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おまけ編

after 親友の恋愛事情⑧

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 井出と真有ちゃんがあの後どうなったのか。面倒臭いと思わなくもないが、まあ語ってみようと思う。

「まゆたーん♪」
「井出せんぱーい♪」

 パッとしない眼鏡男子とマスコット系美少女が仲良さげに腕を組んじゃったりしている。美女と野獣並みに驚きの図になっているのか、二人を目にした誰もが二度三度と振り返り目を剥いていた。
 あのラブホテルでの一件を経て、井出と真有ちゃんは正式に付き合うことになったのだ。今では学園でも有名なバカップルと化していたりする。
 セックスから始まった関係だが、二人は健全に恋人をやっているようだった。まあ元々告白から即合体していた仲だったのである。終わってみれば「やっぱりな」という感想しか出てこない。
 ちなみにあの日ハメ撮りした動画はちゃんと井出と真有ちゃんに送っている。二人で楽しんでいるんだろうなーと察しつつもスルーしている俺のなんと優しいことか。

「祐二のおかげで僕はまゆたんとお付き合いできるようになったんだ。本当にありがとう。一生感謝を忘れないよ」

 井出は晴れやかな顔で俺に礼を述べた。きっと井出の中で俺が一番人生を変えた人物になったのだろう。井出なら彼女いない歴=生涯、なーんてこともあり得ただろうからな。

「会田先輩……。まゆは会田先輩なら井出先輩といっしょに遊んでもいいと思っていますからね。い、いつでも声をかけてください」

 真有ちゃんは俺に意味ありげな視線を送るようになった。どういう「遊び」を求めてんだろうね。無視していると面白い反応をするので、当分は純真無垢な先輩として接していこうかと思う。
 やれやれまったく……。二人ともお幸せにな!

「あ、会田先輩……。真有ちゃんと井出先輩のことについてお話があるんですけど……、今度二人きりで会えませんか?」
「また今度なー」
「そ、そんなぁ……」

 そういえば、学園で菜緒ちゃんによく話しかけられるようになったな。俺を慕う後輩がまた一人増えてしまったようだ(すっとぼけ)


  ※ ※ ※


 ちなみに、あの日ラブホテルから帰った時のこと。

「祐二くん、におうわよ。……私達とは違う女の匂いね」

 帰宅後、彩音にラブホテルに行ったことを看破された。
 とてつもない迫力に俺はすべてを話すことしかできなかった。あの時の彩音の戦闘力は53万くらいあったに違いない。つまり絶望した俺は悪くない。

「まあ、真有と井出くんが納得しているなら私から言うことは何もないわ」

 さすがは俺のメイドだ。物わかりが良くて助かるぜ。
 まあ彩音も二人が元々付き合っていたってのを知ってたからというのもあるんだろうけどね。

「問題は祐二くんの方よ」
「お、俺?」

 おかしいな。彩音の背後からゴゴゴゴと不穏な音が聞こえるぞ?
 お、俺何かやっちゃいました? ……よく考えなくてもヤッちゃってますね。い、いや、挿入じゃないからセックスじゃないもん。ちょっとお口にチンポ突っ込んだだけだもん。

「んむっ!?」

 胸ぐらをつかまれ引き寄せられる。気がついた時には彩音にキスされていた。

「私がいるのにメイドでもない娘に手を出すなんて最低よ……。あなたってひどい人だわ……」

 彩音はそんなことを言って、再び俺に唇を合わせてきた。
 どうやら嫉妬していただけのようだ。おいおい、彩音も可愛いところがあるじゃないか。
 なーんて考えていたのが、俺の甘さだった。

「ふぅ……。祐二くんが良からぬことを考えないように、今日はとことん搾り尽くしてあげるわ」
「……ん?」

 なぜだろう。また彩音から不穏な気配が漂ってきたぞ?
 表情は惚れ惚れするくらいエロ可愛いってのに。背中からとめどなく汗が流れる。
 そして、言葉通り俺はとことんまで彩音に搾り尽くされた。天国という地獄を、俺は初めて体験したのであった……ぐふっ。


  ※ ※ ※


 さらにその後のこと。堂本が俺の家に訪れた。

「なるほどなるほど。会田様の言葉には力があるんですなぁ。言葉だけでここまで思い通りにできる人はいませんよ」

 なぜか堂本は俺が井出と真有ちゃんをくっつけた件を知っていた。まあいずれは話さなきゃならないことだとは思っていたけどな。戸倉坂兄の件が気になっていたし。また修羅場を体験するのはごめんである。
 その時のことを根掘り葉掘り聞かれ、俺は隠し事をすることなくすべて答えた。……なんで言わなくてもいいことまで全部しゃべってんだろ?

「それにしても会田様はお優しい。友のために動いてくださるとは、本当に思いやりに溢れているんですなぁ」
「井出と真有ちゃんの記憶が抜け落ちたのはアンタのせいですけどね」
「はっはっはっ。そう言われると弱りますな」

 むしろ楽しんでいるんじゃなかろうか? 堂本の笑い方にイラッとさせられる。
 堂本は出されたお茶をグビグビと一気飲みする。足りなかったのかチラリと俺に目を向けるが、そのアイコンタクトは当然無視である。

「会田様は、自分の言葉で他人を動かせる、そんな力を手に入れたらどうされますか?」
「なんだよ。俺が権力者になったらって話か?」
「もっと単純な話ですよ。絶対遵守の力と言いますか……。エロ漫画などで読んだことがありませんか? 美少女を問答無用で言いなりにできる力ですよ」

 創作物に出てくるような異能力か。
 もし自分に異能力が与えられたら。そういう妄想をしたことのない男子はいないだろう(偏見)
 こういう話を堂本が振ってくるとは思わなかった。思春期男子がするようなバカな話。そういうことを大人がするとは思わなかったのだ。

「そんな能力があったら、普通にエロいことに使うもんじゃないか」
「ですよね。それが普通、ですよね」

 堂本はにまにまと笑っていた。もしかしたら妄想でもしているのかもしれない。おい、俺の前で美少女を凌辱する妄想をするのはやめろ。

「もし俺以外の奴がそういう能力に目覚めたとしても、俺のメイドに使ったらタダじゃおかないけどな」
「さすがは会田様。お優しいですな」

 メイドは俺の所有物だからな。俺以外の奴に触れさせたくないだけだ。
 それに、とくに彩音は身体を労わってやらなきゃいけない時期だ。俺だってちょっとは気遣ってやらないとなって思うんだよ。

「今の会田様なら、もし能力を得たとしてもさほどひどいことにはならないでしょう。あなたにとっての一番は、大切なメイドでしょうからね」
「おい、わかった風なこと言ってんじゃねえぞ」
「はっはっはっ。申し訳ありません」

 悪気がなさそうに笑うおっさんだ。堂本だしな、と考えるとそこまで腹は立たない。だって堂本だし。イラッとするのは遠慮なく顔に出させてもらうがな。
 結局堂本は井出と真有ちゃんの話を聞くだけで帰ってしまった。本当に何しに来たんだよ。
 別に寂しいとかは一ミリも思わないが、有益な情報の一つもなしに帰ってしまったのはイラッとした。俺は堂本の茶飲み友達なんかじゃないんだからね!
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