異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス

文字の大きさ
上 下
49 / 124
第2章 ロザリア王国編

049 ハウフマン子爵領

しおりを挟む
#049 ハウフマン子爵領

 オークの襲撃の翌日の夕方、ハウフマン子爵領についた。

 子爵は優しい感じの細い男性でいかにも文官です、という感じだ。

「クロイゼ伯爵、ようこそおいでくださいました」

 クロイゼさんは行きにもこの領地に寄ったようで、面識があるようだ。

「おや、従者を増やされたのですかな?部屋は用意出来ますのでご安心ください」

 使用人の顔まで覚えてるってすごいね。人数だけかな?

「ご配慮いたみいります」

 なんだかんだと貴族らしい会話が続くが要はよろしくって話だな。この辺になると国境が近いらしく、どっちの貴族とも仲良くやる必要があるらしい。


「ところで子爵、くる途中でオークに襲われたんですが、間引きはされてないのですかな?」

「そうですか。襲われましたか。申し訳ありません。一応冒険者に討伐依頼は出してあるのですが、近くにギルドが無いのもあって数が増えると対応しようがありませんでして。
 申し訳ありません」


 部屋に案内されてからクロイゼさんに聞くと、こういった田舎の領主は自分のところではあまり兵力を持たないそうだ。税収も多くないので雇えないというのもある。
 それに冒険者ギルドは大きな街にはあるが、この領地にはない。つまり移動してでもオークを討伐してくれるだけの報酬を積む必要があるのだ。そして田舎の領主にそれほどの費用を用立てる余裕はない。

「商人とかはどうしてるのですか?この道を通るんですよね?」

「商人は独自に冒険者を雇います。それに国をまたぐ場合はキャラバンを構成してまとめて移動することが多いですから護衛の冒険者も多くなります。あのくらいのオークなら対応できるでしょうな」

 なるほど、俺たちが連れていた騎士の人数が少ないから苦労したと。ならもっと多くの騎士を連れて行くのが必要なのでは?

「私程度の使者ではこのくらいの騎士でも過剰です。これでもジン殿がおられるので多いのですよ?私一人のための護衛ならこの半分程度です。
 あれだけのオークに襲われたら騎士も無事では済まなかったでしょう」

「クロイゼさんは国の使者ですよね?それも伯爵家当主。もっと護衛がついてもおかしくないのでは?」

「今回のお話は元々は事前協議ですのであまり公ではないのですよ。なので公式な謁見も行っておりません。ジン殿が公式な訪問を選ばれたのでしたらもっと護衛がついたでしょうが。
 それに今回のようにオークとはいえ集団で襲われるのは滅多にありません。今回は運が悪かったですな」

 これでも多かったのか。なんか国同士の話だから使者ももっと万全の対策を練ってるのかと思ってたけど、必要最低限らしい。
 特にこの街道は商人も使うのでそれほど危険だとは思われてなかったようだ。


 出された食事はハルマン男爵領とそれほど変わりはない。オークのステーキがついたくらいか。それも俺たちが持ち込んだオーク肉なんだが。
 柔らかいパンが出てきたが、それでも気を遣ってくれてるそうだ。田舎の子爵ではこの位らしい。貴族だからといって全員が全員金持ちではないそうだ。

「特にこの領地は特産品もなく、大きな街からも離れていますからな。商人が通る際にはほとんどがキャラバンです。街の外で野営するでしょうから街にもそれほどお金は落ちません。行商人が街に泊まることはあるでしょうが、税収としてはそれほどではないでしょうな」

 田舎はあくまで田舎ってことか。


 俺は何日かぶりにベッドで寝れて満足だ。クレアと一緒の部屋だが、ベッドは別だし大丈夫。久しぶりにぐっすり寝れたよ。


 朝は鶏の鳴く声で目が覚めた。鶏って本当に日が出るとすぐに鳴くのね。田舎では鶏を飼うのが当然なので普通に目覚ましになってるらしい。

「クロイゼ伯爵、またこの道を通られる場合は寄ってください。大したもてなしは出来ませんが、ベッドくらいは提供できますので」

「ありがとうございます。久しぶりにゆっくりと寝れました。またご縁がありましたらよろしくお願いします」

 うん、俺もぐっすり寝れて満足だ。
しおりを挟む
感想 182

あなたにおすすめの小説

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

文字変換の勇者 ~ステータス改竄して生き残ります~

カタナヅキ
ファンタジー
高校の受験を間近に迫った少年「霧崎レア」彼は学校の帰宅の最中、車の衝突事故に巻き込まれそうになる。そんな彼を救い出そうと通りがかった4人の高校生が駆けつけるが、唐突に彼等の足元に「魔法陣」が誕生し、謎の光に飲み込まれてしまう。 気付いたときには5人は見知らぬ中世風の城の中に存在し、彼等の目の前には老人の集団が居た。老人達の話によると現在の彼等が存在する場所は「異世界」であり、元の世界に戻るためには自分達に協力し、世界征服を狙う「魔人族」と呼ばれる存在を倒すように協力を願われる。 だが、世界を救う勇者として召喚されたはずの人間には特別な能力が授かっているはずなのだが、伝承では勇者の人数は「4人」のはずであり、1人だけ他の人間と比べると能力が低かったレアは召喚に巻き込まれた一般人だと判断されて城から追放されてしまう―― ――しかし、追い出されたレアの持っていた能力こそが彼等を上回る性能を誇り、彼は自分の力を利用してステータスを改竄し、名前を変化させる事で物体を変化させ、空想上の武器や物語のキャラクターを作り出せる事に気付く。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

処理中です...