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38.おまけ編 彼女の魅力に気づかない無能共に感謝!
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一時間目の授業が終わった後の休み時間。藤咲彩音が究極の美少女オーラを振りまきながら、俺の席へと接近してきた。
あんまりにも唐突な襲来だった。藤咲さんは自然な調子で俺の机の上にコトリと何かを置いた。
「会田くん。はい、お弁当を持ってきたわ」
「は……!?」
「「「はあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」
教室がクラスメイト共の絶叫に震える。怒りや悲しみといった負の感情が俺へと突き刺さる。室内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化しているであろう。
学園で一番の美少女、なのに彼氏不在。そんな藤咲彩音が特定の男子に手作り弁当を渡した。これは学園を揺るがす大ニュースである。
「な、な、な、なんでですか?」
気が動転して敬語になってしまう。視線が勝手にきょろきょろと忙しなく動く。脇の下から変な汗が出てきた。
これは何かがおかしい。モブ男子の俺が学園のアイドルに手作り弁当を渡されるというイベントが起こるなんておかしすぎる……っ。催眠というか、洗脳でもしなけりゃこんなシチュエーションが起こるはずがない! いつの間に藤咲さんが俺の言いなりメイドになったんだって話だ。やべっ、妄想が溢れた。
「琴音がお弁当作りに時間を取られて遅刻ギリギリだったのよ。お昼休みも用事があるって言っていたから、代わりに渡すようお願いされたの」
「ああ、なるほどね」
なるほど納得。教室中から安堵の息が聞こえてくる。学園の敵になるのは回避できたようだ。
……クラスの男子、その半数から憎しみをふんだんに込めた視線が突き刺さっているような気がするが、あえてスルーさせてもらった。だって琴音ちゃんは俺の彼女だもんよ。
※ ※ ※
「お姉ちゃんは相変わらずの人気ですね~」
放課後。俺は琴音ちゃんと仲良く並んで帰り道を歩いていた。つまり放課後デートである。
夕暮れに染まった亜麻色の髪がなんだか輝いて見える。俺の彼女が眩しすぎて直視できないんだが。可愛い彼女最高です!
「まあ藤咲さんが本当に彼氏ができて、嬉しそうな顔して手作り弁当持ってきたら全校生徒がどうなるかわかったもんじゃないな。最悪、暴動が起こるかもしれん……」
「それは大げさですよ~」
のほほんと返す琴音ちゃんだったが、次第に表情が真剣なものへと変わっていく。
学園のアイドルの人気は尋常じゃない。それは妹である琴音ちゃんが一番よくわかっているだろう。
「……お姉ちゃんには悪いですけど、あまり想像したくないですね」
「……だな」
俺は深く頷いた。あの阿鼻叫喚の地獄絵図が、学園中に広がる光景を考えたくない。ていうか、みんな藤咲さんのこと好きすぎでしょ!
「祐二先輩は」
「ん?」
「お姉ちゃんにお弁当を作ってもらいたいですか?」
琴音ちゃんはチラチラと俺をうかがってくる。ちょっとした不安を読み取れなくはない顔だ。
そして、期待するような眼差しでもあった。
「美少女の手作り弁当はもう間に合ってるな。しかも、その最高の美少女は俺の彼女! 最高すぎて腹どころか胸も幸せでいっぱいになるぜ!」
そう言うと琴音ちゃんはくすくすと笑った。とても嬉しそうで、本当に胸がいっぱいになった。
「じゃあ、また美味しいお弁当を作らなきゃですね。ふふっ、あたしも作り甲斐がありますよ」
はにかむ琴音ちゃんに見惚れてしまう。夕焼けに染まっても隠せない茜色に気づき、可愛すぎて悶えそうになった。
姉妹だからこそ似ているところがあるが、琴音ちゃんは学園のアイドルじゃない。それでも、俺の中ではナンバーワンの女子だ。
琴音ちゃんの魅力に気づかない無能共に感謝する。おかげで最高の彼女が、こうやって俺の隣にいてくれるんだからな。
あんまりにも唐突な襲来だった。藤咲さんは自然な調子で俺の机の上にコトリと何かを置いた。
「会田くん。はい、お弁当を持ってきたわ」
「は……!?」
「「「はあああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」」
教室がクラスメイト共の絶叫に震える。怒りや悲しみといった負の感情が俺へと突き刺さる。室内は阿鼻叫喚の地獄絵図と化しているであろう。
学園で一番の美少女、なのに彼氏不在。そんな藤咲彩音が特定の男子に手作り弁当を渡した。これは学園を揺るがす大ニュースである。
「な、な、な、なんでですか?」
気が動転して敬語になってしまう。視線が勝手にきょろきょろと忙しなく動く。脇の下から変な汗が出てきた。
これは何かがおかしい。モブ男子の俺が学園のアイドルに手作り弁当を渡されるというイベントが起こるなんておかしすぎる……っ。催眠というか、洗脳でもしなけりゃこんなシチュエーションが起こるはずがない! いつの間に藤咲さんが俺の言いなりメイドになったんだって話だ。やべっ、妄想が溢れた。
「琴音がお弁当作りに時間を取られて遅刻ギリギリだったのよ。お昼休みも用事があるって言っていたから、代わりに渡すようお願いされたの」
「ああ、なるほどね」
なるほど納得。教室中から安堵の息が聞こえてくる。学園の敵になるのは回避できたようだ。
……クラスの男子、その半数から憎しみをふんだんに込めた視線が突き刺さっているような気がするが、あえてスルーさせてもらった。だって琴音ちゃんは俺の彼女だもんよ。
※ ※ ※
「お姉ちゃんは相変わらずの人気ですね~」
放課後。俺は琴音ちゃんと仲良く並んで帰り道を歩いていた。つまり放課後デートである。
夕暮れに染まった亜麻色の髪がなんだか輝いて見える。俺の彼女が眩しすぎて直視できないんだが。可愛い彼女最高です!
「まあ藤咲さんが本当に彼氏ができて、嬉しそうな顔して手作り弁当持ってきたら全校生徒がどうなるかわかったもんじゃないな。最悪、暴動が起こるかもしれん……」
「それは大げさですよ~」
のほほんと返す琴音ちゃんだったが、次第に表情が真剣なものへと変わっていく。
学園のアイドルの人気は尋常じゃない。それは妹である琴音ちゃんが一番よくわかっているだろう。
「……お姉ちゃんには悪いですけど、あまり想像したくないですね」
「……だな」
俺は深く頷いた。あの阿鼻叫喚の地獄絵図が、学園中に広がる光景を考えたくない。ていうか、みんな藤咲さんのこと好きすぎでしょ!
「祐二先輩は」
「ん?」
「お姉ちゃんにお弁当を作ってもらいたいですか?」
琴音ちゃんはチラチラと俺をうかがってくる。ちょっとした不安を読み取れなくはない顔だ。
そして、期待するような眼差しでもあった。
「美少女の手作り弁当はもう間に合ってるな。しかも、その最高の美少女は俺の彼女! 最高すぎて腹どころか胸も幸せでいっぱいになるぜ!」
そう言うと琴音ちゃんはくすくすと笑った。とても嬉しそうで、本当に胸がいっぱいになった。
「じゃあ、また美味しいお弁当を作らなきゃですね。ふふっ、あたしも作り甲斐がありますよ」
はにかむ琴音ちゃんに見惚れてしまう。夕焼けに染まっても隠せない茜色に気づき、可愛すぎて悶えそうになった。
姉妹だからこそ似ているところがあるが、琴音ちゃんは学園のアイドルじゃない。それでも、俺の中ではナンバーワンの女子だ。
琴音ちゃんの魅力に気づかない無能共に感謝する。おかげで最高の彼女が、こうやって俺の隣にいてくれるんだからな。
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