もし学園のアイドルが俺のメイドになったら

みずがめ

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本編

真有視点

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「ああああああああぁぁぁぁぁぁっ! まゆたんっ、まゆたぁぁぁぁぁぁんんっ!!」

 目の前で恍惚な表情をしている男性。まゆの彼氏、井出先輩なのです。
 つい先日、彼はまゆに告白してくれました。前から知っていたと言うとびっくりしていましたが、それでも心と体が繋がり恋人になれたのです。

「あっ、あっ、あやぁんっ! 井出先輩が出たり入ったりして、とっても気持ち良いよぉ!」

 お股がぐちゅぐちゅになるくらい先輩のオチンポが擦れます。まゆは溺れそうになって口をパクパクと小さく開閉を繰り返すしかありません。

「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
「やあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんっ!」

 絶叫とともにオチンポが一気に引き抜かれます。頭に電流が走ったような、バチバチとスパークするみたいに視界がおぼろげなものへと変わります。
 その視界の先で、彼の大きなモノの先端がこっちをむいていました。次の瞬間には暖かいものがまゆの顔や胸に降りかかりました。

「はぁはぁ……気持ち良かったよまゆたん」
「ふぅふぅ……ま、まゆも良かったよ」

 ニッコリと笑うと井出先輩が喜ぶのがわかります。とっても可愛い。
 しばらく二人で寝転がっていると先輩が立ちあがりました。

「ちゃんと撮れてるみたいだな」
「うぅ……それ恥ずかしいよぅ……」

 ここは井出先輩のお部屋。ベッドの周りにはいっぱいカメラがまゆたちを見つめています。「愛の育みを記録するためだから」と言って録画されちゃっています。
 恥ずかしいけれど仕方ありません。彼の楽しそうな表情を見ていたら強く拒絶なんてできないのでした。
 井出先輩、それから会田先輩。まゆに優しくしてくれた人。正直ストライクゾーンど真ん中でした。好みの外見だったのです。
 妄想では二人がかりでまゆの身体を翻弄していました。前から後ろから、上から下から、攻めて攻めて攻め立てられてしまうのです。
 井出先輩という彼氏ができたのに、そんなことを考えてしまうまゆはいけない子なのでしょうか? それでもいつか会田先輩が乱入しちゃったりなんかして……、ちょっと期待している自分がいます。
 カメラをいじっている井出先輩の背中に声をかけてみます。

「そういえば、最近会田先輩とはあまりいっしょにいないの?」
「ん? そうだなぁ。昼休みもまゆたんといっしょだからね。放課後も特に用事がないから付き合いなくなってるかも」

 背中を向けたまま答えます。うーん、もしかしてまゆのせいで二人の関係が微妙なものになっているのでは。そんな心配が頭をよぎります。

「たまにはまゆのこと気にしないで男同士で遊びに行ってもいいんだよ? あれだったらまゆといっしょに遊んでもいいし」
「うーん、祐二は親友だし付き合いがなくなるのは避けたいけども。ただあいつさ、まゆたんといっしょってなれば嫌がるかもしれないんだよね」
「え、なんで?」
「あ、っとこれは……」

 井出先輩は口を滑らせたと言わんばかりの慌てっぷりです。会田先輩に何かあるのでしょうか?
 じーっと見つめていると井出先輩は頭をかいてやや上に視線を向けます。

「いや、僕も詳しくは知らないんだけど。まゆたんこそ何か心当たりない? 祐二に恨まれてるみたいな」
「え? まゆ会田先輩に恨まれているんですか?」
「あっと……本当に詳しく知らないんだよ」

 井出先輩は何か弁明しています。けれどそれどころじゃありませんでした。
 まゆは何かやらかしてしまったのでしょうか? まったく身に覚えがありません。本屋で優しく接してもらった以外は学校の廊下ですれ違うだけなのです。その時でも会田先輩におかしな様子はなかった気がするのですが。その人の心はその人自身にしかわからないということでしょうか。
 うーん。考えても答えは出なさそうです。
 ちょっとだけもやもやを抱えてしまいました。そのせいでしょうか。会田先輩のことが気になったためなのか、信じられない光景を目撃してしまったのです。


  ※ ※ ※


 まゆはこれでもサッカー部のマネージャーなのです。部のために休日を利用して敵情視察をしてきました。
 もともと中等部の時にサッカー部に所属していた兄のためにマネージャーになったのですが、その兄は別の高校へと行ってしまいました。そう考えるともうマネージャーなんかしなくてもいいのでは、と思わなくもありません。好みの人もいませんしね。
 それはともかく敵情視察の帰りでした。電車から降りてホームを歩いている時のことです。

「えっ!?」

 思わず声が漏れてしまうほどびっくりしてしまいました。キョロキョロと辺りを見回しても他に知り合いの姿はありません。今一人でいたことになぜだか安堵します。
 人混みに紛れて会田先輩がいました。その隣には……彩音先輩? 琴音ちゃんもいます。まゆがこの三人を見間違うなんてあり得ません。後ろ姿ですが断言できます。
 でもこの三人がいっしょにいるなんて。ちょっと想像がつきませんでした。
 好奇心が膨らんでしまったのでしょう。気づけば後を追っていました。
 駅を抜けて住宅地に向かいます。会田先輩は彩音先輩を支えているように寄り添っていました。誰もまゆには気づいていないようでした。
 よく観察していると、彩音先輩の足取りが危ういような……。そこまでくるとひらめくものがありました。
 もしや、会田先輩は体調が悪くなった彩音先輩を家まで送り届けているのでは。彼の優しい性格なら合点がいきます。
 琴音ちゃんもいますしそうなのでしょう。あっ、琴音ちゃんが空いている会田先輩の腕を絡めました。
 こ、これはどう判断すれば……? もしや琴音ちゃんも先輩の優しさにメロメロ……なんてまさかね。
 三人は横並びの状態で歩きます。やがて一軒の家に入っていきました。
 あれ? 藤咲家じゃないですよね。表札を確認しようと近づきます。

「会田……? ここって会田先輩の家?」

 この辺りでは大きめの家でした。豪邸とまではいかなくても充分大きくて羨ましいくらいです。その門のところにある表札は呟いた通りでした。
 どういうことでしょう? まさか体調がよくなるまで家で休んでいきなよ、みたいな展開でしょうか。ドキドキです。
 探偵、もしくは刑事のようにはりこみをしました。ただの好奇心で始めてしまいましたが、軽い気持ちで始めたことを後悔することとなりました。
 きっとすぐ出てくるだろうと思っていたのですが、日が暮れて暗くなっても出てくる様子はありません。さすがにこれ以上遅くなると怒られてしまいます。なくなく帰ることにしましたが最後に振り返って確認します。
 窓から明かりが漏れ出ています。それが数か所。ご家族もいるのでしょうか。なのに彩音先輩と琴音ちゃんはまゆが帰るまでに出てきませんでした。


  ※ ※ ※


「テメーおっせえんだよ! 何してやがった!」
「ひえっ」

 家に帰ると怒号が響きました。
 玄関で仁王立ちしているのは大柄の男性。威圧感のある顔はまるで虎のようでした。
 ですがこの人、実はまゆの兄だったりします。正直顔は似ていません。体格も男子の中でもかなり大きい兄と女子でもかなりの小柄なまゆ。まさにでこぼこ兄妹です。
 何もかもが違う兄妹。それでも兄妹の繋がりは本物なのです。だってこんなにもまゆのことを心配しているのですから。

「あ、あの。サッカー部のマネージャーのお仕事が長引いちゃって……」
「こんな時間まで遅くなるかよ。どうせ遊び呆けてたんだろうが」
「ち、違うもん。まゆは好奇心に従っただけで……あっ」
「ほら見ろ、やっぱり遊び呆けてたんじゃねえか」

 つ、繋がりが……兄妹の確固たる信頼の繋がりがあるはずなのです。たぶん。
 兄は舌打ちをしてずんずんと階段を上がっていきます。吐き捨てるように言葉を残して。

「ガキが夜遊びなんかしてんじゃねえよ」

 カチンときたのはきっとまゆが悪いわけではありません。

「まゆガキじゃないもん!」
「あ?」

 兄が振り返ります。怒気に気圧されそうになりますが堪えてみせます。

「まゆガキじゃないもん!」
「どう見たってガキだろうがよ。ガキのくせに最近夜遊びが多いぞ」
「ガキじゃないもん。遅くなるのはまゆに彼氏がいるからだもん。いつも帰りが遅いお兄ちゃんに言われたくないっ」
「……テメー今なんつった?」
「ひぃっ」

 兄が迫ってきます。今までの比じゃないくらいの怒りが滲み出ていました。

「なんつったって聞いてんだよ!」
「お、お兄ちゃんに言われたくない……」
「違う。その前だ」
「まゆに彼氏がいるから?」

 大きな手がまゆの肩を掴みます。ちょっと力を込められるだけで握り潰されそうです。怖くて涙目になってしまいます。

「おい……その彼氏ってどんな奴だ?」

 実の兄ながらとてつもない威圧感でした。まゆが口を割ってしまうのは仕方がないことでしょう。
 それがどんな事態を引き起こすのか。この時まともな思考ができるわけもないまゆには、想像することすら難しかったのです。
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