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40.おまけ編 解放感に身を任せたデート②
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目の前に広がるはこの世のパラダイス。そう言っても過言じゃないくらいの光景がそこにはあった。
「ニャー」
「にゃー♪」
初めて猫カフェに入ってみたものだが、なかなか良いじゃねえか! 種類豊富な猫ちゃん達に迎えられて心が吹っ飛んで行ってしまいそうだ。
「みんな人懐っこくて可愛いですね。わっ、この子もすりすりしてくる……。にゃー♪」
琴音ちゃんもご満悦である。
彼女も猫っぽいところがあるしな。主に目とか。猫耳とかつけたら似合うと思う。
「琴音ちゃんは猫カフェに来たことあるの?」
「これが初めてですよー。興味はあったんですけど実際に行くとなるとタイミングがなかったと言いますか」
「俺も似たようなもんだよ。なんかイマイチ何するところかイメージ持ててなかったし」
とにかく猫ちゃんを愛でればいいってのはわかった。おやつを持っていれば寄ってくるのもチョロくて可愛い。
近づいてきた猫ちゃんを撫でてみる。身だしなみに気を遣っているのか、毛並みがサラサラしていて撫で心地が最高だった。
「ニャー」
「ほうほう。おやつが欲しいのか? よしよし、ほーらお食べ」
手のひらにおやつをのせて差し出してみれば、遠慮なく食べてくれた。
猫ちゃんの口が当たって手のひらがくすぐったい。だがそれこそが良い感触だった。くぅ~、可愛さが染みる~。これは飛ぶぜ!
「祐二先輩ってけっこう猫好きだったんですねー」
琴音ちゃんがニヤニヤしながら俺を眺めていた。
別に面白いもんでもないでしょうに。ただ猫ちゃんと戯れる男の図にしかなってないと思うのだが。……あんまり見てられない絵面かもしれん。
「まあ普通だろ。人類のほとんどは猫好きだろうからな」
「祐二先輩にとっての猫ちゃんの存在が大きすぎませんか」
「いや、だから普通だって。むしろ猫嫌いな奴の方が希少だろ」
「猫アレルギーの人とかいるじゃないですか」
「アレルギーがあるからって嫌いとは限らないだろうが」
「祐二先輩がこれほどの猫派だったなんて……。そこまで猫ちゃんが好きだったなんて思いませんでした」
別に、だからちょっと猫っぽい琴音ちゃんが好きになっただなんて、そんな理由じゃないんだからね! と、心の中だけでツンデレってみる。
琴音ちゃんとの会話中でも猫ちゃんを撫で続けていた。はぁ~、癖になるんじゃ~。
「ニャッ」
そんな俺だからこそ気づいた。撫でていた猫ちゃんが何かに反応して顔を上げたことに。
それは一匹だけじゃなかった。周りにいる猫ちゃんも反応を見せていた。ゴロニャンと寝転んでいた猫ちゃんでさえも慌てたように顔を上げていた。
「さあ猫達よ。この高級おやつが欲しければ、私に思う存分もふらせなさい」
「「「ニャー!」」」
突如現れた少女の一声で、猫カフェにいるほとんどの猫ちゃんが彼女にひれ伏し、もふらせる体勢になったのだ。
少女が掲げているのは、この猫カフェで一番の高級おやつだった。しかも複数個。お財布ポイントが高くなければあんなことできやしない。
安物のカリカリおやつしか買っていない俺に勝ち目はなかった。気づけば俺に甘えていた猫ちゃんでさえもあの少女の足元でもふらせるポーズになっていた。
さすがは高級おやつ。あんなものを見せられては、猫ちゃんはメロメロにならざるを得ない。俺の完全敗北だ。
「あらら、猫ちゃん行っちゃいましたね」
「くっ、こんな悔しい思いは初めてだ……。ぐきぃーーっ! 悔しいぃーーっ!!」
「本当に悔しそうですねー」
ハンカチがあったら噛みちぎりたい気分だ。くっ、金持ちなんか大っ嫌いだ!
「どうします? 猫ちゃんいなくなっちゃいましたし、何か飲みながら休憩しますか?」
「ぐぬぬ……。そ、そうだな。せっかくドリンク飲み放題だしな」
このやるせない思いを発散するべくドリンクバーへと向かう。
せっかくなのでいろいろ混ぜてみたら、俺の悔しさを映したかのような混沌色の飲み物を作ってしまった。琴音ちゃん、お願いだから引かないで。
手ごろな席に座って心を落ち着ける。おっ、色はあれだけどけっこう美味いぞ。琴音ちゃんも一口どう? あ、いらないっすか……。
「あたしこんなにもたくさん猫ちゃん触ったことありませんでしたよ。こんなにも癒やされるものなんですね」
「毛並みもいいし、人懐っこいし、さすがは猫カフェの猫ちゃんだぜ。お客様への接し方をよくわかってたしな」
「……こんなにも楽しそうな祐二先輩を見られて本当に癒やされます」
「ん、何か言ったか?」
「いいえ。休憩が終わったらもう少し猫ちゃんと遊びますか?」
「いや、これ飲んだらそろそろ出ようか。今日は他にも行きたいところがあるしな」
別に、大勢の猫ちゃんを片っ端からもふりまくっている少女を見るのが悔しいってわけじゃない。猫カフェ以外にも行くところはたくさんあるからな。本当に悔しいわけじゃないぞ!
「本当にいいんですか?」
ちょっと疑わし気な琴音ちゃん。もしかして俺が猫ちゃんから離れがたいとでも思っているんじゃないだろうな。
「今日は充分堪能したからいいの。それに、今日は琴音ちゃんとデートに来たんだからな。久しぶりだしいろいろ行ってみたいじゃんか」
「そ、そうですね。えへへ……」
琴音ちゃんのはにかみ顔を目にしてドキリとする。可愛いってのも心臓に悪いよな。
俺が一番愛でたいのは、やっぱり彼女だからな。猫カフェでたくさんの可愛いと触れ合って、それを再確認できた。
「ニャー」
「にゃー♪」
初めて猫カフェに入ってみたものだが、なかなか良いじゃねえか! 種類豊富な猫ちゃん達に迎えられて心が吹っ飛んで行ってしまいそうだ。
「みんな人懐っこくて可愛いですね。わっ、この子もすりすりしてくる……。にゃー♪」
琴音ちゃんもご満悦である。
彼女も猫っぽいところがあるしな。主に目とか。猫耳とかつけたら似合うと思う。
「琴音ちゃんは猫カフェに来たことあるの?」
「これが初めてですよー。興味はあったんですけど実際に行くとなるとタイミングがなかったと言いますか」
「俺も似たようなもんだよ。なんかイマイチ何するところかイメージ持ててなかったし」
とにかく猫ちゃんを愛でればいいってのはわかった。おやつを持っていれば寄ってくるのもチョロくて可愛い。
近づいてきた猫ちゃんを撫でてみる。身だしなみに気を遣っているのか、毛並みがサラサラしていて撫で心地が最高だった。
「ニャー」
「ほうほう。おやつが欲しいのか? よしよし、ほーらお食べ」
手のひらにおやつをのせて差し出してみれば、遠慮なく食べてくれた。
猫ちゃんの口が当たって手のひらがくすぐったい。だがそれこそが良い感触だった。くぅ~、可愛さが染みる~。これは飛ぶぜ!
「祐二先輩ってけっこう猫好きだったんですねー」
琴音ちゃんがニヤニヤしながら俺を眺めていた。
別に面白いもんでもないでしょうに。ただ猫ちゃんと戯れる男の図にしかなってないと思うのだが。……あんまり見てられない絵面かもしれん。
「まあ普通だろ。人類のほとんどは猫好きだろうからな」
「祐二先輩にとっての猫ちゃんの存在が大きすぎませんか」
「いや、だから普通だって。むしろ猫嫌いな奴の方が希少だろ」
「猫アレルギーの人とかいるじゃないですか」
「アレルギーがあるからって嫌いとは限らないだろうが」
「祐二先輩がこれほどの猫派だったなんて……。そこまで猫ちゃんが好きだったなんて思いませんでした」
別に、だからちょっと猫っぽい琴音ちゃんが好きになっただなんて、そんな理由じゃないんだからね! と、心の中だけでツンデレってみる。
琴音ちゃんとの会話中でも猫ちゃんを撫で続けていた。はぁ~、癖になるんじゃ~。
「ニャッ」
そんな俺だからこそ気づいた。撫でていた猫ちゃんが何かに反応して顔を上げたことに。
それは一匹だけじゃなかった。周りにいる猫ちゃんも反応を見せていた。ゴロニャンと寝転んでいた猫ちゃんでさえも慌てたように顔を上げていた。
「さあ猫達よ。この高級おやつが欲しければ、私に思う存分もふらせなさい」
「「「ニャー!」」」
突如現れた少女の一声で、猫カフェにいるほとんどの猫ちゃんが彼女にひれ伏し、もふらせる体勢になったのだ。
少女が掲げているのは、この猫カフェで一番の高級おやつだった。しかも複数個。お財布ポイントが高くなければあんなことできやしない。
安物のカリカリおやつしか買っていない俺に勝ち目はなかった。気づけば俺に甘えていた猫ちゃんでさえもあの少女の足元でもふらせるポーズになっていた。
さすがは高級おやつ。あんなものを見せられては、猫ちゃんはメロメロにならざるを得ない。俺の完全敗北だ。
「あらら、猫ちゃん行っちゃいましたね」
「くっ、こんな悔しい思いは初めてだ……。ぐきぃーーっ! 悔しいぃーーっ!!」
「本当に悔しそうですねー」
ハンカチがあったら噛みちぎりたい気分だ。くっ、金持ちなんか大っ嫌いだ!
「どうします? 猫ちゃんいなくなっちゃいましたし、何か飲みながら休憩しますか?」
「ぐぬぬ……。そ、そうだな。せっかくドリンク飲み放題だしな」
このやるせない思いを発散するべくドリンクバーへと向かう。
せっかくなのでいろいろ混ぜてみたら、俺の悔しさを映したかのような混沌色の飲み物を作ってしまった。琴音ちゃん、お願いだから引かないで。
手ごろな席に座って心を落ち着ける。おっ、色はあれだけどけっこう美味いぞ。琴音ちゃんも一口どう? あ、いらないっすか……。
「あたしこんなにもたくさん猫ちゃん触ったことありませんでしたよ。こんなにも癒やされるものなんですね」
「毛並みもいいし、人懐っこいし、さすがは猫カフェの猫ちゃんだぜ。お客様への接し方をよくわかってたしな」
「……こんなにも楽しそうな祐二先輩を見られて本当に癒やされます」
「ん、何か言ったか?」
「いいえ。休憩が終わったらもう少し猫ちゃんと遊びますか?」
「いや、これ飲んだらそろそろ出ようか。今日は他にも行きたいところがあるしな」
別に、大勢の猫ちゃんを片っ端からもふりまくっている少女を見るのが悔しいってわけじゃない。猫カフェ以外にも行くところはたくさんあるからな。本当に悔しいわけじゃないぞ!
「本当にいいんですか?」
ちょっと疑わし気な琴音ちゃん。もしかして俺が猫ちゃんから離れがたいとでも思っているんじゃないだろうな。
「今日は充分堪能したからいいの。それに、今日は琴音ちゃんとデートに来たんだからな。久しぶりだしいろいろ行ってみたいじゃんか」
「そ、そうですね。えへへ……」
琴音ちゃんのはにかみ顔を目にしてドキリとする。可愛いってのも心臓に悪いよな。
俺が一番愛でたいのは、やっぱり彼女だからな。猫カフェでたくさんの可愛いと触れ合って、それを再確認できた。
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