スキルを極めろ!

アルテミス

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#027

今日はギルドで護衛依頼を受けたので、冒険者の格好だ。
リリア様は冒険者がいなくても、兵士がいるから、、、と言っていたが、冒険者を雇わないのも外聞が悪いので仕方ない。
リリア様も分かっているはずだ。

「マリア、リリア様と馬車の中で直衛だ。
クレアは後ろの馬車に乗って、後ろを警戒しろ。
俺は御者席で前方を警戒する」

「「はい」」

「では、バンさん、よろしくお願いします」



10日後、無事オーユゴック領領都ロービスに到着した。
途中、村を経由して戻ってきたが、魔物も盗賊も襲ってこなかったので、何も説明することがないのだ。

「それではリリア様、ギルドの終了確認のサインをお願いします」

「はい。。。これで大丈夫です」

「ありがとうございます。
では、明日の午前中に直接依頼の方の依頼料をいただきに参りますので、伯爵様によろしくお伝えください」

俺たちはギルドに顔を出し、護衛依頼の終了報告を行った。
片道の依頼で、銀貨15枚だった。食事付きだし、王都周辺の安全な道だし、こんなもんだろう。


翌日の朝、3人で伯爵邸に向かった。

「よく来てくれた。話は聞いておる。
盗賊を退治してくれたそうだな。
残党は騎士団を派遣して捜索させておるから問題ない。

これは今回の報酬の金貨20枚だ」

伯爵は金貨の入った袋を渡してくる。

「クレア、マリア、ちょっと外に出ていてくれ」

「??はい」

二人が出て行ったのを確認して、伯爵に話しかける。

「追加で報告があるのですが。。。」

「2人を追い出してまでする報告か、聞こう」

「実は盗賊を追い返した後、アジトを探して殲滅しまして。
その時に見つけたのがこの手紙です」

俺は盗賊の根城で見つけた手紙を渡す。

伯爵はそれを読んで唸った。

「これは。。。このことを知っているのは他にいるか?」

「いいえ、奴隷の二人も、リリア様も知りません」

「そうか。良い判断だ。
この件に関してはわしの方で調査しよう。

これは追加で報酬を払わねばならんな」

机から袋を取り出して渡してきた。
中を開けると、金貨が10枚入っていた。

「報酬と口止め料だ。口外無用だぞ」

「了解しました。私は何も見てません。何も知りません」

「結構だ。下がって良いぞ」


部屋から出ると、メイドさんにリリア様の部屋に案内してもらった。
メイドさんがノックして、俺たちが来たことを伝えると、入っていいとの事だったので遠慮なく入らせてもらった。

「よく来てくださいました。
ちょうど、母と姉2人と話をしていたところです」

「奥方様、お嬢様方、冒険者のジンと申します。
お見知り置きを。

こちらは私のパーティメンバーで、クレアとマリアと申します」

「まぁ、あなたがリリアの英雄どのですのね。
話は聞いてますよ。
娘を助けていただき、ありがとうございました。
オーガの時だけじゃなく、盗賊からも助けていただいたとか。
私たちで出来ることならなんでも言ってくださいね。
出来るだけお手伝いさせてもらいますわ」

「お、お母様、英雄だなんて私一言も。。。」

「あら、でもあれだけ語ってたら、英雄視していると思ってしまうわ」

「お姉様まで。。。」

その時、メイドさんがワゴンを押して入ってきた。

「あら、お茶かしら」

「はい、ジン様からお預かりしたお土産も持ってきました」

「お土産ですか?」

リリア様は俺が買ったのを知らないので、メイドさんに聞き返した。

「リリア様、王都で食べ損なったケーキですよ。
帰る前に買ってきました。
皆さんで召し上がってください」

「まぁ、王都のケーキだなんて、久しぶりね。
でも、10日も経って大丈夫かしら」

「ご安心を。時間停止した状態で持ってきましたので」

「まぁ、出来る男は違いますわね」

奥様が持ち上げてくる。
チラチラとリリア様を見ているので、これもからかいのうちなのだろう。

「さぁ、折角ですからいただきましょう」

奥様の一言で、全員がソファーに座る。
クレアとマリアは俺の後ろだ。
相変わらず、貴族と同じ席にはつかないようだ。

「美味しいですわ。
どこの店で買われたのでしょう?」

「商人街の表通りでカフェをやっているところです。
最近流行っているそうで、リリア様と行こうとしたのですが、人がいっぱいで諦めたのです」

「まぁ、リリアと『二人で』ねぇ」

「お母様!」

「リリア、後で詳しく話してちょうだいね」

お嬢様が口を挟む。

「私が王都にいた頃にはそんな噂はなかったわ。
最近できたのかしら?」

「店の外観は綺麗でしたし、そうかもしれません。

おや、この紅茶美味しいですね。
これもこの領の特産品ですか?」

「えぇ、紅茶の種類も3種類輸出してますわ。
これは一番甘みが少なく、酸味が強いものですわね。
ケーキによく合いますのよ」

「ええ、美味しいです」

その後も、オーガ退治や、盗賊退治などの話を面白おかしく話をした。

そろそろ帰る時間かと、立ち上がると、リリア様が切羽詰まったような顔で話しかけてきた。

「あ、あの、またお茶に誘ってもよろしいですか?
あの、無理ならそう言っていただいても。。。」

「いえ、嬉しいですよ。ぜひ呼んで下さい」

「はい!」

奥様とお嬢様方が何やらこそこそと話しているのが見えたが、あえて無視して退出した。


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