スキルを極めろ!

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274 跳びコーン

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#274 跳びコーン

「今回の目的はカンカルーの腹袋にしようと思う。報酬も高いし、腹以外を攻撃して倒すだけだからな。傷つけることが許されない丸ウサギよりも簡単だろう。
 それと途中でゴブリンジェネラルを積極的に狩っていく。胆嚢が納品できるようだしな。ああ、道中に跳びコーンがいたらそれもだな」

「分かりました」

「はい」

「あの、私たちは、、、」

「留守番だな」

 悪いがメアリーとリリアは戦力外だ。別に戦えないわけじゃないけど、ゴブリンならともかくゴブリンジェネラル相手では分が悪すぎる。

「クレア、マリア、何か必要なものはあるか?」

「はい。今回はコーンなどの採取もあるので、袋を多めに持っていきたいです。それにもし丸ウサギを捕縛できたら連れて帰るためのケージも必要ですし」

「今回は丸ウサギは対象じゃないぞ?」

「でも見つけたら捕獲しますよね?」

 まあ確かにそうなんだが、そのためにケージを持っていくか?

「備えあれば憂いなしです」

 まあマジックバッグに入れていくからあっても問題ないんだけど。非常に臆病だと聞いてるけど、捕まえるつもりなのかな?

「ぜひ飼いたいです」

「ダメだ」

 泣きそうな顔をしてもダメだ。冒険者がペットを飼ってどうする。捕獲したとしてもギルドに引き渡しておしまいだ。

「他に買うものがないなら早速出発するぞ。期限はないけど、さっきの冒険者にゴブリンジェネラルの納品を先越されたくないからな」

「はい」

「クレアは買い物ないな?」

「はい、コーン、美味しそうです」

「ん?」

「いえ、なんでもありません」


「リリア、ちょっと聞きたいんだが、俺がいなかった半年、どんな生活していた?」

「えっと、ちょっと食費を浮かして見たり?ジャガイモがメインだったり?」

 はあ、そんな貧乏な食生活していたのか。お金がなかったから仕方がなかったんだろうけど苦労をかけたな。

「クレア、コーンが取れたらパンケーキにでもして食べるか」

「はい!」

「あの、私たちも、、、」

「もちろんみんなでだ」

 メアリーがそっと希望を出してくるが、別に仲間外れにはしないぞ。今回はコーンの納品は諦めて自分たちで食べることにしよう。



 ダンジョン7層。とうもろこし畑があった場所に来ている。一面とうもろこし畑だ。

 だけど、俺の記憶しているトウモロコシ畑とは違った趣がある。とうもろこしが地面を走っているのだ。いや、ぴょんぴょん跳ね回っているというのが正確か。
 真っ直ぐな体を器用に湾曲させてジャンプしている。皮の葉っぱはむけており、粒があらわになっている。

「あー、これはどう考えれば良いと思う?」

「跳びコーンという名前でしたし、そのまま跳び回るとうもろこしで良いのでは?」

 まだ枝についているとうもろこしもあるので、多分熟したら外れて跳び回るのだろう。

「クレア、マリア、捕まえるぞ」

「なっているのは取らないのですか?」

「熟してるのが走り回ってるということは、走り回ってる奴の方が美味しいって事だ。せっかく来たんだ、美味しいのを食べたいだろう?」

「そうですね。ぜひそうするべきです」

 クレア、そんなにコーンが食べたいか。苦労させたなぁ。


 俺たちはひたすらとうもろこし畑を走り回って回収した。捕まえられそうになると、粒を飛ばして攻撃してきたりして面倒だったが、所詮コーンの粒だ。痛いのは痛いが、ダメージというほどではない。
 問題は粒を発射するということは、元のとうもろこしには粒が残ってないということだ。全部射出する前に捕まえないといけない。地面に落ちた粒を拾っても食べれるだろうけど、なんかいやだ。

 3人で2時間ほど格闘してなんとか20本確保した。粒は全体の半分くらいしか残ってないが、自家消費するくらいはあるだろう。ちなみに袋に入れておけば、袋の中で粒を発射するので粒を取り出す手間が省けた。
 芯だけになると死ぬようで動かなくなったのは捨てていく。

「ふう、なんとか集まったな。予定より少ないけど、パンケーキパーティが出来るくらいはあるだろうからこの辺にしておこう。まだ熟してないのも結構あるからまた取りに来れば良いしな」

「パンケーキ、パンケーキ」

 なんかマリアとクレアが変な歌を歌ってハイタッチしているが、そんなにパンケーキが嬉しいか。戻ったら蜂蜜も買っておこう。喜んでくれるだろう。



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