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第3章 仕事編
078 乾燥肌用軟膏
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#078 乾燥肌用軟膏
起きると枕元にチューブ型の軟膏が置かれていた。
『使い切ったら入れ物は回収します。この世界にはないものですので』
メモが一緒に残っていた。ああ、チューブも石油製品だったな。
夢じゃなかったんだな。グリッドさんとの約束は覚えている。120万まで日本のものが買えるんだっけか。こっちで売ったら高く売れるものもあるだろう。
よくある展開では胡椒なんだろうけど、この世界それほど高くないんだよね。金とかだ向こうでも高いからこっちの金貨の方が安いくらいだし。
俺は首回りに軟膏を塗りながら考えていた。
宝石類も下手したら向こうのほうが高いしな。稀小品って何があるだろう?向こうでは当たり前にあってこっちではないやつ。
朝食をとりながらも考えていると、リリアーナさんが食事にやってきた。どうやら今日は少し寝不足のようだ。
「おはようございます」
「あ、ジン様、おはようございます。遅くなってすいません。マリー、私の分の朝食もお願いします」
別に一緒に食べる約束してた訳じゃないから俺は良いんだけどね。この屋敷ではみんながまとまって食べると言う習慣はない。そもそも貴人はリリアーナさんしかいなかったので、それ以外は使用人がそれぞれの仕事始めにバラバラに食べていたのだ。
本当なら俺がリリアーナさんに合わせて朝食を取るのが筋なのだろうが、それでは面倒だろうとそれぞれが勝手に食べるようになっていた。
「今日はどうされたんですか?昨日仕事が遅かったとか?」
「いえ、今日は化粧のノリが悪くて。少し時間がかかってしまいました」
ああ、女性は大変だね。どうせ外に出ないからって化粧をしない訳にもいかないだろうし。
化粧?化粧品ならいけるんじゃないか?俺は詳しくないけど、何種類も重ねて使うはずだ。この世界の化粧ってどうなってるんだ?
「リリアーナさん、化粧ってそんなに大変なんですか?」
「そうですね。朝お湯で顔をふやかしてから軽く油を塗ります。その上から化粧を塗って終わりです。この油がうまく濡れないと綺麗に化粧ができないんですよ」
なるほど。なんか原始的に聞こえるのは俺が化粧を知らないせいか?
「もし肌が綺麗になる化粧品があったらどうします?」
「え?!あるんですか?!」
「ええ、俺の世界にはもっといろんな種類の化粧品がありましたね。それこそ専門店が複数あるくらいには」
「ああ、ジン様の世界の話ですか。確か科学でしたか。それで作られてるんですよね?ならこの世界では再現は不可能でしょう。それとも何か方法でも思いつきましたか?」
「ええ、ちょっと女神様とお話し・・・」
「ちょっと、ジン様!いつの間に神殿に行かれたんですか!?あれほど女神様の力は使わないでと言ったのに」
「いや、昨日夢でお会いしまして。俺の元の世界のお金を使って買える分だけと言う条件でこの世界に持って来れるようにしてもらって。それで何が良いかなーと思ってたんですよ」
「いや、それも女神様のお力じゃないですか!」
「でもお金を出す訳じゃないですし、この世界にはないものですし、問題なくないですか?」
「むう、そう言われれば。・・・でもジン様の世界の品はこの世界人は存在しないものばかり。それが世界に出回れば・・・」
「大丈夫ですよ。俺の資産なんてこの世界でいう金貨1枚程度です。世界に影響はないですよ」
「そうですか?まあその程度なら・・・」
うん大丈夫そうだな。それにしても俺の貯金が金貨1枚程度ってそれ考えるとちょっと泣けてくるな。この世界では年に金貨10枚もらえるんだけど。
「と言う事で化粧品なんですけど、いろいろあったと思いますよ?その分合う合わないもあったようですけど。色白になるのとかシワが目立たなくなるのとか。俺は早速乾燥肌に効くクリームをもらいました」
「え、肌の色が変わるんですか?化粧を塗るのではなくて?」
「ええ、元の肌を綺麗にすると言うコンセプトですから。その分塗る化粧を薄くしてナチュラルメイクっていうらしいですよ」
「肌が綺麗に・・・そ、それはお高いんですよね?!」
「いや、せいぜい銀貨1枚くらいじゃないですか?俺もよく知りませんけど。まあ高いものは天井知らずでしょうけど、学生でも買えるものもあったみたいですし」
「ガクセイというのは確かまだ働いてない子供のことでしたね。つまりお小遣いでも買える程度の金額ということですか?」
「まあ、安物はそれほど良いものはないみたいですけどね。ちゃんと使うならそれなりの物を使わないといけないみたいですね」
「ジン様、その肌が綺麗になるという化粧品をお願いしますわ。どの位使えますの?」
「えっと、詳しくないですけど、数ヶ月は使えるかと」
「なら金貨3枚出しますわ。ぜひ一つ譲ってください!」
ええ、今銀貨1枚程度のものって言ったじゃん。なんで金貨3枚になるのさ。
「肌が綺麗なるんですよ!?化粧ってのはすればするほど肌が荒れるのが常識なんです。それが化粧した上で肌が綺麗になるなんて。そんな魔法の様な化粧品があれば誰だってお金を出しますわ!」
あー、女性の化粧に対する熱意を侮ってたかも。でもまあリリアーナさんにはお世話になってるし、何か良いのがないのか相談してみようかな。
「どう言ったのが良いですか?さっきも言いましたけど、目的によって違う物を使うんですよ。シミを抜いたり、肌を艶々にしたり、シワを取ったり。もちろん上から塗る化粧品も効果が変わりますし、色だけでも何十種類もありますよ」
「ど、どうしましょう。化粧品はお母様から勧められた物を使っていましたのでそんなにあっても見当がつきませんわ」
「じゃあ女神様に一任しましょうか。俺では化粧品はわかりませんからね」
「ええ、それでお願いします。ただ・・・やっぱり女神様にお願いする形になるんですね?」
「ええ、他に俺にはこれと言った能力はありませんし。最初は異世界の知識で何か作れないかと思ったんですけど、物づくりの趣味があった訳でもないので思いつかなかったんですよね。
そこで昨夜女神様から提案されまして。お金は俺が働いた金ですから遠慮なく使えますし」
「そうですか。ジン様が元の世界で稼がれたお金ですのね。でしたらやはり金貨3枚ではたりませんね。金貨5枚出しましょう。それでお願いします」
なんか金額が上がった?!
「ジン様の元の世界の給金が高くなかったことは聞いております。それを貯めたお金ですもの。そのくらいの価値はあります」
いや、俺の貯金の価値じゃなくて化粧品の価値で判断してもらいたいんだけど。
「ジン様の給金は本来の6分の1程度だったと聞いていますわ。でしたら本来なら今の貯金の何倍も溜まっていたはず。それを考えたら等価なんて無理ですわ」
いや、泣きそうな顔で言われても。俺ってそんなに不幸に見えるのかね?
「ま、まあ近いうちにお渡ししますので」
「ええ、楽しみにしていますわ」
グリッドさんに任せたら合ったのを選んでくれると思う。天照さんに振られるのかな?その方が詳しいかも知れない。俺が選ぶよりも良い物を選んでくれるだろう。
起きると枕元にチューブ型の軟膏が置かれていた。
『使い切ったら入れ物は回収します。この世界にはないものですので』
メモが一緒に残っていた。ああ、チューブも石油製品だったな。
夢じゃなかったんだな。グリッドさんとの約束は覚えている。120万まで日本のものが買えるんだっけか。こっちで売ったら高く売れるものもあるだろう。
よくある展開では胡椒なんだろうけど、この世界それほど高くないんだよね。金とかだ向こうでも高いからこっちの金貨の方が安いくらいだし。
俺は首回りに軟膏を塗りながら考えていた。
宝石類も下手したら向こうのほうが高いしな。稀小品って何があるだろう?向こうでは当たり前にあってこっちではないやつ。
朝食をとりながらも考えていると、リリアーナさんが食事にやってきた。どうやら今日は少し寝不足のようだ。
「おはようございます」
「あ、ジン様、おはようございます。遅くなってすいません。マリー、私の分の朝食もお願いします」
別に一緒に食べる約束してた訳じゃないから俺は良いんだけどね。この屋敷ではみんながまとまって食べると言う習慣はない。そもそも貴人はリリアーナさんしかいなかったので、それ以外は使用人がそれぞれの仕事始めにバラバラに食べていたのだ。
本当なら俺がリリアーナさんに合わせて朝食を取るのが筋なのだろうが、それでは面倒だろうとそれぞれが勝手に食べるようになっていた。
「今日はどうされたんですか?昨日仕事が遅かったとか?」
「いえ、今日は化粧のノリが悪くて。少し時間がかかってしまいました」
ああ、女性は大変だね。どうせ外に出ないからって化粧をしない訳にもいかないだろうし。
化粧?化粧品ならいけるんじゃないか?俺は詳しくないけど、何種類も重ねて使うはずだ。この世界の化粧ってどうなってるんだ?
「リリアーナさん、化粧ってそんなに大変なんですか?」
「そうですね。朝お湯で顔をふやかしてから軽く油を塗ります。その上から化粧を塗って終わりです。この油がうまく濡れないと綺麗に化粧ができないんですよ」
なるほど。なんか原始的に聞こえるのは俺が化粧を知らないせいか?
「もし肌が綺麗になる化粧品があったらどうします?」
「え?!あるんですか?!」
「ええ、俺の世界にはもっといろんな種類の化粧品がありましたね。それこそ専門店が複数あるくらいには」
「ああ、ジン様の世界の話ですか。確か科学でしたか。それで作られてるんですよね?ならこの世界では再現は不可能でしょう。それとも何か方法でも思いつきましたか?」
「ええ、ちょっと女神様とお話し・・・」
「ちょっと、ジン様!いつの間に神殿に行かれたんですか!?あれほど女神様の力は使わないでと言ったのに」
「いや、昨日夢でお会いしまして。俺の元の世界のお金を使って買える分だけと言う条件でこの世界に持って来れるようにしてもらって。それで何が良いかなーと思ってたんですよ」
「いや、それも女神様のお力じゃないですか!」
「でもお金を出す訳じゃないですし、この世界にはないものですし、問題なくないですか?」
「むう、そう言われれば。・・・でもジン様の世界の品はこの世界人は存在しないものばかり。それが世界に出回れば・・・」
「大丈夫ですよ。俺の資産なんてこの世界でいう金貨1枚程度です。世界に影響はないですよ」
「そうですか?まあその程度なら・・・」
うん大丈夫そうだな。それにしても俺の貯金が金貨1枚程度ってそれ考えるとちょっと泣けてくるな。この世界では年に金貨10枚もらえるんだけど。
「と言う事で化粧品なんですけど、いろいろあったと思いますよ?その分合う合わないもあったようですけど。色白になるのとかシワが目立たなくなるのとか。俺は早速乾燥肌に効くクリームをもらいました」
「え、肌の色が変わるんですか?化粧を塗るのではなくて?」
「ええ、元の肌を綺麗にすると言うコンセプトですから。その分塗る化粧を薄くしてナチュラルメイクっていうらしいですよ」
「肌が綺麗に・・・そ、それはお高いんですよね?!」
「いや、せいぜい銀貨1枚くらいじゃないですか?俺もよく知りませんけど。まあ高いものは天井知らずでしょうけど、学生でも買えるものもあったみたいですし」
「ガクセイというのは確かまだ働いてない子供のことでしたね。つまりお小遣いでも買える程度の金額ということですか?」
「まあ、安物はそれほど良いものはないみたいですけどね。ちゃんと使うならそれなりの物を使わないといけないみたいですね」
「ジン様、その肌が綺麗になるという化粧品をお願いしますわ。どの位使えますの?」
「えっと、詳しくないですけど、数ヶ月は使えるかと」
「なら金貨3枚出しますわ。ぜひ一つ譲ってください!」
ええ、今銀貨1枚程度のものって言ったじゃん。なんで金貨3枚になるのさ。
「肌が綺麗なるんですよ!?化粧ってのはすればするほど肌が荒れるのが常識なんです。それが化粧した上で肌が綺麗になるなんて。そんな魔法の様な化粧品があれば誰だってお金を出しますわ!」
あー、女性の化粧に対する熱意を侮ってたかも。でもまあリリアーナさんにはお世話になってるし、何か良いのがないのか相談してみようかな。
「どう言ったのが良いですか?さっきも言いましたけど、目的によって違う物を使うんですよ。シミを抜いたり、肌を艶々にしたり、シワを取ったり。もちろん上から塗る化粧品も効果が変わりますし、色だけでも何十種類もありますよ」
「ど、どうしましょう。化粧品はお母様から勧められた物を使っていましたのでそんなにあっても見当がつきませんわ」
「じゃあ女神様に一任しましょうか。俺では化粧品はわかりませんからね」
「ええ、それでお願いします。ただ・・・やっぱり女神様にお願いする形になるんですね?」
「ええ、他に俺にはこれと言った能力はありませんし。最初は異世界の知識で何か作れないかと思ったんですけど、物づくりの趣味があった訳でもないので思いつかなかったんですよね。
そこで昨夜女神様から提案されまして。お金は俺が働いた金ですから遠慮なく使えますし」
「そうですか。ジン様が元の世界で稼がれたお金ですのね。でしたらやはり金貨3枚ではたりませんね。金貨5枚出しましょう。それでお願いします」
なんか金額が上がった?!
「ジン様の元の世界の給金が高くなかったことは聞いております。それを貯めたお金ですもの。そのくらいの価値はあります」
いや、俺の貯金の価値じゃなくて化粧品の価値で判断してもらいたいんだけど。
「ジン様の給金は本来の6分の1程度だったと聞いていますわ。でしたら本来なら今の貯金の何倍も溜まっていたはず。それを考えたら等価なんて無理ですわ」
いや、泣きそうな顔で言われても。俺ってそんなに不幸に見えるのかね?
「ま、まあ近いうちにお渡ししますので」
「ええ、楽しみにしていますわ」
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