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231 王都へ
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結局肉体強化時の光は完全には押さえれなかったが、薄く体を覆う程度には隠せるようになった。魔力を抑える事で強化度合いは落ちるが、完全に隠す事にも成功した。
魔闘術で剣に魔力を纏わせるとやはり光る。これも威力を抑えれば光らなくできる。
俺が魔法の訓練をしているのは周りからは何をやってるのか分からなかっただろう。たまに光るくらいで、ずっと座っているのだから。
毎日一定の距離を移動しては野営して、を10日過ごしたところで、戻る事になった。そろそろ種族会議が終わっているはずだからだ。
「フェリス様、ただいま戻りました。種族会議は順調ですか?」
「お帰りなさい。ええ、順調ですわ。このままなら明日にでも終わるでしょう」
「あ、まだ終わってなかったんですね。了解です。私は部屋から出ませんので、ゆっくり話し合いをしてください」
「いえ、今日中に終わらせますわ。後を見てくださいな。急ぐ理由がありますわよ」
俺が後を向くと、メイドさんたちが顔を赤くしてこちらを指差している。さっきすれ違ったメイドさんだろう。指を刺すのはいけませんよ。
「なるほど、これほど影響が強いとは。それで明日には出発できそうですか?」
「ええ、そうした方が良さそうですし。今晩だけは鍵を厳重に閉じておいてくださいな。とち狂ったメイドさんが突入してくるかもしれませんので」
翌朝、俺たちは王都に戻るために馬車に乗り込んだ。
「リリア、問題はなかったか?」
「ええ、ジン様がいらっしゃらない以外は問題ありませんでしたわ」
「そうですわ。私が真面目な話をしている時にいらっしゃらないなんて。これは私を娶って責任をとるという事で」
メアリー、そんな責任は取りませんよ。
「発情期なんだ。男の俺は刺激が強すぎるらしいから、仕方がないだろう?どうやら俺は獣人の男よりも発情させやすいらしし。そういえば、王都に残っている文官は大丈夫なんだろうか?」
「王都では大変でしょうね。私には分かりませんが、枯れてない限り人間は興奮の的らしいですから」
「でも出発前は大丈夫だったよな?」
「そうですね。そんな兆候はありませんでしたね。フェリス様がこの旅行を組んでくれなければジン様の貞操が危ないところでしたわ」
「あ、リリアはこの旅の目的を知ってたんだ?」
「あら、言ってませんでしたか?旅の前にフェリスから教えていただきましたわ。フェリス様と陛下の計らいだそうですわよ」
「そうか。陛下にもお礼を言っておかないとな。戻った頃には発情期は終わってるのかな?」
「ええ、長くても3ヶ月だそうですから大丈夫じゃないでしょうか」
「それなら良いんだけど」
「フェリス様、フェリス様は俺と一緒にいても大丈夫なんですね?」
「大丈夫というわけではありませんわ。私は小さい頃より、そういった事に対しては耐性を持つように躾けられているだけですわ。王家のものが発情してどこの誰とも分からない相手と子供を作るわけにはいきませんでしょう?」
なるほど。小さい頃からの訓練の賜物か。
「でも、我慢しているだけで、根本的な解決にはならないのでは?」
「これは獣人という種族全体の特性ですもの。やめようと思ってやめれるものではありませんわ。だとしたら我慢するしかないでしょう。私もジン様に劣情を抱かないように苦労してるんですよ?」
「それは我慢しているという事ですか。何か申し訳ないですね」
「だから馬車も別にしてるんですわ。何ヶ月も同じ馬車では私でもどうかなってしまいそうですもの」
「重ね重ね申し訳ないです」
「大丈夫ですわ。私としては毎年のことですもの」
もし俺だけが強力な媚薬になってるとしたら、異世界人だからなのか、魔力が異常なせいか、神様とあったせいか。。。
可能性はいくらでもあるから絞れないな。
「それともう一つ教えてもらえませんか?
私が発情期のことを教えてもらえなかった事は何か意味があるんですか?」
「ええ、男性はその効果を意識すると匂いが強まる傾向にありますの。人族にも当てはまるのかは分かりませんが、リスクは取れませんでした」
「それでは今回の報酬はもらえませんね。私のための旅行なのですから」
「それは受け取ってくださいな。ジン様もこの大陸で生活するにはお金があって困らないはずです。使節の方々にはある程度のお金を渡してありますが、ジン様はないでしょう?リリアーナ様たちにはお金を渡す理由が作れなかったので、ジン様に代表して受け取って欲しいのですわ」
「分かりましたが、、、リリアと距離が近くないですか?」
「この1週間で仲良くなりましたの。人族の貴族社会などを教えてもらいましたのよ。使節の方はそういった事は教えてくれませんので。
なので、リリアーナ様のためにも受け取ってくださいな」
これは受け取っておいた方がいいかな。
「分かりました、ありがたく頂いておきます」
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