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四章 決着編
第95話 間違った賞賛
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朝早く、自称聖女のルーク様が訪ねてきた。
「墓場の調査も終わった。用が済んだから俺様は王都へ帰るぞ」
「そうなんですねー」
これで要件は済んだだろうと背を向けると、むんずと首根っこを掴まれた。
「ほわぁっ!?」
「何知らんぷりしているんだ? 王都で話を聞くと言っただろう。早く出発する準備をしろ」
そう言ってぽいっと放られる。なんて雑な扱いなんだ。
でもそっか。ついに王都へ行かなきゃならないんだ。ちゃんとした聖女様の言葉じゃないからスルーしそうになったよ。
「それで、いつまでに支度できればいいんですか?」
「は? 俺様は速く、と言ったのだ。今すぐに決まっているだろう。急がないともうすぐ出発するぞ」
「は? も、もうすぐって……今日!? 今から!?」
ルーク様は尊大に頷いた。嘘をついているわけでもなさそうだ。
「当代の聖女の命令だ。遅れでもすれば、どうなるかわかるだろう?」
「……すぐ支度します」
くっそー! あの自称聖女めっ。こっちを振り回して楽しんでいるんじゃないだろうな!
きっと奴は聖女様の下っ端とかなのだろう。一人でわたしなんかを迎えにくることからも、聖女という国の重要人物ならありえないことだ。
仕事のストレスを聖女様の名を振りかざして発散するとか……。気持ちはわからなくもないけど、しちゃいけないことだろ。
わたしがバタバタと王都へ行く準備をしていると、それにハドリーが気づいた。
「エル? 朝っぱらからそんなに慌ててどうしたんだよ?」
「今ルーク様が来てて、これから聖女様といっしょに王都へ行かなきゃならなくなったんだよ」
「はあっ!? 突然すぎるだろうがっ!」
それはわたしも言ってやりたかった。
でも本物の聖女様の予定を遅らせることもできない。言いたい気持ちを我慢して、黙って手を動かした。
「待ってろ。俺も行くからな」
「ハドリーは留守番してなって。また帰ってくるんだからさ」
さらりと嘘をつく。それに気づいたわけじゃないだろうけど、ハドリーは聞き分け悪くぶんぶんと頭を振った。
「嫌だ。聖女だろうがなんだろうが信頼できっかよ」
その発言は危険だ。この国での聖女の存在感はあまりにも大きい。子供とはいえ周りに聞かれていい言葉じゃない。
「しーっ。そういうこと言わないの」
人差し指をハドリーの口に当てて黙らせる。あの自称聖女なんかに聞かれたらどうなるかわかったもんじゃない。
だからってここでハドリーを言い聞かせるのは難しい。なんだかんだで頑固な男の子なんだから。
ここは、わたし以外の言葉に任せてしまおうか。
「……それなら、ハドリーも出発する準備をしなよ。まあ聖女様が同行の許可を出してくれるかはわかんないけどね」
「おう! すぐ終わらせるぜ!」
絶対ついてこれる保証はないって言ったつもりだったのに、ハドリーは元気よく頷いて支度を始めた。
ふぅと肺から息が押し出される。それから出発する準備を再開した。
急いで準備を終わらせ、廊下でばったりヨランダさんと会った。
「……行くんだね」
「あ、ヨランダさん。急で申し訳ないんですけど、今日聖女様が王都へと戻るためわたしも同行します」
ヨランダさんは調合でもしていたのかポーションらしきものを持っている。それがいつも通りの風景で、少しだけ口元がほころぶ。
「あの、ヨランダさん。今までありがとうございました!」
頭を下げて感謝を伝える。本当に、心からの感謝だ。
この人にはどれだけお世話になっただろう。行くあてもなくて、宿屋で泊まることすら何かありそうで抵抗感があったわたしを居候させてくれた。
最初は見ず知らずの他人の家に居候するだなんて無理だと思った。だけどヨランダさんは必要なこと以外はわたしに接触してこようとはしなかった。そんな冷たいとも捉えてしまうような態度に、わたしは安心感を覚えていた。
自分のことを知られるのが恐ろしい。そんな他人は考えないようなバカらしいことを真剣に思っていた。興味を持たれない寂しさはあったけれど、ヨランダさんに対して恐怖は感じなかった。
ヨランダさんとは彼女が作った薬や道具などを使わせてもらい、その感想を述べるだけのつながりだったかもしれない。そんな些細なつながりが、わたしは嬉しかったのだ。
仲が良いとは言えない関係。でも、それだけの関係しか築けない自分を受け入れられた気がして嬉しかった。とても感謝している。
「何言っているんだい。用が済んだら戻ってくるんだろう?」
当たり前のように居場所を残してくれる。涙が出そうになるのを堪える。
「ありがとう、ございます」
「礼を言われるものでもない。あたしゃあんたの部屋を掃除する気はないからね」
わたしはもう一度頭を下げた。たぶん気持ちは伝わらなかっただろうけれど、それでもよかった。
「……これを持って行きな」
押しつけられるようにして渡されたのはヨランダさんが手にしていたポーションだった。
「これ、店の商品では?」
「試作品なんだよ。また感想を聞かせな」
もう戻ってくるつもりはないんだけどな……。
わたしはヨランダさんに最後の別れを告げた。溢れる感謝を伝えきれないことが、もどかしかった。
※ ※ ※
支度を済ませ、ハドリーとともに家から出る。ルーク様はヨランダさんと話をしていた。居候二人を借りていくとかなんとか説明しているのだろう。保護者相手には丁寧な対応だことで。
それにしてもハドリーの同行があっさり許可されるとは思わなかった。どうやらわたしが眠っている間に、ルーク様と交渉していたらしい。ハドリーの自分を売り込むことに躊躇しない姿勢は素直にすごいと思う。
「何やってんだよエル?」
「ちょっと看板が曲がってる気がして……。ここから離れる前に直しておこうかとね」
ルーク様を待っている間にヨランダさんの店の看板の位置を調整しておく。後ろもぺたぺた触って、はい終わり。
「王都って遠いところにあるんだろ? ここに戻るのはいつになるだろうな……」
ハドリーもちょっと寂しそう。世話になったというなら、わたし以上にヨランダさんにだろうからね。
「待たせた。さあ行くぞ」
ルーク様が先導する。案外広い背中を、わたしとハドリーは追って行った。
聖女様が乗ってきたであろう馬車の集団は町の中心にある広場へと集まっていた。護衛なんかもいるから馬車の数も多くなっているのだろう。
それにしても、わざわざ広場に集まらなくてもいいと思うのだけど。
「よお黒いの」
「やあサイラス。早いね」
馬車の近くには『漆黒の翼』のメンバーも集まっていた。
「まいったぜ。いきなり王都へ戻るからすぐ支度しろって言うんだからよ。こっちの都合も考えろってんだ」
ブリキッドはげんなりした調子だ。そっちもわたしと同じ状況だったようだな。
「ハドリーくんはあたしといっしょの馬車に乗りましょうね」
「べ、別にエルも同じ馬車なら文句ねえよ」
美人のテュルティさんに微笑まれて顔を赤くするハドリー。子供のくせに色気づいてきているようだねぇ。思春期だなぁ。
わたし達のもとに屈強な男の人が近づいてきた。たたずまいから護衛の一人だろうと予想する。
「そろそろ出発の時間になる。各自馬車に乗ってくれ」
はいと返事して馬車へと目を向ける。そういえばいつの間にかルーク様の姿が見えない。案内が終わったら何も言わずいなくなるのはどうかと思う。向こうは仕事が終わったと思ってんだろうけどさ。
わたし達冒険者はハドリーを加えたとしても八人だ。なので四人ずつ二台の馬車に分かれることとなった。
「~~……」
馬車が走り出し、わたしの隣に座るハドリーが顔を真っ赤にしている。
初めての馬車で緊張してしまった、ではなく、どうやら乗車するメンバーに緊張してしまったようだ。
この馬車にはわたしとハドリー、それから『漆黒の翼』からはテュルティさんともう一人の女性冒険者である。弓使いの人というのは知っているけど、あまりしゃべったことがないのでわたしからはあまり言うことはない。
ここで重要なのはハドリー以外は全員女だということ。一応わたしも女ですしね。
馬車とはいえ、密室で異性に囲まれるというのは年頃の男子にとってはつらかろう。これを役得と思える心臓は、ハドリーにはないようでなんだか安心する。
「ねえ見て。町のみんなが手を振っているわよ」
テュルティさんに言われて窓の外に目を向ける。
町の中心の広場から大通りを通ると出入り口の門がある。その大通りの両端に、大勢の人が詰めかけていた。
歓声が上がっていた。大勢の人が手を振って見送ってくれている。大半は聖女様に対し
てのものだったが、それ以外の声も聞こえてくる。
「サイラスーー!! また出世しやがって羨ましいぞコンチクショウ!!」
「町を守ってくれてありがとう!!」
「テュルティさーん! 素敵ですーー!!」
「英雄の誕生だーー!!」
「ブリキッドーー!! 王都まで聖女様を頼んだぞーー!! あとたんまり報酬もらったらおごれーー!!」
周りから送られるのはプラスの感情に溢れていた。
喜びや感謝、期待に好意と様々だ。
みんなが自分のことのように喜んでいる。町の英雄が国中から賞賛される英雄になるのだと期待している。
「なあなあおい、エルのことも呼んでるぜ。手を振り返した方がいいんじゃないか?」
歓声の熱気にあてられてか、ハドリーの声色にも興奮が隠しきれていない。
ガタンゴトン。馬車は走る。その速度がゆっくりに感じられるのは気のせいではないのだろう。
わざわざこんな場を用意してくれた聖女様。わたしはあなたのことが好きになれそうにありません。
馬車の揺れに身を任せ、すべてのことに対して見ないふりをするために、わたしは目を閉じた。
「墓場の調査も終わった。用が済んだから俺様は王都へ帰るぞ」
「そうなんですねー」
これで要件は済んだだろうと背を向けると、むんずと首根っこを掴まれた。
「ほわぁっ!?」
「何知らんぷりしているんだ? 王都で話を聞くと言っただろう。早く出発する準備をしろ」
そう言ってぽいっと放られる。なんて雑な扱いなんだ。
でもそっか。ついに王都へ行かなきゃならないんだ。ちゃんとした聖女様の言葉じゃないからスルーしそうになったよ。
「それで、いつまでに支度できればいいんですか?」
「は? 俺様は速く、と言ったのだ。今すぐに決まっているだろう。急がないともうすぐ出発するぞ」
「は? も、もうすぐって……今日!? 今から!?」
ルーク様は尊大に頷いた。嘘をついているわけでもなさそうだ。
「当代の聖女の命令だ。遅れでもすれば、どうなるかわかるだろう?」
「……すぐ支度します」
くっそー! あの自称聖女めっ。こっちを振り回して楽しんでいるんじゃないだろうな!
きっと奴は聖女様の下っ端とかなのだろう。一人でわたしなんかを迎えにくることからも、聖女という国の重要人物ならありえないことだ。
仕事のストレスを聖女様の名を振りかざして発散するとか……。気持ちはわからなくもないけど、しちゃいけないことだろ。
わたしがバタバタと王都へ行く準備をしていると、それにハドリーが気づいた。
「エル? 朝っぱらからそんなに慌ててどうしたんだよ?」
「今ルーク様が来てて、これから聖女様といっしょに王都へ行かなきゃならなくなったんだよ」
「はあっ!? 突然すぎるだろうがっ!」
それはわたしも言ってやりたかった。
でも本物の聖女様の予定を遅らせることもできない。言いたい気持ちを我慢して、黙って手を動かした。
「待ってろ。俺も行くからな」
「ハドリーは留守番してなって。また帰ってくるんだからさ」
さらりと嘘をつく。それに気づいたわけじゃないだろうけど、ハドリーは聞き分け悪くぶんぶんと頭を振った。
「嫌だ。聖女だろうがなんだろうが信頼できっかよ」
その発言は危険だ。この国での聖女の存在感はあまりにも大きい。子供とはいえ周りに聞かれていい言葉じゃない。
「しーっ。そういうこと言わないの」
人差し指をハドリーの口に当てて黙らせる。あの自称聖女なんかに聞かれたらどうなるかわかったもんじゃない。
だからってここでハドリーを言い聞かせるのは難しい。なんだかんだで頑固な男の子なんだから。
ここは、わたし以外の言葉に任せてしまおうか。
「……それなら、ハドリーも出発する準備をしなよ。まあ聖女様が同行の許可を出してくれるかはわかんないけどね」
「おう! すぐ終わらせるぜ!」
絶対ついてこれる保証はないって言ったつもりだったのに、ハドリーは元気よく頷いて支度を始めた。
ふぅと肺から息が押し出される。それから出発する準備を再開した。
急いで準備を終わらせ、廊下でばったりヨランダさんと会った。
「……行くんだね」
「あ、ヨランダさん。急で申し訳ないんですけど、今日聖女様が王都へと戻るためわたしも同行します」
ヨランダさんは調合でもしていたのかポーションらしきものを持っている。それがいつも通りの風景で、少しだけ口元がほころぶ。
「あの、ヨランダさん。今までありがとうございました!」
頭を下げて感謝を伝える。本当に、心からの感謝だ。
この人にはどれだけお世話になっただろう。行くあてもなくて、宿屋で泊まることすら何かありそうで抵抗感があったわたしを居候させてくれた。
最初は見ず知らずの他人の家に居候するだなんて無理だと思った。だけどヨランダさんは必要なこと以外はわたしに接触してこようとはしなかった。そんな冷たいとも捉えてしまうような態度に、わたしは安心感を覚えていた。
自分のことを知られるのが恐ろしい。そんな他人は考えないようなバカらしいことを真剣に思っていた。興味を持たれない寂しさはあったけれど、ヨランダさんに対して恐怖は感じなかった。
ヨランダさんとは彼女が作った薬や道具などを使わせてもらい、その感想を述べるだけのつながりだったかもしれない。そんな些細なつながりが、わたしは嬉しかったのだ。
仲が良いとは言えない関係。でも、それだけの関係しか築けない自分を受け入れられた気がして嬉しかった。とても感謝している。
「何言っているんだい。用が済んだら戻ってくるんだろう?」
当たり前のように居場所を残してくれる。涙が出そうになるのを堪える。
「ありがとう、ございます」
「礼を言われるものでもない。あたしゃあんたの部屋を掃除する気はないからね」
わたしはもう一度頭を下げた。たぶん気持ちは伝わらなかっただろうけれど、それでもよかった。
「……これを持って行きな」
押しつけられるようにして渡されたのはヨランダさんが手にしていたポーションだった。
「これ、店の商品では?」
「試作品なんだよ。また感想を聞かせな」
もう戻ってくるつもりはないんだけどな……。
わたしはヨランダさんに最後の別れを告げた。溢れる感謝を伝えきれないことが、もどかしかった。
※ ※ ※
支度を済ませ、ハドリーとともに家から出る。ルーク様はヨランダさんと話をしていた。居候二人を借りていくとかなんとか説明しているのだろう。保護者相手には丁寧な対応だことで。
それにしてもハドリーの同行があっさり許可されるとは思わなかった。どうやらわたしが眠っている間に、ルーク様と交渉していたらしい。ハドリーの自分を売り込むことに躊躇しない姿勢は素直にすごいと思う。
「何やってんだよエル?」
「ちょっと看板が曲がってる気がして……。ここから離れる前に直しておこうかとね」
ルーク様を待っている間にヨランダさんの店の看板の位置を調整しておく。後ろもぺたぺた触って、はい終わり。
「王都って遠いところにあるんだろ? ここに戻るのはいつになるだろうな……」
ハドリーもちょっと寂しそう。世話になったというなら、わたし以上にヨランダさんにだろうからね。
「待たせた。さあ行くぞ」
ルーク様が先導する。案外広い背中を、わたしとハドリーは追って行った。
聖女様が乗ってきたであろう馬車の集団は町の中心にある広場へと集まっていた。護衛なんかもいるから馬車の数も多くなっているのだろう。
それにしても、わざわざ広場に集まらなくてもいいと思うのだけど。
「よお黒いの」
「やあサイラス。早いね」
馬車の近くには『漆黒の翼』のメンバーも集まっていた。
「まいったぜ。いきなり王都へ戻るからすぐ支度しろって言うんだからよ。こっちの都合も考えろってんだ」
ブリキッドはげんなりした調子だ。そっちもわたしと同じ状況だったようだな。
「ハドリーくんはあたしといっしょの馬車に乗りましょうね」
「べ、別にエルも同じ馬車なら文句ねえよ」
美人のテュルティさんに微笑まれて顔を赤くするハドリー。子供のくせに色気づいてきているようだねぇ。思春期だなぁ。
わたし達のもとに屈強な男の人が近づいてきた。たたずまいから護衛の一人だろうと予想する。
「そろそろ出発の時間になる。各自馬車に乗ってくれ」
はいと返事して馬車へと目を向ける。そういえばいつの間にかルーク様の姿が見えない。案内が終わったら何も言わずいなくなるのはどうかと思う。向こうは仕事が終わったと思ってんだろうけどさ。
わたし達冒険者はハドリーを加えたとしても八人だ。なので四人ずつ二台の馬車に分かれることとなった。
「~~……」
馬車が走り出し、わたしの隣に座るハドリーが顔を真っ赤にしている。
初めての馬車で緊張してしまった、ではなく、どうやら乗車するメンバーに緊張してしまったようだ。
この馬車にはわたしとハドリー、それから『漆黒の翼』からはテュルティさんともう一人の女性冒険者である。弓使いの人というのは知っているけど、あまりしゃべったことがないのでわたしからはあまり言うことはない。
ここで重要なのはハドリー以外は全員女だということ。一応わたしも女ですしね。
馬車とはいえ、密室で異性に囲まれるというのは年頃の男子にとってはつらかろう。これを役得と思える心臓は、ハドリーにはないようでなんだか安心する。
「ねえ見て。町のみんなが手を振っているわよ」
テュルティさんに言われて窓の外に目を向ける。
町の中心の広場から大通りを通ると出入り口の門がある。その大通りの両端に、大勢の人が詰めかけていた。
歓声が上がっていた。大勢の人が手を振って見送ってくれている。大半は聖女様に対し
てのものだったが、それ以外の声も聞こえてくる。
「サイラスーー!! また出世しやがって羨ましいぞコンチクショウ!!」
「町を守ってくれてありがとう!!」
「テュルティさーん! 素敵ですーー!!」
「英雄の誕生だーー!!」
「ブリキッドーー!! 王都まで聖女様を頼んだぞーー!! あとたんまり報酬もらったらおごれーー!!」
周りから送られるのはプラスの感情に溢れていた。
喜びや感謝、期待に好意と様々だ。
みんなが自分のことのように喜んでいる。町の英雄が国中から賞賛される英雄になるのだと期待している。
「なあなあおい、エルのことも呼んでるぜ。手を振り返した方がいいんじゃないか?」
歓声の熱気にあてられてか、ハドリーの声色にも興奮が隠しきれていない。
ガタンゴトン。馬車は走る。その速度がゆっくりに感じられるのは気のせいではないのだろう。
わざわざこんな場を用意してくれた聖女様。わたしはあなたのことが好きになれそうにありません。
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