脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~

みずがめ

文字の大きさ
上 下
11 / 43

10.藤咲姉妹

しおりを挟む
 藤咲彩音。学園のアイドルと称されるほどの美貌を持つクラスメートである。
 彼女の良い点は容姿端麗だけじゃない。文武両道で試験は常に上位の成績を残しているし、体育では運動部相手でも無双しているのだとか。さらには人当たりも良く、男子どころか女子の友達も多いらしい。
 それを知った時、そんな超人本当にいるんだと感心したものだ。目の前で見せられれば信じざるを得ない。入学した頃から同じクラスだったしな。

 俺が通う学園は中高一貫校であり、藤咲さんは中等部の頃からそういった意味で注目されていたのだそうだ。
 俺は高等部からの外部生なので、いきなり学園のアイドルという単語を聞いた時は面食らったものだ。
 でもここではそれが当たり前。順調に成長した藤咲さんは高等部になってからもより一層その美貌を増していったとか。初めて目にした時から完璧美少女と思っていた。なのにまだレベルが上がっていて、上限はないってずるいよな。
 清楚な黒髪ロングの超絶美少女。そんな女子が同じ学校にいれば、男として手を伸ばしたくもなるだろう。
 当然のように藤咲さんはたくさんの男子連中から告白を受けた。
 だが、告白した男子全員が藤咲さんに振られるという結末を辿った。サッカー部のイケメン先輩も、彼女がいなかったことがねえとかのたまうイケメン先輩も、クールで知的なのを売りにしていた同級生も。彼女は自信満々であったであろう連中の鼻をへし折ってきたのだ。
 そうして、難攻不落の藤咲彩音と呼ばれるようになった。誰のものにもならなかったからこそ、学園のアイドルという肩書がより強固なものとなった。美少女すぎて釣り合う男子がいなかったともいう。イケメンざまあ。
 それは三年になった今でも変わらない。さっそく顔が取り柄の新入生の何人かは撃沈したらしい。ざまあ。
 そんなわけで、藤咲さんは学園の女子の中で一番モテる。全校男子の半数以上から告白されたとも聞く。生きた伝説といっても過言じゃないだろう。

「好きです、付き合ってください」
「ごめんなさい」

 このビッグウェーブに乗らなきゃならねえ! そんな強迫観念じみたことを感じたわけではなかったが、俺も藤咲さんに告白していた。高校一年が終わろうかとする頃のことであった。
 結果は見事な玉砕。逡巡の間すらなく切って捨てられた。
 自分の容姿がそれほど優れたものではないとわかっていたし、とくに誇れる何かがあるわけでもない。もともと勝ち目などなかった告白ではあるが、告白するまでの時間は期待という夢を見られたのも確かだった。
 彼女にとってのモブの一部にはなれただろうか。一応は名前を憶えられていた。まあなんの因果か三年間同じクラスになったというのがあるのだが。
 その因果がどう転んでしまったのか。今は藤咲さんの妹と付き合っている。というか付き合わせている、という方が正確か。

 藤咲琴音。学園のアイドル、藤咲彩音の妹である。
 姉妹だけあって容姿は藤咲さんと似ているところが多々見られる。
 だってのに、琴音ちゃんの知名度はそれほど高くない。少なくとも最近まで俺は知らなかった。今思うとちょっと不思議だ。

「まっいいけどね」

 琴音ちゃんが藤咲さんの妹だろうがなんだろうが関係ない。
 可愛くて健気な後輩女子。そんな子が俺の彼女になってくれた。重要なのはそこだ。

「よし、さっそく放課後デートしようそうしよう」

 思い立ったらなんとやら。放課後を迎えた俺は鼻息荒く席から立ち上がった。琴音ちゃんにメッセージを送ろうとスマホを手に取る。

「そういえば祐二、追試は大丈夫なのかい?」
「あ」

 思いついたかのような井出の言葉に、俺は現実に引き戻された。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?

イコ
恋愛
貞操逆転世界に憧れる主人公が転生を果たしたが、自分の理想と現実の違いに思っていたのと違うと感じる話。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ!

コバひろ
大衆娯楽
格闘技を通して、男と女がリングで戦うことの意味、ジェンダー論を描きたく思います。また、それによる両者の苦悩、家族愛、宿命。 性差とは何か?

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...