1 / 19
0.ぼっち陰キャと美少女が二人
しおりを挟む
俺の名前は室井和也。ごく普通の男子高校生である。
ただし頭に「ぼっち」とつけなければならない。人によってはぼっちを普通の人扱いしてくれないけれど、俺としては親しい友人がいないだけで、割と普通の男子だと思っている。
授業のグループ分けで余ってしまった時だとか、昼休みに弁当を食べた後は何もやることがなくなってしまう時だとか、休日に誰とも遊ぶ予定がない時だとか……。いろんな場面でぼっちを自覚させられているが、割と普通の男子だ。
別に孤高を気取っているわけじゃない。ただ、自分から誰かに話しかけられるほどの積極性がなかっただけ。
人はそういう奴を陰キャと呼ぶらしい。生理的に受け付けないほど顔が悪いとか、反吐が出るような性格でもないつもりなんだけどなぁ。なぜかあまり話しかけてもらえない。話しかけてさえくれれば、普通のやり取りくらいできるつもりなんだけども。
何が言いたいかと言われれば、俺だってチャンスさえあれば友達作ってぼっちを卒業できるんだってこと。……たぶん、チャンスさえあればね?
「紗良ってゲーム上手いよねー。実はけっこうやり込んでたり?」
「ううん、初めてよ。和也くんのお部屋に来て初めてゲーム機に触れたもの」
「マジで? それにしては必殺技バンバン出してんじゃん。容赦なさすぎなんだけど」
「必殺技は説明書を見て覚えたわ」
「無駄に記憶力良すぎぃ~」
「アスカは物を覚えなさすぎだけれどね」
あははー、と女子二人の笑い声が部屋に響く。
俺の部屋でクラスメイトの女子がゲームして遊んでいる。ちなみに俺は一人暮らしだ。
しかも夜中の時間帯。そろそろ深夜アニメが始まってしまう。このまま居座られていたら観られない……じゃなくて! 夜中に年頃の男子の部屋に女子がいるってこと自体が問題なんだよ!
心の中で絶叫していたら、現在進行形で悩みの種である女子二人が俺の方を振り向いた。
「お? 次はカズっちが相手になる? 持ち主だから強いんだろうな~。腕が鳴るわ」
にししっ、と楽しげに笑うのは、金髪にピアスというギャル系美少女。
名前は渡会アスカ。見た目が派手で声も大きいから苦手な人種だ。でも顔は可愛い。雑誌に載っているモデルと遜色ないほどには可愛い。そして巨乳だ。
「ごめんなさい和也くん。私達ばかりゲームしちゃって。はいコントローラー。アスカに勝てるように応援しているわ」
申し訳なさそうにしながらも微笑んでくれるのは、黒髪に色白の清楚系美少女。
名前は桐生紗良。渡会さんとは対照的に大人しい印象。でも渡会さんに負けないくらい可愛い。実はアイドル活動していました、と言われても信じられるほどの正統派美少女だ。そして巨乳だ。
そんな学内でも指折りの美少女が、なぜか陰キャでぼっちの俺の部屋にいる。しかも二人同時に。
そして、なぜか二人して四つん這いで迫ってきた。え、なんでっ!?
「ほらほらカズっちー……」
「うふふ、和也くん……」
どうしてこんな状況になったのか……。甘い誘惑から逃れるように、記憶を遡って思い出すことに集中した。
ただし頭に「ぼっち」とつけなければならない。人によってはぼっちを普通の人扱いしてくれないけれど、俺としては親しい友人がいないだけで、割と普通の男子だと思っている。
授業のグループ分けで余ってしまった時だとか、昼休みに弁当を食べた後は何もやることがなくなってしまう時だとか、休日に誰とも遊ぶ予定がない時だとか……。いろんな場面でぼっちを自覚させられているが、割と普通の男子だ。
別に孤高を気取っているわけじゃない。ただ、自分から誰かに話しかけられるほどの積極性がなかっただけ。
人はそういう奴を陰キャと呼ぶらしい。生理的に受け付けないほど顔が悪いとか、反吐が出るような性格でもないつもりなんだけどなぁ。なぜかあまり話しかけてもらえない。話しかけてさえくれれば、普通のやり取りくらいできるつもりなんだけども。
何が言いたいかと言われれば、俺だってチャンスさえあれば友達作ってぼっちを卒業できるんだってこと。……たぶん、チャンスさえあればね?
「紗良ってゲーム上手いよねー。実はけっこうやり込んでたり?」
「ううん、初めてよ。和也くんのお部屋に来て初めてゲーム機に触れたもの」
「マジで? それにしては必殺技バンバン出してんじゃん。容赦なさすぎなんだけど」
「必殺技は説明書を見て覚えたわ」
「無駄に記憶力良すぎぃ~」
「アスカは物を覚えなさすぎだけれどね」
あははー、と女子二人の笑い声が部屋に響く。
俺の部屋でクラスメイトの女子がゲームして遊んでいる。ちなみに俺は一人暮らしだ。
しかも夜中の時間帯。そろそろ深夜アニメが始まってしまう。このまま居座られていたら観られない……じゃなくて! 夜中に年頃の男子の部屋に女子がいるってこと自体が問題なんだよ!
心の中で絶叫していたら、現在進行形で悩みの種である女子二人が俺の方を振り向いた。
「お? 次はカズっちが相手になる? 持ち主だから強いんだろうな~。腕が鳴るわ」
にししっ、と楽しげに笑うのは、金髪にピアスというギャル系美少女。
名前は渡会アスカ。見た目が派手で声も大きいから苦手な人種だ。でも顔は可愛い。雑誌に載っているモデルと遜色ないほどには可愛い。そして巨乳だ。
「ごめんなさい和也くん。私達ばかりゲームしちゃって。はいコントローラー。アスカに勝てるように応援しているわ」
申し訳なさそうにしながらも微笑んでくれるのは、黒髪に色白の清楚系美少女。
名前は桐生紗良。渡会さんとは対照的に大人しい印象。でも渡会さんに負けないくらい可愛い。実はアイドル活動していました、と言われても信じられるほどの正統派美少女だ。そして巨乳だ。
そんな学内でも指折りの美少女が、なぜか陰キャでぼっちの俺の部屋にいる。しかも二人同時に。
そして、なぜか二人して四つん這いで迫ってきた。え、なんでっ!?
「ほらほらカズっちー……」
「うふふ、和也くん……」
どうしてこんな状況になったのか……。甘い誘惑から逃れるように、記憶を遡って思い出すことに集中した。
14
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説

向日葵と隣同士で咲き誇る。~ツンツンしているクラスメイトの美少女が、可愛い笑顔を僕に見せてくれることが段々と多くなっていく件~
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の加瀬桔梗のクラスには、宝来向日葵という女子生徒がいる。向日葵は男子生徒中心に人気が高く、学校一の美少女と言われることも。
しかし、桔梗はなぜか向日葵に1年生の秋頃から何度も舌打ちされたり、睨まれたりしていた。それでも、桔梗は自分のように花の名前である向日葵にちょっと興味を抱いていた。
ゴールデンウィーク目前のある日。桔梗はバイト中に男達にしつこく絡まれている向日葵を助ける。このことをきっかけに、桔梗は向日葵との関わりが増え、彼女との距離が少しずつ縮まっていく。そんな中で、向日葵は桔梗に可愛らしい笑顔を段々と見せていくように。
桔梗と向日葵。花の名を持つ男女2人が織りなす、温もりと甘味が少しずつ増してゆく学園ラブコメディ!
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしています。

僕(じゃない人)が幸せにします。
暇魷フミユキ
恋愛
【副題に☆が付いている話だけでだいたい分かります!】
・第1章
彼、〈君島奏向〉の悩み。それはもし将来、恋人が、妻ができたとしても、彼女を不幸にすることだった。
そんな彼を想う二人。
席が隣でもありよく立ち寄る喫茶店のバイトでもある〈草壁美頼〉。
所属する部の部長でたまに一緒に帰る仲の〈西沖幸恵〉。
そして彼は幸せにする方法を考えつく――――
「僕よりもっと相応しい人にその好意が向くようにしたいんだ」
本当にそんなこと上手くいくのか!?
それで本当に幸せなのか!?
そもそも幸せにするってなんだ!?
・第2章
草壁・西沖の二人にそれぞれの相応しいと考える人物を近付けるところまでは進んだ夏休み前。君島のもとにさらに二人の女子、〈深町冴羅〉と〈深町凛紗〉の双子姉妹が別々にやってくる。
その目的は――――
「付き合ってほしいの!!」
「付き合ってほしいんです!!」
なぜこうなったのか!?
二人の本当の想いは!?
それを叶えるにはどうすれば良いのか!?
・第3章
文化祭に向け、君島と西沖は映像部として広報動画を撮影・編集することになっていた。
君島は西沖の劇への参加だけでも心配だったのだが……
深町と付き合おうとする別府!
ぼーっとする深町冴羅!
心配事が重なる中無事に文化祭を成功することはできるのか!?
・第4章
二年生は修学旅行と進路調査票の提出を控えていた。
期待と不安の間で揺れ動く中で、君島奏向は決意する――
「僕のこれまでの行動を二人に明かそうと思う」
二人は何を思い何をするのか!?
修学旅行がそこにもたらすものとは!?
彼ら彼女らの行く先は!?
・第5章
冬休みが過ぎ、受験に向けた勉強が始まる二年生の三学期。
そんな中、深町凛紗が行動を起こす――
君島の草津・西沖に対するこれまでの行動の調査!
映像部への入部!
全ては幸せのために!
――これは誰かが誰かを幸せにする物語。
ここでは毎日1話ずつ投稿してまいります。
作者ページの「僕(じゃない人)が幸せにします。(「小説家になろう」投稿済み全話版)」から全話読むこともできます!

俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件
マサタカ
青春
俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。
あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。
そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。
「久しぶりですね、兄さん」
義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。
ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。
「矯正します」
「それがなにか関係あります? 今のあなたと」
冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。
今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人?
ノベルアッププラスでも公開。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる