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第6章 マルモス王国編
119 海棲のダンジョン(3)
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#119 海棲のダンジョン(3)
ダンジョンの探索は順調に進んでいる。と思う。
マックスさん達が持っている地図を頼りに順調に階層を降りていく。魔物は強くなっていくものの、対処できないほどではない。まあ一度はマックスさん達が通った道だ、当然かもしれないが。
エリスも嬉々として魔物を倒している。意外と言うか、ちゃんとマックスさん達と連携が取れている。
一人で突っ込んで自分勝手に戦いまくるのかと思っていたので感心した。だって会った途端に挨拶よりも先に模擬戦を要求してくる様な性格だよ?協調性なんか無いものだと思っていた。
今俺の前には魔物がいる。もちろん周囲は騎士が護衛してくれているし、マックスさんは絶賛戦闘中だ。
俺が気にしているのはその見た目だ。
全体的には魚だ。手足がついている。そこまでは良い。既に似たような魔物と会っている。
だけどこいつは足で2足歩行しているのだ。しかも口のあたりにはナマズのような髭が何本も生えている。そして直立していると言うのに少しだけ浮いている。
ダゴンだ。間違いない、ダゴンだ。
「マスタースピードフィッシュだ!緩急の差が激しいから避け損なうなよ!」
どうやらダゴンじゃ無かったらしい。
旅の途中でクトゥルフくさい奴に襲われたから居るかもとは思っていたが、まさかこんな形で遭遇するとは。ダゴンじゃないらしいがSAN値減ってないよね?
「おっしゃー倒したぞ!こいつの髭は高く売れるからな。回収していくぞ」
見た目は魚なのに身ではなく肉らしい。しかも食べれないとか。食べると笑い茸のように暫くは笑いが止まらなくなるそうだ。
まあ食べれたとしても手足のついた魚を食べる気はしないが。
ダゴンもどきがこの辺りのボスだったらしく、それ以上強い魔物は出て来なかった。
さらに階層を降りていくと探索の済んでないエリアに来たらしい。盗賊の人がマッピングを始めた。この人名前なんだっけ?
・・・
そして俺は穴に落ちた。トラップなら下に槍でも敷いていそうなもんだが、俺の体は未だに下降中だ。いきなり足元に黒い空間が開き、吸い込まれるように落ちた。スロープのようになっており、全くひっかかりなない。壁がつるんつるんなのだ。勢いを殺そうと足を広げて抵抗を作ろうとするが油でも塗ったかのように滑ってしまう。俺は抵抗を諦めた。
・・・
「いてっ!」
どれだけ落ちただろうか。真っ暗なので時間の感覚が曖昧だ。落ちた距離にしては衝撃は少なかったが、尾骶骨を打ってしまった。地味に痛い。
「やっっほーーー!プリティーリリスちゃんだよーー!」
俺の目の前には超ミニのセーラー服を着て、手には先っちょが星型をしているステッキを持っている。なんかキラキラしてるのは魔法だろうか。
「あっれー、おかしいなぁ。ジン君の記憶から探った格好してるはずなのに」
いつの間に俺の記憶を漁ったんだ?
って言うか、別に俺はマジカルな少女を推してはいない。
「てか誰?」
「だからー、プリティーリリスちゃんだよっ!」
だから誰だよ。なんか金髪にツインテールとかしてるところがムカつく。
「こないだはごめんねー。話せる場所が神殿しかなかったから無理やり割り込んだんだけど中途半端になっちゃったよねー。だからダンジョンから直接招待しちゃいました!」
え、こないだの神殿の話ってもしかしてあの気持ちの悪い奴の話?それがこの少女?えっ?
「えっと、貴女がこないだ奥殿?で話した方ですか?」
「そうだよー、ラブリーリリスちゃんって呼んでね!」
なんか雰囲気が全然違うんだが。あの時は死ぬ間際みたいな恐怖を撒き散らかしていたんだが。
「何か雰囲気違いませんか?」
「そうかなー、あ、遠隔だったし無理やり割り込んだからちょっとおかしかったかもー」
そんなレベルの違いじゃ無かったが。まあいい、この人がクレアを攫った人だと判明したのだから返してもらわないといけない。
「クレアを何処にやったんですか?!無事なんでしょうね?!」
「ん?ああ、ジンくんの従者ね。あっちの部屋で訓練してるよ?」
訓練?攫われたんじゃ無かったのか?
「おーい、従者ちゃん、ご主人様が迎えにきたよー」
「え、もうそんな時間ですか?ジン様短い時間とはいえ離れてしまい申し訳ありませんでした。あまつさえ迎えにきていただくなんて。もう少し訓練を積んだら帰ろうかと思っていたんですが」
クレアが何食わぬ顔で隣の部屋から出てきたんだが、特に拘束されてないし、暴行を受けた感じもしない。
ーーーー
長くなったので2話に分けました。
中途半端な場所で切ってしまいました。ごめんなさい。
ダンジョンの探索は順調に進んでいる。と思う。
マックスさん達が持っている地図を頼りに順調に階層を降りていく。魔物は強くなっていくものの、対処できないほどではない。まあ一度はマックスさん達が通った道だ、当然かもしれないが。
エリスも嬉々として魔物を倒している。意外と言うか、ちゃんとマックスさん達と連携が取れている。
一人で突っ込んで自分勝手に戦いまくるのかと思っていたので感心した。だって会った途端に挨拶よりも先に模擬戦を要求してくる様な性格だよ?協調性なんか無いものだと思っていた。
今俺の前には魔物がいる。もちろん周囲は騎士が護衛してくれているし、マックスさんは絶賛戦闘中だ。
俺が気にしているのはその見た目だ。
全体的には魚だ。手足がついている。そこまでは良い。既に似たような魔物と会っている。
だけどこいつは足で2足歩行しているのだ。しかも口のあたりにはナマズのような髭が何本も生えている。そして直立していると言うのに少しだけ浮いている。
ダゴンだ。間違いない、ダゴンだ。
「マスタースピードフィッシュだ!緩急の差が激しいから避け損なうなよ!」
どうやらダゴンじゃ無かったらしい。
旅の途中でクトゥルフくさい奴に襲われたから居るかもとは思っていたが、まさかこんな形で遭遇するとは。ダゴンじゃないらしいがSAN値減ってないよね?
「おっしゃー倒したぞ!こいつの髭は高く売れるからな。回収していくぞ」
見た目は魚なのに身ではなく肉らしい。しかも食べれないとか。食べると笑い茸のように暫くは笑いが止まらなくなるそうだ。
まあ食べれたとしても手足のついた魚を食べる気はしないが。
ダゴンもどきがこの辺りのボスだったらしく、それ以上強い魔物は出て来なかった。
さらに階層を降りていくと探索の済んでないエリアに来たらしい。盗賊の人がマッピングを始めた。この人名前なんだっけ?
・・・
そして俺は穴に落ちた。トラップなら下に槍でも敷いていそうなもんだが、俺の体は未だに下降中だ。いきなり足元に黒い空間が開き、吸い込まれるように落ちた。スロープのようになっており、全くひっかかりなない。壁がつるんつるんなのだ。勢いを殺そうと足を広げて抵抗を作ろうとするが油でも塗ったかのように滑ってしまう。俺は抵抗を諦めた。
・・・
「いてっ!」
どれだけ落ちただろうか。真っ暗なので時間の感覚が曖昧だ。落ちた距離にしては衝撃は少なかったが、尾骶骨を打ってしまった。地味に痛い。
「やっっほーーー!プリティーリリスちゃんだよーー!」
俺の目の前には超ミニのセーラー服を着て、手には先っちょが星型をしているステッキを持っている。なんかキラキラしてるのは魔法だろうか。
「あっれー、おかしいなぁ。ジン君の記憶から探った格好してるはずなのに」
いつの間に俺の記憶を漁ったんだ?
って言うか、別に俺はマジカルな少女を推してはいない。
「てか誰?」
「だからー、プリティーリリスちゃんだよっ!」
だから誰だよ。なんか金髪にツインテールとかしてるところがムカつく。
「こないだはごめんねー。話せる場所が神殿しかなかったから無理やり割り込んだんだけど中途半端になっちゃったよねー。だからダンジョンから直接招待しちゃいました!」
え、こないだの神殿の話ってもしかしてあの気持ちの悪い奴の話?それがこの少女?えっ?
「えっと、貴女がこないだ奥殿?で話した方ですか?」
「そうだよー、ラブリーリリスちゃんって呼んでね!」
なんか雰囲気が全然違うんだが。あの時は死ぬ間際みたいな恐怖を撒き散らかしていたんだが。
「何か雰囲気違いませんか?」
「そうかなー、あ、遠隔だったし無理やり割り込んだからちょっとおかしかったかもー」
そんなレベルの違いじゃ無かったが。まあいい、この人がクレアを攫った人だと判明したのだから返してもらわないといけない。
「クレアを何処にやったんですか?!無事なんでしょうね?!」
「ん?ああ、ジンくんの従者ね。あっちの部屋で訓練してるよ?」
訓練?攫われたんじゃ無かったのか?
「おーい、従者ちゃん、ご主人様が迎えにきたよー」
「え、もうそんな時間ですか?ジン様短い時間とはいえ離れてしまい申し訳ありませんでした。あまつさえ迎えにきていただくなんて。もう少し訓練を積んだら帰ろうかと思っていたんですが」
クレアが何食わぬ顔で隣の部屋から出てきたんだが、特に拘束されてないし、暴行を受けた感じもしない。
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長くなったので2話に分けました。
中途半端な場所で切ってしまいました。ごめんなさい。
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