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227 服屋
しおりを挟む#227 服屋
領都マシューに着いた。
門の前までライオスさんが迎えに出てきた。さすがに表面上は王族を敬うんだね。
簡単に定型文で挨拶を交わしたあと、領主の館に通された。俺は神の試練に挑む者として発表されているので、ライオスさんも知っている。そのせいか、俺だけフェリス様と同じ貴賓室をあてがわれた。他の女性陣は従者用の部屋だ。
特に女性陣からは不満は上がってないが、俺も従者用で良いです。広いと落ち着きません。
到着した翌日は晩餐会でもてなすとの事なので、俺もそれなりの服装をしていく必要がある。一応失礼にならない程度の服は持ってきているが、フェリス様曰く、連日になる可能性もあるので複数着持っていた方が良いとの事。毎日同じ礼装じゃ問題あるからね。
そこで日が暮れる前にと、服屋にいく事にした。裾直しとかに時間かかるだろうから、早いに越したことはない。
服屋に行くとなったら、俺一人で行ってさっさと決めてくるつもりだったのだが、どこから聞いたのか、メアリー達も服屋に行くという。どっから聞いた?いやセルジュ様経由以外にないわな。
結局全員で服屋に行く事になった。貴族専門の服屋でオーダーメイドを中心に扱っているらしい。
オーダーメイドの店でどうやって明日までに用意するのかと思ったら、見本に作られている服をサイズ直ししてもらうらしい。俺の体格はそれほど極端ではないので多分大丈夫だろう。
服屋は貴族街と商業街の間くらいにあり、店の前には人型の人形が置かれており、何か前衛的な服が着せられている。あんなの着る人がいるんだろうか。
とりあえず、俺の服を買ってしまわないといけない。店員にフォーマルなスーツを明日までに必要だと伝えたら、飾ってある既製品のサイズ直しになるとの事。それは分かっていた事なので無難なのを選ぶ。サイズを測ってもらい、明日の昼ごろに届けてもらう事にした。
女性陣が布を体に当てて似合う似合わないの話をしている。
男性物と違い、女性物は展示されているデザインも豊富で、それと生地見本を比べると大体の出来上がりが想像できる。
俺の買い物は終わったんだが。。。これは待ってないといけない場面だろうか。いや、多分そうだな。巻き込まれないようにすみっこにいよう。
このくだり、商業都市ロギンズでもやったな。なぜ女性は服を選ぶのが好きなのだろうか?もう十分持ってるよね?
「ジン様、これなんてどうでしょうか?」
ある程度目星をつけたのか、フェリス様が問いかけてくる。俺は壁の花でいいのに。
「似合うと思いますよ」
他に何て答えろと。
「じゃあ、こちらは?」
「素敵ですね」
語彙が残ってるうちに終わってください。
「ジンさん、これはどうでしょうか?」
メアリーまでか。
「似合うとは思うが、俺の意見なんて気にしても仕方ないぞ?俺のデザインセンスなんてないも同然だからな」
「ジンさんに気に入られないと意味がないんですよ」
どうやら俺の好みを探っていたらしい。え?ということはフェリス様も?
いや、多分フェリス様は単純に男性からの意見が聞きたかっただけだろう。フラグ立ててないし大丈夫なはずだ。
ドレスにも種類があるらしく、わかりやすいので言えば、胸の開いた物、袖のない物、腰から下が広がっている物、ぴったりしている物、など細かいデザインに関係なく種類がある。
さらにデザイナーが考えたフリルやレース、宝石を使ったものなど、俺の想像できないような物がたくさんある。
俺にはデザイン画を見ても出来栄えは想像出来ないが、女性陣にははっきりと分かるらしい。メアリー、宝石付きのドレスを見ているようだけど、俺は払いませんよ?
結局、女性陣は見るだけ見てドレスは買わなかった。店員さん、お疲れ様です。
さて帰るかと思ったら、隣の店に入っていった。???はい?
隣の店が何の店かわからないが、これは俺が入ってもいい場所だろうか?というか、何の店かにかかわらず俺は入らずに帰りたい。ソーニャさんが勧めていたので店としては間違い無いのだろうけど。
なんとなく、基本の『ほ』のような気がしている。『き』が服なら『ほ』はアクセサリーだ。この流れだと、アクセサリーを見た後にもう一度服屋に戻る。アクセサリーと合わせた場合のドレスの見栄えを見直すのだ。
そう考えると、ここでドレスを買わなかったのも当然だ。でもいいのがあったら買うんだろうなあ。俺この大陸の通貨、それほど持ってないよ?
予想通りアクセサリーだったようで、そのあと服屋に戻るのも予想通り。俺は手持ちをはたいてリリアのドレスを買う事になった。アクセサリー付きだ。
そして、皆は当然のように、さっきまで見ていたドレスについて話すためにお茶をし始めた。基本の『ん』だ。
俺は話に入りたく無いので別のテーブルに座っている。買ってもいないドレスの感想を聞かれてもわからん。
だが無情にも隣の席から意見を求められる。俺は『良かったね』『似合うと思うよ』って感じの事を言い続けた。
屋敷に帰ると、執事に明日スーツが届くので受け取って欲しいと伝えると、なんと屋敷には客用のスーツが何着かあるのが判明した。よくあるサイズのが何着かおいてあるらしい。
今日の女性陣の買い物に付き合う意味なかったんじゃ。。。
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