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二章 魔道学校編
第45話 転校生がやってきた
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「今日は転校生を紹介します」
次の日。先生が教室に入ってすぐ、開口一番そんなことを言った。
転校生とかって普通に認められてるんだー。なんて朝の働かない頭でぼんやりと思った。
「どうぞ、入ってきてください」
先生の声に反応してドアが開く。その転校生とやらは女子のようだった。
輝くような金髪をサイドテールにしている。蒼い瞳はどこまでも澄んでいる。処女雪のように白い肌に芸術的なまでの造形美が広がる。
目が覚めるような美少女がそこにいた。
「私の名はクエミー・ツァイベン。本日から皆とともに勉学に励むつもりです。よろしくお願いします」
凛とした声だ。男子から心が溶けたかのようなため息が聞こえる。
それも仕方がないだろう。ここまでの美少女は滅多にお目にかかれるもんじゃあないだろう。
貴族は見た目にもお金をかけるのか、このアルバート魔道学校にもなかなかの美少女さんが多い。わたしだってその中に負けないくらいの美少女だという自負があったんだけど、これは別格だ。
なんて言うかキラキラしてる。存在感が違うって言うのかな。転生して外見で完全に負けたって思ったのはこれが初めてだ。
スタイルもなかなかなもんである。簡単に言えばバン、キュッ、バンである。どこのグラビアさんかな?
「ツァイベンってあの?」
「だよな。それでクエミーって言えば……」
「嘘!? なんでこんなところに転校生として現れるのよ」
しかもそれなりに有名人らしい。
周囲の小声になってないひそひそ話を聞くに、どうやら彼女はかなりの地位を持った人らしかった。まさか公爵とかじゃないよね?
とはいえ、貴族が通うアルバートでこの反応なのだ。これは失礼がないようにせねばなるまい。
「あなたがエル・シエルですね」
「ふぇ?」
とか考えてたらご本人が目の前にいた。いや本当に目の前。机を挟んですぐそこまで近づかれていた。全然気づかなかったぞ。
って、わあああっ!? 悠長にしてる場合じゃないっ。失礼がないようにせねば!
「そ、そうです! 我こそはエル・シエルでございますっ」
「テンパりすぎだ」
ホリンくんにぼそりと言われてしまった。くそー、だったら代わってくれよー。
「この間の対校戦を見させてもらいました。その歳にしてはなかなかの腕だと思いましたよ」
「へへー、ありがとうございます」
「なんで下っ端みたいな言葉遣いになってんだよ」
ホリンくんがぼそりと言う。お前あとで校舎裏な!
「時間がある時でいいのですが、私と手合わせしてくれますか?」
綺麗な瞳に打ち抜かれる。男だったらこれだけでイチコロだったな。
「う、うん。もちろん」
「ありがとうございます。ではまた」
「ま、またね」
クエミーさんは指定された自分の席に着く。それだけのことなのに流れるような動作に見惚れてしまった。
やばいな。さっきのやり取りだけでけっこう汗かいちゃった。
なんだろう。突然アイドルと話す機会があったらこんな感じになっちゃうのかな。彼女にはそれくらいのオーラみたいなものがあった。
「クエミー・ツァイベンか……」
ほら、ホリンくんなんてすごく意識しちゃってるよ。
そりゃまあ絶世の美少女と言っても過言じゃないくらいの女子だ。意識しない男子なんていないだろう。
ざわざわしたまま授業に入る。上の空になってしまった人がたくさんいたのは目を伏せてあげた方がいいだろう。
※ ※ ※
「えっ!? クエミーさんって魔法使えないの」
「ええ、私の専門は剣を扱うことなので。それとクエミー、でいいですよ。私もエルと呼ばせていただきますから」
魔法使いでもないのに魔道学校に来てどうするんだろうか? というか入学試験とかあったはずなんだけど、どうやって乗り切ったんだろう?
やっぱりあれかな、金の力とか。地位が高いならお金も持ってるんだろうなぁ。素直に羨ましい。
まあアルバートは貴族の学校という側面もあるからね。魔法以外にも礼儀作法とか貴族にはかかせない授業があるにはある。
「魔法の授業というのも新鮮ですね。魔法の仕組みを知ることは実に有意義だ」
「クエミーが満足してるならよかったよ」
「ええ、仕組みがわかれば弱点を突くのも容易いでしょうからね」
「……」
なんか目が怖いんですけど。
もしかしてクエミーってバトル大好き娘? やばいな、ディジーと同じ気配を感じてきたぞ。
さて、現在わたしはクエミーといっしょに食堂で昼食を取っている。
ガールズトークかと問われれば微妙な顔をしてしまうようなやり取りを続けている。食は進んでいない。
だって食堂にいる人達の視線がわたしとクエミーに集中しているんだもの。というかクエミーが注目の的になってる。
昨日までは対校戦を優勝したというのもあってわたしってば人気者だったのになぁ。人の関心ってのは簡単に移り行くものなんですねー。ちょっと寂しい。
それでもクエミーに話しかけようとする人はいなかった。そこに関してはなんだか不思議だ。
もしかしてクエミーのあまりの美少女っぷりに臆してしまっているのだろうか。アルバートの男子どもはチキンなようですなー。
それはそれとして、なんでわたしはクエミーとおしゃべりしてんだろ?
いや、今更なのはわかってる。でもクエミーがやたらと絡んでくるのだ。勢いのままいっしょに食事までしちゃっている。
やっぱり対校戦の優勝者ってのが気になるポイントとか? うーん、サインをあげられるほど練習してないんだよなぁっ。
と、余裕をぶちかましていたせいだろうか。
「では、クエミー・ツァイベンとエル・シエルの模擬戦を始める」
わたしはクエミーと対峙する状況に陥っていた。
次の日。先生が教室に入ってすぐ、開口一番そんなことを言った。
転校生とかって普通に認められてるんだー。なんて朝の働かない頭でぼんやりと思った。
「どうぞ、入ってきてください」
先生の声に反応してドアが開く。その転校生とやらは女子のようだった。
輝くような金髪をサイドテールにしている。蒼い瞳はどこまでも澄んでいる。処女雪のように白い肌に芸術的なまでの造形美が広がる。
目が覚めるような美少女がそこにいた。
「私の名はクエミー・ツァイベン。本日から皆とともに勉学に励むつもりです。よろしくお願いします」
凛とした声だ。男子から心が溶けたかのようなため息が聞こえる。
それも仕方がないだろう。ここまでの美少女は滅多にお目にかかれるもんじゃあないだろう。
貴族は見た目にもお金をかけるのか、このアルバート魔道学校にもなかなかの美少女さんが多い。わたしだってその中に負けないくらいの美少女だという自負があったんだけど、これは別格だ。
なんて言うかキラキラしてる。存在感が違うって言うのかな。転生して外見で完全に負けたって思ったのはこれが初めてだ。
スタイルもなかなかなもんである。簡単に言えばバン、キュッ、バンである。どこのグラビアさんかな?
「ツァイベンってあの?」
「だよな。それでクエミーって言えば……」
「嘘!? なんでこんなところに転校生として現れるのよ」
しかもそれなりに有名人らしい。
周囲の小声になってないひそひそ話を聞くに、どうやら彼女はかなりの地位を持った人らしかった。まさか公爵とかじゃないよね?
とはいえ、貴族が通うアルバートでこの反応なのだ。これは失礼がないようにせねばなるまい。
「あなたがエル・シエルですね」
「ふぇ?」
とか考えてたらご本人が目の前にいた。いや本当に目の前。机を挟んですぐそこまで近づかれていた。全然気づかなかったぞ。
って、わあああっ!? 悠長にしてる場合じゃないっ。失礼がないようにせねば!
「そ、そうです! 我こそはエル・シエルでございますっ」
「テンパりすぎだ」
ホリンくんにぼそりと言われてしまった。くそー、だったら代わってくれよー。
「この間の対校戦を見させてもらいました。その歳にしてはなかなかの腕だと思いましたよ」
「へへー、ありがとうございます」
「なんで下っ端みたいな言葉遣いになってんだよ」
ホリンくんがぼそりと言う。お前あとで校舎裏な!
「時間がある時でいいのですが、私と手合わせしてくれますか?」
綺麗な瞳に打ち抜かれる。男だったらこれだけでイチコロだったな。
「う、うん。もちろん」
「ありがとうございます。ではまた」
「ま、またね」
クエミーさんは指定された自分の席に着く。それだけのことなのに流れるような動作に見惚れてしまった。
やばいな。さっきのやり取りだけでけっこう汗かいちゃった。
なんだろう。突然アイドルと話す機会があったらこんな感じになっちゃうのかな。彼女にはそれくらいのオーラみたいなものがあった。
「クエミー・ツァイベンか……」
ほら、ホリンくんなんてすごく意識しちゃってるよ。
そりゃまあ絶世の美少女と言っても過言じゃないくらいの女子だ。意識しない男子なんていないだろう。
ざわざわしたまま授業に入る。上の空になってしまった人がたくさんいたのは目を伏せてあげた方がいいだろう。
※ ※ ※
「えっ!? クエミーさんって魔法使えないの」
「ええ、私の専門は剣を扱うことなので。それとクエミー、でいいですよ。私もエルと呼ばせていただきますから」
魔法使いでもないのに魔道学校に来てどうするんだろうか? というか入学試験とかあったはずなんだけど、どうやって乗り切ったんだろう?
やっぱりあれかな、金の力とか。地位が高いならお金も持ってるんだろうなぁ。素直に羨ましい。
まあアルバートは貴族の学校という側面もあるからね。魔法以外にも礼儀作法とか貴族にはかかせない授業があるにはある。
「魔法の授業というのも新鮮ですね。魔法の仕組みを知ることは実に有意義だ」
「クエミーが満足してるならよかったよ」
「ええ、仕組みがわかれば弱点を突くのも容易いでしょうからね」
「……」
なんか目が怖いんですけど。
もしかしてクエミーってバトル大好き娘? やばいな、ディジーと同じ気配を感じてきたぞ。
さて、現在わたしはクエミーといっしょに食堂で昼食を取っている。
ガールズトークかと問われれば微妙な顔をしてしまうようなやり取りを続けている。食は進んでいない。
だって食堂にいる人達の視線がわたしとクエミーに集中しているんだもの。というかクエミーが注目の的になってる。
昨日までは対校戦を優勝したというのもあってわたしってば人気者だったのになぁ。人の関心ってのは簡単に移り行くものなんですねー。ちょっと寂しい。
それでもクエミーに話しかけようとする人はいなかった。そこに関してはなんだか不思議だ。
もしかしてクエミーのあまりの美少女っぷりに臆してしまっているのだろうか。アルバートの男子どもはチキンなようですなー。
それはそれとして、なんでわたしはクエミーとおしゃべりしてんだろ?
いや、今更なのはわかってる。でもクエミーがやたらと絡んでくるのだ。勢いのままいっしょに食事までしちゃっている。
やっぱり対校戦の優勝者ってのが気になるポイントとか? うーん、サインをあげられるほど練習してないんだよなぁっ。
と、余裕をぶちかましていたせいだろうか。
「では、クエミー・ツァイベンとエル・シエルの模擬戦を始める」
わたしはクエミーと対峙する状況に陥っていた。
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