上 下
87 / 123

87.いつもの日常が戻ってきた

しおりを挟む
 後日。俺たちは音無先輩がした「後始末」の内容を知ることになった。

「あれ、これって西園寺のエロジジイのことじゃない?」

 さなえさんが用事で出かけているのをいいことに、梨乃の家で俺の女たちにスッキリさせてもらっていた最中。つけっぱなしにしていたテレビのニュースに羽彩が反応した。

「あっ、本当に逮捕されちゃったんだ。でも、あれだけのことをしたんだから仕方がないよね」
「あの時の動画なんでしょうけど、テレビで見るとこんなにも下劣な人に映るんですね。それだけじゃなく監禁されて性的暴行被害に遭っていた女性が多数……。って、こんなことまでしていたんですか。これはまだまだ余罪があるかもしれませんね」

 エリカと梨乃もテレビに目を向けてニュースを見る。ちなみに日葵は現在進行形で俺をスッキリさせてくれているので、コメントできる状態になかった。
 どうやら音無先輩はエロジジイの暴言動画を警察に提出したようだ。テレビから耳障りに「性奴隷」と連呼しているのが聞こえる。そういう単語って放送禁止用語だったりしないの? と思ったりもしたが、エロ漫画世界だし規制が緩いのかもしれない。
 けれど、音無先輩がしたことはただ動画を提出しただけではないらしい。

「西園寺さんが自首? それに一緒に自首したボディガードの人たち含めてみんな股間を潰されていたって……」
「事故でそんなことになったと述べているようですが、そんなわけないですよね。まあ女の敵ですし、清々するだけですが」

 エロジジイが失ったものは金や地位だけではなかった。男として大事なものまで再起不能になったらしい。むしろその歳まで使い物になっているのがすごいと思うが。
 文字通りすべてを失った。年齢を考えれば、人生が終わるまでまともに外の空気を吸うことはないだろう。自業自得なので同情する気持ちは一切なかった。

 こんなスキャンダルをマスコミが無視するわけがない。他にも追及されるのは当然の流れだと言えた。
 タケルの奴はマスコミに囲まれて、次から次へと質問を浴びせられていた。突然明るみに出た父親の不祥事に、ただ顔を青くするばかりだった。
 息子の不祥事動画は提出していないが、こうなってしまえば表にいても地獄だろう。エロジジイのエロい部分は受け継がれていないようだが、父親がこれだけ世間を騒がせればそうは思われないはずだ。
 もうまともな生活は送れない。約束された地位から転落するという状況に、甘やかされて育ったお坊ちゃんが耐えられるのかどうか見ものである。
 逆にエリカの両親はテレビで取り上げられることはなかった。そういえば連行されてからその後どうなったんだろうね? エリカが気にしていないようなので、俺から聞くつもりはないのだが。

「まっ、これでもうエリカさんが危険な目に遭うことはないし、アタシらも狙われるなんてことはなくなったよね」

 羽彩が大きく安堵の息を吐く。連行される奴らを見てはいたが、ニュースでその後どうなったかを確認できて心の底から安心できたようだ。

「んなことよりも、俺の相手をしてくれよ」

 ニュースを見ているばかりの三人に近づきながら、自分の肉体を惜しみなく見せつける。

「白鳥ちゃんはどうしたの?」
「そこで転がってるよ」

 日葵は肌を紅潮させて、ぐったりと倒れていた。激しい運動をした後だったので、なかなか息が整わない様子だ。

「うわぁ……アキくん元気ですね。それ、スケッチしてもいいですか?」
「梨乃も好きだよな。別にいいけどよ」

 梨乃は自分の格好に構うことなく、スケッチブックを取って描き始めた。俺は肉体美をアピールすべく竿をビクンビクンさせる。

「てなわけだ。相手してくれよ羽彩」
「え、ちょっ、またアタシ? 少しは休ませてよー……」

 羽彩を後ろから抱き締める。火照った身体に金髪ギャルの柔らかい感触が気持ち良い。
 口では困ったように言っている羽彩だが、俺に求められて満更でもない様子だ。可愛い奴である。

「氷室ちゃんが疲れているなら代わりに私が相手するよ。晃生くんが満足するまでしてあげるよ?」
「あたしもまだまだ元気です。羽彩ちゃんはしばらく休んでいていいですよ。その間はあたしとエリカさんがアキくんの相手をしますので」

 エリカと梨乃が俺の両脇から身を寄せてくる。そう言ってくれるならと、俺は羽彩から手を離して二人の肩を抱く。

「あ、あれ? 晃生……?」

 温もりが消えたからか、羽彩が寂しそうに振り向く。心なしか金髪のサイドテールがへにょんと力なく垂れているように見えた。

「期待していいよ。私が晃生くんをたくさんスッキリさせてあげるからね」
「あたしだって負けませんよ。アキくんを満足させてみせます」
「ま、待ってよっ。アタシだって晃生をスッキリさせたいの……。二人ばっかじゃなくて、アタシにもヤラせてよ!」
「「どうぞどうぞどうぞ」」

 アピール合戦に負けまいと羽彩が自分から俺に抱き着いた瞬間、エリカと梨乃はあっさりと身を引いた。

「へ? あ、あれ?」
「どうした? 俺をスッキリさせたいんだろ? ヤッてもらおうじゃねえか」
「え、えーっと……今のは勢いでというかなんというか……。あっ、そんなところ……あんっ」

 羽彩の甘い声が部屋中に響き渡る。エリカはその光景を微笑ましく眺めて、梨乃は熱心にスケッチしていた。
 こうして、俺たちは日常を取り戻したのであった。


  ◇ ◇ ◇


 さらに後日。俺は登校日でもないのに学校の生徒会室を訪れていた。

「やあ郷田くん、呼び出してすまなかったね」
「いや、俺も先輩の話が聞きたかったんで」

 生徒会室で二人きり。意識しないと言えば嘘になる。
 原作では郷田晃生と音無夏樹が生徒会室で二人きりになったところで、寝取り展開が始まってしまったのだ。事情は違うが、同じ状況になったところに世界の修正力とやらを感じずにはいられない。

「さて、どこから話したものかな。まずは大切なことをハッキリ言っておいた方がいいだろうか」
「順番に話してくれればいいっすよ。別に急かしたりとかしないんで。……ただ、音無先輩が何者なのか。そこんとこはハッキリさせてください」
「そうか……。うん、まあそうだね。もう隠せるようなものではない、か。わかった、ハッキリと説明しようじゃないか」

 音無先輩が人懐っこく笑う。黙っていれば凛々しすぎて人を緊張させてしまうからと笑顔を心がけている。これ原作情報な。
 音無先輩はコホンと咳ばらいをしてから、事情とやらを話し始めた。

「私の目的は郷田くん、あなただけだ。あなたの幸せを心から願っているんだ」


◇大変申し訳ございませんが、今後はカクヨム先行で連載を進めます。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

クラスで一番人気者の女子が構ってくるのだが、そろそろ僕がコミュ障だとわかってもらいたい

みずがめ
恋愛
学生にとって、席替えはいつだって大イベントである。 それはカースト最下位のぼっちである鈴本克巳も同じことであった。せめて穏やかな学生生活をを求める克巳は陽キャグループに囲まれないようにと願っていた。 願いが届いたのか、克巳は窓際の後ろから二番目の席を獲得する。しかし喜んでいたのも束の間、彼の後ろの席にはクラスで一番の人気者の女子、篠原渚が座っていた。 スクールカーストでの格差がありすぎる二人。席が近いとはいえ、関わることはあまりないのだろうと思われていたのだが、渚の方から克巳にしょっちゅう話しかけてくるのであった。 ぼっち男子×のほほん女子のほのぼのラブコメです。 ※あっきコタロウさんのフリーイラストを使用しています。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

ぼっち陰キャはモテ属性らしいぞ

みずがめ
恋愛
 俺、室井和也。高校二年生。ぼっちで陰キャだけど、自由な一人暮らしで高校生活を穏やかに過ごしていた。  そんなある日、何気なく訪れた深夜のコンビニでクラスの美少女二人に目をつけられてしまう。  渡会アスカ。金髪にピアスというギャル系美少女。そして巨乳。  桐生紗良。黒髪に色白の清楚系美少女。こちらも巨乳。  俺が一人暮らしをしていると知った二人は、ちょっと甘えれば家を自由に使えるとでも考えたのだろう。過激なアプローチをしてくるが、紳士な俺は美少女の誘惑に屈しなかった。  ……でも、アスカさんも紗良さんも、ただ遊び場所が欲しいだけで俺を頼ってくるわけではなかった。  これは問題を抱えた俺達三人が、互いを支えたくてしょうがなくなった関係の話。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

覚えたての催眠術で幼馴染(悔しいが美少女)の弱味を握ろうとしたら俺のことを好きだとカミングアウトされたのだが、この後どうしたらいい?

みずがめ
恋愛
覚えたての催眠術を幼馴染で試してみた。結果は大成功。催眠術にかかった幼馴染は俺の言うことをなんでも聞くようになった。 普段からわがままな幼馴染の従順な姿に、ある考えが思いつく。 「そうだ、弱味を聞き出そう」 弱点を知れば俺の前で好き勝手なことをされずに済む。催眠術の力で口を割らせようとしたのだが。 「あたしの好きな人は、マーくん……」 幼馴染がカミングアウトしたのは俺の名前だった。 よく見れば美少女となっていた幼馴染からの告白。俺は一体どうすればいいんだ?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...