首謀者である“山本”の姿が。
そこで、唯一の頼みだった彼女にさえも裏切られていたことを知ることになる。
……絶望し、身を投げようとする正俊だったが、そこに学校一の美少女と呼ばれている幼馴染みが現れて──
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
幼馴染が女勇者なので、ひのきの棒と石で世界最強を目指すことにした。
のきび
ファンタジー
(小説家になろうより清書加筆修正して移籍中。なろう掲載日2017/06/21)
そこは勇者と魔王が存在する世界。グランヘイム王国の片田舎で生まれた二人の少年少女、ガリウスと幼馴染みのミスティア。ガリウスは人や物に名前をつけることでその能力を引き出すことが出来る真名命名(ネーミング)と言う力をもつ。ガリウスは幼馴染みに懇願され、彼女に救国の女勇者(ヴァルキリア)と真名をつけてしまう。彼女はその真名が示す通り国を救うべく旅立ってしまった。愛する人が旅立ってしまいガリウスは日々悶々とした日を過ごすが、ゴブリンに襲われた商人一家を助けたところから物語は一変する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる