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第3章 仕事編
076 俺の仕事
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#076 俺の仕事
「ふむ、仕事か」
俺は陛下と会って出来れば自分で婚約者を養えないかと相談していた。
「難しいな。仕事とはいえ他の者の下につく事になる。そこでお主に失礼な態度を取れば女神様の怒りを買うやも知れん。それを承知で雇うものがいるとは思えん。
女神様からの支援を期待するものがいないとも限らんが、そういう者のところでは働きたくないであろう?
大人しく王家をあてにしてくれてる方が国としても安心できるのだが。下手に働いて女神様の逆鱗に触れたら目も当てられん。
それに働ける場所があるにしてもお主の扱いは難しだろう。女神様の基準がわからんからな。最悪仕事がないのに給金だけもらうという状況になるぞ?」
ああ、そこまでは考えてなかった。でもグリッドさんはそれほど厳しくないと思うんだけどね。ああ、他の人からしたらリスモット様になるのか。俺としてはどっちでも良いけど、神罰とか考えなくても・・・あれ、会ったときになんかひどいことされたら神罰を与えるって言ってたような気も・・・大丈夫だよな?
俺が下に着くのがまずいなら起業するとか?いや、俺の経歴は社畜のエンジニアだ。この世界では役に立たない。それこそ異世界にしかない物をこの世界で再現するとか出来たらお金になるのかも知れないけど。大概は魔法でなんとかなってるからなあ。
食べ物でも俺が作り方を知ってるのなんてマヨネーズくらいだ。それもロザリア王国にはあったし。お菓子とかの作り方も知らないし。
グリッドさんの力を借りれば冒険者として無双も出来るだろうけどそれじゃ俺が稼いだ事にならない気がするし。やっぱり労働の対価として収入を得たいよね。
Fランクの街中の依頼じゃ食費にもならないだろうしなあ。
「まあ気にする必要はないぞ。王家でもちゃんと費用を計上してある。勇者共にかける予定だった金が余ってるからな。そっちから回す事にした。勇者は最低限の扱いしかしてないから余分な費用が掛からんで済んでいる。
勇者に関しては他国からも支援金が届いておるから、それが王女達のために使われるなら文句も出ないだろう」
ああ、勇者が贅沢しなければそうなるのか。あのヤンキーにお金かけたくないだろうしね。
陛下との話では王家の世話になる話にしかならなかったので他にも聞いてみる事にした。
「リリアーナさん、何か仕事はないですかね?」
「あら、前みたいに馬小屋の修理とかですか?今のところはないですけど」
「いや、そういう暇つぶしじゃなくてちゃんとした仕事です。俺って望んだ訳じゃないとはいえ婚約者を迎える事になってるじゃないですか。なんとかその生活くらい俺の稼ぎで賄えないかと思いまして」
「ダメです!」
「え?」
「ジン様がお金を欲しがったら女神様がお金を出してしまいます。あの力を忘れたんですか?ジン様の世界の女神様がお金を用意してしまったらこの世界が混乱します」
ああ、そういえばこないだのお茶会でも白金貨が出そうになったな。戻してもらったけど。
「ジン様が一番国に貢献できる事は何もしない事です」
いや、そう言い切られても。
「ジン様は分かってないようですので何度でも言いますが、女神様が不快だと感じればそれはその対象の人だけで済むとは思えないのです。下手すればこの国で飢饉が起こったりする可能性まであるんですよ?」
そこまではしないと思うけど・・・しないよね?
「とにかくそんな危険を犯す訳にはいきません。私としてもそんな恐ろしい真似はできません。なので大人しくしていてください。
もし暇ならクレアを連れてゴブリン討伐でも行ってください。ゴブリンなら倒せますよね?」
「ええまあ倒せましたが、そうですか、俺は仕事をしてはいけないんですね」
「出来れば冒険者としても活動して欲しくはありませんが、そこまでぎちぎちにすると逆に女神様の逆鱗に触れそうですからね。ジン様がやりたいと思った事をやれば良いと思います。無理に働く必要はないですよ」
うーん、無理に働かなくても良いけど、好きにしても良い。だけど何かあったら女神様の逆鱗に触れて下手すると国に迷惑がかかると。八方塞がりでは?
何か手に職でもつけて希少品を作るとか?女神様のご利益のあるお札とか作ったら売れそうだけど、それって詐欺だよな。
他に相談するか。
「という訳で仕事を探してるんだけど」
クレアにも聞いてみた。王族の視点からじゃなくて一般人からの意見も聞きたい。
「普通はもっと若い時に商会や職人に見習いとして入って独り立ちするんですけど、ジン様が今から働くのは無理じゃないでしょうか?それこそ冒険者くらいしか思いつきません。
もちろんご自身で商売を始められるなら話は別ですが」
やっぱりそういう結論になるのか。
「ただ、貴族相手の希少品がもし出来るのであれば収入に困る事はないでしょう。他に真似できないのであれば更に良いですね」
ふむ、冒険者として活動するしかないかと諦めかけていたが希少品はありなのか。
思い出せ、俺の世界であったもので俺が作れるもの。小中高大学と基本は習ったはず。化学の基本でも思い出せれば何かこの世界にないものが作れるはず。
クレアが話が終わったのか判断がつかず俺の方を見ているが、俺は考えるので忙しい。
やはり小学校あたりで習う理科ならこの世界でも再現できる可能性があるな。小学生に扱わせても問題ない素材しか使ってないだろうし。
ふむ・・・。
「ふむ、仕事か」
俺は陛下と会って出来れば自分で婚約者を養えないかと相談していた。
「難しいな。仕事とはいえ他の者の下につく事になる。そこでお主に失礼な態度を取れば女神様の怒りを買うやも知れん。それを承知で雇うものがいるとは思えん。
女神様からの支援を期待するものがいないとも限らんが、そういう者のところでは働きたくないであろう?
大人しく王家をあてにしてくれてる方が国としても安心できるのだが。下手に働いて女神様の逆鱗に触れたら目も当てられん。
それに働ける場所があるにしてもお主の扱いは難しだろう。女神様の基準がわからんからな。最悪仕事がないのに給金だけもらうという状況になるぞ?」
ああ、そこまでは考えてなかった。でもグリッドさんはそれほど厳しくないと思うんだけどね。ああ、他の人からしたらリスモット様になるのか。俺としてはどっちでも良いけど、神罰とか考えなくても・・・あれ、会ったときになんかひどいことされたら神罰を与えるって言ってたような気も・・・大丈夫だよな?
俺が下に着くのがまずいなら起業するとか?いや、俺の経歴は社畜のエンジニアだ。この世界では役に立たない。それこそ異世界にしかない物をこの世界で再現するとか出来たらお金になるのかも知れないけど。大概は魔法でなんとかなってるからなあ。
食べ物でも俺が作り方を知ってるのなんてマヨネーズくらいだ。それもロザリア王国にはあったし。お菓子とかの作り方も知らないし。
グリッドさんの力を借りれば冒険者として無双も出来るだろうけどそれじゃ俺が稼いだ事にならない気がするし。やっぱり労働の対価として収入を得たいよね。
Fランクの街中の依頼じゃ食費にもならないだろうしなあ。
「まあ気にする必要はないぞ。王家でもちゃんと費用を計上してある。勇者共にかける予定だった金が余ってるからな。そっちから回す事にした。勇者は最低限の扱いしかしてないから余分な費用が掛からんで済んでいる。
勇者に関しては他国からも支援金が届いておるから、それが王女達のために使われるなら文句も出ないだろう」
ああ、勇者が贅沢しなければそうなるのか。あのヤンキーにお金かけたくないだろうしね。
陛下との話では王家の世話になる話にしかならなかったので他にも聞いてみる事にした。
「リリアーナさん、何か仕事はないですかね?」
「あら、前みたいに馬小屋の修理とかですか?今のところはないですけど」
「いや、そういう暇つぶしじゃなくてちゃんとした仕事です。俺って望んだ訳じゃないとはいえ婚約者を迎える事になってるじゃないですか。なんとかその生活くらい俺の稼ぎで賄えないかと思いまして」
「ダメです!」
「え?」
「ジン様がお金を欲しがったら女神様がお金を出してしまいます。あの力を忘れたんですか?ジン様の世界の女神様がお金を用意してしまったらこの世界が混乱します」
ああ、そういえばこないだのお茶会でも白金貨が出そうになったな。戻してもらったけど。
「ジン様が一番国に貢献できる事は何もしない事です」
いや、そう言い切られても。
「ジン様は分かってないようですので何度でも言いますが、女神様が不快だと感じればそれはその対象の人だけで済むとは思えないのです。下手すればこの国で飢饉が起こったりする可能性まであるんですよ?」
そこまではしないと思うけど・・・しないよね?
「とにかくそんな危険を犯す訳にはいきません。私としてもそんな恐ろしい真似はできません。なので大人しくしていてください。
もし暇ならクレアを連れてゴブリン討伐でも行ってください。ゴブリンなら倒せますよね?」
「ええまあ倒せましたが、そうですか、俺は仕事をしてはいけないんですね」
「出来れば冒険者としても活動して欲しくはありませんが、そこまでぎちぎちにすると逆に女神様の逆鱗に触れそうですからね。ジン様がやりたいと思った事をやれば良いと思います。無理に働く必要はないですよ」
うーん、無理に働かなくても良いけど、好きにしても良い。だけど何かあったら女神様の逆鱗に触れて下手すると国に迷惑がかかると。八方塞がりでは?
何か手に職でもつけて希少品を作るとか?女神様のご利益のあるお札とか作ったら売れそうだけど、それって詐欺だよな。
他に相談するか。
「という訳で仕事を探してるんだけど」
クレアにも聞いてみた。王族の視点からじゃなくて一般人からの意見も聞きたい。
「普通はもっと若い時に商会や職人に見習いとして入って独り立ちするんですけど、ジン様が今から働くのは無理じゃないでしょうか?それこそ冒険者くらいしか思いつきません。
もちろんご自身で商売を始められるなら話は別ですが」
やっぱりそういう結論になるのか。
「ただ、貴族相手の希少品がもし出来るのであれば収入に困る事はないでしょう。他に真似できないのであれば更に良いですね」
ふむ、冒険者として活動するしかないかと諦めかけていたが希少品はありなのか。
思い出せ、俺の世界であったもので俺が作れるもの。小中高大学と基本は習ったはず。化学の基本でも思い出せれば何かこの世界にないものが作れるはず。
クレアが話が終わったのか判断がつかず俺の方を見ているが、俺は考えるので忙しい。
やはり小学校あたりで習う理科ならこの世界でも再現できる可能性があるな。小学生に扱わせても問題ない素材しか使ってないだろうし。
ふむ・・・。
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