異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス

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第6章 マルモス王国編

124 マルモス王国王都

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#124 マルモス王国王都

 帰還してからは早かった。俺が目的を遂げたと言ったら、速攻で王都への帰還が決まった。
まあそうだよね、まだダンジョンに潜りたいなんて言ったら怒られそうだ。何も学んでない!って。

 でも何とかリリスさんと海棲のダンジョンってどんな関係なんだろうか?奥殿なら俺とやりとりが出来るような事を言っていたが、海棲のダンジョンなら奥殿でなくても大丈夫なのか?海棲のダンジョンと何か関わりがあるのかもしれないな。
 それに奥殿にアクセス出来るのって女神様だけじゃないの?なんちゃらリリスさんは女神って感じじゃなかったけどなぁ。リスモットさんも天照さんも真面目だったし、女神様は基本真面目なんだと思ってたけど、ああいう女神様もいるのかな?
 あ、反女神教の信仰心が届いたとか言ってたな。じゃあやっぱり女神様か?でも反女神教とやらの信仰心が届く女神ってどんなんだ?


 王都への戻りの馬車でああでもない、こうでもないと考えながら旅を続けたが、当然結論なんて出ない。

「ジン様、お嬢様への言い訳はどうしましょうか?」

 クレア、リリアーナさんには黙っとくとかダメかな?ダメだよね。うん、わかってるよ。

「正直に言うしかないだろうなぁ。リスモット様以外にも女神様がいるのは知ってるし、一人くらい追加しても問題ないだろうさ。なんか追加で加護をもらったみたいだけど今更だろうしね。
 俺よりもクレアの方が問題じゃない?」

「ええ、私は正直に全てを話すつもりです。お嬢様の偽手紙に気づかずに必殺技なんて開発していたなんて恥ずかしいですが、嘘をついても仕方がありません。おそらく私は解雇されるでしょうけど、仕方がありません。ジン様の側を離れた上に私を助けるためにダンジョンに潜らせてしまったのですから。責任は取らなくてはいけません」

「いや、あの場合仕方がないんじゃないかな?女神様?の作った偽手紙なんて見破れなくて当然だと思うし。それに結果的に俺は怪我一つなかったんだしね。リリアーナさんもわかってくれるよ」

「お嬢様は情に厚い方ではありますが、今回の件は陛下にも報告が入っているはずです。もちろん教会にも。お嬢様がいくら私を庇ってくださっても何も罰がないのはあり得ません。
 最悪一族郎党縛り首です」

 うーん、あのなんちゃらリリスさんの事を正直に話せば納得してくれそうにも思うけど、リスモット様以外の女神が存在するってのを公開するのもどうかと思うし。 




「お帰りなさいませ!」

 宰相さんだったかな?最初に王都に来た時に出迎えてくれた人だ。エリスさんが印象的だったので名前は覚えていない。

「ただいま帰りました。ご心配をおかけしたようで申し訳ありませんでした」

 王国にも失踪の連絡は行ってるって話だし、ここは謝っておくのが筋だろう。

「何の何の、結果的に無事に戻ってきていただいたのです、問題ありません」

 いやかなり焦っていたって聞いてるけど?

「それよりもお疲れでしょう。部屋を用意させましたのでまずはおくつろぎください」

 既にメイドさんが横で待っている。でも先に陛下に報告しておきたいんだけどな。

「陛下はお忙しいでしょうか?是非今回の件に関して謝罪をしておきたいのですが」

 自分の価値が高いのはなんとなく分かっているので俺が失踪した事は多分マルモス王国の失態になるはず。たとえ俺のわがままでダンジョンに篭ったのだとしても。それをマルモス王国の責任にせずに俺のわがままだったと明言することで国に責任を負わせないようにしたいのだ。

「それがその、陛下は現在寝込んでおられまして・・・」

 あれ、俺が前に謁見したときは元気だったけど、このひと月で病気にでもなったんだろうか。

「ジン様が行方不明になられたと聞いてから伏せっておりまして」

 なんと俺の責任問題に頭を悩ませて体調不良になったのか。それは申し訳ないな。余計にはっきりと王国に責任がない事を明言しておかないと。

「ならお見舞いをしたいのですが」

「よろしいのですか?今は各国から当国は非難を浴びておりまして、そこでジン様が陛下とお会いすると何を言われるかわかりませんぞ」

「ええ、マルモス王国に責任がない事を明言しておこうかと思いまして」

「え、本当ですか!是非お願いします!それを聞けば陛下の容体も良くなられる事でしょう!」

 すごく喜んでくれているが、これは俺のわがままが招いた結果だ。マルモス王国に責任を負わせるのは間違っているだろう。

 どうやら陛下の身支度のために時間がかかるらしいので俺は先に自分に与えられた部屋に案内してもらう。

 部屋には豪華な衣装が用意されていた。

 もしかしてこれ着ないといけないやつかな?

 前に会った時は謁見だったから仕方ないと思ったけど、今日は見舞いだよね?多分寝室とかに行って責任の所在をはっきりと説明するだけだと思うんだけど。



 正式な謁見でした。

 大きな扉を抜けて、赤い絨毯を歩き、段の下で止まり跪く。

「陛下におかれましてごきげんうるわしゅう・・・」

「ああ、良い。挨拶は不要だ。用件を聞かせてもらおう」

 責任がないと分かった途端に話を急かせるなんてよほど心配だったのだろう。

「今回の私のダンジョン探索と失踪に関しては完全に私のわがままによるもので、マルモス王国に非は無いとお伝えしたかったのです。私のわがままのせいで国に負担をおかけして申し訳ありませんでした」

 それを聞いて安堵したのか、陛下がホッと息を吐いた。

「うむ、確認するが今回の件に関して当王国に責任はないと言う事だな?」

「はい、その通りです。この事は各国に伝えていただいて結構です。必要であればその旨、私から手紙を出しましょう」

「うむ、そうしてくれるとありがたい」

 精神的な疲労だったのか、陛下の顔色はそれほど悪くない。むしろ良いんじゃないんだろうか。

「ではそういう事で。そう言えばお加減が宜しくないとお聞きしましたがもう宜しいのですか?」

「うむ、ジン殿が無事と分かったからには伏せってはおれぬゆえな」

 俺が無事だというより国の責任を逃れれた方が嬉しかったのだとは思うが。



 俺が国に責任がない事を貴族たちの前で宣言すると早々に謁見は終わった。こういうドライな所は好きになれないな。
 婚約者候補になるのに条件をつけてきたり、国内の意見はちゃんと統治できてるのだろうか。
 なんか俺の扱いが、仕方ないから上客として扱っている感が凄いんだよね。まあ女神様の件を除けば俺に価値なんて無いから仕方ないんだけどもうちょっと隠して欲しいな。



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みんなの感想(182件)

しじゅ
2022.05.13 しじゅ

ハーレム系なら、タグに「ハーレム」入れておいていただけると助かります。地雷なので、「婚約」まで読んでガッカリしました...

解除
mikan@23
2022.05.08 mikan@23

118話、水の妖精はいずこ?

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mikan@23
2022.05.08 mikan@23

78話について、ワインができるのでは?

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