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第1章 召喚編

037 魔力

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#037 魔力

 俺は今王宮の一室で宮廷魔術師を待っている。
 魔力の測定のためだ。

 昨日クレアから魔力の適性と属性に関して教えてもらった。女神様から聞いた魔法の法則とは違ったけど、人間が使うのと女神様が使うのとでは違いがあるんだろう。人間と女神様では体の構造すら違いそうだしね。

 俺にも魔力があれば魔道具が使える。
 一定以上の魔力があれば魔法を使える適性がある事になり、魔法が使える可能性がある。
 魔法が使えるならどの属性が得意かを見極め、得意属性を伸ばす。

 まあそんな感じだ。

 魔力の大きさは加護の大きさに比例する傾向にあるそうなので俺の場合魔力自体がない可能性もあるらしいが。

 その時は諦めて体力をつけて剣でゴブリンを倒すさ。元の世界に帰れるようになるまで数年。それだけあればゴブリンくらい倒せるはず!まあさすがにそんなに時間がかかりそうだったら諦めそうだけどね。



 宮廷魔術師がやってきた。ローブを着ているので分かりにくいが女性のようだ。ちょっとだけローブの胸の部分が盛り上がっている。下に鎧でもきてない限りは女性だろう。

「私の騎士団時代の友人でサリバンと言います。今日はジン様の適正をみてもらうのを頼みました」

「初めまして、異世界のお方。私はサリバンと申します。しがない宮廷魔術師です」

「先に言っておきますが、サリバンは同年代ではエリート街道まっしぐらです。下級貴族の出ですのでトップには登れないでしょうけれども、役職にはつけるんじゃないかと噂されています」

 全然しがなくないよ。

「それで適正を見たいという話ですが、加護はどの程度でしょうか?」

「えっと、加護はないんですけど?」

「え?加護がない?そんな人がいるわけ・・・いや、異世界人でしたね。分かりました。一番下級の測定器から使っていきましょうか。それで光るようなら最低限の魔力は持ってます。中級ので魔力の大体の量を。上級が必要なほど魔力があるとは思えませんが、中級の光が強かった場合は使ってみましょう」

 測定器は3段階あるのか。

「まずは下級です。
 この水晶に魔力を流してください」

 ん?

「魔力を流してください」

 んん?

「魔力ってどうやって流すんですか?」

「えっと、なんとなく?でしょうか?」

「魔力があるかを測る測定器なんですよね?なんで魔力を流す前提なんですか?」

「えっと、何故でしょうね?魔力が全くない人は見たことがないので、この水晶も魔力を感じて動くとしか。あれ?魔力がない場合はどうなるんでしょうか?
 とりあえず触って念じてみてください。魔力よ出ろーって感じで」

 そんな良い加減な感じで魔力が扱えるのか?

 俺が魔力よ出ろーって念じたら多分女神様パワーで魔力が出ちゃうんだよね。だから自力で出すには技術の習得が必要で・・・。魔力が使えないと技術も練習できなくって・・・。

 魔力がない可能性が全く考えられてない魔力測定、及魔法の使い方だな。
 まあ全員に加護があって、全員に多少なりとも魔力があるのが前提らしいしな。しかも生まれ持って使い方がなんとなく分かるとか。チートじゃん。

 とにかく触るだけ触ってみようか。念じたらダメだしな。

 水晶がぽわっと光った。

「おぉ、光りましたね!ジンさん、魔力があるのが確定しましたよ!いやー良かったよかった」

 サリバンさん、光らなかったらどうやって測定するつもりだったんですかね?

「光は弱いですが、一応中級の水晶でも測ってましょうか。こちらが光らないようでしたら魔法が使えるほどの魔力がない事になります」

 ああ、こっちは分かりやすいね。

 ところでこれも魔力を流さないといけないのかな?流し方相変わらずわからないんだけど?

「とりあえず触っちゃってください。魔道具が使えることは確認できましたし、魔法が使えなくても死にはしません」

 うーん、これが本番だな。魔法が使えるかを確認しにきたんだし。魔道具が使えても生活には便利かもしれないけど、ゴブリンを倒すには魔法が必要なんだ!

 ペタッ

 最初の水晶よりも大きめの水晶に手を置く。

 変化がない。

「残念ですねー、魔法が使えるほど魔力はないようです。大丈夫です。ほとんどの人が光りませんから」

 はぁ、魔法は使えないか。

 うーん、テンプレでは巻き込まれはチートのはずなんだが。弱い魔法しか使えないパターンはあったけど、魔法自体が使えないパターンはあんまりみなかったしな。

 この世界ステータスとかないし、この測定で無いと判断されたなら無いということなんだよな。

 魔法も無理なら地道に体力つけて剣の訓練をするしか無いか。

「えっと、ジンさん?攻撃魔法の魔道具を使ってみませんか?」

「え、魔道具に攻撃魔法のがあるんですか?」

「ええ、まだ開発中なんですけど、試作品はあるんです。火を付ける魔道具の出力を増やして放出する魔道具なんですけど。
 実は発動する人と発動しない人いまして。理論上は誰でもいけるはずなんですけどね。
 それで異世界人のジンさんならもしかして、と思いまして。
 最近は勇者様ともお会いできませんし、この機会に是非」

 そうか、攻撃魔法の魔道具か。試作品らしいけど、使えるならギリ自力?

「じゃ、じゃあ、ちょっとだけ」

「どうぞどうぞ、こっちの魔法実験場でお願いしますね」


 場所を移動して実験場とやらにきた。 地下室なんだけど、壁が焦げたままになっている。火魔法でも使ったのだろうか。

「さあ、この魔道具のこちらを向こうに向けて魔力を流してください。全力でいいですよ」

 ・・・魔力の流し方を先に教えてください・・・

 魔力が魔道具を使える程度にあるのはわかった。でも魔力の流し方はわからない。彼女自身もなんとなくとか言ってたしな。この世界の人は生まれた時から魔力の使い方を知ってるみたいだし。

 とりあえず触ってみるが、当然発動しない。

「やっぱりダメですかねー。条件はなんでしょうかね。まだ研究が必要ですね」

「サリバン、お疲れ様でした。ジン様、もう帰りましょう」

 俺のorzを見てクレアがもう帰ろうと提案してくれた。うん、魔道具が使える魔力があるのと魔道具を使えるのは別の話だよね。



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