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第一話
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あーやっと補習終わった。
全くもう、春休みにまで課題出さなくてもいいじゃん。折角の短い休みくらい自由にさせてほしいよ
うっわ、もうこんな時間。今頃全員集まっているんだろうな。全くあの鬼畜教師め。
『ちょっと、どこほっつき歩いてるの!』
そうこうしているうちにお姉ちゃんからテレパシーが来た。
私の名前はエルマー。能力者の養成を専門とする私立ロイヤル学園の中学2年生だ。
今までの成り行きを簡単に説明すると、春休みの課題を踏み倒したために補習に呼び出され、今やっと解放されたので私の領土である保健室へ向かっているのだ。
『ごめんお姉ちゃん。補習に引っ掛かって...』
『また!?今月だけで何回引っ掛ってるのよ。本当に筋金入りの馬鹿だね。』
『はいはい分かった分かったから。これ以上説教はやめてよ。』
『あとどの位で着く?』
『飛んだらすぐだよ。』
『テレパシー切るから出来るだけ早く来なさいよ。』
『了k...』
ツーツーツー...
私の持つ特殊能力<ツインシナプス>はお姉ちゃんとのみ任意でテレパシーが出来るという便利なのか不便なのかよくわからないものだ。
まぁ特殊能力はリアリの中でも持ってるのは珍しいから文句は言えないんだろうけど。
でも、会話中にテレパシー切ること無いじゃない。
お姉ちゃんのばーか。
『誰が馬鹿だって?』
げ、何で分かったの?
『テレパシー切って無いからよ。それより早く来ないとレモンケーキ全部ミコト先生に食べられるわよ。』
『何だって!?すぐ行くから私の分取っといて!』
カチャ、ツーツーツー...
保健室の先生みこっちことミコト先生が作るレモンケーキは凄く美味しい。
でもただでさえ争奪戦が激しいのに先生自身が味見と称して半分くらい食べてしまうのでものすごく貴重なのだ。
レモンケーキが無くなる前に行かなきゃ。
でも歩いて行ったら間に合いそうにないしなぁ。
う~ん...
「キュー」
「あれ、ボンボンいつの間にケースから出てたの?」
ボンボンというのは私のアメダマだ。
錬金術師達が開発した生き物らしいという事以外はよく分かんない。手のひらサイズの丸い生き物でペットとして大人気だ。
私の質問答えずボンボンが進んだ先は...
何故かボロボロのモップ一本しか残ってない掃除ロッカーだった。
え、モップ一本しか無いのに掃除できるの?
まぁいいや。
肩に掛けてた鞄の中身を引っくり返すと、お徳用飛行魔法陣5枚セット(100円+税)が出てきた。
残り物のモップを手に取り魔法陣を張り付ける。
準備完了。これで空を飛べる。
跨ると体がふわりと浮き上がる。
この感覚最高。だから飛ぶのを止められないんだよね。
勢いをつけて窓から飛び出し保健室へ向かおうとした次の瞬間、
ピーピーピー
「コチラパトロール01、校内備品窃盗罪ノ現行犯ヲ発見。タダチニ支援セヨ。」
げ、パトロールアメダマだ。
「いや、別にモップは借りただけで盗んだ訳ではn」
「問答無用、包囲セヨ。」 「ラジャー!」
うわ、いつの間に全員集合してるし。てかなんて理不尽な状況なんだ。
こうなったら...
「えーい!正面突破だ!」
「!?」
アメダマは案外臆病(ボンボンは特に)なのだ。
「行っけー!」
「キュー!!」
案の定パト玉達は散り散りになって逃げて行った。
しばらくして、完全に撒けたのを確認してモップの動きを止める。
「やったね、ボンボン。」
「ウ、ウー。」
あれ?もしかして乗り物酔い?
「顔色も悪いし、少し休憩しよっか。」
ちょうど近くに東屋があったので飛ぶのを辞めて てくてくと歩いて行った。
「ウホッ。」
待って、この声は...
続
全くもう、春休みにまで課題出さなくてもいいじゃん。折角の短い休みくらい自由にさせてほしいよ
うっわ、もうこんな時間。今頃全員集まっているんだろうな。全くあの鬼畜教師め。
『ちょっと、どこほっつき歩いてるの!』
そうこうしているうちにお姉ちゃんからテレパシーが来た。
私の名前はエルマー。能力者の養成を専門とする私立ロイヤル学園の中学2年生だ。
今までの成り行きを簡単に説明すると、春休みの課題を踏み倒したために補習に呼び出され、今やっと解放されたので私の領土である保健室へ向かっているのだ。
『ごめんお姉ちゃん。補習に引っ掛かって...』
『また!?今月だけで何回引っ掛ってるのよ。本当に筋金入りの馬鹿だね。』
『はいはい分かった分かったから。これ以上説教はやめてよ。』
『あとどの位で着く?』
『飛んだらすぐだよ。』
『テレパシー切るから出来るだけ早く来なさいよ。』
『了k...』
ツーツーツー...
私の持つ特殊能力<ツインシナプス>はお姉ちゃんとのみ任意でテレパシーが出来るという便利なのか不便なのかよくわからないものだ。
まぁ特殊能力はリアリの中でも持ってるのは珍しいから文句は言えないんだろうけど。
でも、会話中にテレパシー切ること無いじゃない。
お姉ちゃんのばーか。
『誰が馬鹿だって?』
げ、何で分かったの?
『テレパシー切って無いからよ。それより早く来ないとレモンケーキ全部ミコト先生に食べられるわよ。』
『何だって!?すぐ行くから私の分取っといて!』
カチャ、ツーツーツー...
保健室の先生みこっちことミコト先生が作るレモンケーキは凄く美味しい。
でもただでさえ争奪戦が激しいのに先生自身が味見と称して半分くらい食べてしまうのでものすごく貴重なのだ。
レモンケーキが無くなる前に行かなきゃ。
でも歩いて行ったら間に合いそうにないしなぁ。
う~ん...
「キュー」
「あれ、ボンボンいつの間にケースから出てたの?」
ボンボンというのは私のアメダマだ。
錬金術師達が開発した生き物らしいという事以外はよく分かんない。手のひらサイズの丸い生き物でペットとして大人気だ。
私の質問答えずボンボンが進んだ先は...
何故かボロボロのモップ一本しか残ってない掃除ロッカーだった。
え、モップ一本しか無いのに掃除できるの?
まぁいいや。
肩に掛けてた鞄の中身を引っくり返すと、お徳用飛行魔法陣5枚セット(100円+税)が出てきた。
残り物のモップを手に取り魔法陣を張り付ける。
準備完了。これで空を飛べる。
跨ると体がふわりと浮き上がる。
この感覚最高。だから飛ぶのを止められないんだよね。
勢いをつけて窓から飛び出し保健室へ向かおうとした次の瞬間、
ピーピーピー
「コチラパトロール01、校内備品窃盗罪ノ現行犯ヲ発見。タダチニ支援セヨ。」
げ、パトロールアメダマだ。
「いや、別にモップは借りただけで盗んだ訳ではn」
「問答無用、包囲セヨ。」 「ラジャー!」
うわ、いつの間に全員集合してるし。てかなんて理不尽な状況なんだ。
こうなったら...
「えーい!正面突破だ!」
「!?」
アメダマは案外臆病(ボンボンは特に)なのだ。
「行っけー!」
「キュー!!」
案の定パト玉達は散り散りになって逃げて行った。
しばらくして、完全に撒けたのを確認してモップの動きを止める。
「やったね、ボンボン。」
「ウ、ウー。」
あれ?もしかして乗り物酔い?
「顔色も悪いし、少し休憩しよっか。」
ちょうど近くに東屋があったので飛ぶのを辞めて てくてくと歩いて行った。
「ウホッ。」
待って、この声は...
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