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117.ほんわか家族気分
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『お、お母さん……なんで……なんでこんなひどいことをするのこのピー(自主規制)がぁーーっ!!』
なんて感じに、娘が悪鬼羅刹に変わる瞬間を目撃してしまえば、さすがの俺もビビって謝り倒していたかもしれない。
「んっ……♡ アキくんのすごく温かいです……。こんなにすごかったらお母さんも夢中になっちゃうよね」
「んっ……♡ 言わないで梨乃。お母さんの顔、今は見ないでぇ……っ」
でも、実際は親子仲良く俺を求めてくれていた。
朝。さなえさんとスッキリしている最中に、寝起きであろう梨乃がリビングに入ってきた。
「え……お母、さん?」
「ち、違うのよ梨乃っ。こ、これは……その……っ」
自分の男と母親が大人の関係を育んでいる。そんな現場を目撃した娘がどんな行動に出るか……。ちょっとだけ修羅場を覚悟したものである。
衝撃的な現場を目撃したはずの梨乃は寝惚け目をパチパチと瞬かせて、それから母親に優しい笑みを向けたのだ。
「そっか……お母さんもアキくんに愛されたんだね」
まるで聖母の微笑みだった。娘が母親に向ける顔ではないように思うのだが、何か通じ合ったのか、さなえさんも恥ずかしそうに顔を赤くしながらも小さく頷いていた。もうどっちが母親なのかわかんねえな。
そんなわけで梨乃も混ざって、親子仲良くスッキリしたのであった。
◇ ◇ ◇
汗をかいたのでシャワーを借りてスッキリした。
梨乃が遅めの朝食を作ってくれる。三人で食卓を囲むとまるで家族みたいだ。
「こうしているとアキくんがお父さんみたいですね」
俺の思考を読んだわけではないだろうが、梨乃が笑いながらそんなことを言う。
あえて家族構成は考えないようにしていたのに……。ほら、さなえさんが顔を真っ赤にしながらなんとも言えないって顔してんぞ。
「お父さんねぇ……。そうすると俺は娘に手を出すダメな父親になっちまうな」
「この家ではそういうの気にしませんよ」
家のルールどうなってんの? 黒羽家では、家族の貞操観念は娘が決めるらしい。
「そ、それなら……妻に手を出すのは問題ないわね……」
さなえさんが顔を真っ赤にしたまま乗ってきた。コラコラ、そんな期待した目を向けるんじゃありません。またスッキリしたくなっちゃうだろうが。
しかし、まさか彼女からそんな言葉がもらえるとはな。ちょっと嬉しくなった俺は全力で悪い顔をする。
「夫婦の営みってんなら問題ないな。てことは、子作りするのも当然なんだよな?」
「子……っ!?」
さなえさんが目をぐるぐると回す。年上なのにからかい甲斐がありすぎて困る。
「あたしに弟か妹が出来るんですか?」
「梨乃はどっちが良い?」
「どっちも捨て難いですね」
「なら両方出来るようにがんばるか。なあさなえさん?」
「~~っ!?!?!?」
さなえさんは頭から煙を出しそうなほどパニックになってしまった。悪い子でごめん。でも楽しいんだ。
「それにしても本当に良かったです。アキくんが元気になってくれて……お母さんのおかげなんですよね」
「ああ。さなえさんに慰めてもらえたからな。やっぱり梨乃の母親はすげえよ。ちゃんと子供のことを考えてきたんだなってことがわかった」
「えへへ」
自慢の母親を褒められて梨乃は照れ臭そうに笑った。当のお母さんは目を回したまんまだけどな。
「……でも、ちょっとだけ悔しいです」
「あん?」
「本当はあたしがアキくんを元気づけたかったです。今のあたしでは無理だったんでしょうけど」
少しだけ寂しそうな顔をする梨乃の頭に手を伸ばす。ふわふわの緑髪は触り心地が良かった。
「あの時の俺は気持ちを整理する時間が必要だっただけだ。梨乃が俺を心配してくれていた気持ちを知っているし、感謝だってしている。あんなみっともねえところを見せたってのに、愛想を尽かさないでくれてありがとうな」
眼鏡の奥の瞳が俺を映す。もう大丈夫、強張った顔なんかしていない。
朝食を食べ終えて片づけをする。梨乃と並んで食器洗いをしていると新婚夫婦にでもなった気分。少し前までドロドロに愛し合っていたとは思えないほどのほんわか空気である。
「晃生くん!」
「晃生っ!」
片づけを終えてゆっくりしながらイチャイチャしていると、日葵と羽彩が慌ただしく家を訪れた。
どうやら梨乃が連絡をしていたようだ。身一つで飛び出してきたせいでスマホをアパートに置いてきてしまったことに思い至る。
「その……もう大丈夫なの?」
「ああ。心配かけたな」
日葵が心底安心したとばかりに息を吐く。相当心配をさせてしまっていたようだ。
「晃生……まさか……」
羽彩の視線が俺とさなえさんを往復する。女の勘でも働いたのか、何か気づいたらしい。
まあ、顔を真っ赤にしながらチラチラと俺に視線を向けるさなえさんを見れば、察しはつくのかもしれない。
そんな可愛らしいリアクションを見せる大人の女性の肩を抱く。年上だけど小さくて、守ってやりたい衝動が俺に力を込めさせた。
「さなえさんも俺の女になった。よろしくしてやってくれよ」
「だと思ったよこのピー(自主規制)がぁーーっ!!」
笑顔で報告すると、羽彩に滅茶苦茶怒られた。おかしいな? 娘に目撃された時は祝福されたのになぁ。
なんて感じに、娘が悪鬼羅刹に変わる瞬間を目撃してしまえば、さすがの俺もビビって謝り倒していたかもしれない。
「んっ……♡ アキくんのすごく温かいです……。こんなにすごかったらお母さんも夢中になっちゃうよね」
「んっ……♡ 言わないで梨乃。お母さんの顔、今は見ないでぇ……っ」
でも、実際は親子仲良く俺を求めてくれていた。
朝。さなえさんとスッキリしている最中に、寝起きであろう梨乃がリビングに入ってきた。
「え……お母、さん?」
「ち、違うのよ梨乃っ。こ、これは……その……っ」
自分の男と母親が大人の関係を育んでいる。そんな現場を目撃した娘がどんな行動に出るか……。ちょっとだけ修羅場を覚悟したものである。
衝撃的な現場を目撃したはずの梨乃は寝惚け目をパチパチと瞬かせて、それから母親に優しい笑みを向けたのだ。
「そっか……お母さんもアキくんに愛されたんだね」
まるで聖母の微笑みだった。娘が母親に向ける顔ではないように思うのだが、何か通じ合ったのか、さなえさんも恥ずかしそうに顔を赤くしながらも小さく頷いていた。もうどっちが母親なのかわかんねえな。
そんなわけで梨乃も混ざって、親子仲良くスッキリしたのであった。
◇ ◇ ◇
汗をかいたのでシャワーを借りてスッキリした。
梨乃が遅めの朝食を作ってくれる。三人で食卓を囲むとまるで家族みたいだ。
「こうしているとアキくんがお父さんみたいですね」
俺の思考を読んだわけではないだろうが、梨乃が笑いながらそんなことを言う。
あえて家族構成は考えないようにしていたのに……。ほら、さなえさんが顔を真っ赤にしながらなんとも言えないって顔してんぞ。
「お父さんねぇ……。そうすると俺は娘に手を出すダメな父親になっちまうな」
「この家ではそういうの気にしませんよ」
家のルールどうなってんの? 黒羽家では、家族の貞操観念は娘が決めるらしい。
「そ、それなら……妻に手を出すのは問題ないわね……」
さなえさんが顔を真っ赤にしたまま乗ってきた。コラコラ、そんな期待した目を向けるんじゃありません。またスッキリしたくなっちゃうだろうが。
しかし、まさか彼女からそんな言葉がもらえるとはな。ちょっと嬉しくなった俺は全力で悪い顔をする。
「夫婦の営みってんなら問題ないな。てことは、子作りするのも当然なんだよな?」
「子……っ!?」
さなえさんが目をぐるぐると回す。年上なのにからかい甲斐がありすぎて困る。
「あたしに弟か妹が出来るんですか?」
「梨乃はどっちが良い?」
「どっちも捨て難いですね」
「なら両方出来るようにがんばるか。なあさなえさん?」
「~~っ!?!?!?」
さなえさんは頭から煙を出しそうなほどパニックになってしまった。悪い子でごめん。でも楽しいんだ。
「それにしても本当に良かったです。アキくんが元気になってくれて……お母さんのおかげなんですよね」
「ああ。さなえさんに慰めてもらえたからな。やっぱり梨乃の母親はすげえよ。ちゃんと子供のことを考えてきたんだなってことがわかった」
「えへへ」
自慢の母親を褒められて梨乃は照れ臭そうに笑った。当のお母さんは目を回したまんまだけどな。
「……でも、ちょっとだけ悔しいです」
「あん?」
「本当はあたしがアキくんを元気づけたかったです。今のあたしでは無理だったんでしょうけど」
少しだけ寂しそうな顔をする梨乃の頭に手を伸ばす。ふわふわの緑髪は触り心地が良かった。
「あの時の俺は気持ちを整理する時間が必要だっただけだ。梨乃が俺を心配してくれていた気持ちを知っているし、感謝だってしている。あんなみっともねえところを見せたってのに、愛想を尽かさないでくれてありがとうな」
眼鏡の奥の瞳が俺を映す。もう大丈夫、強張った顔なんかしていない。
朝食を食べ終えて片づけをする。梨乃と並んで食器洗いをしていると新婚夫婦にでもなった気分。少し前までドロドロに愛し合っていたとは思えないほどのほんわか空気である。
「晃生くん!」
「晃生っ!」
片づけを終えてゆっくりしながらイチャイチャしていると、日葵と羽彩が慌ただしく家を訪れた。
どうやら梨乃が連絡をしていたようだ。身一つで飛び出してきたせいでスマホをアパートに置いてきてしまったことに思い至る。
「その……もう大丈夫なの?」
「ああ。心配かけたな」
日葵が心底安心したとばかりに息を吐く。相当心配をさせてしまっていたようだ。
「晃生……まさか……」
羽彩の視線が俺とさなえさんを往復する。女の勘でも働いたのか、何か気づいたらしい。
まあ、顔を真っ赤にしながらチラチラと俺に視線を向けるさなえさんを見れば、察しはつくのかもしれない。
そんな可愛らしいリアクションを見せる大人の女性の肩を抱く。年上だけど小さくて、守ってやりたい衝動が俺に力を込めさせた。
「さなえさんも俺の女になった。よろしくしてやってくれよ」
「だと思ったよこのピー(自主規制)がぁーーっ!!」
笑顔で報告すると、羽彩に滅茶苦茶怒られた。おかしいな? 娘に目撃された時は祝福されたのになぁ。
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