スキルを極めろ!

アルテミス

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108 ワイバーン

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#108 ワイバーン

ブルクとのいざこざの後、なんとなく依頼を受ける気がせずに、1週間ほど家でぼーっとしていた。

「ご主人様、どうかされましたか?」

とマリアに心配されるほどだ。

俺は、ドゴール様を基準に考えていたので、貴族があれほど傲慢だとは思っていなかった。ラノベではテンプレではあるがストーリー上の悪役だろうと。
しかし、現にブルクという、そんな貴族が居たし、聞く限りでは、賛同したものもいるようだ。

改めて、国とは関わりたくないと思わされる事件だった。

そんな折、メアリーが訪ねてきた。

「先日は申し訳ありませんでしたわ。
ブルク伯の件は片付きましたので、報告に参りました。

ブルク伯から金貨100枚は新伯爵から支払われました。
それと、こちらが国からの迷惑料です」

皮袋を渡されたが、中には金貨が詰まっているようだった。

「金貨100枚ですわ。事実上、ドイエール伯爵家からジン様への迷惑料と言った感じですわね」

「まあ、一応受け取っておこう」

「ただ、貴族の間で、ジン様の名前が広がっていますわ。
貴族に歯向かった冒険者として。
もし貴族が何か言ってきたら、私の名前を出してくださっても結構ですわ」

「わかった。その時は頼む」



俺は伯爵との件が終了したのを確認して、冒険者ギルドに依頼を受けに行った。

「アイシスさん、何か依頼はありませんか?」

「そうですね、最近は軍の公募に応じる方も多くて、依頼が余っている状態なんですが、高ランクとなると余りありませんね。
北の山のワイバーン討伐とかどうですか?例年より早いですが、何体か目撃例がありますし。
それに今年は戦争の加減もあって、大勢での討伐が難しそうですので、数で押すのではなく、高ランクの依頼にして対応したらどうか、という話が出てまして。
ご存知のように、高ランクは戦争に関与しませんので」

なるほど、こんな所にも戦争の影響が出ているのか。
ヤパンニろくな事しないな。

ラノベでは東の小国といえば、日本に近い文化を持ち、米や醤油などが手に入るのに。
前回ヤパンニに行った時も、米等の料理は出てこなかった。
俺は別に朝食はご飯に味噌汁とたくあんだ、というこだわりは無いのだが、あるなら食べたいという程度には食べたい。

パンも悪くは無いのだが、この世界のパンは硬いのだ。フランスパンとかを想像してくれればいい。スープに浸して食べるのが一般的だ。
白い食パンのようなものは、王宮でも出てこない。
存在しないんだろうか?


まあ、それは兎も角、ワイバーンだ。

「今討伐してしまうと、残りがまた巣を作りませんか?」

「その危険はあるんですが、戦争中に襲われるのが一番困りますので」

なるほど、先を見て行動する。大事だね。
俺?今を生きてますが、何か?


「わかりました、それ受けましょう。
明日からでいいですか?」

「ええ、もちろんです。よろしくお願いしますね」



俺は久しぶりに馬車に乗っていた。
北の山に向かうのに、全力で走れば一時間くらいで行けるのだが、たまには良いかなと思い、馬車を借りた。
御者なんて初めてやったが、借りた馬車屋に教えてもらった通りすると、言うことを聞いてくれる。調教ってすごいな。

半日かけて山に来た。
去年の時は風の刃で30頭ほど倒した覚えがある。今年は何頭いるんだろうか?
今回は剣で倒してみるつもりだ。

空を飛ぶワイバーンに剣でどうするって?
<飛剣>で翼を引き裂いたら落ちてくるでしょう?
最近練習して、指向性の<飛剣>が使えるようになったから、実戦で試して見たいんだよね。

山を登っていくと、中腹にワイバーンらしき魔力を感じた。
10頭ほどだろうか。近づいていくと、一頭が飛び出してきた。
とりあえず<飛剣>。翼を狙ったつもりが、首に当たってしまった。

ザクッ

一撃で首を飛ばしてしまった。
まあ良いか、あと9回練習できる。

結局8回目でようやく翼を狙って切れるようになった。
それまでは、首を切ってしまったり、外したり。
一応10頭全部倒したのだが、うまく斬撃にならずに、叩きつけたようなものもあり、死体がぐちゃぐちゃのもある。
とりあえず、マジックボックスに全部しまった。

山を降りて、馬車まで来たが、このままだと野営が必要になる。
途中で野営すると、逆に危険なので、ここで野営するか、王都の近くで野営するか。
折角だからここで野営していくか。

<アイテムボックス>からテントを取り出す。

あ、見張りどうしようか。
最近野営は騎士が見張りしてくれてたので、忘れてた。

もともとこういう時に、野営で見張りを分担するために奴隷買ったんだった。
最近二人連れて冒険して無いなぁ。
二人にも申し訳ないことしたな。最近ずっとリリアのお供ばっかで。
今度一緒に依頼受けるか。

俺はテントをしまって、馬車の中で徹夜してから帰った。
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