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第4章 アレグスト帝国編
090 帝国の食料事情
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#090 帝国の食料事情
子爵領を抜けてしばらく行くと、侯爵領になるらしい。王都の周囲を固める上級貴族の一角だ。王家とも婚姻関係を結んだりして結構発言力がある。もちろん貴族としても公爵の次にえらい。帝国には現在公爵はいないから最高位と言って良いだろう。
「ようこそ、ジン様。お噂はかねがね聞いておりますぞ。この度はミール様とのご縁談おめでとうございます」
「まだ早いですよ。そういうのは陛下らから正式にお話があってからでしょう?」
「もうほとんど決まってるような物じゃないですか。すでにハンバルニ王国には正式に申し入れしてるんですし。こうして迎えにきてくださったという事は了承したという事でしょう?」
「まあそうなんですが、会ったこともない方ですので不安ですね」
「ミール様は聡明な方ですぞ?学業も首席で卒業されまたし、政治的分野に関しても造詣が深いです。音楽や芸術にも幅広く理解を示される方です」
そう聞くと立派な人に聞こえるけど、男ならもっと立場が上だったんだろうね。女性だと逆に高慢になったりするらしいし。鼻にかけるっていうのかな。まあ聡明だって言ってるから大丈夫か。
使者殿が置いてけぼりにされて寂しそうにしてるけど良いんだろうか。
翌日の朝食後に出発したのだが、侯爵様も一緒に行くらしい。どうせ俺の婚約発表で帝都に行かないといけないらしく、護衛のいるこの集団に混ぜてもらうのだとか。自前の騎士団もあるだろうに。え、後で追いつく?それで大丈夫なのか?
途中の馬車で侯爵様といろんな話をした。この口では皇帝の権限がとても強く、絶対だそうな。それでも一般人からの支持も高く人気がある。貴族も忠誠を誓っていて国内は落ち着いていた。
「食料が高いと聞いていますが、ちゃんと生活できてるんでしょうか?」
「そうですね、本来は食料は高いんですが、国からの補助金が出ていますので、ある程度抑えられています。鉱山のほとんどは国の所有ですから国は潤っています。なのでその分を還元してる感じでしょうか」
ああ、鉱山は国有なのか。って、この国、確か鉱物資源とダンジョンで成り立ってなかったか?その片方を牛耳ってるってもう国民の生活を握っているようなもんじゃないか。貴族の領地にある高山も国有なんだろう?なら貴族の収入ってどこから得てるんだ?
「貴族は基本的に街の税金で生活しています。鉱物そものもは国有でもそれを卸した後の製品は税をとれますから。輸出にも税はとれますし、それほど問題はありませんよ。むしろ鉱石の値段が安定して潤っているくらいです」
「この国の鍛冶技術は世界一だと聞きますが、それほど技術力は高いんでしょうか?」
「そうですね。他国とは一線を画します。徒弟制度をとっていますので技術の流出も最低限ですし。それにこの国でしか産出しない鉱物も沢山ありますから。
それに鉱物そのままでの輸出は禁止されています。なのでこの国で生産されたものしか販売されていません。この国でしかとれない鉱石でこの国だけの技術で作られた武器や防具は最高品質です。
他国に販売する際には税金もかかりますし、運ぶのにもお金がかかりますが、それでも欲しいという人は多いのです。
冒険者にも人気がありますしね」
「でもこの国でも見習いの作品や、未熟なおうよというのはいるでしょう?そういうものはどうしてるんですか?」
「この国では鍛治師として認められるには試験があります。見習いの作品は基本鋳潰して何度も使い直されます。そしてちゃんとした資格を取ったものだけが売りに出されます。なので未熟な鍛治師というのは存在しないんですよ」
資格制度か。それなら確かに未熟な製品は出ないな。
「資格には段階があるのですか?」
「ええ、C~Aで三段階あります。Aランクになると注文が殺到して1年待ちとか当たり前ですね。店の看板にもランクを表示するのが義務付けられていますので買う方も安心して買えます」
「それだとCランクの収入が減るんじゃないですか?」
「Cランクでも他国と比べれば技術力は高いです。なので十分生活していけますよ。Aランクのは当然高いですからね。むしろCランクの製品の方が売れてるかもしれません」
そりゃそうか。全員がお金持ってるわけじゃないしね。
「鍛治師以外にも特徴はあるんですか?彫金とか?」
「そうですね。彫金もランク付けされてますが、こちらはそれほど厳格ではありません。技術よりもセンスの方が重要になってきますから。ランクは技術に対してのものですので、品質は安定しますが装飾品としてはセンスが重要になります。なのでデザイン専門を職業にしている人もいますよ」
ふむ。デザイン専門でも食べていけるのか。装飾品も鍛冶製品も多分高価なんだろう。だけど装飾品とから高くでも女性は買うだろうし、特産品としてはありなんだろうね。
「食生活とかはどうなんでしょう?食料品が高いのではあまりバリエーションがなさそうですが」
「さすがに食文化はそれほど栄えてはいませんね。何せ塩以外の香辛料はほどんと取れません。森で取れる独自の香辛料はありますので少し偏ってるかもしれませんね」
森で取れる独自の香辛料ね。確か辛いのが多いんだっけか。俺はそれほど辛いのは得意じゃないんだけどな。
「ジン様は辛いのは大丈夫ですか?一般庶民でも手に入る香辛料といえば辛いものになりますので、食堂などでは気をつけたほうがいいですよ。普通に頼むと辛い味付けのものが出てきますので」
それは困るな。もしかして屋台の串焼きとかも辛いんだろうか?
「辛いですね。まあ他国からの人も多いのでまだマシでしょうが、それでも買う場所は選んだ方がいいです」
屋台も辛いのが多いのか。売り手の人に辛いか確認してから買った方が良さそうだ。
「でも一般庶民でも手に入るんですよね。それほど森で取れるんですか?」
「ええ、普通に自生してますから。ただ魔物も多いので畑で取れたものが多いですね。なぜか畑で取れたものの方が辛味が弱いのであえて冒険者が取ってきた辛いのを使う食堂もあります」
そこまで辛さに拘らなくても良いような気がするけど。
「この国は冬は寒いので辛い食事で体を温めるんですよ。暖炉で薪を使うよりも安価ですから」
ああ、そうだった。この国の冬は雪が降るんだったな。それなら辛い食品も仕方がないのか?
「それに辛いものだけではありませんよ?森の香辛料はいろいろありますからね。ちょっと変わったもので言えばハルマンの種をすりつぶしたものでしょうか。スープに入れると辛いわけではないのに体があったまるんですよ」
生姜みたいなもんか?
「まあ一度食べてみれば分かりますよ」
ーーーー
作者(注)
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子爵領を抜けてしばらく行くと、侯爵領になるらしい。王都の周囲を固める上級貴族の一角だ。王家とも婚姻関係を結んだりして結構発言力がある。もちろん貴族としても公爵の次にえらい。帝国には現在公爵はいないから最高位と言って良いだろう。
「ようこそ、ジン様。お噂はかねがね聞いておりますぞ。この度はミール様とのご縁談おめでとうございます」
「まだ早いですよ。そういうのは陛下らから正式にお話があってからでしょう?」
「もうほとんど決まってるような物じゃないですか。すでにハンバルニ王国には正式に申し入れしてるんですし。こうして迎えにきてくださったという事は了承したという事でしょう?」
「まあそうなんですが、会ったこともない方ですので不安ですね」
「ミール様は聡明な方ですぞ?学業も首席で卒業されまたし、政治的分野に関しても造詣が深いです。音楽や芸術にも幅広く理解を示される方です」
そう聞くと立派な人に聞こえるけど、男ならもっと立場が上だったんだろうね。女性だと逆に高慢になったりするらしいし。鼻にかけるっていうのかな。まあ聡明だって言ってるから大丈夫か。
使者殿が置いてけぼりにされて寂しそうにしてるけど良いんだろうか。
翌日の朝食後に出発したのだが、侯爵様も一緒に行くらしい。どうせ俺の婚約発表で帝都に行かないといけないらしく、護衛のいるこの集団に混ぜてもらうのだとか。自前の騎士団もあるだろうに。え、後で追いつく?それで大丈夫なのか?
途中の馬車で侯爵様といろんな話をした。この口では皇帝の権限がとても強く、絶対だそうな。それでも一般人からの支持も高く人気がある。貴族も忠誠を誓っていて国内は落ち着いていた。
「食料が高いと聞いていますが、ちゃんと生活できてるんでしょうか?」
「そうですね、本来は食料は高いんですが、国からの補助金が出ていますので、ある程度抑えられています。鉱山のほとんどは国の所有ですから国は潤っています。なのでその分を還元してる感じでしょうか」
ああ、鉱山は国有なのか。って、この国、確か鉱物資源とダンジョンで成り立ってなかったか?その片方を牛耳ってるってもう国民の生活を握っているようなもんじゃないか。貴族の領地にある高山も国有なんだろう?なら貴族の収入ってどこから得てるんだ?
「貴族は基本的に街の税金で生活しています。鉱物そものもは国有でもそれを卸した後の製品は税をとれますから。輸出にも税はとれますし、それほど問題はありませんよ。むしろ鉱石の値段が安定して潤っているくらいです」
「この国の鍛冶技術は世界一だと聞きますが、それほど技術力は高いんでしょうか?」
「そうですね。他国とは一線を画します。徒弟制度をとっていますので技術の流出も最低限ですし。それにこの国でしか産出しない鉱物も沢山ありますから。
それに鉱物そのままでの輸出は禁止されています。なのでこの国で生産されたものしか販売されていません。この国でしかとれない鉱石でこの国だけの技術で作られた武器や防具は最高品質です。
他国に販売する際には税金もかかりますし、運ぶのにもお金がかかりますが、それでも欲しいという人は多いのです。
冒険者にも人気がありますしね」
「でもこの国でも見習いの作品や、未熟なおうよというのはいるでしょう?そういうものはどうしてるんですか?」
「この国では鍛治師として認められるには試験があります。見習いの作品は基本鋳潰して何度も使い直されます。そしてちゃんとした資格を取ったものだけが売りに出されます。なので未熟な鍛治師というのは存在しないんですよ」
資格制度か。それなら確かに未熟な製品は出ないな。
「資格には段階があるのですか?」
「ええ、C~Aで三段階あります。Aランクになると注文が殺到して1年待ちとか当たり前ですね。店の看板にもランクを表示するのが義務付けられていますので買う方も安心して買えます」
「それだとCランクの収入が減るんじゃないですか?」
「Cランクでも他国と比べれば技術力は高いです。なので十分生活していけますよ。Aランクのは当然高いですからね。むしろCランクの製品の方が売れてるかもしれません」
そりゃそうか。全員がお金持ってるわけじゃないしね。
「鍛治師以外にも特徴はあるんですか?彫金とか?」
「そうですね。彫金もランク付けされてますが、こちらはそれほど厳格ではありません。技術よりもセンスの方が重要になってきますから。ランクは技術に対してのものですので、品質は安定しますが装飾品としてはセンスが重要になります。なのでデザイン専門を職業にしている人もいますよ」
ふむ。デザイン専門でも食べていけるのか。装飾品も鍛冶製品も多分高価なんだろう。だけど装飾品とから高くでも女性は買うだろうし、特産品としてはありなんだろうね。
「食生活とかはどうなんでしょう?食料品が高いのではあまりバリエーションがなさそうですが」
「さすがに食文化はそれほど栄えてはいませんね。何せ塩以外の香辛料はほどんと取れません。森で取れる独自の香辛料はありますので少し偏ってるかもしれませんね」
森で取れる独自の香辛料ね。確か辛いのが多いんだっけか。俺はそれほど辛いのは得意じゃないんだけどな。
「ジン様は辛いのは大丈夫ですか?一般庶民でも手に入る香辛料といえば辛いものになりますので、食堂などでは気をつけたほうがいいですよ。普通に頼むと辛い味付けのものが出てきますので」
それは困るな。もしかして屋台の串焼きとかも辛いんだろうか?
「辛いですね。まあ他国からの人も多いのでまだマシでしょうが、それでも買う場所は選んだ方がいいです」
屋台も辛いのが多いのか。売り手の人に辛いか確認してから買った方が良さそうだ。
「でも一般庶民でも手に入るんですよね。それほど森で取れるんですか?」
「ええ、普通に自生してますから。ただ魔物も多いので畑で取れたものが多いですね。なぜか畑で取れたものの方が辛味が弱いのであえて冒険者が取ってきた辛いのを使う食堂もあります」
そこまで辛さに拘らなくても良いような気がするけど。
「この国は冬は寒いので辛い食事で体を温めるんですよ。暖炉で薪を使うよりも安価ですから」
ああ、そうだった。この国の冬は雪が降るんだったな。それなら辛い食品も仕方がないのか?
「それに辛いものだけではありませんよ?森の香辛料はいろいろありますからね。ちょっと変わったもので言えばハルマンの種をすりつぶしたものでしょうか。スープに入れると辛いわけではないのに体があったまるんですよ」
生姜みたいなもんか?
「まあ一度食べてみれば分かりますよ」
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