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第2章 ロザリア王国編
047 ハルマン男爵領
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#047 ハルマン男爵領
「おや、花畑ですか?」
馬車から見える風景が草原から花畑に変わった。馬車は丘を登るように進んでいるが、坂を登り始めたあたりから花の匂いがして外を覗いたのだ。
「ジン様、ここはハルマン男爵領です。蜂蜜の産地として有名です」
クレアに説明されてようやくこの花畑が人工的なものだと分かった。花の種類が統一されているのだ。中には雑草としてか思えない草も生えてるが、まあ日本の庭園じゃあるまいし、雑草を除くのは無理だろう。広いしね。
「ジン殿、ここの蜂蜜はうまいですぞ。パンに塗ってあぶると最高です」
クロイゼさんもそういう単純な料理も食べるのね。
ああ、クロイゼさんは使者をやっている伯爵様だ。旅も長くなるとずっと他人行儀な呼び方では肩が凝るということでさん付けで呼ぶことになった。
クロイゼさんは今回のような他国への使者をやる事が多く、旅慣れているそうだ。そういう理由もあって各地の特産品には詳しいとか。今回の使者に来る途中でもこの領に立ち寄って蜂蜜を食べたそうだ。そこで提供されたのが蜂蜜の乗ったあぶりパンだったらしい。
「蜂蜜は保存が効きますからな。砂糖ほど甘さがくどくありませんし、紅茶に入れると香りも良い。是非土産に買って帰りたいものですな」
そう言われると食べたくなるな。
俺は元々そんなに蜂蜜は得意ではない。蜂蜜を使われた料理は嫌いじゃないんだけど、一度自分で使ってみようと思って買った蜂蜜が瓶を開けた途端に強い香りがして、その香りが嫌な匂いに感じたのだ。
正直喫茶店のパンケーキに出てくる蜂蜜は美味しいと思う。だけど俺が買った蜂蜜の匂いは強烈だった。
もしかしたらたまたま買ったのが匂いのきつい奴だったのかもしれないが、ちょっと自分で手を出すには、という感じだ。
「あそこをご覧なされ。箱があるでしょう。あれがハチの養蜂箱です。この時期は花が咲き誇りますから蜂蜜もたっぷりと蓄えられている事でしょう。
ちなみにここからは見えませんが、丘の向こう側には秋に咲く花が植えられているそうです。年に2回収穫できる訳ですな」
なるほど。春の花畑と秋の花畑か。味に違いがありそうだな。
「ようこそクロイゼ伯爵。またのおいでをお喜び申し上げます」
「こちらこそ、ハルマン男爵。先日は世話になりました。美味しい蜂蜜をありがとうございました」
俺は使用人という事になってるので挨拶はしない。男爵クラスだと俺の顔も知らないのだ。伯爵以上だと晩餐会に参加してただろうから知ってるだろうけどね。
「今日は秋の蜂蜜を使った料理をご用意しておりますぞ。楽しみにしていてくだされ」
蜂蜜を使った料理か。この世界だと炒め物になるんだろうか?
「おい、使用人は向こうの建物だ。この建物は領主様の館だ。近寄るんじゃない」
俺がクロイゼさんについて屋敷に入ろうとしたら兵士に突き飛ばされた。どうやら使用人は別館に泊まるらしい。
別に別館でも構わないのだが、突き飛ばすことはないと思う。
クレアに手を借りながら起き上がって、兵士に言われたように別館に向かった。どうやらクロイゼさんは既に屋敷に入ってて気付かなかったようだね。まあ良いけど。
別館に行くと粗末な服を着た使用人が部屋に案内してくれた。部屋は狭いし、ベッドではなく藁に毛布を敷いただけの寝具だ。どうやらここの領主は貴族と使用人を完全に分けて考える人らしい。
それとも男爵クラスだと使用人にベッドを与える程の財力がないのか?
「はあ、ここの領主様はケチですね。蜂蜜で儲けてるでしょうに。使用人の扱いがこれでは当主様の器量が知れるというものです」
クレアの指摘は厳しいが間違ってないと思う。蜂蜜は高級品だ。そして養蜂は基本的に花さえ咲いてれば放置できる産業だ。なので当然領民は別途畑を耕しているだろうし、それで食べ物は確保できてるはずだ。
つまり、ここの男爵家が貧乏な訳がないそうだ。
「まあ仕方ないんじゃないかな。今回は使用人枠だしね。多分勇者相手だったら贅沢な蜂蜜料理でもてなしてたと思うよ?」
「それはそうですが、これは差がありすぎです。自ら恥を晒してるようなものです」
「そういえばクロイゼさんのメイドさんはこっちには来てないみたいだね」
「はい、一緒に屋敷に入っていきましたから。単純に男の使用人を下男だと判断して差別しただけでは?」
流石にないとは思うんだけどね。外国の使者の使用人を無碍に扱うなんて。いや、俺たちが前に来た時にいなかったからか?
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは護衛の騎士だった。王国騎士団の大隊長さんだ。かなりのお偉いさんである。
「ジン様、申し訳ありません。我々がついていながらこのような扱いになってしまって。ここは領主の館ですので数名の護衛しか入れませんでした」
「構いませんよ。ここの領主に外国の使者の従者を害する度胸があるようにも思えませんでしたし」
「一応領主館の外に夜番に何名か待機させます。建物の外での護衛となりますがご容赦ください」
貴族制って厄介だね。王都では完全に階級社会なんだけど、貴族の領地に入るとある程度領主の意向が通ってしまう。
もちろん具体的に国王から命令や上位貴族からの指示があれば別だが、使用人を冷遇するくらいの事は裁量の範囲内だ。男爵も使者本人には媚びへつらっても、使用人には興味がないのだろう。後で愚痴でもこぼされたらどうするんだろうね。
護衛の騎士団も、大隊長は俺が異世界人だと知っているが、部下は知らない。なので俺の扱いを知るのが遅くなったようだ。多分夜番をする騎士はなんで使用人の建物を警備するのか理解してないだろう。
一応公私の私で移動してるので俺の出自を兵士が知ってると、何かの加減でバレる可能性があるので情報自体を制限している。日本の良識とかは、文化が違うので全く当てにならない。兵士が娼婦に情報を漏らすのは普通にある事だという。
王国騎士団がそれで良いのかとも思うが、隊長クラスならともかく、一般騎士レベルだとそこまで意識が高くないらしい。
俺も地球の中世ヨーロッパの文化には詳しくないが、情報統制が厳格化されたのは近代国家になってからと聞いた事があるので、この世界でも同じなんだろう。
まあ日本でもSNSとかで情報が漏れまくってるから一概に責めれないけどね。
食事は粗末なものだった。蜂蜜を乗せたパンを食べてみたかったが、使用人には堅パンと塩スープと干し肉だけだった。
一緒に食べた使用人に聞くと、これが普段の食事らしい。野菜とかをどうしてるのか聞いたら朝にサラダがつくそうだ。贅沢なのか質素なのか。新鮮な野菜が食べれるのは田舎では贅沢に含まれないのかもしれないね。
ああ、そうそう、なぜか知らないけど、領主館の門番が、突然水が降ってきて濡れて風邪をひいたそうだ。かわいそうに。
「おや、花畑ですか?」
馬車から見える風景が草原から花畑に変わった。馬車は丘を登るように進んでいるが、坂を登り始めたあたりから花の匂いがして外を覗いたのだ。
「ジン様、ここはハルマン男爵領です。蜂蜜の産地として有名です」
クレアに説明されてようやくこの花畑が人工的なものだと分かった。花の種類が統一されているのだ。中には雑草としてか思えない草も生えてるが、まあ日本の庭園じゃあるまいし、雑草を除くのは無理だろう。広いしね。
「ジン殿、ここの蜂蜜はうまいですぞ。パンに塗ってあぶると最高です」
クロイゼさんもそういう単純な料理も食べるのね。
ああ、クロイゼさんは使者をやっている伯爵様だ。旅も長くなるとずっと他人行儀な呼び方では肩が凝るということでさん付けで呼ぶことになった。
クロイゼさんは今回のような他国への使者をやる事が多く、旅慣れているそうだ。そういう理由もあって各地の特産品には詳しいとか。今回の使者に来る途中でもこの領に立ち寄って蜂蜜を食べたそうだ。そこで提供されたのが蜂蜜の乗ったあぶりパンだったらしい。
「蜂蜜は保存が効きますからな。砂糖ほど甘さがくどくありませんし、紅茶に入れると香りも良い。是非土産に買って帰りたいものですな」
そう言われると食べたくなるな。
俺は元々そんなに蜂蜜は得意ではない。蜂蜜を使われた料理は嫌いじゃないんだけど、一度自分で使ってみようと思って買った蜂蜜が瓶を開けた途端に強い香りがして、その香りが嫌な匂いに感じたのだ。
正直喫茶店のパンケーキに出てくる蜂蜜は美味しいと思う。だけど俺が買った蜂蜜の匂いは強烈だった。
もしかしたらたまたま買ったのが匂いのきつい奴だったのかもしれないが、ちょっと自分で手を出すには、という感じだ。
「あそこをご覧なされ。箱があるでしょう。あれがハチの養蜂箱です。この時期は花が咲き誇りますから蜂蜜もたっぷりと蓄えられている事でしょう。
ちなみにここからは見えませんが、丘の向こう側には秋に咲く花が植えられているそうです。年に2回収穫できる訳ですな」
なるほど。春の花畑と秋の花畑か。味に違いがありそうだな。
「ようこそクロイゼ伯爵。またのおいでをお喜び申し上げます」
「こちらこそ、ハルマン男爵。先日は世話になりました。美味しい蜂蜜をありがとうございました」
俺は使用人という事になってるので挨拶はしない。男爵クラスだと俺の顔も知らないのだ。伯爵以上だと晩餐会に参加してただろうから知ってるだろうけどね。
「今日は秋の蜂蜜を使った料理をご用意しておりますぞ。楽しみにしていてくだされ」
蜂蜜を使った料理か。この世界だと炒め物になるんだろうか?
「おい、使用人は向こうの建物だ。この建物は領主様の館だ。近寄るんじゃない」
俺がクロイゼさんについて屋敷に入ろうとしたら兵士に突き飛ばされた。どうやら使用人は別館に泊まるらしい。
別に別館でも構わないのだが、突き飛ばすことはないと思う。
クレアに手を借りながら起き上がって、兵士に言われたように別館に向かった。どうやらクロイゼさんは既に屋敷に入ってて気付かなかったようだね。まあ良いけど。
別館に行くと粗末な服を着た使用人が部屋に案内してくれた。部屋は狭いし、ベッドではなく藁に毛布を敷いただけの寝具だ。どうやらここの領主は貴族と使用人を完全に分けて考える人らしい。
それとも男爵クラスだと使用人にベッドを与える程の財力がないのか?
「はあ、ここの領主様はケチですね。蜂蜜で儲けてるでしょうに。使用人の扱いがこれでは当主様の器量が知れるというものです」
クレアの指摘は厳しいが間違ってないと思う。蜂蜜は高級品だ。そして養蜂は基本的に花さえ咲いてれば放置できる産業だ。なので当然領民は別途畑を耕しているだろうし、それで食べ物は確保できてるはずだ。
つまり、ここの男爵家が貧乏な訳がないそうだ。
「まあ仕方ないんじゃないかな。今回は使用人枠だしね。多分勇者相手だったら贅沢な蜂蜜料理でもてなしてたと思うよ?」
「それはそうですが、これは差がありすぎです。自ら恥を晒してるようなものです」
「そういえばクロイゼさんのメイドさんはこっちには来てないみたいだね」
「はい、一緒に屋敷に入っていきましたから。単純に男の使用人を下男だと判断して差別しただけでは?」
流石にないとは思うんだけどね。外国の使者の使用人を無碍に扱うなんて。いや、俺たちが前に来た時にいなかったからか?
コンコン
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは護衛の騎士だった。王国騎士団の大隊長さんだ。かなりのお偉いさんである。
「ジン様、申し訳ありません。我々がついていながらこのような扱いになってしまって。ここは領主の館ですので数名の護衛しか入れませんでした」
「構いませんよ。ここの領主に外国の使者の従者を害する度胸があるようにも思えませんでしたし」
「一応領主館の外に夜番に何名か待機させます。建物の外での護衛となりますがご容赦ください」
貴族制って厄介だね。王都では完全に階級社会なんだけど、貴族の領地に入るとある程度領主の意向が通ってしまう。
もちろん具体的に国王から命令や上位貴族からの指示があれば別だが、使用人を冷遇するくらいの事は裁量の範囲内だ。男爵も使者本人には媚びへつらっても、使用人には興味がないのだろう。後で愚痴でもこぼされたらどうするんだろうね。
護衛の騎士団も、大隊長は俺が異世界人だと知っているが、部下は知らない。なので俺の扱いを知るのが遅くなったようだ。多分夜番をする騎士はなんで使用人の建物を警備するのか理解してないだろう。
一応公私の私で移動してるので俺の出自を兵士が知ってると、何かの加減でバレる可能性があるので情報自体を制限している。日本の良識とかは、文化が違うので全く当てにならない。兵士が娼婦に情報を漏らすのは普通にある事だという。
王国騎士団がそれで良いのかとも思うが、隊長クラスならともかく、一般騎士レベルだとそこまで意識が高くないらしい。
俺も地球の中世ヨーロッパの文化には詳しくないが、情報統制が厳格化されたのは近代国家になってからと聞いた事があるので、この世界でも同じなんだろう。
まあ日本でもSNSとかで情報が漏れまくってるから一概に責めれないけどね。
食事は粗末なものだった。蜂蜜を乗せたパンを食べてみたかったが、使用人には堅パンと塩スープと干し肉だけだった。
一緒に食べた使用人に聞くと、これが普段の食事らしい。野菜とかをどうしてるのか聞いたら朝にサラダがつくそうだ。贅沢なのか質素なのか。新鮮な野菜が食べれるのは田舎では贅沢に含まれないのかもしれないね。
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