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第4章 アレグスト帝国編
086 城塞都市
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#086 城塞都市
幸い天気にも恵まれ、特に足止めを食らうこともなく山を降りて城塞都市に入った。
「ようこそ、ジン殿でしたな。私はサイラーグ辺境伯です。この砦くらいしか領地はありませんが、騎士の精強さには自信がありますぞ」
「ジンです。よろしくお願いします」
「ええ、今晩は歓迎の晩餐を用意してありますので楽しんでください。あ、もちろん使者殿も楽しんでください」
あ、ついで扱いされので苦虫を噛み潰したような顔をしている。一応国の代表は使者さんという事になってるから、本当は使者さんが先に労われるべきなんだろう。ただ、上級貴族には俺が女神様と話が出来るという話は伝わっているようで、俺の方が貴重度が高いらしい。辺境伯の独自の判断なのか国の判断なのかは知らないけど。
「辺境伯におかれましてはご健勝のこと誠に喜ばしく・・・」
あ、使者さんが挨拶を始めた。国の使者なので挨拶を交わすのは当然なのだが、俺との話の後だと若干浮いてるような気がする。今更感がすごいのだ。
ただ辺境伯さんも止めるわけにもいかないのか、笑顔を貼り付けて話を聞いている。
俺の感想としては中身のない定型文だ。そう言ったのはこういう辺境じゃなくて国王様、いや皇帝陛下か、に対してやった方が良いと思う。こんな丁寧な挨拶は謁見の間とかでやるもんだろう。こんな迎え入れられたばかりの外でやるもんじゃないと思う。攻めて応接室とかまで待てないかね?
あ、使者の従者が声をかけた。何やら話しているが、口上が止まってるけど良いんだろうか。
「まあそういう訳でよろしくお願いしますぞ」
あ、端折った。多分従者に場違いな挨拶を指摘されたのだろう。辺境伯もほっとした顔をしている。
それからは客室に案内され、夕食の晩餐まではゆっくりして欲しいとの事だ。まあねぎらうのが目的だから、応接室とかに通されて長々と話されても疲れは取れない。
久々のベッドに寝転がっていると、クレアが用事で部屋から出て行った。彼女も疲れてるだろうに。一応隣の部屋に従者用の部屋が用意されているので荷物を置きに行ったのかもしれない。
『人間の挨拶は相変わらず退屈ですね』
おや、水で人型になってる。
『魔力を貰っても良いですか?』
「ああ、構わないよ。というかパスから普通に魔力持って行ってるよね?」
『直接吸うのが美味しいんです。パスを通した無機質な魔力なんておいしくありません』
そういうもんなのか。まあ魔力の提供は契約内だから問題ない。
ちょっと、また首から吸うの?手とかじゃダメかな?覆いかぶさられて襲われてるような体勢になってるんだけど。
『んふん』
『あんっ』
『ふぅっ』
吸うのは良いけど、そのたんびに艶っぽい声出すのやめて!
『あら、従者さんが戻ってきたわね。良いところだったのに。魔力はまた吸わせてね』
良いところって何?変な事になってないよね?
ウンディーネの水の体が消えた。ちょっと湿度が上がったような気がするのは俺の心拍数が上がってるせいだろうか。
仕方ないじゃん、精霊には服っていう概念がないから裸に見えるんだよ。細部まで再現されてる訳じゃないから耐えれるけど、裸は裸なんだよ。
それに覆いかぶされて首筋を吸われたりなんかしたらどうしても意識するって。
「ジン様、辺境伯様がお会いしたいと仰られていますがどうされますか?」
クレアが部屋に入ってきて報告してくれるけど、これは受けるの一択だ。よほど体調が悪いのでない限り受ける必要がある。
「ああ、今いくよ。案内してくれ」
どうやらこの屋敷のメイドも一緒に来てたようで、その人が案内してくれるようだ。
「ようこそ、ジン殿。お疲れのところお呼び立てして申し訳ない。とりあえずお茶でもいかがですかな」
「ありがとうございます」
俺は示されたソファーに座り紅茶をいただく。
「それで勇者はどうなんでしょうか?話に聞く限り戦力にはならなさそうなんですが」
「ええ、能力面より人格面で問題がありますね。あれは夜に女性騎士を無理やり寝所に連れ込むタイプですよ」
「それほどですか。やはり陛下からの資料にあった通りなんですな。しかし女神様がそんな勇者を遣すとは思えないのですが」
「それは俺のせいかもしれませんね。どうやら俺がいたせいで召喚魔法に不具合がったようですし。召喚の魔術師が魔力切れで倒れたという話は聞いていますか?」
「いえ初耳です」
「俺たちが召喚されたときは計算上は10人の魔術師の魔力で足りるはずだったそうです。なのに俺が入ったおかげで魔力切れで倒れたとか。
その関係で本来召喚されるべき人と違う人が召喚されたのかもしれません」
「なるほど人間側の失敗という事ですか。ですが、いえそうですね、とどめをさせる力さえあれば問題ありませんか。どのみち自分たちで戦う必要はあったのですから。それに女神様とお話が出来るジン殿が召喚されたのは僥倖でしょう。それを考えれば勇者達の人格など些細な問題かもしれませんな」
ヤンキー、立場ないな。自業自得だ。
「それにしても勇者がバカなのはそれほど広く伝わってるのですか?」
「いえ上級貴族くらいでしょうな。あの晩餐会には当国の使者もおったのです。状況の詳細な説明が報告されています」
ああ、そういや使者を歓迎する晩餐会だっけか。本当は勇者をお目見えさせたかったんだろうね。せめて猫をかぶる程度の演技が出来ればもっと待遇は良かっただろうに。今って地下牢だっけ?いや流石に普通の部屋に戻されてるかな?
「ではささやかですが、晩餐を用意してありますので楽しんでいってください」
幸い天気にも恵まれ、特に足止めを食らうこともなく山を降りて城塞都市に入った。
「ようこそ、ジン殿でしたな。私はサイラーグ辺境伯です。この砦くらいしか領地はありませんが、騎士の精強さには自信がありますぞ」
「ジンです。よろしくお願いします」
「ええ、今晩は歓迎の晩餐を用意してありますので楽しんでください。あ、もちろん使者殿も楽しんでください」
あ、ついで扱いされので苦虫を噛み潰したような顔をしている。一応国の代表は使者さんという事になってるから、本当は使者さんが先に労われるべきなんだろう。ただ、上級貴族には俺が女神様と話が出来るという話は伝わっているようで、俺の方が貴重度が高いらしい。辺境伯の独自の判断なのか国の判断なのかは知らないけど。
「辺境伯におかれましてはご健勝のこと誠に喜ばしく・・・」
あ、使者さんが挨拶を始めた。国の使者なので挨拶を交わすのは当然なのだが、俺との話の後だと若干浮いてるような気がする。今更感がすごいのだ。
ただ辺境伯さんも止めるわけにもいかないのか、笑顔を貼り付けて話を聞いている。
俺の感想としては中身のない定型文だ。そう言ったのはこういう辺境じゃなくて国王様、いや皇帝陛下か、に対してやった方が良いと思う。こんな丁寧な挨拶は謁見の間とかでやるもんだろう。こんな迎え入れられたばかりの外でやるもんじゃないと思う。攻めて応接室とかまで待てないかね?
あ、使者の従者が声をかけた。何やら話しているが、口上が止まってるけど良いんだろうか。
「まあそういう訳でよろしくお願いしますぞ」
あ、端折った。多分従者に場違いな挨拶を指摘されたのだろう。辺境伯もほっとした顔をしている。
それからは客室に案内され、夕食の晩餐まではゆっくりして欲しいとの事だ。まあねぎらうのが目的だから、応接室とかに通されて長々と話されても疲れは取れない。
久々のベッドに寝転がっていると、クレアが用事で部屋から出て行った。彼女も疲れてるだろうに。一応隣の部屋に従者用の部屋が用意されているので荷物を置きに行ったのかもしれない。
『人間の挨拶は相変わらず退屈ですね』
おや、水で人型になってる。
『魔力を貰っても良いですか?』
「ああ、構わないよ。というかパスから普通に魔力持って行ってるよね?」
『直接吸うのが美味しいんです。パスを通した無機質な魔力なんておいしくありません』
そういうもんなのか。まあ魔力の提供は契約内だから問題ない。
ちょっと、また首から吸うの?手とかじゃダメかな?覆いかぶさられて襲われてるような体勢になってるんだけど。
『んふん』
『あんっ』
『ふぅっ』
吸うのは良いけど、そのたんびに艶っぽい声出すのやめて!
『あら、従者さんが戻ってきたわね。良いところだったのに。魔力はまた吸わせてね』
良いところって何?変な事になってないよね?
ウンディーネの水の体が消えた。ちょっと湿度が上がったような気がするのは俺の心拍数が上がってるせいだろうか。
仕方ないじゃん、精霊には服っていう概念がないから裸に見えるんだよ。細部まで再現されてる訳じゃないから耐えれるけど、裸は裸なんだよ。
それに覆いかぶされて首筋を吸われたりなんかしたらどうしても意識するって。
「ジン様、辺境伯様がお会いしたいと仰られていますがどうされますか?」
クレアが部屋に入ってきて報告してくれるけど、これは受けるの一択だ。よほど体調が悪いのでない限り受ける必要がある。
「ああ、今いくよ。案内してくれ」
どうやらこの屋敷のメイドも一緒に来てたようで、その人が案内してくれるようだ。
「ようこそ、ジン殿。お疲れのところお呼び立てして申し訳ない。とりあえずお茶でもいかがですかな」
「ありがとうございます」
俺は示されたソファーに座り紅茶をいただく。
「それで勇者はどうなんでしょうか?話に聞く限り戦力にはならなさそうなんですが」
「ええ、能力面より人格面で問題がありますね。あれは夜に女性騎士を無理やり寝所に連れ込むタイプですよ」
「それほどですか。やはり陛下からの資料にあった通りなんですな。しかし女神様がそんな勇者を遣すとは思えないのですが」
「それは俺のせいかもしれませんね。どうやら俺がいたせいで召喚魔法に不具合がったようですし。召喚の魔術師が魔力切れで倒れたという話は聞いていますか?」
「いえ初耳です」
「俺たちが召喚されたときは計算上は10人の魔術師の魔力で足りるはずだったそうです。なのに俺が入ったおかげで魔力切れで倒れたとか。
その関係で本来召喚されるべき人と違う人が召喚されたのかもしれません」
「なるほど人間側の失敗という事ですか。ですが、いえそうですね、とどめをさせる力さえあれば問題ありませんか。どのみち自分たちで戦う必要はあったのですから。それに女神様とお話が出来るジン殿が召喚されたのは僥倖でしょう。それを考えれば勇者達の人格など些細な問題かもしれませんな」
ヤンキー、立場ないな。自業自得だ。
「それにしても勇者がバカなのはそれほど広く伝わってるのですか?」
「いえ上級貴族くらいでしょうな。あの晩餐会には当国の使者もおったのです。状況の詳細な説明が報告されています」
ああ、そういや使者を歓迎する晩餐会だっけか。本当は勇者をお目見えさせたかったんだろうね。せめて猫をかぶる程度の演技が出来ればもっと待遇は良かっただろうに。今って地下牢だっけ?いや流石に普通の部屋に戻されてるかな?
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