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068 先生に聞くのが普通です
しおりを挟む#068 先生に聞くのが普通です
今日、俺は勉強している。
そう、勉強だ。
昨夜、リリア様に学院の勉強について聞かれたのが、答えられなかったのだ。
魔法学と言う分野なのだが、普通に魔法を使うだけでなく、魔法具に記述する魔法陣に関しても学ぶのだ。
俺は魔法大全という本でどんな魔法があるかを知り、それを再現することで魔法を使っている。
なので、理論的なことはさっぱりなのだ。
そこで、リリア様に教科書を借りて、勉強しているのだ。
今の俺のステータスなら、一度読めば一通りは覚えれる。
しかし、理解したり、応用したりするのは別だ。
そのためには、しっかりと勉強する必要がある。
とりあえず教科書は全部読んだ。
それほど難しい話は載っていないが、俺の知識と違うところがあって、ややこしい。
俺の知識は神様から教えてもらったものなので、間違いはないはずだが、この世界で伝わっている知識とズレがあるのだ。
例を挙げれば、魔法の使い方だ。
俺の知っている魔法の使い方は、魔力を集める、属性に変換する、イメージを固める、放射する、の4段階だ。
だが、この世界の常識としては、呪文を唱える、魔法陣を脳裏に思い描く、というのが途中で入る。
呪文はまだ、イメージを固めるために使うと考えればわからなくもないが、魔法陣を思い描く理由がわからない。
教科書にも、そういうもんだとしか書かれていない。
しかも、魔法ごとに魔法陣が違うため、たくさんの魔法を使おうとすると、たくさんの魔法陣を覚える必要がある。
なので、使い勝手の良い魔法だけを覚えるのが普通なのだそうだ。
(授業では試験として魔法陣を描くというのがあるので、一度は覚える必要がある。)
さらに、属性には適性があり、適性のない魔法は使えないという。
俺の知識では、皆どの属性でも使えるが、lv1の魔法だけで、それ以上になると適性が必要になる、というものだ。
lv1というのは、種火を出したり、飲み水を出したりするレベルだ。
どうも、魔法にレベルという概念がないため、誰でも使えるのを<生活魔法>とし、それ以上を属性魔法としているようだ。
<生活魔法>に関しても、使おうと思えば使えるが、魔力量の関係で、頻繁に使うわけにいかず、結局使わずに火打ち石や井戸水で済ませているのが現状だ。
他に、歴史に関しても齟齬がある。
どうも、俺の知っている時代は数百年前の常識のようだ。
当時は各国が戦争をしており、冒険者も魔物討伐よりも戦争で名を挙げていたと記憶している。
しかし、現在は、各国の仲はそれほど悪くないが、東の小国が荒れているため、飛び火が飛んでくる程度らしい。
経済的にも落ち着いており、各国共通の通貨を使っている。
戦争当時から共通の貨幣を使っていたが、戦時通貨が発行されたりして、経済が混乱した時期もあったらしい。
現在では、各国が話し合って、金の含有率などを決めているそうだ。
貨幣価値は以下の通りだ。
鉄貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨、光金貨
鉄貨一枚で1スート、基本十倍ずつ上がっていき、光金貨だけ白金貨の100倍の価値がある。10億スートだ。
1スート十円くらいだ。
あとは魔法具というものに関してだ。
魔法具は、魔法を使う際に頭に思い浮かべる、魔法陣を魔石に刻んで作るものだ。
鉄や銅に刻んで、特定の場所に魔石をセットすることもある。
この魔法具というものは、俺の知識にもあるが、もっといろんなものに使われていた。
しかし今は、魔法の使い勝手が悪くなったのと同じく、技術力が低くなっているのかもしれない。
着火などの簡単なものはあるのだが、結界を張ったり、攻撃魔法が使える魔法具などはほとんど現存していない。
国がいくつか持っているくらいじゃないだろうか。
俺は魔法具に関する知識も持っているので、魔法具の製作は可能だ。
だが、魔法具を作るには、<付与魔法>が使えないといけない。
俺は<付与魔法>も使える。
だが、使い方がよくわからない。
「ただいま戻りましたわ」
リリア様が帰ってきた。
「リリア様、昨日聞かれた魔法学の話ですが。。。」
「ああ、それでしたら、今日先生に教えていただきましたわ。
とても分かり易かったですわ」
そうですか。
そうだよね、学院に通ってるんだから、先生に聞くのが普通だよね。
俺の努力どこへ行った。
まあ、この世界の事を知れただけ良かったとしておこう。
常識がずれてると、どこでヘマするかわからないからね。
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