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二章 魔道学校編
第37話 たぶんそうじゃないから
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んー……。んー? んんーーっ!?
えっと……シグルド先輩は何を言いましたか? なんだか脳がちゃんと認識してくれないんですが……。
よ、よしっ。久しぶりに前回のあらすじ行ってみようか!
シグルド先輩に「エルくん。私のものにならないか」と言われて終了。
…………。
……………………。
「ちょっと何言ってるかわからないですね」
「エルくん。私のものにならないか」
いやいやリピートアフターミーしろって言ったんじゃないから!
対面のシグルド先輩は真剣な顔を作っていらっしゃる。なかなかのイケメンフェイス。家柄も申し分ない。
だからってそういうことは関係ないってば!
彼の言っている意味はわかっているつもりだ。口にするのははばかられるけども、つまりは告白……てことでいいんだよね?
私のものになれって、物扱いかよ! ってツッコミたいところではある。まあ人によってはそういう方がキュンとくるものなのだろう。
ただ……なんというか、ね。
こんな状況だってのにメイド達は表情を変えないままたたずんでいるだけだ。内心はどう思っているのだろうか。今は誰でもいいからアドバイスがほしい気分。
「……」
黙っているわたしをシグルド先輩は見つめ続けている。答えを急がせる様子はない。ただ静かに待っているように見えた。
何か言わなきゃダメかな? そりゃダメだよね。わたしの答えを待っているんだから。
わたしの気持ちか……。
目をつむり考える。
この状況。メイドを抜きにして考えるのならわたしとシグルド先輩の二人きりだ。いや、大貴族のシグルド先輩と違ってわたしは普通にメイドの視線も気にはなるんですけどね。
重要なのは、このタイミングでシグルド先輩がわたしに告白したということだ。
正直な気持ちを述べよう。
……怪しい!
これは絶対裏がある。わたしの勘というか、テンプレ的な考えでなら怪しいと言うしかない。
こういう長髪で優し気な年上属性のイケメンが甘い言葉をささやいてきたら要注意だ(偏見)。
それに、一目ぼれしたというのならまだわかる。わたしの外見はそれなりの美少女だから、外見に惚れたというのなら納得できるのだ。
だけど、シグルド先輩はそういう理由ではないのだろう。
よくわたしに話しかけてきたし、どういう人間なのかちょっとは知ったのかもしれない。
だとしたら内面がどうのってのも違うだろうな。わたしの性格は貴族ウケはしないだろうから。
外見でも内面でもないとしたら他の理由があるはずだ。何か企んでるとか。裏がないなんて思えない。
わたしはシグルド先輩に何かをしてあげたことはない。だったら、好きになってもらえる理由はないはずなのだ。
家柄は違うな。最下級貴族に何をしたところで変わるものなんてないはずだ。それどころかシエルの名はマイナスにしか働かないだろう。
魔法の実力。……これはちょっとありそう。少なくともわたしはアルバートで一番の魔法の使い手ではあるからね。わたしの力を求めているのかもしれない。
対校戦で優勝するかもしれないから? うーん……、確実ではないことだけどその理由もあり得るかも。今行われている対校戦は王族だって見に来ているほどのイベントだ。ここから出世ってのもあるみたいだし、何より名誉があることだ。貴族は名誉を重んじる生き物だろうしね。
ふむ、なるほどね。
これはシグルド先輩の目的に気づいてしまったかもしれない。クッキーを食べて頭の回転が良くなったかな。
……ふぅ、やれやれだぜ。
心の中でため息をつく。返事をしようと口を開きかけた時、テーブルに置いていた手が彼の手に包まれる。
心の中で悲鳴を上げてしまった。声に出していないからセーフ!
「すぐに返事がほしいわけではないんだ。エルくんは対校戦を戦っている最中。今はそちらを優先してくれて構わない」
「……」
真摯な声だ。なんか手が熱い。
「すまない。私の気持ちが先走ってしまったようだ。……しかし、対校戦が終わった後でいい。返事を聞かせてはくれないか?」
まっすぐシグルド先輩の視線がわたしに向かっているのがわかってしまう。それが見てられなくて、わたしはうつむいた。
「……はい」
そう呟くのが精いっぱいだった。
※ ※ ※
あれから居心地が悪くてシグルド先輩と別れた。
フラフラしながら廊下を歩く。頭がふわふわしてて足元がおぼつかない。
落ち着け、落ち着くんだわたし。あれはきっと何かの策略だ。シグルド先輩には裏の顔があってわたしを利用しようとしているかもしれないのだ。そうに決まってる。
「……嘘つけよ」
なんか疲れた。
外出しようかと思っていたけどそんな気は失せてしまった。今日はもうベッドに飛び込みたい。
自分の部屋に戻ろう。女子寮へと向かう。足が重くてしょうがなかった。
「エルさん。ちょうどよかったですわ。今お時間よろしくて?」
「なんで今かなぁ……」
校舎をもうすぐ出ようってところでコーデリアさんに会ってしまった。
シグルド先輩よりも先に会ってたら今日という日は変わっていただろうに。むしろ今は誰にも会いたくなかった。
でもせっかくのお誘いを断るわけにはいかないだろう。頷きを返答とする。
「ではわたくしについてきてくださいますか」
「どこへ?」
「それは着いてからのお楽しみですわ」
なんでそんなにいい笑顔?
ニコニコ笑顔のコーデリアさんの後をついて行くこととなった。
なんだか校舎を歩いているとさっきのシグルド先輩の時の流れを思い出してしまう。またどこかの部屋に入るのだろうか。ちょっと身構えてしまう。
「ここですわ」
案の定と言うべきか、どこかの部屋の前に辿り着いた。それにしても学校の中だけでも来たことのない場所ってまだまだあるんだなぁ。ここも来たことがないよ。
それにしても部屋の中に入って何をするんだろうか? なんだか怪しい雰囲気。
「ではわたくしはこれで失礼しますわ」
「はい? え、ちょっ、どこへ行くの!?」
「わたくしの用事は終わりましたので。エルさんは中に入ってくださいましね」
「え? え? この部屋に入ってどうするの?」
「……入ればわかりますわ」
そう意味深に言ってコーデリアさんは本当に去って行ってしまった。彼女が振り向くのを期待していたけれど、結局視界から消えるまでわたしの方に向いてくれることはなかった。
「……入るしかないのかな」
すでに嫌な予感があるんですが。帰ったら……ダメなんだろうなぁ。
わたしは覚悟を決めてドアに手をかけた。ゆっくりとした動作で慎重に開ける。
先ほどのシグルド先輩のプライベートルームのような綺麗な部屋ではなかった。教室の半分ほどの広さの部屋だ。壁際には本棚が置いてあるだけだった。資料室なのかもしれない。
そんな部屋の窓際に、ホリンくんが立っていた。
「……」
「……」
お互い無言である。
コーデリアさんにつれてこられた場所にはホリンくんがいました☆ ……いやいやこれどういう状況?
コーデリアさんは何を思ってこんな状況を作ったんだ? そもそもホリンくんは事情を知ってるの?
混乱したまましばしの時が流れる。
ホリンくんがわたしに近づく。ただそれを見つめていた。
「悪いなエル。わざわざこんなところに呼び出して」
「コーデリアさんにわたしをここにつれてくるように言ったのってホリンくんなの?」
「ああ」
この状況を作り出したのはホリンくんだったのか。まずは一つ謎が解けた。
そして新たな謎。なぜホリンくんはわたしをこんなところにつれてきたのか。別に話をするだけならどこでもいいでしょうに。
用事があるのなら聞こうじゃないか。わたしはホリンくんの言葉を待つ。
しばらく彼はわたしを見ては目を逸らすという動作を繰り返した。しかも口を開けては閉じたりを繰り返す。なんだその不審な動作は。
……この雰囲気。嫌な予感が膨らんできたぞ。
まさか、シグルド先輩みたいにホリンくんも告白……ってことはないよね? よね?
一気に緊張感が増した中待ち続ける。時間が長く感じてしょうがない。
胸が痛いくらい鳴っている。ええい! 黙りなさいわたしの心臓!
「エル」
「は、はいっ」
ようやくホリンくんから言葉が出てきた。
彼の視線はまっすぐわたしに向けられている。今度は逸らしたりしない。真摯な瞳をしている。それがどうしてもシグルド先輩と重なって見えてしまう。
「エルは俺の、」
変なところで区切るな! ……じゃない!
え、ちょっと待って! ま、まさかホリンくんまで!?
体が熱い。脇の下からじんわりと汗が出てくる。
なんでまた。頭の中がぐるぐると回りそうだ。
そして、ホリンくんの言葉が続いた。
「――仲間になってくれるか?」
……。
…………ん?
「えーっと……どういう意味?」
「言葉の通りだ。俺の仲間になって手助けしてほしい」
……うん、まあ、なんていうかね……。
じ、自分が恥ずかしいっっっっ!!
何を勘違いしてたんだわたしはっ! ホリンくんから告白なんてされるわけないでしょうにっ!
あー! 声に出してなくてよかった。本当によかったーっ。自惚れてたよ恥ずかしい!
これも全部シグルド先輩が悪い。あんなこと言うから勘違いしちゃったんだよ。
今までの考えなし! なしだから! はい、綺麗さっぱり消えたから!
気を取り直すために咳ばらいを一つ。ついでにもう一つ。うん、落ち着いた。
「仲間ってなんの?」
「今はまだ言えねえが、俺の手助けをしてほしいんだ」
「そりゃもちろん。ホリンくんはわたしの友達なんだからね。手助けくらいいつでもして差し上げるともさ」
ニッコリ笑って言った。うん。平常運転だ。
ホリンくんはほっと息を吐く。彼にしては珍しく表情を緩めていた。
「ありがとな。用はそれだけだ」
それだけ言ってホリンくんは小走りでわたしの隣を通り過ぎた。部屋を出る時に「じゃあな」という言葉だけを残していなくなった。
なんだったんだろうか?
わざわざこんなところに呼び出してまで言うことだったのかな? そんな大した内容じゃないと思うんだけど。
残ったわたしも寮に帰ることにした。……今日は本当に疲れた。
えっと……シグルド先輩は何を言いましたか? なんだか脳がちゃんと認識してくれないんですが……。
よ、よしっ。久しぶりに前回のあらすじ行ってみようか!
シグルド先輩に「エルくん。私のものにならないか」と言われて終了。
…………。
……………………。
「ちょっと何言ってるかわからないですね」
「エルくん。私のものにならないか」
いやいやリピートアフターミーしろって言ったんじゃないから!
対面のシグルド先輩は真剣な顔を作っていらっしゃる。なかなかのイケメンフェイス。家柄も申し分ない。
だからってそういうことは関係ないってば!
彼の言っている意味はわかっているつもりだ。口にするのははばかられるけども、つまりは告白……てことでいいんだよね?
私のものになれって、物扱いかよ! ってツッコミたいところではある。まあ人によってはそういう方がキュンとくるものなのだろう。
ただ……なんというか、ね。
こんな状況だってのにメイド達は表情を変えないままたたずんでいるだけだ。内心はどう思っているのだろうか。今は誰でもいいからアドバイスがほしい気分。
「……」
黙っているわたしをシグルド先輩は見つめ続けている。答えを急がせる様子はない。ただ静かに待っているように見えた。
何か言わなきゃダメかな? そりゃダメだよね。わたしの答えを待っているんだから。
わたしの気持ちか……。
目をつむり考える。
この状況。メイドを抜きにして考えるのならわたしとシグルド先輩の二人きりだ。いや、大貴族のシグルド先輩と違ってわたしは普通にメイドの視線も気にはなるんですけどね。
重要なのは、このタイミングでシグルド先輩がわたしに告白したということだ。
正直な気持ちを述べよう。
……怪しい!
これは絶対裏がある。わたしの勘というか、テンプレ的な考えでなら怪しいと言うしかない。
こういう長髪で優し気な年上属性のイケメンが甘い言葉をささやいてきたら要注意だ(偏見)。
それに、一目ぼれしたというのならまだわかる。わたしの外見はそれなりの美少女だから、外見に惚れたというのなら納得できるのだ。
だけど、シグルド先輩はそういう理由ではないのだろう。
よくわたしに話しかけてきたし、どういう人間なのかちょっとは知ったのかもしれない。
だとしたら内面がどうのってのも違うだろうな。わたしの性格は貴族ウケはしないだろうから。
外見でも内面でもないとしたら他の理由があるはずだ。何か企んでるとか。裏がないなんて思えない。
わたしはシグルド先輩に何かをしてあげたことはない。だったら、好きになってもらえる理由はないはずなのだ。
家柄は違うな。最下級貴族に何をしたところで変わるものなんてないはずだ。それどころかシエルの名はマイナスにしか働かないだろう。
魔法の実力。……これはちょっとありそう。少なくともわたしはアルバートで一番の魔法の使い手ではあるからね。わたしの力を求めているのかもしれない。
対校戦で優勝するかもしれないから? うーん……、確実ではないことだけどその理由もあり得るかも。今行われている対校戦は王族だって見に来ているほどのイベントだ。ここから出世ってのもあるみたいだし、何より名誉があることだ。貴族は名誉を重んじる生き物だろうしね。
ふむ、なるほどね。
これはシグルド先輩の目的に気づいてしまったかもしれない。クッキーを食べて頭の回転が良くなったかな。
……ふぅ、やれやれだぜ。
心の中でため息をつく。返事をしようと口を開きかけた時、テーブルに置いていた手が彼の手に包まれる。
心の中で悲鳴を上げてしまった。声に出していないからセーフ!
「すぐに返事がほしいわけではないんだ。エルくんは対校戦を戦っている最中。今はそちらを優先してくれて構わない」
「……」
真摯な声だ。なんか手が熱い。
「すまない。私の気持ちが先走ってしまったようだ。……しかし、対校戦が終わった後でいい。返事を聞かせてはくれないか?」
まっすぐシグルド先輩の視線がわたしに向かっているのがわかってしまう。それが見てられなくて、わたしはうつむいた。
「……はい」
そう呟くのが精いっぱいだった。
※ ※ ※
あれから居心地が悪くてシグルド先輩と別れた。
フラフラしながら廊下を歩く。頭がふわふわしてて足元がおぼつかない。
落ち着け、落ち着くんだわたし。あれはきっと何かの策略だ。シグルド先輩には裏の顔があってわたしを利用しようとしているかもしれないのだ。そうに決まってる。
「……嘘つけよ」
なんか疲れた。
外出しようかと思っていたけどそんな気は失せてしまった。今日はもうベッドに飛び込みたい。
自分の部屋に戻ろう。女子寮へと向かう。足が重くてしょうがなかった。
「エルさん。ちょうどよかったですわ。今お時間よろしくて?」
「なんで今かなぁ……」
校舎をもうすぐ出ようってところでコーデリアさんに会ってしまった。
シグルド先輩よりも先に会ってたら今日という日は変わっていただろうに。むしろ今は誰にも会いたくなかった。
でもせっかくのお誘いを断るわけにはいかないだろう。頷きを返答とする。
「ではわたくしについてきてくださいますか」
「どこへ?」
「それは着いてからのお楽しみですわ」
なんでそんなにいい笑顔?
ニコニコ笑顔のコーデリアさんの後をついて行くこととなった。
なんだか校舎を歩いているとさっきのシグルド先輩の時の流れを思い出してしまう。またどこかの部屋に入るのだろうか。ちょっと身構えてしまう。
「ここですわ」
案の定と言うべきか、どこかの部屋の前に辿り着いた。それにしても学校の中だけでも来たことのない場所ってまだまだあるんだなぁ。ここも来たことがないよ。
それにしても部屋の中に入って何をするんだろうか? なんだか怪しい雰囲気。
「ではわたくしはこれで失礼しますわ」
「はい? え、ちょっ、どこへ行くの!?」
「わたくしの用事は終わりましたので。エルさんは中に入ってくださいましね」
「え? え? この部屋に入ってどうするの?」
「……入ればわかりますわ」
そう意味深に言ってコーデリアさんは本当に去って行ってしまった。彼女が振り向くのを期待していたけれど、結局視界から消えるまでわたしの方に向いてくれることはなかった。
「……入るしかないのかな」
すでに嫌な予感があるんですが。帰ったら……ダメなんだろうなぁ。
わたしは覚悟を決めてドアに手をかけた。ゆっくりとした動作で慎重に開ける。
先ほどのシグルド先輩のプライベートルームのような綺麗な部屋ではなかった。教室の半分ほどの広さの部屋だ。壁際には本棚が置いてあるだけだった。資料室なのかもしれない。
そんな部屋の窓際に、ホリンくんが立っていた。
「……」
「……」
お互い無言である。
コーデリアさんにつれてこられた場所にはホリンくんがいました☆ ……いやいやこれどういう状況?
コーデリアさんは何を思ってこんな状況を作ったんだ? そもそもホリンくんは事情を知ってるの?
混乱したまましばしの時が流れる。
ホリンくんがわたしに近づく。ただそれを見つめていた。
「悪いなエル。わざわざこんなところに呼び出して」
「コーデリアさんにわたしをここにつれてくるように言ったのってホリンくんなの?」
「ああ」
この状況を作り出したのはホリンくんだったのか。まずは一つ謎が解けた。
そして新たな謎。なぜホリンくんはわたしをこんなところにつれてきたのか。別に話をするだけならどこでもいいでしょうに。
用事があるのなら聞こうじゃないか。わたしはホリンくんの言葉を待つ。
しばらく彼はわたしを見ては目を逸らすという動作を繰り返した。しかも口を開けては閉じたりを繰り返す。なんだその不審な動作は。
……この雰囲気。嫌な予感が膨らんできたぞ。
まさか、シグルド先輩みたいにホリンくんも告白……ってことはないよね? よね?
一気に緊張感が増した中待ち続ける。時間が長く感じてしょうがない。
胸が痛いくらい鳴っている。ええい! 黙りなさいわたしの心臓!
「エル」
「は、はいっ」
ようやくホリンくんから言葉が出てきた。
彼の視線はまっすぐわたしに向けられている。今度は逸らしたりしない。真摯な瞳をしている。それがどうしてもシグルド先輩と重なって見えてしまう。
「エルは俺の、」
変なところで区切るな! ……じゃない!
え、ちょっと待って! ま、まさかホリンくんまで!?
体が熱い。脇の下からじんわりと汗が出てくる。
なんでまた。頭の中がぐるぐると回りそうだ。
そして、ホリンくんの言葉が続いた。
「――仲間になってくれるか?」
……。
…………ん?
「えーっと……どういう意味?」
「言葉の通りだ。俺の仲間になって手助けしてほしい」
……うん、まあ、なんていうかね……。
じ、自分が恥ずかしいっっっっ!!
何を勘違いしてたんだわたしはっ! ホリンくんから告白なんてされるわけないでしょうにっ!
あー! 声に出してなくてよかった。本当によかったーっ。自惚れてたよ恥ずかしい!
これも全部シグルド先輩が悪い。あんなこと言うから勘違いしちゃったんだよ。
今までの考えなし! なしだから! はい、綺麗さっぱり消えたから!
気を取り直すために咳ばらいを一つ。ついでにもう一つ。うん、落ち着いた。
「仲間ってなんの?」
「今はまだ言えねえが、俺の手助けをしてほしいんだ」
「そりゃもちろん。ホリンくんはわたしの友達なんだからね。手助けくらいいつでもして差し上げるともさ」
ニッコリ笑って言った。うん。平常運転だ。
ホリンくんはほっと息を吐く。彼にしては珍しく表情を緩めていた。
「ありがとな。用はそれだけだ」
それだけ言ってホリンくんは小走りでわたしの隣を通り過ぎた。部屋を出る時に「じゃあな」という言葉だけを残していなくなった。
なんだったんだろうか?
わざわざこんなところに呼び出してまで言うことだったのかな? そんな大した内容じゃないと思うんだけど。
残ったわたしも寮に帰ることにした。……今日は本当に疲れた。
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