ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ

みずがめ

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0.ぼっち陰キャと美少女が二人

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 俺の名前は室井むろい和也かずや。ごく普通の男子高校生である。
 ただし頭に「ぼっち」とつけなければならない。人によってはぼっちを普通の人扱いしてくれないけれど、俺としては親しい友人がいないだけで、割と普通の男子だと思っている。
 授業のグループ分けで余ってしまった時だとか、昼休みに弁当を食べた後は何もやることがなくなってしまう時だとか、休日に誰とも遊ぶ予定がない時だとか……。いろんな場面でぼっちを自覚させられているが、割と普通の男子だ。
 別に孤高を気取っているわけじゃない。ただ、自分から誰かに話しかけられるほどの積極性がなかっただけ。
 人はそういう奴を陰キャと呼ぶらしい。生理的に受け付けないほど顔が悪いとか、反吐が出るような性格でもないつもりなんだけどなぁ。なぜかあまり話しかけてもらえない。話しかけてさえくれれば、普通のやり取りくらいできるつもりなんだけども。
 何が言いたいかと言われれば、俺だってチャンスさえあれば友達作ってぼっちを卒業できるんだってこと。……たぶん、チャンスさえあればね?

紗良さらってゲーム上手いよねー。実はけっこうやり込んでたり?」
「ううん、初めてよ。和也くんのお部屋に来て初めてゲーム機に触れたもの」
「マジで? それにしては必殺技バンバン出してんじゃん。容赦なさすぎなんだけど」
「必殺技は説明書を見て覚えたわ」
「無駄に記憶力良すぎぃ~」
「アスカは物を覚えなさすぎだけれどね」

 あははー、と女子二人の笑い声が部屋に響く。
 俺の部屋でクラスメイトの女子がゲームして遊んでいる。ちなみに俺は一人暮らしだ。
 しかも夜中の時間帯。そろそろ深夜アニメが始まってしまう。このまま居座られていたら観られない……じゃなくて! 夜中に年頃の男子の部屋に女子がいるってこと自体が問題なんだよ!
 心の中で絶叫していたら、現在進行形で悩みの種である女子二人が俺の方を振り向いた。

「お? 次はカズっちが相手になる? 持ち主だから強いんだろうな~。腕が鳴るわ」

 にししっ、と楽しげに笑うのは、金髪にピアスというギャル系美少女。
 名前は渡会わたらいアスカ。見た目が派手で声も大きいから苦手な人種だ。でも顔は可愛い。雑誌に載っているモデルと遜色ないほどには可愛い。そして巨乳だ。

「ごめんなさい和也くん。私達ばかりゲームしちゃって。はいコントローラー。アスカに勝てるように応援しているわ」

 申し訳なさそうにしながらも微笑んでくれるのは、黒髪に色白の清楚系美少女。
 名前は桐生きりゅう紗良さら。渡会さんとは対照的に大人しい印象。でも渡会さんに負けないくらい可愛い。実はアイドル活動していました、と言われても信じられるほどの正統派美少女だ。そして巨乳だ。
 そんな学内でも指折りの美少女が、なぜか陰キャでぼっちの俺の部屋にいる。しかも二人同時に。
 そして、なぜか二人して四つん這いで迫ってきた。え、なんでっ!?

「ほらほらカズっちー……」
「うふふ、和也くん……」

 どうしてこんな状況になったのか……。甘い誘惑から逃れるように、記憶を遡って思い出すことに集中した。
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