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103 閑話 クリスマス
しおりを挟む#103 閑話 クリスマス
そろそろ年の瀬だ。
去年は生活に一杯一杯でよく覚えてない。
それに今年は王都だ。
何かイベントがあってもおかしくない。
「リリア様、そろそろ年末ですが、何かありますか?」
「な、何かとは、な、なんでしょう?」
「いえ、特別なイベントとか」
「い、イベントですか。そ、そうですね、ええ、その、恋人の日という物がありますわ。一年のお互いの愛情を確認する人いうか、そう言った日ですわ!ザパンニでは一年中温暖ですので、12月24日と決めていますが、北のアズール帝国では初雪の降った日、となっているそうですわ。」
クリスマスみたいなイベントがあるらしい。
「その日は恋人同士で1日を過ごし、愛を確認し合うそうです。そ、その、その日は宿屋が満員だとか。。。」
なるほど、それで挙動不審だったのか。
だけど、それじゃ、宿の予約も取れないな。
そうなると、何か特別な事と言えば、やっぱりプレゼントだろう。
買ったものだと、スペシャル感が出ないので、自分で作ってみよう。
ふむ、ぬいぐるみとかどうだろうか。前に買ってげた時は喜んでたし。
うん、いいかもしれない。
それには、多分裁縫とかのスキルが必要だろう。どんなスキルがあるのかは知らないが。。。
一度ぬいぐるみをバラしてみようか。
庶民向けの店で、安いぬいぐるみを購入し、バラしてみた。
20くらいのパーツに分かれており、結構手が込んでいるのがわかる。
最初からぬいぐるみはハードルが高そうだったので、まずは雑巾から初めてみよう。
まつり縫いだっけ?ぐるぐる巻くやつ。上下にチクチクするやつだっけ?
とにかく、やってみるべしと、雑巾をいくつか作ってみる。
うーん、これだけじゃ流石にスキルはつかないか。
縫い物となると、刺繍かパッチワークかな。
せっかくなので、自分のベッド用のシーツカバーを作ってみよう。
いろんな色や柄の布を買ってきて、一定の大きさに切り揃え、適当に並べてみる。
うん、何がどうしたら良いのかよくわからん。
しかしまあ、やることは縫い合わせるだけだ。簡単だろう。
そう思っていた時期がありました。
ただ縫っていると、前に縫ったところが解けてしまうのだ。
ちゃんと最初と最後を縫い固めないとダメらしい。
マリアを先生に迎え、縫い方を練習する。
シーツカバーが出来上がることになって、ようやく<裁縫>スキルがついた。
もう少し早く欲しかった。
ともかく<裁縫>スキルは手に入れたので、ぬいぐるみにチャレンジしてみよう。
マリア先生の指導のもと、パーツごとに切り分けていく。
型紙の作画はマリア先生だ。俺には無理だ。
切って、縫って、布を入れて完成だ。
ところどころ解れているが、ご愛嬌というものだ。lv1ならこんなものだろう。
リボンで括って、インベントリにしまっておく。
これで準備は完了だ。
12/24当日
「リリア様、準備はできましたか?」
俺はなかなか姿を見せないリリア様に、ドア越しに声をかける。
「も、もう少しお待ちくださいまし。
マリアさん、これは流石に、、、透けてますし。。。」
「いえ、この位でないとご主人様を悩殺できません。
下着の選び方で人生が変わるんです!」
何やら、聞いてはいけないことを聞いてしまった気がする。
ともかく、まだかかるんなら、気長に待つことにしよう。
しばらくすると、リリア様がリビングに降りてきた。
かなり気合が入っているドレス姿だ。化粧もバッチリだ。どこの舞踏会に出るつもりだろう?
「リリア様、お似合いですよ」
「ありがとうございます。
では出かけましょうか」
「リリア様、右手と右足が同時に出てますよ」
「きょ、今日はそういう気分なんです」
真っ赤になって言い繕う。
可愛いので許してあげよう。
俺たちは商人街でウィンドウショッピンをしたりしながら、カフェでお茶を楽しんだりした。
しかし、夕方になるにつれて、リリア様が挙動不審になっていく。
「リリア様、何か気になることでも?」
「いえ、なんでもありませんわ」
なんでも有るように見えたから聞いたんだが。
マリアから何か入れ知恵されたんだろうか?
夕食をレストランでとったあと、リリア様が、真っ赤になりながら、「これを」と言いつつ渡してきた。
王都に来た時に泊まった宿屋の鍵だ。
予約してあったらしい。
俺が予約に行った時には、もう一杯だったので、もっと前から準備していたのだろう。
どうりで、イベントの話を聞いた時に不審な返答だったはずだ。
俺は、何事もないような顔で受け取り、では、向かいましょうか、と言って手をとった。
宿屋につき、部屋に入ると、リリア様が、後ろを向くように指示してきた。
俺はよくわからないまま、後ろを向いたが、リリア様は衣擦れの音をさせながら、何かしていた。
「も、もう良いですわよ」
俺が振り向くと、リリア様が裸で立っていた。
いや、裸の上からリボンを巻いていた。
「ぷ、プレゼントですわ」
俺はリリア様を押し倒した。
翌朝、リリア様にぬいぐるみを渡したが、微妙な顔をされた。一応、「嬉しい」とは言ってくれたが、、、
それと、リリア様には今後、「リリア」と呼び捨てにしてほしいと言われた。
俺的には問題なかったので、了承したが、リリア様、いや、リリアは呼ばれて真っ赤になっていた。
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