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第2章 ロザリア王国編
052 サンクマン伯爵領
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#052 サンクマン伯爵領
大きな町についた。外壁が10m程の高さがある。この高さならオーガでも大丈夫だな。
「これでも王都に比べたら低いんですけどね。この街は魔物討伐の最前線なので対魔物に特化しています。
王城だと人間相手も想定されてますので城壁が高く作られていますが」
ああ、そうか。魔物は梯子なんか使わないだろうからね。魔物が届かない高さなら十分ってことか。
「登ってきたりはしないの?」
「可能性はありますが、外壁は石積みとはいえちゃんと出っ張りは取り除いてありますので魔物には難しいでしょうね。人間なら分かりませんが」
外壁の上に歩哨が立っているのを見上げながら馬車は門に向かう。どうやら一般人とは別に貴族用の門があるようだ。
「止まれ!身分を証明するものを!」
一応騎士団がついてるから身分も何もないと思うんだが、これも仕事なんだろう。貴族門にくる人に対して高圧的なのもどうかとは思うけどね。
アンドラ隊長が何やら説明しているようで、それ以降大きな声は聞こえてこない。そのうち入市の許可が下りたらしく、馬車は街に入っていく。
「ふう、ようやく街に入れましたな。魔物の森の側の街道は緊張してしまって肩が凝りました。今日は宿でゆっくりしましょう」
あれ、領主様のところには行かないの?話は通ってるって言ってたけど。
「この世界では移動時間が変動することがほとんどです。予定通りに着くなんてまずあり得ません。なので準備してるとはいえ、今日行って今日泊まるのは失礼に当たるでしょう。
一応到着を知らせておいて、明日訪問するのが良いでしょう」
ああ、そうか。分単位で稼働してる新幹線とかでの移動に慣れてるからか、馬車での移動についての事情を忘れていた。あれだけ魔物と戦ってたらそりゃ到着日時もずれるわな。
「騎士団の人も宿に泊まるんですか?」
「いえ、流石に騎士団全員を泊めれる宿はないでしょうからサンクマン伯爵の騎士団の宿舎に泊めてもらうでしょうね。
要は要人の受け入れ態勢の問題です。騎士団の宿舎なら適当に割り振っても問題ないでしょうけど、同格の私を泊めるにはそれなりの準備が必要です。日にちがずれると食材なども無駄になる可能性もありますし。
それにサンクマン伯爵が私の到着をいつだと予想していたかも分かりませんしね。一晩時間を置いた方が良いのですよ」
貴族を迎えるのって難しいんだな。あれ、でも途中の男爵や子爵は普通に泊めてたような?
「下級貴族ですと、もてなしてと言っても知れてます。なので急に訪れても対して変わりありません。ですが上級貴族となると食事の準備やら何やらで時間が必要です。
料理のスープなんかは数日かけてとるものもあるんですよ?しかも傷みやすい。なのでもしそんなスープを使った料理を考えていたのなら、訪問自体を数日待たなければいけない可能性もあります。
まあ極端な例ですけどね」
うーん、お菓子とお茶を出して、普段の食事を出して・・・流石に貴族相手じゃダメか。お互い同格だって話だしね。貴族は見栄にお金を使うっていうからそんなもんなのかもね。
翌日、昨日出した使者からは今日行っても構わないと言われていたので領主邸に出向くことにする。
クロイゼさんは旅装束じゃなくてちゃんとした貴族服だ。俺はどうしようか。一応リリアーナさんに揃えてもらった服だからそれなりに高級なものなんだけど、貴族と会うのにこれで大丈夫だろうか。
「ジン殿、忘れていらっしゃるようですが、ジン殿は使用人という事になっています。身なりは普通で問題ありませんよ」
「そうでしたね。じゃあ今回も気楽に過ごさせてもらいます」
「クロイゼ伯爵、お久しぶりです。義父と呼んだほうが良いですか?」
サンクマン伯爵との挨拶が終わった後に、息子だという若い男の子を紹介された。まだ10代に見えるが、この子に嫁がせたのか?
「どちらでも構いませんよ。サーシャは元気にしておりますか?」
「はい。先日妊娠がわかってので安静にしてもらっています」
「おお、孫が出来るのですか。素晴らしい!寄った甲斐がありましたな」
「とりあえず応接室にどうぞ。そちらの方が異世界人殿ですな。ご一緒にどうぞ」
あれ、なんで俺のこと知ってるんだ?
「何、これでも上級貴族です。それなりに情報も得られます。特に先日まで王都におりましたからな。勇者として訪問するわけでもない異世界人なら一人しかおりません」
「俺が異世界人だとわかったのは何故でしょうか?」
「私はクロイゼ伯爵とは懇意にしています。なので使用人の顔は覚えています。新しく雇った者の可能性もありますが、仮にも他国への使者をするのです、新人を連れて歩くことはないでしょう」
なるほど。
となると、王都に行ったら上級貴族には俺のことがバレてる?
「そう思った方が良いでしょうな。まあ情報に無頓着な者もおりますが。こういう事は隠そうとしても隠せないものですよ」
まあ普通に部屋に使用人が控えてたりするからね。どんな機密事項でもそのあたりから漏れたらどうしようもない。一応信用できる使用人しかいない場所で話すんだろうけど。
「そうですか、俺の名前はジンです。呼び捨てで結構ですよ」
「ジン殿ですな。あなたに関しては異世界人だという情報しかありませんでした。出来れば色々とお聞きしたいですな」
「まあ話せることでしたら」
禁止されたのは科学技術だけだからね。俺が異世界人だと知ってるのならほとんど秘密はないと言ってもいい。
大きな町についた。外壁が10m程の高さがある。この高さならオーガでも大丈夫だな。
「これでも王都に比べたら低いんですけどね。この街は魔物討伐の最前線なので対魔物に特化しています。
王城だと人間相手も想定されてますので城壁が高く作られていますが」
ああ、そうか。魔物は梯子なんか使わないだろうからね。魔物が届かない高さなら十分ってことか。
「登ってきたりはしないの?」
「可能性はありますが、外壁は石積みとはいえちゃんと出っ張りは取り除いてありますので魔物には難しいでしょうね。人間なら分かりませんが」
外壁の上に歩哨が立っているのを見上げながら馬車は門に向かう。どうやら一般人とは別に貴族用の門があるようだ。
「止まれ!身分を証明するものを!」
一応騎士団がついてるから身分も何もないと思うんだが、これも仕事なんだろう。貴族門にくる人に対して高圧的なのもどうかとは思うけどね。
アンドラ隊長が何やら説明しているようで、それ以降大きな声は聞こえてこない。そのうち入市の許可が下りたらしく、馬車は街に入っていく。
「ふう、ようやく街に入れましたな。魔物の森の側の街道は緊張してしまって肩が凝りました。今日は宿でゆっくりしましょう」
あれ、領主様のところには行かないの?話は通ってるって言ってたけど。
「この世界では移動時間が変動することがほとんどです。予定通りに着くなんてまずあり得ません。なので準備してるとはいえ、今日行って今日泊まるのは失礼に当たるでしょう。
一応到着を知らせておいて、明日訪問するのが良いでしょう」
ああ、そうか。分単位で稼働してる新幹線とかでの移動に慣れてるからか、馬車での移動についての事情を忘れていた。あれだけ魔物と戦ってたらそりゃ到着日時もずれるわな。
「騎士団の人も宿に泊まるんですか?」
「いえ、流石に騎士団全員を泊めれる宿はないでしょうからサンクマン伯爵の騎士団の宿舎に泊めてもらうでしょうね。
要は要人の受け入れ態勢の問題です。騎士団の宿舎なら適当に割り振っても問題ないでしょうけど、同格の私を泊めるにはそれなりの準備が必要です。日にちがずれると食材なども無駄になる可能性もありますし。
それにサンクマン伯爵が私の到着をいつだと予想していたかも分かりませんしね。一晩時間を置いた方が良いのですよ」
貴族を迎えるのって難しいんだな。あれ、でも途中の男爵や子爵は普通に泊めてたような?
「下級貴族ですと、もてなしてと言っても知れてます。なので急に訪れても対して変わりありません。ですが上級貴族となると食事の準備やら何やらで時間が必要です。
料理のスープなんかは数日かけてとるものもあるんですよ?しかも傷みやすい。なのでもしそんなスープを使った料理を考えていたのなら、訪問自体を数日待たなければいけない可能性もあります。
まあ極端な例ですけどね」
うーん、お菓子とお茶を出して、普段の食事を出して・・・流石に貴族相手じゃダメか。お互い同格だって話だしね。貴族は見栄にお金を使うっていうからそんなもんなのかもね。
翌日、昨日出した使者からは今日行っても構わないと言われていたので領主邸に出向くことにする。
クロイゼさんは旅装束じゃなくてちゃんとした貴族服だ。俺はどうしようか。一応リリアーナさんに揃えてもらった服だからそれなりに高級なものなんだけど、貴族と会うのにこれで大丈夫だろうか。
「ジン殿、忘れていらっしゃるようですが、ジン殿は使用人という事になっています。身なりは普通で問題ありませんよ」
「そうでしたね。じゃあ今回も気楽に過ごさせてもらいます」
「クロイゼ伯爵、お久しぶりです。義父と呼んだほうが良いですか?」
サンクマン伯爵との挨拶が終わった後に、息子だという若い男の子を紹介された。まだ10代に見えるが、この子に嫁がせたのか?
「どちらでも構いませんよ。サーシャは元気にしておりますか?」
「はい。先日妊娠がわかってので安静にしてもらっています」
「おお、孫が出来るのですか。素晴らしい!寄った甲斐がありましたな」
「とりあえず応接室にどうぞ。そちらの方が異世界人殿ですな。ご一緒にどうぞ」
あれ、なんで俺のこと知ってるんだ?
「何、これでも上級貴族です。それなりに情報も得られます。特に先日まで王都におりましたからな。勇者として訪問するわけでもない異世界人なら一人しかおりません」
「俺が異世界人だとわかったのは何故でしょうか?」
「私はクロイゼ伯爵とは懇意にしています。なので使用人の顔は覚えています。新しく雇った者の可能性もありますが、仮にも他国への使者をするのです、新人を連れて歩くことはないでしょう」
なるほど。
となると、王都に行ったら上級貴族には俺のことがバレてる?
「そう思った方が良いでしょうな。まあ情報に無頓着な者もおりますが。こういう事は隠そうとしても隠せないものですよ」
まあ普通に部屋に使用人が控えてたりするからね。どんな機密事項でもそのあたりから漏れたらどうしようもない。一応信用できる使用人しかいない場所で話すんだろうけど。
「そうですか、俺の名前はジンです。呼び捨てで結構ですよ」
「ジン殿ですな。あなたに関しては異世界人だという情報しかありませんでした。出来れば色々とお聞きしたいですな」
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