スキルを極めろ!

アルテミス

文字の大きさ
上 下
49 / 351

049 男は俺だけ

しおりを挟む

#049 男は俺だけ

 今日は屋敷の引き渡し日だ。
 
 馬車に乗って、屋敷に向かう。
 屋敷にはメイドや執事、庭師、護衛の騎士など、全部で50人ほどいるという。
 
確かにあの大きさを考えれば、その位要るかもしれない。
特に護衛に関しては、24時間体制で、ローテーションで回さなければいけないので、なおさらだ。

屋敷の前に着き、馬車を降りると、先日見たのとは比べ物にならなくらい綺麗になっていた。
庭も雑草が抜かれ、綺麗な芝生に生え変わっている。

玄関の前には50人ほどのメイドや兵士が並び、頭を下げてくる。

「「「お帰りなさいませ、お嬢様」」」

秋葉原かどこかの特殊なカフェの様だ。

「ご苦労様です、私がこの屋敷の主人となった、リリアーナ・フォン・オーユゴックです。
何分、不慣れですので、フォローしていただけると助かります。
これから、よろしくお願いします」

リリア様が軽く頭を下げる。
すると、メイドや兵士達も頭を下げる。
いつ終わるんだろうね。

俺たちは中に案内され、リリア様が使う主寝室、隣に護衛のためにマリアの部屋。クレアは反対側の隣だ。
俺?男がそんなに近くの部屋に入れるわけないよ。

リリア様とは一番遠い部屋をあてがわれた。
俺としては文句はない。
ただ、これだけはさけたかった。

「ジン様、専属のメイドとなりました、ルナです。
これからよろしくお願いします」

頭を下げてきたのは、自称俺の専属メイドだ。
リリア様が付けてくれたらしい。
しかし、俺からしたら、余計なお世話だ。プライバシーも何も有ったもんじゃない。

そこで、付属の部屋で待機してもらい、用があれば声をかけるか、呼び鈴を鳴らすということで落ち着いた。
いや、それが普通じゃないかな?メイドさんもずっと立っているわけにもいかないだろうし。
でも、オーユゴックでは、ずっと立っていた。
お客様と通常とは違うのかもしれない。お客なら居る時間は限られているしね。

それと、付属の部屋だが、主要な部屋には、メイドや従者用に小部屋が付いている。
貴族は自分専属の従者を連れて歩くのが当たり前らしい。
付属の部屋にも簡単なキッチンがあり、お茶くらいは入れれる様になっている。


「あぁ、ルナさん、この屋敷、お風呂はあるのか?」

「ジン様、どうか、ルナと呼び捨てでお願いします。
それと、お風呂ですが、ございます。
現在、当屋敷では男性はおりませんので、ジン様専用となります」

「え、男って、俺だけ?
執事さんとか男性じゃないんですか?」

「ええ、胸はありませんし、髪も短いので誤解されやすいですが、女性です」

「兵士さんや庭師さんも?」

「もちろんでございます。
メアリー殿下より、リリア様に何かあっては大変だから、と全員女性を指名されました」

なんて事だ。
男が俺しかいないなんて。メアリー様、何をやってるんですか!?
アウェー感がハンパない。
ルナさんも専属メイドとは名ばかりの監視かもしれない。

「と、とりあえず、お茶とか欲しいかな??」

俺も動揺してるのだろう。疑問形になってしまった。

「かしこまりました。少しお待ちください」

ルナさんは隣の従者部屋に入っていった。
ふぅ、とりあえず一人だ。
今のうちに整理しておこう。

俺たちはリリア様に雇われた。良し。
マリアは直衛、クレアは屋敷の護衛への参加。良し。
俺は基本フリー。リリア様の休日だけお付き合いする程度。良し。
屋敷には俺の部屋があり、衣食住が保証されている。良し。
裏庭には<調合><鍛治>が出来るこやが建てられる予定。良し。
この屋敷には男が俺しかいない。よく無し。

俺一人浮いてるよ?
せめて、執事や兵士に男も入れようよ。

リリア様に相談すると、メアリー様の強い要望で、断れなかったらしい。
俺の人生終わったかもしれない。
いや、俺だけ宿に泊まればどうだろう?
リリア様の休みの日だけ屋敷に通うとか?

結構いい案かもしれない。
早速リリア様に相談に行った。

「ジン様、屋敷に住むことも契約に入ってますのよ?
、、、それに、すれ違った時におやすみとか言えないですし。。。」

後半はよく聞き取れなかったが、宿を取るのもダメらしい。

仕方がないので受け入れることにして、裏庭に出てみる。
前にも見たが、広い。隅の方で工事しているのは俺の小屋を作ってくれているのだろう。

裏庭で訓練をすることにする。
剣を振りながら少しずつ前に出て、裏庭を一周する。
次は槍だ。盾を持った状態で、右手だけで槍を振るう。これも裏庭を一周する。
基本、剣も槍も、前に出て叩きつけるので、自然と前に進むのだ。

そのあとは<格闘術>だ日本で漫画で読んだ動きをなんとなく思い出しながら、なんとなく体を動かす。
型はできてないだろうが、一つ一つに力を込めて、全力で行う。
すると、無駄な動きというのが見えてきた。妙な動きをすると、体に負担がかかるのだ。
負担が軽くなる様に、試行錯誤していると、ルナさんが水差しとコップを持ってきてくれた。

「ありがとう」

俺はありがたく頂き、続きをする。
何かわかりそうな感覚があるのだ。
全力で体を動かし、変に感じたところを修正していく。
徐々に体の動きが滑らかになっていく。
そして正拳突きをした時に、これだ、と感じた。何度も正拳突きを放つが、同じ動きができている。
他の動きも確認してみた。スムーズな動きで体への負担が少ない。

もしかして、と思いステータスを見る。

<ステータス>

やはり、<格闘術>がlv1になっていた。
自分で努力して上がるのは嬉しいね。
魔法は循環させてたら、いつの間にか上がっていたから、あまり実感がないんだよね。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。 子供の頃、僕は奴隷として売られていた。 そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。 だから、僕は自分に誓ったんだ。 ギルドのメンバーのために、生きるんだって。 でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。 「クビ」 その言葉で、僕はギルドから追放された。 一人。 その日からギルドの崩壊が始まった。 僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。 だけど、もう遅いよ。 僕は僕なりの旅を始めたから。

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません

青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。 だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。 女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。 途方に暮れる主人公たち。 だが、たった一つの救いがあった。 三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。 右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。 圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。 双方の利害が一致した。 ※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。 それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。 かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。 果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!? ※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。

召喚アラサー女~ 自由に生きています!

マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。 牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子 信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。 初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった *** 異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います

処理中です...