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第3章 仕事編
077 夢で女神様と
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#077 夢で女神様と
「ジンさん、起きてください」
うん?まだ眠いんだけど。
「ジンさん」
体を揺すられて目を開ける。そこには絶世の美女がいた。いや、グリッドさんだ。近くで見ると肌も綺麗だし、シミひとつない。
ぼーっと見ていると、起きたと思ったのか、すぐ横にテーブルとお茶を用意してくれる。もうちょっと見ていたかった。
「お茶をどうぞ」
えっと、俺って奥殿行ったっけ?記憶が確かなら昨日は仕事について聞いて回って普通に寝たはずなんだけど。
「間違いではありませんよ。今あなたの体は寝ています」
ああ寝てるのか。って事はこれは夢?
「ええ、夢に近いですね。精神だけ引っ張ってきましたから。でも奥殿でも似たようなものですよ?」
そうか奥殿でなくてもこれたのか。奥殿の必要性って・・・。
「下級神のリスモットだと場所を限定した上で相手も固定しないと神託も下せません。ですが私ならそういう縛りはありません。これでも創造神ですから」
いやいや、あなた力を使ったら世界に影響が大きすぎるって言ってたじゃん。
「寝てる精神を引っ張ってくるくらいなら大した事はないですよ」
「それで俺を呼んだ訳は?ただお喋りするためじゃないんでしょう?」
「お喋りするためじゃダメですか?」
いや、そんな悲しそうな目で見られても。顔が整ってるだけにそんな顔をされたらゾクッとくる。
「いや、別に構いませんが」
「そうですか。ではお喋りをしましょう」
あれ?向こうから話が出てくる流れじゃなかった?何か話したい事があるとかじゃないの?
「先日白金貨を出したらすぐに消しました」
うん、あったね。
「全然頼ってくれません」
え?
「全然頼ってくれません」
はい?
「私は常にジンさんを見ています。望みは出来るだけ叶えてあげるつもりです。ですがジンさんは頼ってくれません」
えっと、これは俺が悪いのか?いや、女神様の力をあてにするなんてダメだろう。そんな事すれば世界に悪影響が出るだろう?
「ジンさんの望みなら世界を消滅させても・・・」
「いや、そんな事望んでませんから!」
「では何かないですか?」
これは何かお願い事をしないといけない流れか。俺はちゃんと言葉の裏がわかるからね!
「えっと、仕事を探してるんですけど」
一応聞いてみよう。世界の全てを知っている創造神なら何か良いアイデアが浮かぶかもしれない。
「必要ならいくらでもお金を用意しますよ?」
「いや、そうじゃなくてちゃんと自分の力で稼ぐような何かです」
「自分の力ですか。ですが、ジンさんは特に力も強くありませんし、剣が使える訳でもありません。魔法が使える訳でもありませんし、何かの知識を持たれている訳でもありません」
いや、事実だけど、もうちょっとオブラートに包もうよ。
「力を強くしますか?魔剣でも与えましょうか?魔法は私が代行できますよ?知識が必要なら相談してもらって大丈夫ですよ?」
多分どれも出来るんだろうけど、俺が思ってるのとちょっと違う。
あ、でも知識なら相談しても良さそうだ。
「じゃあお聞きしますけど。日本の何かをこちらで作る事は可能ですか?」
「もちろん可能です。ただ化学的に作られたものが多いですので人が作るのは難しいと思いますよ」
「魔法で代行するとか?」
「原理的には可能ですが、とてつもない魔力を必要とします。もちろん私なら可能ですが、それくらいならその物を私が作った方が影響は少ないですよ?」
「うーん、グリッドさんに作ってもらうのは何かが違うんですよね」
「ならこうしませんか?あなたが日本に残してきたお金。その金額分だけ日本から商品を取り寄せます。もちろんあなたが向こうの世界に戻った時にはそのお金は無くなっていますが。
それならジンさんが自力で稼いだお金ですので自力で得たといっても良いのではないですか?」
なるほど。俺の働いた金の分だけか。確かに俺が汗水垂らして稼いだ金だな。ただ俺の貯金なんて知れてるけど。給料安かったしなー。
「ジンさんが貯金していたのは120万円ほどでしょうか。ほとんど使わずに十五年も働いてると結構たまるものですね。どうでしょうか?」
確かにそのくらいはあったはずだ。それを元手に転職しようかと考えてたしな。
「分かりました。それでお願いします」
「とりあえず欲しいものはありますか?まずは最初のお買い物と言う事で」
「じゃあ乾燥肌に良いクリームか何かありませんか?この世界に来てから首回りの乾燥が酷くて。シャツが擦れてるんですかね」
「適当に見繕って枕元に置いておきますね。他にはないですか?」
「今はそのくらいしか思いつかないですね」
「じゃあまた”頼って”くださいね。今日のところはここまでにしましょうか。戻しますね」
「ええ、またよろしくお願いします」
ーーーー
「ふふふ。ジンさんは忘れてますね。確かにジンさんが貯めた金額は120万とちょっと。ですが天照が渡した100億円を忘れていますね。実は宝くじに当たってたとか言うのも考えましたが。天照グッドジョブです。後で褒めてあげましょう」
ニンマリと笑う女神がいたとか。
「ジンさん、起きてください」
うん?まだ眠いんだけど。
「ジンさん」
体を揺すられて目を開ける。そこには絶世の美女がいた。いや、グリッドさんだ。近くで見ると肌も綺麗だし、シミひとつない。
ぼーっと見ていると、起きたと思ったのか、すぐ横にテーブルとお茶を用意してくれる。もうちょっと見ていたかった。
「お茶をどうぞ」
えっと、俺って奥殿行ったっけ?記憶が確かなら昨日は仕事について聞いて回って普通に寝たはずなんだけど。
「間違いではありませんよ。今あなたの体は寝ています」
ああ寝てるのか。って事はこれは夢?
「ええ、夢に近いですね。精神だけ引っ張ってきましたから。でも奥殿でも似たようなものですよ?」
そうか奥殿でなくてもこれたのか。奥殿の必要性って・・・。
「下級神のリスモットだと場所を限定した上で相手も固定しないと神託も下せません。ですが私ならそういう縛りはありません。これでも創造神ですから」
いやいや、あなた力を使ったら世界に影響が大きすぎるって言ってたじゃん。
「寝てる精神を引っ張ってくるくらいなら大した事はないですよ」
「それで俺を呼んだ訳は?ただお喋りするためじゃないんでしょう?」
「お喋りするためじゃダメですか?」
いや、そんな悲しそうな目で見られても。顔が整ってるだけにそんな顔をされたらゾクッとくる。
「いや、別に構いませんが」
「そうですか。ではお喋りをしましょう」
あれ?向こうから話が出てくる流れじゃなかった?何か話したい事があるとかじゃないの?
「先日白金貨を出したらすぐに消しました」
うん、あったね。
「全然頼ってくれません」
え?
「全然頼ってくれません」
はい?
「私は常にジンさんを見ています。望みは出来るだけ叶えてあげるつもりです。ですがジンさんは頼ってくれません」
えっと、これは俺が悪いのか?いや、女神様の力をあてにするなんてダメだろう。そんな事すれば世界に悪影響が出るだろう?
「ジンさんの望みなら世界を消滅させても・・・」
「いや、そんな事望んでませんから!」
「では何かないですか?」
これは何かお願い事をしないといけない流れか。俺はちゃんと言葉の裏がわかるからね!
「えっと、仕事を探してるんですけど」
一応聞いてみよう。世界の全てを知っている創造神なら何か良いアイデアが浮かぶかもしれない。
「必要ならいくらでもお金を用意しますよ?」
「いや、そうじゃなくてちゃんと自分の力で稼ぐような何かです」
「自分の力ですか。ですが、ジンさんは特に力も強くありませんし、剣が使える訳でもありません。魔法が使える訳でもありませんし、何かの知識を持たれている訳でもありません」
いや、事実だけど、もうちょっとオブラートに包もうよ。
「力を強くしますか?魔剣でも与えましょうか?魔法は私が代行できますよ?知識が必要なら相談してもらって大丈夫ですよ?」
多分どれも出来るんだろうけど、俺が思ってるのとちょっと違う。
あ、でも知識なら相談しても良さそうだ。
「じゃあお聞きしますけど。日本の何かをこちらで作る事は可能ですか?」
「もちろん可能です。ただ化学的に作られたものが多いですので人が作るのは難しいと思いますよ」
「魔法で代行するとか?」
「原理的には可能ですが、とてつもない魔力を必要とします。もちろん私なら可能ですが、それくらいならその物を私が作った方が影響は少ないですよ?」
「うーん、グリッドさんに作ってもらうのは何かが違うんですよね」
「ならこうしませんか?あなたが日本に残してきたお金。その金額分だけ日本から商品を取り寄せます。もちろんあなたが向こうの世界に戻った時にはそのお金は無くなっていますが。
それならジンさんが自力で稼いだお金ですので自力で得たといっても良いのではないですか?」
なるほど。俺の働いた金の分だけか。確かに俺が汗水垂らして稼いだ金だな。ただ俺の貯金なんて知れてるけど。給料安かったしなー。
「ジンさんが貯金していたのは120万円ほどでしょうか。ほとんど使わずに十五年も働いてると結構たまるものですね。どうでしょうか?」
確かにそのくらいはあったはずだ。それを元手に転職しようかと考えてたしな。
「分かりました。それでお願いします」
「とりあえず欲しいものはありますか?まずは最初のお買い物と言う事で」
「じゃあ乾燥肌に良いクリームか何かありませんか?この世界に来てから首回りの乾燥が酷くて。シャツが擦れてるんですかね」
「適当に見繕って枕元に置いておきますね。他にはないですか?」
「今はそのくらいしか思いつかないですね」
「じゃあまた”頼って”くださいね。今日のところはここまでにしましょうか。戻しますね」
「ええ、またよろしくお願いします」
ーーーー
「ふふふ。ジンさんは忘れてますね。確かにジンさんが貯めた金額は120万とちょっと。ですが天照が渡した100億円を忘れていますね。実は宝くじに当たってたとか言うのも考えましたが。天照グッドジョブです。後で褒めてあげましょう」
ニンマリと笑う女神がいたとか。
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