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本編

44話目

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 彩音の部屋の前に辿り着く。一度だけ深呼吸する。
 別に緊張しているわけじゃない。俺は彼女のご主人様なんだからな。責められることなんて何一つとしてない。ないったらないんだからねっ!
 ドアをノックする。すぐに(はい)と外行きの声が返ってきた。

「あ、祐二くん」
「お、おう」

 外モードのまま彩音は俺を「祐二くん」と呼ぶ。その声色からは嫌悪感だとかのマイナス感情は感じられなかった。
 琴音も言ってたけど、別になんとも思っていないのだろうか? 目の前にいるのはご主人様とはいえ、小便を飲ませた相手だとちゃんと理解しているのかと不安になる。
 いやいやいや、なんで俺が不安にならなきゃいかんのだ。そういう意味で様子を見に来たわけじゃないし。そういうのってなんだよ! と脳内でセルフツッコミをしてしまう。

「……入る?」
「お、おうよ」

 部屋へと招かれる。自分から言うつもりだったのに……、彩音の方がいつも通りではないか。
 彩音の格好は琴音と同じく部屋に備え付けられていた浴衣だった。妹と違って下に水着ってことはないだろう。……だよね?
 水着じゃないにしろ、その下に何があるのか気になる。普通に下着なんだろうけどさ。こうやって想像する楽しみってものが、男のロマンだと思うんだよ。もしかしたら下履いてないかもしれないし。

「そんなに見つめて、何かしら?」
「あ、いや、日焼けとか大丈夫だったのかなって……」
「ちゃんと日焼け止めクリーム塗ったって言ったじゃない。大丈夫よ」

 なんか俺弱くない? まるで俺の方が気にしているみたいじゃんか。
 むしろ彩音が普通過ぎる。少しくらいは怒ったり機嫌が悪くなると思ったんだけどな。おかげでリズムが崩されている。
 俺がベッドに座ると、彼女も俺の隣へと腰を下ろした。警戒心がまるでないように思えるのは気のせいか。

「あっ」

 無防備な彼女を押し倒す。彩音のパッチリとした大きな目は、素直に俺を映していた。

「……」
「……」

 押し倒したってのに、何もせずしばしじっと見つめ合う。
 キスしたい。そう思った。
 顔を近づければ、彼女はすっと目をつむる。それが当然といったように、自然体でキスを待ってくれていた。

「ん……」

 唇を落とす。柔らかくて官能的な感触が俺を迎え入れてくれた。
 軽く触れ合う。ちゅっちゅっと、優しい音が伝わってくる。
 すぐにそれだけでは満足できなくなる。もっと深く繋がろうと舌を探る。捕まえてしまえば何度もねぶってあげた。

「あむ……ちゅ、んずず……」

 なんで人の唾液って美味いんだろうか。彩音の唾液だからだろうな。舌も良い感触だ。もう気持ちいいところしかない。
 舌を擦りつけ合い、吸い付いたり吸いつかれたり、俺達は密着したままいやらしいことに没頭した。

「ぷはっ」

 口を離せば透明な糸が名残惜しいとばかりに俺達を繋いでいた。
 互いに肩で呼吸する。息が苦しいと気づくこともなくキスをしていたのだと今さらになって気づく。

「……いいの?」
「ん?」

 彩音がぽつりと何かを言った。しばらく見つめていると、彼女は眼を逸らしてもう一度口を開いた。

「あなたのおしっこを飲んだ私と、キスをしていいの?」

 あ、やっぱり気にしていたんだ。
 むしろ安心した。あれはなかったことになってしまったのかと変に不安になってしまっていた。

「俺が自分からやってることなのに気にするなよ。つーか、俺のおしっこを飲んだ彩音が汚いわけないし。むしろ嬉しかったし」

 彩音はそっぽを向いたまま鼻をすすった。やべっ、思い出させたせいで泣かせちゃったか?

「私のこと……どうでもよくなったからあんなことをさせたわけじゃないのよね?」
「そんなわけねえよ。俺が自分自身の汚いところを受け入れてもらいたいって思っただけだ」
「……変態ね」
「今更だろ」

 音々さんとやりたいってのも本音だ。だけど俺を受け入れてもらいたいってのも本音だった。
 学園のアイドル、藤咲彩音を汚すことはすごく興奮できる行為だ。
 強制的にでも飲尿させた。それは汚い俺を受け入れさせたいという願望だったかもしれない。みんなが憧れている綺麗な彼女を汚さないと、俺は安心できないのかもしれない。
 行為に慣れてきたのか、生活に慣れてきたのか。彩音の態度は穏やかになってきてはいる。
 それでも俺を受け入れてくれたわけではないだろう。彼女と繋がっていられるのはメイド契約があるからこそだ。だから、せめて契約を結んでいるなら俺のすべてを受け止めてもらおうと考えてしまったのだ。
 これでもかと欲望をぶつけておきながら、俺はまだ彩音に好かれたいだなんて、そんな都合のいいことを期待してしまっていた。我ながら末期である。

「あ……」

 彩音の浴衣をはだけさせる。下は水着ではなく下着だった。
 今までの通り抵抗はない。俺が何をするのかわかっているのだろう。もう身体も心もわかってしまっている。
 慣れた手つきで下着を脱がせていく。彩音も身体を動かして協力してくれる。
 夏の日差しの下でも輝いていたが、そんな光がなくたって彩音は美肌を輝かせていた。室内だってのに白く眩しい。

「彩音、力を抜いていろよ」
「はい」

 素直なもんだ。俺は自分のメイドに顔を寄せた。

「ちゅっ……ん」

 唇を軽く触れ合わせる。ついばむように何度も繰り返す。

「え……?」

 唇の次は額や頬など、顔中にキスをする。
 優しく、優しく。俺へのご奉仕を労わるように、優しいキスをした。

「ん……あっ」

 首筋を舐める。べろべろと欲望丸出しじゃない。彼女への快楽を考え探っていく。
 甘い吐息が聞こえてくる。気持ちいいのだろうか? チラリと様子を見ながら舌での動きを変えていく。

「ふぅん……っ」

 鎖骨に沿って舌を這わせる。わきの下はべろりと舌を当てる。むわりと女のにおいが鼻孔を刺激した。

「ん……くぅ……」

 乳房の丸みに沿って舌を動かす。乳首以外のすべてのおっぱいを味わう。
 それからスベスベの腹へと下りて、へそに舌をねじ込む。
 腰をなぞり、性器には目もくれずに太ももにむしゃぶりつく。彩音は声を殺してビクビクと震えていた。
 内ももを入念に舐める。しつこいくらい舐めて震える反応を楽しんだ。
 膝へと下りる。足を上げて膝裏も舐める。ここもちょっとだけ汗をかいているみたい。
 ふくらはぎの輪郭を確かめるように丁寧に舌を這わせて刺激する。足の先まで丁寧さを意識して舐めてやる。足の指を咥えてちゅぱちゅぱといやらしさを強調する。

「あ……はぁ……んっ……はぁ……」

 一旦口を離す。彩音は息も絶え絶えといった風であった。
 俺の唾液で彩音の身体中がてらてらと光っている。頬どころか身体中が紅潮していた。
 目は潤んでいるし、アソコも見た感じ濡れていた。……ん? もう濡れてんのか。
 まあ昼間やったばかりだしな。俺が舌で愛撫したもんだからまた挿入されると身体が勝手に反応したのだろう。なんだか淫乱。
 だからって淫乱、とか言ったら彩音が傷つくかもしれない。それもいいな、とか思ってしまう自分がいた。もう彩音なら傷つけても傷つけなくても興奮しちゃうな。
 脚を開かせる。彩音は覚悟したようにぎゅっと目をつむった。

「んあっ、んあああーーっ!?」

 彩音のマンコを舐め上げる。筋に沿うように舌を上下に動かして、何度も何度も愛撫した。
 表のザラザラと裏のツルツルを交互に使って刺激する。舌が筋肉痛になるかもしれない。覚悟を胸にした舌先での愛撫である。

「んあーーっ! ダメッ! そんなに舐めちゃ……っ。はぅんっ!」

 嬌声が部屋中に響き渡る。膣内には入れないが、クリトリスには当たっていた。強い刺激に襲われたように彩音の腰が跳ねる。
 跳ねる腰を押さえようと口をマンコに密着させる。むしゃぶりつき、ずぞぞぞっと下品な音を立てて吸引した。

「んんんんーーっ!! んくぅんんんんんんんんーーっ!!」

 彩音の腰がガクガクと痙攣する。それを押さえつけて吸引を続けた。

「も、もうダメだからっ! ご主人様ぁ!!」

 俺はぱっと口を離した。
 彩音の荒い息遣いが聞こえる。潤んだ瞳はこちらを見つめていた。
 少しだけ見つめ合う。俺はベッドから降りた。

「……え?」

 呆けたような声を漏らしたのは彩音だった。頬を紅潮させたまま上体を起こす。
 俺は身なりを整えてドアへと向かう。

「ゆ、祐二くん? いきなりどうしたの?」

 彩音は困惑した声で尋ねる。たぶん俺がいきなり行為を中断したことが意外でならないのだろう。

「昼間は俺ばっかりが気持ちよくさせてもらったからな。今度は彩音が気持ちよくなってくれればいいなって思って。でもやり過ぎもダメだよな。自重するよ」

 それだけ言って部屋を出る。たまには優しいな俺。たまにだけどな。
 そして自分の部屋に戻ることなく通り過ぎ、音々さんの部屋を訪れたのであった。
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