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13.誠実でいこう
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見た目清楚系の美少女に抱きつかれる男。男は嫌がる素振りを見せながらも満更ではない様子だった。
男が口だけで制止の声を上げる。しかし美少女は聞こえていないかのように、ぐいぐいと身体を密着させていく。その際にスカートがめくれ上がり、透き通るような白い太ももが露わになる。
さらに美少女の攻勢は止まらず、身につけている制服に手をかけた。なんの躊躇いもなく上着を脱いで、白いブラウスに男の目が釘付けになった。ブラウスから薄っすらと黒の下着が確認できた……。
「なんすか、これ……」
アスカさんが撮影した映像を目にした俺の感想である。あんまりな内容におざなりな言葉遣いになってしまった。
清楚系美少女は紗良さんのことで、男が俺である。このまま演技していたら紗良さんがどこまでの行為に及んでいたかわかったもんじゃない。AVみたいな展開はアウトである。もし続いていたら、俺は満更ではない顔を演技し続けなければならないところだった。まったくもうっ、しょうがないなぁ。
紗良さんはめくれたスカートを戻して脱いだ上着を着直して、見た目だけ清楚系美少女に戻っていた。発情した演技の名残か、顔が赤いままだ。
「紗良とカズっちのラブラブシーン。これなら一発で恋人ってわかるでしょ」
「ラブラブシーンっていうか、ただのラブシーンだけどね。これ、紗良さんがただの痴女になっているじゃないか」
「ち、痴女!?」
ガーン! とショックを受けた紗良さんだった。自分から脱いでおいて考えなかったのかな? 明らかに紗良さんがいたいけな男子を襲っている決定的なシーンでしかなかった。
「いやいや、恋人なら脱ぐでしょ? そういうもんなんでしょ?」
「いやいや、ビッチの理論を持ち込まれても困るんですけど」
「ビッチ!?」
ガーン! とショックを受けたアスカさんだった。やべっ、ナチュラルにビッチとか言っちゃったよ。言葉選びをするの忘れてた。
だけどこの二人相手に気遣いするってのも面倒になってきた。俺も気遣いされてないし、お互い様ってことでいいよね。
「ていうかこれ、本気で紗良さんの親に見せるつもり?」
もう一度映像を確認する。ふむ、白い太ももが眩しいぞ。
「だ、だって証拠あった方が真実味が増すってもんでしょ。キセイジジツっていうの? 行くとこまで行けば紗良の親だって認めるしかないじゃん」
「紗良さんの親が卒倒する未来しか見えないよ……」
大事に育ててきた娘が冴えない男子を襲っている。そんな娘の痴態を見せられたら両親共に泡噴いて倒れるんじゃなかろうか。
逆に、証拠を隠滅しようと俺に何かあったりしないかって心配になる。金の力で消される、ってのはフィクションではよくある話である。
「だ、大丈夫よ和也くん!」
紗良さんがずいと前のめりになった。なんか圧がすごいんですけど。
「私は和也くんとイチャイチャしているところを見せつける覚悟ができているから!」
「紗良さんの親が覚悟できてないんだってば」
何を堂々と言っちゃっているんだこのお嬢様は。ちょっとだけ本気で俺と行くとこまで行くつもりなのかと勘違いしそうになっちゃったじゃないか。婚約を解消するためとはいえ自分を売りすぎでしょうが。
「こんな映像を作ったってしょうがないよ。時間がかかったとしても紗良さん自身の言葉で説得しないといけないと思う。俺を説得の材料に使うっていうなら協力する。だから、紗良さん。一緒に頑張ろうよ」
「は、はい……」
思いのほか紗良さんは素直に頷いてくれた。
……誠実なことを言ってる風に聞こえるかもしれないが、俺が言ったことはまったくの無策である。第三者だからこそ口にできる無責任な言葉だ。
しかし、下手に小細工をする方が状況を悪くしてしまいそうなのも事実。ここは真っ向勝負で親心に訴えるのだ。
紗良さんが親から愛されているのなら、きっと気持ちが届くだろう。
「んじゃあ、親へのあいさつの練習くらいしとく?」
アスカさんも方針転換に同意してくれたようだ。人生かかっている紗良さんはとても乗り気になっていた。動画撮るよりは建設的な対策だろう。
こうして、紗良さんの親にあいさつをする予行練習は、深夜まで続けられたのであった。アスカさんの指導が激しすぎてなかなか寝かせてもらえなかった件。
……ちゃっかりアスカさんと紗良さんは今夜も俺の部屋に泊まったのだった。ビッチだとしてもちょっとは警戒心持とうよ。草食系男子にもプライドってもんがあるんですよ。
※ ※ ※
拝啓、お父様お母様。ついでに弟よ。
「顔上げろやテメェコラァッ!!」
「舐めた面してんじゃねえぞゴルァッ!!」
「タダで帰れると思うなよウラァッ!!」
現在、俺は柄の悪い人達に囲まれています。みんなとても殺気立っていて怖いです。命の危機です。
俺、今日が命日になるかもしれません。……骨くらい残るといいなぁ。
男が口だけで制止の声を上げる。しかし美少女は聞こえていないかのように、ぐいぐいと身体を密着させていく。その際にスカートがめくれ上がり、透き通るような白い太ももが露わになる。
さらに美少女の攻勢は止まらず、身につけている制服に手をかけた。なんの躊躇いもなく上着を脱いで、白いブラウスに男の目が釘付けになった。ブラウスから薄っすらと黒の下着が確認できた……。
「なんすか、これ……」
アスカさんが撮影した映像を目にした俺の感想である。あんまりな内容におざなりな言葉遣いになってしまった。
清楚系美少女は紗良さんのことで、男が俺である。このまま演技していたら紗良さんがどこまでの行為に及んでいたかわかったもんじゃない。AVみたいな展開はアウトである。もし続いていたら、俺は満更ではない顔を演技し続けなければならないところだった。まったくもうっ、しょうがないなぁ。
紗良さんはめくれたスカートを戻して脱いだ上着を着直して、見た目だけ清楚系美少女に戻っていた。発情した演技の名残か、顔が赤いままだ。
「紗良とカズっちのラブラブシーン。これなら一発で恋人ってわかるでしょ」
「ラブラブシーンっていうか、ただのラブシーンだけどね。これ、紗良さんがただの痴女になっているじゃないか」
「ち、痴女!?」
ガーン! とショックを受けた紗良さんだった。自分から脱いでおいて考えなかったのかな? 明らかに紗良さんがいたいけな男子を襲っている決定的なシーンでしかなかった。
「いやいや、恋人なら脱ぐでしょ? そういうもんなんでしょ?」
「いやいや、ビッチの理論を持ち込まれても困るんですけど」
「ビッチ!?」
ガーン! とショックを受けたアスカさんだった。やべっ、ナチュラルにビッチとか言っちゃったよ。言葉選びをするの忘れてた。
だけどこの二人相手に気遣いするってのも面倒になってきた。俺も気遣いされてないし、お互い様ってことでいいよね。
「ていうかこれ、本気で紗良さんの親に見せるつもり?」
もう一度映像を確認する。ふむ、白い太ももが眩しいぞ。
「だ、だって証拠あった方が真実味が増すってもんでしょ。キセイジジツっていうの? 行くとこまで行けば紗良の親だって認めるしかないじゃん」
「紗良さんの親が卒倒する未来しか見えないよ……」
大事に育ててきた娘が冴えない男子を襲っている。そんな娘の痴態を見せられたら両親共に泡噴いて倒れるんじゃなかろうか。
逆に、証拠を隠滅しようと俺に何かあったりしないかって心配になる。金の力で消される、ってのはフィクションではよくある話である。
「だ、大丈夫よ和也くん!」
紗良さんがずいと前のめりになった。なんか圧がすごいんですけど。
「私は和也くんとイチャイチャしているところを見せつける覚悟ができているから!」
「紗良さんの親が覚悟できてないんだってば」
何を堂々と言っちゃっているんだこのお嬢様は。ちょっとだけ本気で俺と行くとこまで行くつもりなのかと勘違いしそうになっちゃったじゃないか。婚約を解消するためとはいえ自分を売りすぎでしょうが。
「こんな映像を作ったってしょうがないよ。時間がかかったとしても紗良さん自身の言葉で説得しないといけないと思う。俺を説得の材料に使うっていうなら協力する。だから、紗良さん。一緒に頑張ろうよ」
「は、はい……」
思いのほか紗良さんは素直に頷いてくれた。
……誠実なことを言ってる風に聞こえるかもしれないが、俺が言ったことはまったくの無策である。第三者だからこそ口にできる無責任な言葉だ。
しかし、下手に小細工をする方が状況を悪くしてしまいそうなのも事実。ここは真っ向勝負で親心に訴えるのだ。
紗良さんが親から愛されているのなら、きっと気持ちが届くだろう。
「んじゃあ、親へのあいさつの練習くらいしとく?」
アスカさんも方針転換に同意してくれたようだ。人生かかっている紗良さんはとても乗り気になっていた。動画撮るよりは建設的な対策だろう。
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現在、俺は柄の悪い人達に囲まれています。みんなとても殺気立っていて怖いです。命の危機です。
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