298 / 351
298 協会への不満
しおりを挟む#298 協会への不満
ドンドンドン!
「開けてください!急用です!」
「どちら様でしょうか?」
「探索者協会の者です!」
マリアが応対に出てくれるが、こんな早朝から何事だ?起きちゃったじゃないか。
「ジンはいますか?!」
2階で寝てるよ。ああ、リリア、起きなくて良いぞ。探索者協会に義理はないからな。
「緊急の用件です!ジンを呼んでください!」
「ご主人様はお休み中です。昼頃に出直してください」
そうそう。俺を呼び捨てにしてる時点で追い返して良いよ。
「スタンピードなんです!早急に対処しないと王都も無事ではすみません!」
はあ、騎士団の仕事だろうに。まあ起きちゃったし、話くらいは聞くか。
「それで何のようだ?」
「スタンピードです!」
「だから、それが俺に何の関係があるんだ?」
「探索者協会規則第13条、強制依頼の項を適用します!探索者は全員招集に応じる義務があります!」
ん?そんな条項あったっけ?なんせ探索者協会に登録するときは魔力なしとかでろくに説明もしてくれなかったからな。
でもまあ、冒険者ギルドにも同じような項目あるし、まあ、あっても不思議じゃないな。
「それで?」
「ですから、招集に応じてください!」
「なんで?」
「探索者の義務です!」
顔を真っ赤にして怒鳴り返してくるが、怖くもなんともない。俺はそれほど探索者協会に縛られてないからな。
「ゴタゴタ言うのは、スタンピードと招集の関係について説明してからにしてくれ」
「王都の近くでスタンピードが起きたんです!現在王都に向かって接近中。探索者は全員一丸となって魔物の討伐にあたります!」
へえ。
「そうか、頑張ってくれ」
「あ、な、た、も来るんです!あなたの戦闘力が高いのは分かってます!一人でも戦力が欲しいんです!招集に応じてください!」
うーん、それって騎士団の仕事じゃないの?
「もちろん騎士団にも対応してもらいますが、騎士団は動き出すのに時間がかかります。それまでの足止めを探索者で行う必要があります」
「スタンピードを想定してなかったんですか?」
「今まで王都近郊でスタンピードが起こった事はありませんでした。なので発見してからでも騎士団が間に合ったんです」
それって発生した近くの村や街は無事じゃないよね。
「王都だけは落とされるわけにいかないんです。あなたも参加してください!」
ちょっと立場をはっきりさせておく必要があるな。
「俺は探索者協会で魔力なしの判定を受けて、協会の評価は等級に現れている。9級だったかな?忘れたけど。
当然斡旋される仕事もそれなりだ。探索者としての収入なんて微々たるものだ。それでも義務があると?」
「ええ、あなたの戦闘力は使節団の代表として模擬戦をした時に判明しています。ならばこの危急時に応援を頼むのは当然です」
「俺はその恩恵を得てないんだが?戦闘力を評価されてるのに、等級に反映されてないのはなんでだ?魔力なしに今更手伝えとはどう言う了見だ?」
「そ、それは!マンスムの受付が勝手をしただけで!」
「受付は協会の顔だろう?その受付が勝手は判断をしたのをずっと放置したのは誰だ?俺が登録してからすでに結構経ってるぞ?俺がここに住んでることを把握してるなら、俺の等級も把握してるはずだよな?それでも対処しなかったのは何故だ?納得できる理由があるなら言ってみろ!」
やってきた男は答えられず、真っ赤な顔をして睨み付けてきた。
全く怖くない。マンスムの受付は確かに酷かったし、全部の受付がそうだとは思わないが、邪険に扱われたのは俺も根に持ってるのだ。魔力なしは制度として仕方ない部分はあったかもしれないけど、受付の塩対応はダメだ。
「説明できないなら帰って上司に相談するんだな。
ああ、協会追放ならそう言ってくれても良いぞ。大人しく追放されるからな」
使者は何も言えなくなったのか、捨て台詞を残して帰って行った。
「塩でもまいとけ!」
マリアに命じると、不思議そうな顔をされた。
「塩ですか?」
そうだった。この世界に塩をまく習慣がなかった。別にアンデッドに塩が効くわけじゃないからね。むしろ大事な調味料を無駄にするなと怒られる話だ。
「いや良い。俺は2度寝するから、朝飯はいらん」
気分が悪いので、寝直して気分転換をする事にした。
ドンドンドン!
「巫女殿はおられますか!?」
ドンドンドン!
「緊急です!お願いします!」
はあ、どうやら2度寝もダメらしい。
0
お気に入りに追加
753
あなたにおすすめの小説
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
神々の間では異世界転移がブームらしいです。
はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》
楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。
理由は『最近流行ってるから』
数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。
優しくて単純な少女の異世界冒険譚。
第2部 《精霊の紋章》
ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。
それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。
第3部 《交錯する戦場》
各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。
人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。
第4部 《新たなる神話》
戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。
連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。
それは、この世界で最も新しい神話。
無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜
あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。
その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!?
チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双!
※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる