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第2章 ロザリア王国編

060 お茶会

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#060 お茶会

 なんだかんだと陛下には押し切られてお茶会に参加することになった。

 服は謁見の時の服で良いとして、何か土産がないとダメだよな。こう言う時って何持ってくのが良いんだろう?

「クレア、やっぱり土産は必要だよな?」

「あった方が良いのは確かですが、急な話ですし、なくても問題ありません」

 って事はやっぱりあった方が良いんじゃん。相手は仮にも王女様だよ?

「ジン様、お忘れですか?」

「何が?」

「お嬢様も元王女ですよ?」

 あ、そうだった。え、でもリリアーナさんとは普通に喋ってるし、でも王女様と話すときはもっとちゃんと・・・あれ?

「お嬢様と話すような感じでいいんですよ。公式の場ではないんですし」

「でも、相手はお姫様だよ?」

「お嬢様は王女らしくないと?ええ、ちゃんとお嬢様にはジン様の評価を伝えておきますのでご安心ください。ええ、王女様はお嬢様とは違うんでしょうからね」

「いや、ちょっと待って。リリアーナさんも充分お嬢様だよ?王女様でも通じると思うよ?でもそれとこれとは違うと言うか」

「同じです。王女様も緊張でガチガチになったジン様とお話ししても楽しくないでしょう。その方が失礼なのでは?」

 む。そう言われればそんな気もしてきた。



「お初にお目にかかります。第7王女のハルフェと申します。今日は楽しんでいってくださいね」

「お、お誘いいただき、あ、ありがとうございます」

 ちょっとどもってしまった。だって美人なんだもの。金髪が映える白い肌。細い体に小さな顔。目鼻バッチリで小さな唇。ドキドキしない方がおかしい。

「ふふ、緊張なさってるのですね。大丈夫ですよ。私は所詮第7王女です。王位継承権も低いですし、王族と言っても名ばかりですから」

 そうは言ってもなあ。

「じゃあ、こうしましょう。私の事はハルフェと呼び捨てにしてください」

 え、なんでそうなるの?

「さあ、呼んでください」

「は、ハルフェ?」

「はい!」

 ちょっと待って。なんでこんな流れになってるんだ。俺はただの一般人だぞ。そりゃあ小説では王女様を助けて惚れられるってのはテンプレだけど、俺は別に助けたりしていない。それに今日さっきあったばかりだ。なんでこんなに好感度高いんだ?

「あの、失礼ですけど、なんでこんなによくしてくれるんでしょうか?」

「はい?だってお父様の決められた婚約者ですもの。きっと素敵な方に違いありませんわ」

 いやまて。婚約者って。会うだけで良いって話だったよね?

「えっと、すいません、陛下からはなんとお聞きになられてますか?」

「え?ジン様と婚約することになったからそのつもりでいるようにと」

「えっと、俺、いや私はもう37なんですけど」

「ええ、聞いてますわ。貴族ならそのくらいの差は大丈夫ですわ。男女が逆なら問題ですけど。私きっと丈夫な赤ちゃんを産んで見せますわ!」

 えっと、陛下、後でお話があります。ええ、とても大事な話です。


 それからは何とか話が中断しないように異世界の話なんかをしていたら随分と時間が経っていたようだ。

「今日は遅くまで居てしまい申し訳ありませんでした。また誘っていただけると嬉しいです」

 一応社会人としてはこう言っとかないとね。

「ではまたお誘いしますわ!絶対来てくださいね!」

 まさか本気にしてないよね?社交辞令だよ?

 綺麗な子だけど、女性を受け入れるなって忠告されてるんだよな。貴族からの誘いには断るつもり満々だったんだけど、まさか国王から娘を紹介されるとは思ってなかった。
 第7王女とかだし、多分一人くらい一般人に嫁がせても良いくらいに考えてるんだろうけど。おっさんには荷が重い。

 あの元気パワーはやはり若さなんだろうか?
 なんとか頑張って話を続けたけど疲れちゃったよ。



「ジン様、今日はいかがでしたか?」

「いかがも何も疲れたよ。若いってだけで眩しいね」

「先ほど国王様より書状が届きましたが、確認をお願いします」

 うーん、やっぱりこのタイミングって事はハルフェ殿下の事なんだろうな。



 うん、やっぱり婚約の申し込みだ。貴族なら簡単に断るんだけど、王様の申し込みって断っても大丈夫なのかな?

「なあクレア、婚約の申し込みなんだけど、国王様からの話って断っても大丈夫かな?」

「どうでしょうか?普通は断れないんですけど、ジン様はこの世界の人間じゃありませんし。しがらみもないですから断っても大丈夫じゃないでしょうか」

「じゃあ、明日直接断ってこようか。手紙だと失礼にあたりそうだし」

「それが良いかと思います。
 ・・・お嬢様の目はまだあるようですね・・・
 お食事はどうされますか?」

「ああ、食べるよ」

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