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31話
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今日は教会へ参内する日。僕とミーアは新婚旅行で作った正装を纏い教会で準備してくれた馬車で教会へ向かう。馬車の中は軽い緊張感こそあるものの穏やかな雰囲気で居心地はそれほど悪くない。僕とミーアが進行方向に向かって座り軽く手をつないでいる。向かい側には聖騎士団副団長ダニエルさんがゆったりと座っている。口を開いたのはダニエルさんが最初だった。
「先日は申し訳なかった」
「は、なんのことですか」
僕が分からずに聞くと
「馬車の事を説明せずに済ませてしまったことだ。パルミラ院長に気遣いが足らぬと叱られたよ」
ダニエルさんはやや柔らかい口調でそんな話をしてくれた。
「それでは、式典における作法を簡単に説明しよう。ああ多少の失敗は構わんよ。一般人がそういった作法を知らぬのは当然なのはわかっておるからな。そのあたり教会は寛容だから……」
式典における一通りの作法を聞き終わる頃に教会に馬車は到着した。ダニエルさんが最初、次に僕が降り、ミーアが降りるのに僕が手を貸す。馬車を降りたところで僕が左腕を差し出すとそこにミーアがそっと腕を組む。夫婦の場合このスタイルで向うのが良いそうだけれど……。そのまま以前来た礼拝堂ではなく、中央大聖堂の控室に案内された。
「緊張するね」
なれない環境にミーアが呟く。僕の左腕にしがみつく身体が震えているのが僕にも伝わってくる。
「そうだね。僕たちこういう事とは無関係に生きてきたからね」
しばらく待機していると控室の入口が開き声が掛けられた。
「フェイウェル殿、ミーア殿準備が整いました。中央大聖堂へどうぞおこしください」
入口の巨大両開きのドアの前で僕が右側、そしてミーアが左側に二人並ぶ。
僅かな時間の後、入場を促す声が掛かった。
「スタンピードの英雄、フェイウェル殿、ミーア殿、御入場」
巨大なドアが大きく開き深紅のカーペットが敷かれた通路を僕とミーアはゆっくりと進む。両サイドには国の重鎮や中には服装から他国の上流階級の人間と思われる姿も見られる。僕は視線の端にグラハム辺境伯の姿を見つけて驚きを隠せない。動揺する気持ちを抑えながら木の枝のシンボルまで進み片膝を折る。隣ではミーアも同じ姿勢を取っている。
典礼の声が響く。
「聖教会大司教チェイニー・モルダー・ミラー猊下御出座」
周囲が畏まる雰囲気を感じる。
「フェイウェル、ミーア、面をあげよ」
僕とミーアは同時に顔を上げ前を見る。1段高い壇上に柔和な顔の老齢の男性が座っていた。身に着けているのは金の縁取りこそされているが一見シンプルな司教服。この人が大司教様なのだろう。
「汝ら、フェイウェル、ミーアで相違ないな」
「はい、わたくしがフェイウェルです」
普段と違う言葉遣いに背中がもぞもぞする。
「はい、わたくしがミーアです」
となりで発言するミーアも居心地悪そうな雰囲気がある。
「スタンピードの制圧ご苦労であった。聖国を代表して礼を言う」
そこで典礼が発言する。
「フェイウェル、ミーア両名に大司教猊下より褒章を賜る」
「フェイウェル、ミーア、両名にハモンド姓を授ける。またフェイウェルには聖元帥、ミーアには大聖騎士の位を授け……」
式典が終わり控室に下がり、僕たちはやっと一息を入れていた。
「疲れた。体を動かしたわけでもないのにすごく疲れたよ」
「あたしも、これなら狩りで森に入っている時の方がまだ楽よね」
「明日はパレードかあ」
「そのまま最初の祝賀パーティーなのよねえ」
僕たちは二人そろって溜息をついた。
「ま、なんとかなるさ」
「そうね、なんとかなるよね」
僕は立ち上がり、ミーアに手を差し出し
「では、帰るとしますか。ミーア大聖騎士殿」
「もう。わかりました。フェイウェル聖元帥閣下」
ミーアが僕の手を取り立ち上がってくれたのでそのまま教会を後にした。
翌日僕とミーアは聖騎士における階位を示すペンダントをつけて教会の控室でパレードの馬車を待っていた。僕に与えられたのはミスリルの台座にルビーをはめ込まれている1セルチほどのサイズのペンダントトップ、ミーアに与えられたものはやはりミスリルの台座にサファイアをあしらったペンダントトップ、どちらもチェーンはミスリル製。こんなものを着けていないといけないというのは、僕にとってはあまりに肩がこる。ミーアをうかがうと、ペンダントを触ってまんざらでもない感じ。女性は、こういうものが好きだと聞くし、ミーアもそういったところはやはり女の子なんだと感じた。
「馬車の準備が整いました。フェイウェル・ハモンド様、ミーア・ハモンド様、こちらへどうぞ」
教会から賜ったハモンド姓が何やらむず痒い。
天井を取り払いオープンにした白塗りの馬車はとても華やかでこれに乗って主役としてパレードというのはすごく照れくさい。それでも1度だけとのことでもあるし覚悟を決めて、まずはミーアに手を貸して乗せる。ミーアが乗ったところで僕も続いて乗車し赤いファブリックの座席に座った。
盛装をした聖騎士団と教会の楽団の先導で馬車がゆっくりと動き出す。パレードのルートでは沿道に街の人たちで人だかりができていて、大きな声で僕やミーアの名前を呼んでいる。とても恥ずかしいけれど、ダニエルさんに言われたように笑顔を作り手を振る。道の両側の人に手を振るたびに歓声があがり、今回のスタンピードの殲滅がどれほど人々にとって大きかったが感じられた。ほぼ午前中の時間を掛けて聖都を1周したパレードの後、僕たちは中央大聖堂のバルコニーにいた。今は大司教様がスピーチをしている。
「……神の祝福により2人の英雄が降臨し我が聖国は守られました。ここにその2人の英雄、フェイウェル・ハモンド聖元帥とミーア・ハモンド大聖騎士をご紹介いたします」
お付きの人に促され、僕とミーアはバルコニーを前に進み、大司教様に頭を下げ求められるままに握手をした。次は街の人々に向かっての簡単なスピーチ。昨日のうちにダニエルさんにアドバイスをしてもらいながら作ったセリフを話す。きちんと話せるだろうか……
「お集まりいただいている皆さん、ご紹介に賜りましたフェイウェル・ハモンドです。……」
頭の中が真っ白になるというのはこういう事かと実感しながらどうにかスピーチを終わらせた。横では、ミーアがハニカミながらどうにかスピーチをしている。
最後に皆で人々に手を振ってバルコニーから下がった。
「頭のなか真っ白になったよ。僕ちゃんとスピーチできてたかな」
「あたしも、何を話したのか全然覚えてない」
ミーアもかなり緊張したようだ。
「なに、立派なスピーチでしたぞ。あれだけのスピーチが出来るのでしたら十分以上ですよ」
後ろから声を掛けてきたのはダニエルさん。
「いや、もうあれほど緊張したことはありませんよ。もう喉がカラカラです」
僕が苦笑いで返すと。
「お疲れ様です。とりあえず、この後は祝賀パーティーまで少々お時間がございます。こちらでゆっくりとおくつろぎください。飲み物も冷えた水、果実汁、お茶などいくつか揃えてあります。また、何かあれば控えの間にいるものに何なりと申し付けください」
お茶を頂き、しばらくゆっくりと休ませてもらっていると。またダニエルがやってきた。
「パーティとなりますと、そのお召し物のままというわけにはいきませんが、ドレス等お持ちでしょうか」
「さすがに、僕たちの立場でドレスは……」
「では、適当に見繕ってお持ちします。着付けの者もつれてまいりますのでご安心ください」
それだけ言うとさっと部屋を出て行ってしまった。きっと忙しい中気を使ってくれているのだろう。
そして届けられたのは、僕用に純白の騎士服。赤と金の縁取りが華やかというかすごく派手。ミーアには数着のイブニングドレス。その中からミーアが選んだのはミッドナイトブルーを基調にパールがあしらわれた上品なドレス。着付けの人と一緒にメイク担当の人も来ていて僕もミーアも顔や髪を整えられ、パーティーに参加する前から普段と違う疲れにぐったりとしてしまった。
時間となりパーティー会場に向かう中、ダニエルさんが最後にアドバイスしてくれた内容を思い出していた。
「常に2人一緒にいてくださいね。おそらく別々のグループに誘われると思いますが、新婚の2人なれば、一緒にいたいで通ります。別々になるとおそらく悪い虫が飛びついてきますからお気をつけください」
パーティー会場にミーアと腕を組んで入る。華やかで豪華で場違い感を覚えながら、声を掛けてくる有力者たちに挨拶をする。どこそこの領主様、どこそこの騎士団長、帝国の大貴族、あわただしさに目の回るが、どうにかこなした。
パーティーのあと治療院に戻り僕たちはやっと息をついていた。
「あんなパーティーを何度こなさないといけないんだっけ」
「あと5回ね。はやく済ませたいよね」
「とりあえず、明日は1日フリーだからゆっくりしよう」
僕たちに上流階級の生活は無理だと思い知った1日だった。
「先日は申し訳なかった」
「は、なんのことですか」
僕が分からずに聞くと
「馬車の事を説明せずに済ませてしまったことだ。パルミラ院長に気遣いが足らぬと叱られたよ」
ダニエルさんはやや柔らかい口調でそんな話をしてくれた。
「それでは、式典における作法を簡単に説明しよう。ああ多少の失敗は構わんよ。一般人がそういった作法を知らぬのは当然なのはわかっておるからな。そのあたり教会は寛容だから……」
式典における一通りの作法を聞き終わる頃に教会に馬車は到着した。ダニエルさんが最初、次に僕が降り、ミーアが降りるのに僕が手を貸す。馬車を降りたところで僕が左腕を差し出すとそこにミーアがそっと腕を組む。夫婦の場合このスタイルで向うのが良いそうだけれど……。そのまま以前来た礼拝堂ではなく、中央大聖堂の控室に案内された。
「緊張するね」
なれない環境にミーアが呟く。僕の左腕にしがみつく身体が震えているのが僕にも伝わってくる。
「そうだね。僕たちこういう事とは無関係に生きてきたからね」
しばらく待機していると控室の入口が開き声が掛けられた。
「フェイウェル殿、ミーア殿準備が整いました。中央大聖堂へどうぞおこしください」
入口の巨大両開きのドアの前で僕が右側、そしてミーアが左側に二人並ぶ。
僅かな時間の後、入場を促す声が掛かった。
「スタンピードの英雄、フェイウェル殿、ミーア殿、御入場」
巨大なドアが大きく開き深紅のカーペットが敷かれた通路を僕とミーアはゆっくりと進む。両サイドには国の重鎮や中には服装から他国の上流階級の人間と思われる姿も見られる。僕は視線の端にグラハム辺境伯の姿を見つけて驚きを隠せない。動揺する気持ちを抑えながら木の枝のシンボルまで進み片膝を折る。隣ではミーアも同じ姿勢を取っている。
典礼の声が響く。
「聖教会大司教チェイニー・モルダー・ミラー猊下御出座」
周囲が畏まる雰囲気を感じる。
「フェイウェル、ミーア、面をあげよ」
僕とミーアは同時に顔を上げ前を見る。1段高い壇上に柔和な顔の老齢の男性が座っていた。身に着けているのは金の縁取りこそされているが一見シンプルな司教服。この人が大司教様なのだろう。
「汝ら、フェイウェル、ミーアで相違ないな」
「はい、わたくしがフェイウェルです」
普段と違う言葉遣いに背中がもぞもぞする。
「はい、わたくしがミーアです」
となりで発言するミーアも居心地悪そうな雰囲気がある。
「スタンピードの制圧ご苦労であった。聖国を代表して礼を言う」
そこで典礼が発言する。
「フェイウェル、ミーア両名に大司教猊下より褒章を賜る」
「フェイウェル、ミーア、両名にハモンド姓を授ける。またフェイウェルには聖元帥、ミーアには大聖騎士の位を授け……」
式典が終わり控室に下がり、僕たちはやっと一息を入れていた。
「疲れた。体を動かしたわけでもないのにすごく疲れたよ」
「あたしも、これなら狩りで森に入っている時の方がまだ楽よね」
「明日はパレードかあ」
「そのまま最初の祝賀パーティーなのよねえ」
僕たちは二人そろって溜息をついた。
「ま、なんとかなるさ」
「そうね、なんとかなるよね」
僕は立ち上がり、ミーアに手を差し出し
「では、帰るとしますか。ミーア大聖騎士殿」
「もう。わかりました。フェイウェル聖元帥閣下」
ミーアが僕の手を取り立ち上がってくれたのでそのまま教会を後にした。
翌日僕とミーアは聖騎士における階位を示すペンダントをつけて教会の控室でパレードの馬車を待っていた。僕に与えられたのはミスリルの台座にルビーをはめ込まれている1セルチほどのサイズのペンダントトップ、ミーアに与えられたものはやはりミスリルの台座にサファイアをあしらったペンダントトップ、どちらもチェーンはミスリル製。こんなものを着けていないといけないというのは、僕にとってはあまりに肩がこる。ミーアをうかがうと、ペンダントを触ってまんざらでもない感じ。女性は、こういうものが好きだと聞くし、ミーアもそういったところはやはり女の子なんだと感じた。
「馬車の準備が整いました。フェイウェル・ハモンド様、ミーア・ハモンド様、こちらへどうぞ」
教会から賜ったハモンド姓が何やらむず痒い。
天井を取り払いオープンにした白塗りの馬車はとても華やかでこれに乗って主役としてパレードというのはすごく照れくさい。それでも1度だけとのことでもあるし覚悟を決めて、まずはミーアに手を貸して乗せる。ミーアが乗ったところで僕も続いて乗車し赤いファブリックの座席に座った。
盛装をした聖騎士団と教会の楽団の先導で馬車がゆっくりと動き出す。パレードのルートでは沿道に街の人たちで人だかりができていて、大きな声で僕やミーアの名前を呼んでいる。とても恥ずかしいけれど、ダニエルさんに言われたように笑顔を作り手を振る。道の両側の人に手を振るたびに歓声があがり、今回のスタンピードの殲滅がどれほど人々にとって大きかったが感じられた。ほぼ午前中の時間を掛けて聖都を1周したパレードの後、僕たちは中央大聖堂のバルコニーにいた。今は大司教様がスピーチをしている。
「……神の祝福により2人の英雄が降臨し我が聖国は守られました。ここにその2人の英雄、フェイウェル・ハモンド聖元帥とミーア・ハモンド大聖騎士をご紹介いたします」
お付きの人に促され、僕とミーアはバルコニーを前に進み、大司教様に頭を下げ求められるままに握手をした。次は街の人々に向かっての簡単なスピーチ。昨日のうちにダニエルさんにアドバイスをしてもらいながら作ったセリフを話す。きちんと話せるだろうか……
「お集まりいただいている皆さん、ご紹介に賜りましたフェイウェル・ハモンドです。……」
頭の中が真っ白になるというのはこういう事かと実感しながらどうにかスピーチを終わらせた。横では、ミーアがハニカミながらどうにかスピーチをしている。
最後に皆で人々に手を振ってバルコニーから下がった。
「頭のなか真っ白になったよ。僕ちゃんとスピーチできてたかな」
「あたしも、何を話したのか全然覚えてない」
ミーアもかなり緊張したようだ。
「なに、立派なスピーチでしたぞ。あれだけのスピーチが出来るのでしたら十分以上ですよ」
後ろから声を掛けてきたのはダニエルさん。
「いや、もうあれほど緊張したことはありませんよ。もう喉がカラカラです」
僕が苦笑いで返すと。
「お疲れ様です。とりあえず、この後は祝賀パーティーまで少々お時間がございます。こちらでゆっくりとおくつろぎください。飲み物も冷えた水、果実汁、お茶などいくつか揃えてあります。また、何かあれば控えの間にいるものに何なりと申し付けください」
お茶を頂き、しばらくゆっくりと休ませてもらっていると。またダニエルがやってきた。
「パーティとなりますと、そのお召し物のままというわけにはいきませんが、ドレス等お持ちでしょうか」
「さすがに、僕たちの立場でドレスは……」
「では、適当に見繕ってお持ちします。着付けの者もつれてまいりますのでご安心ください」
それだけ言うとさっと部屋を出て行ってしまった。きっと忙しい中気を使ってくれているのだろう。
そして届けられたのは、僕用に純白の騎士服。赤と金の縁取りが華やかというかすごく派手。ミーアには数着のイブニングドレス。その中からミーアが選んだのはミッドナイトブルーを基調にパールがあしらわれた上品なドレス。着付けの人と一緒にメイク担当の人も来ていて僕もミーアも顔や髪を整えられ、パーティーに参加する前から普段と違う疲れにぐったりとしてしまった。
時間となりパーティー会場に向かう中、ダニエルさんが最後にアドバイスしてくれた内容を思い出していた。
「常に2人一緒にいてくださいね。おそらく別々のグループに誘われると思いますが、新婚の2人なれば、一緒にいたいで通ります。別々になるとおそらく悪い虫が飛びついてきますからお気をつけください」
パーティー会場にミーアと腕を組んで入る。華やかで豪華で場違い感を覚えながら、声を掛けてくる有力者たちに挨拶をする。どこそこの領主様、どこそこの騎士団長、帝国の大貴族、あわただしさに目の回るが、どうにかこなした。
パーティーのあと治療院に戻り僕たちはやっと息をついていた。
「あんなパーティーを何度こなさないといけないんだっけ」
「あと5回ね。はやく済ませたいよね」
「とりあえず、明日は1日フリーだからゆっくりしよう」
僕たちに上流階級の生活は無理だと思い知った1日だった。
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