異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス

文字の大きさ
上 下
101 / 124
第4章 アレグスト帝国編

101 温泉街

しおりを挟む
#101 温泉街

 街に到着すると、そこかしこから湯気が上がっている。まさに温泉街!

 近くに火山はないらしいけど、山がなくても温泉ならなんでも可。別に露天風呂から見えるのは山景色でないといけないなんて思ってないし。

 それにこの世界、高い建物って王城くらいしかないから温泉旅館も平屋かせいぜい2階建てだろうしね。


「ジン様、この街には王立の博物館もあるんですよ。後で行ってみませんか?」

「良いですね。博物館ってことは歴史的なものが置かれたりしてるんですか?」

「もちろんです。初代国王様が使われてた剣とか、初代王妃様の肖像画とかが展示されてるそうです」

「あれ、もしかしてミール様も来たことないんですか?」

「ええ、王族はそう簡単には外に出れませんので。ここの温泉も初めてです」

「なら一緒に楽しみましょう」

「い、一緒にお風呂、いえそうですね、楽しみましょう」

 ふむ、博物館か。確か国の歴史は1000年くらいあったよな。その間にどんな歴史があったのやら。戦争はなかったっていうし、文化的なのがあるのだろうか?でもこの世界中世で文化レベル止まってるし、1000年前も今の文化レベルだとしか想像できない。


 宿は予想通り平屋の建物だった。その代わり広くて外から見ただけでは周囲を囲む塀が見えるだけで中の様子は分からなかった。ただ塀の上に建物が見えないので平屋だと分かっただけだ。

 中に入ると石造りのしっかりとした建物が最初にあり、周りには木造の家がたくさん並んでいた。

「当店の説明をさせていただきますね。まず、この建物が本館となりますが、宿泊は周囲にあります家ごと使っていただきます。温泉も各家に引いてありますので24時間いつでもお入りになれます。
 食事はこの本館の大食堂でご用意させていただきます。今回はミール様がご利用ということでお食事の場所は仕切りで分けてありますのでご安心ください。
 それと当館の裏には大浴場がございますが、こちらは男女で別れております。ですが広いですので開放感溢れる場所となっております。お二人で入られるなら家に付属の温泉を、お一人で入られるのであれば大浴場をご利用ください。
 タオルや石鹸などは備え付けてありますのでご自由にお使いください。
 それと各家ごとにメイドを一人置きますので何か分からないことがあれば聞いてください」

 ふむ、離れのある温泉場といった感じか。それにしてもこれだけの広い敷地面積を持ってて大浴場というのだから本当に広いのだろう。楽しみだ。

「それでは家の方にご案内しますね」

 外を見ると、荷馬車から色々と運び込んでいるのでその家とやらに設置するのだろう。せっかく宿側が家を用意してくれてるんだからその設備だけで十分だと思うんだけど。それとも日本の温泉と違ってアメニティーとか無いのかな?


 用意された家はもう家と言うには大きすぎて屋敷じゃ無いかと思うほどのサイズだった。2階建てで部屋もたくさんある。そして家の裏側には露天風呂があるそうだ。

「先にお風呂いただいても良いですか?」

 俺は温泉が待ち遠しくて仕方がなかったのだ。ミール様の荷物の整理に時間がかかりそうなので俺は先に入ってしまうことにした。

 備え付けの石鹸で体を洗って温泉につかる。

 うん、これは良いものだ。温度も少し熱いかなと言うくらいで長湯は出来そうにないけど気持ちよく入れた。

「じ、ジン様、私もよろしいでしょうか・・・?」

 ん?ミール様の声が聞こえたような気がしたが気のせいか?まだ荷物の整理をしているはずだが。

 振り向くとそこにはタオルで前を隠したミール様が入ってくるところだった。

 いやいや、ダメでしょう?!

 温泉は寛ぐ場所であってエッチな気分になる場所じゃないですよ!?

「ジャジャーン」

 そう言ってタオルをはだける。俺はとっさに目を瞑ったが一瞬だけ見えたのは彼女の裸・・・ではなくて水着だった。いや水着なら良いと言うものではないんだけどある意味裸よりもエロいから。

 掛け湯して入ってくるが、白い肌にドキドキだ。俺はさりげなく奥の方に移動するとさらっと隣に座ってきた。

「良いお風呂ですねえ」

 良い風呂。うん、良い風呂だ。間違いない。だけど何故彼女がここにいる?俺先に入るって宣言してから入ったよね?

「ジン様とお風呂デートです。じっくり温まっていきましょうね」

 そう言って腕に抱きついてくるが、柔らかいものが当たってます。水着の薄い生地の上から当たってます。何度でも言いますが当たってます。フニュフニュしてます。

「ジン様、お背中流しますか?」

「い、いえさっき洗ったので大丈夫です」

「そうですか?じゃあ私の背中を流してくださいね」

 せ、背中を流す?

「い、いえ、もう十分温まったので俺は出ますね。ゆっくり入っててくださいね。ゆっくりですよ?」

 俺は逃げ出すように温泉を出た。脱衣所には彼女のものと思われる服が置いてあるが、俺は見てない。いや見ない。だって脱衣所にメイドさんが立ってるんだもの。俺が着替える間だけでも出て行ってもらえませんかね?ダメ?そうですか。

 メイドさんに背を向けるようにして服を着た俺は部屋に戻る。俺とミール様には一人部屋があり、使用人は2人部屋を使うらしい。護衛の騎士たちは別の家に拠点を置き、警備の担当だけがこの家の玄関を守っている。


 はあ、まさか入ってくるとは思ってなかった。これは大浴場に行くしかないか?


しおりを挟む
感想 182

あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ
ファンタジー
世界が退屈でしかなかった1人の少年〝稗月倖真〟──彼は生まれつきチート級の身体能力と力を持っていた。だが同時に生まれた現代世界ではその力を持て余す退屈な日々を送っていた。  そんなある日いつものように孤児院の自室で起床し「退屈だな」と、呟いたその瞬間、突如現れた〝光の渦〟に吸い込まれてしまう!  気づくと辺りは白く光る見た事の無い部屋に!?  するとそこに女神アルテナが現れて「取り敢えず異世界で魔王を倒してきてもらえませんか♪」と頼まれる。  だが、異世界に着くと前途多難なことばかり、思わず「おい、アルテナ、聞いてないぞ!」と、叫びたくなるような事態も発覚したり──  でも、何はともあれ、女神様に異世界召喚されることになり、生まれた世界では持て余したチート級の力を使い、異世界へと魔王を倒しに行く主人公の、異世界ファンタジー物語!!

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

処理中です...