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第1章 召喚編
035 スライムの戦闘力
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#035 スライムの戦闘力
薬草採取を終えて屋敷に戻った俺はリリアーナさんの執務室を訪れていた。
「リリアーナさん、クレアって実は強かったんですね?」
「ええ、クレアは元々騎士団で鍛えられてましたから。公爵になる時についてきてもらいましたが、メイドか護衛かで悩むほどでしたし。冒険者になってたら良いとこまで行ってたと思いますよ」
そうですか。知らなかったのは俺だけですか。
と言うか、こないだ聞いたメイドの戦闘力は一般的な話だったんですね。ええ、そうでしょうとも。一般を知らない俺に教えるのは一般的な事ですよね。
「クレアはジン様付きのメイドにしましたが、ジン様の護衛も兼ねてるんですよ?だから街に出てもクレア以外に護衛をつけてませんよね?」
確かにクレアは連れていくように言われたけど、他に護衛はつかなかった。俺が一般人だから護衛されるような事じゃないと思ってたんだけど。
「何言ってるんですか。ジン様は私が生活の保証をした人ですよ。当然安全も含めています。なのでクレアが付いていなければ護衛を五人はつけてましたよ」
護衛五人分の戦力として計算れてたのね。そりゃ俺の薬草採取の依頼くらいさせてくれるはずだわ。
多分クレアが一緒じゃなかったら薬草採取に護衛が五人ついてきたんだろうね。冒険者って一体・・・。
「ですが、今回は狼だったから良かったものの、ゴブリンだったら危なかったでしょう。なので今後森に入る時には護衛を連れて行ってもらいます」
え、クレアだけでも連れてくの恥ずかしいのに護衛までついちゃうの?今のままでいいじゃん。
「ダメです。ジン様は自覚がないようですが、教会からも連絡がきています。ジン様は重要人物だから危険に晒さないようにと。もちろんお父様からも似たような話は来ています」
そうだった。聖者とか叙爵だとか何かと俺と繋がりを持ちたがってたんだった。そんな俺の安全を考えないわけがないか。
「騎士団の一隊をつけようと言う案もあったのですが、それではジン様が自由に動けませんので私の方で護衛を手配する事になったのです。街ではクレアだけで結構ですが、街を出る時にはちゃんと護衛を連れて行ってくださいね。
近いうちにジン様専用の護衛を雇う計画も持ち上がっています。毎回騎士団を動かすのは面倒な手続きが多すぎますから。なので自重してくださいね」
それってもう冒険じゃないと思う。
いや、危険が味わいたいわけじゃないよ?狼の時も首を竦めなかったら死んでた可能性もあるしね。だけど薬草採取にメイドと護衛を連れていくってのはどうかと思うんだ。
「ジン様、騎士団の方が良かったですか?なんなら教会騎士団もつくかもしれませんよ?」
教会にも騎士団があるのか。
もし両方付いたりなんかしたら、俺って薬草採取に何十人も連れていくの?それって薬草採取の報酬よりよっぽど費用かかるよね?
「ジン様の護衛には専用の予算を割くように調整しています。ジン様が旅行などにいかれるようでしたらその予算から騎士団を動かしますので早めに言ってくださいね」
う、旅行は行ってみたかったけど・・・敷居が高くなったな。
「先ほども言いましたが街中でしたらクレアだけで大丈夫です」
暗に外に出るなって言われてるな。暗喩も理解する大人だからね!
狼相手に一歩も動けなかったんだからゴブリンとかの魔物相手だとさっぱりだろうな。いやでもスライムくらいなら?スライムって確かRPGでは一番最初に出てくる最弱の魔物だよな?この世界でも森の浅い場所にいると言う話だし、弱いはずだ。
よし、スライムを倒すのを目標にしよう!
「そうです、そのまま振り下ろして。結構です。今度は下からあげてください。はい、そうですね」
こっそりとクレアに剣を教えてもらっている。まあ中庭でやってるのでバレて入るだろうけど。俺はスライムを倒せるように頑張るんだ!とはいえ自分で素振りしてても強くなれる気がしないのでクレアに教えてくれるように頼んだのだ。
ハルファさんに基本の型を教えてもらってはいたけど、相手がいるといざと言うときに動けないのを実感させられたから、実戦形式で教えてもらう事にしたのだ。
なんだけど、自主練と称して素振りをしている間に変な癖をつけてしまったらしく、今矯正されているところだ。
「右手に力がこもりすぎです。最初は左手だけで振ってみましょう」
いや、もう腕がパンパンなんですけど!俺に分かりやすいようにクレアが何度も見本を見せてくれるんだけど、どう考えてもクレアの方が振ってる回数多いよね!なんでそんなに平気なの?
・・・
「ジン様、こう言ってはなんですが・・・」
「何?」
「あまり、その、期待なさらない方が良いかと・・・」
つまり才能がないって事だよね!暗喩のわかる大人だからわかるよ!でも納得できるのとは違うんだ。俺がスライムよりも弱いだなんて認めたくない!
「スライムはスライムで結構厄介ですよ?火が弱点ですので火魔法が使えれば全く脅威ではないのですが・・・剣だけだと結構厄介ですよ?」
「え、スライムって弱いんだよね?」
「ええ、弱いです。ですが倒しやすいと言うのとは違います。
スライムは核を潰さないと死にません。スライムは比較的透明度が高いので核が見えてる事が多いのですが、問題は周囲を覆うスライムゼリーです。粘性があり、剣を滑らせるので、相当な使い手でなければ一撃で核を破壊するのは不可能です。
ただ、別に剣に拘らなければ最悪踏みつけて核を壊しても倒せます。一撃で核を潰さなければひっつかれて大変な事になりますが」
あれ?スライムって雫状の可愛いやつだよね?目がまんまるの。
「何を言ってるんですか。スライムは不定形ですよ。粘っこい液体魔物です。平べったくなって水たまりに擬態したり、丸くなって木の根本に隠れてたり。たまに木の枝に乗ってる場合もあるそうです。
へばりつかれたらその溶解液で体ごと溶かされますよ。まあへばりつかれてから松明をつけても間に合いますので火で殺せますが。火魔法も松明も持ってない状態でへばりつかれたら引きずって街まで逃げるしかないですね。厄介ですよ?
スライムの上位種の中には美容液の材料になるものもいますので狙う人はいますが、普通のスライムの粘液にそんな価値はないので普通は見つけても無視します。
わざわざスライムと戦おうなんて言うのはあなたくらいです」
いやだからね?戦いたいわけじゃないんだよ?スライムより強くなりたいだけで。
「スライムと戦闘力を競うのが間違いです。スライムはその性質が厄介なだけでへばりつかれさえしなければ子供でも倒せます。
いくらジン様でもそのくらいは出来ますよね?」
うぅ、対象をゴブリンに変更しようかな。こう、なんて言うのかな、男として最弱の魔物よりも弱いのが許せないと言うか。やっぱり魔物を倒すってロマンじゃない?
薬草採取を終えて屋敷に戻った俺はリリアーナさんの執務室を訪れていた。
「リリアーナさん、クレアって実は強かったんですね?」
「ええ、クレアは元々騎士団で鍛えられてましたから。公爵になる時についてきてもらいましたが、メイドか護衛かで悩むほどでしたし。冒険者になってたら良いとこまで行ってたと思いますよ」
そうですか。知らなかったのは俺だけですか。
と言うか、こないだ聞いたメイドの戦闘力は一般的な話だったんですね。ええ、そうでしょうとも。一般を知らない俺に教えるのは一般的な事ですよね。
「クレアはジン様付きのメイドにしましたが、ジン様の護衛も兼ねてるんですよ?だから街に出てもクレア以外に護衛をつけてませんよね?」
確かにクレアは連れていくように言われたけど、他に護衛はつかなかった。俺が一般人だから護衛されるような事じゃないと思ってたんだけど。
「何言ってるんですか。ジン様は私が生活の保証をした人ですよ。当然安全も含めています。なのでクレアが付いていなければ護衛を五人はつけてましたよ」
護衛五人分の戦力として計算れてたのね。そりゃ俺の薬草採取の依頼くらいさせてくれるはずだわ。
多分クレアが一緒じゃなかったら薬草採取に護衛が五人ついてきたんだろうね。冒険者って一体・・・。
「ですが、今回は狼だったから良かったものの、ゴブリンだったら危なかったでしょう。なので今後森に入る時には護衛を連れて行ってもらいます」
え、クレアだけでも連れてくの恥ずかしいのに護衛までついちゃうの?今のままでいいじゃん。
「ダメです。ジン様は自覚がないようですが、教会からも連絡がきています。ジン様は重要人物だから危険に晒さないようにと。もちろんお父様からも似たような話は来ています」
そうだった。聖者とか叙爵だとか何かと俺と繋がりを持ちたがってたんだった。そんな俺の安全を考えないわけがないか。
「騎士団の一隊をつけようと言う案もあったのですが、それではジン様が自由に動けませんので私の方で護衛を手配する事になったのです。街ではクレアだけで結構ですが、街を出る時にはちゃんと護衛を連れて行ってくださいね。
近いうちにジン様専用の護衛を雇う計画も持ち上がっています。毎回騎士団を動かすのは面倒な手続きが多すぎますから。なので自重してくださいね」
それってもう冒険じゃないと思う。
いや、危険が味わいたいわけじゃないよ?狼の時も首を竦めなかったら死んでた可能性もあるしね。だけど薬草採取にメイドと護衛を連れていくってのはどうかと思うんだ。
「ジン様、騎士団の方が良かったですか?なんなら教会騎士団もつくかもしれませんよ?」
教会にも騎士団があるのか。
もし両方付いたりなんかしたら、俺って薬草採取に何十人も連れていくの?それって薬草採取の報酬よりよっぽど費用かかるよね?
「ジン様の護衛には専用の予算を割くように調整しています。ジン様が旅行などにいかれるようでしたらその予算から騎士団を動かしますので早めに言ってくださいね」
う、旅行は行ってみたかったけど・・・敷居が高くなったな。
「先ほども言いましたが街中でしたらクレアだけで大丈夫です」
暗に外に出るなって言われてるな。暗喩も理解する大人だからね!
狼相手に一歩も動けなかったんだからゴブリンとかの魔物相手だとさっぱりだろうな。いやでもスライムくらいなら?スライムって確かRPGでは一番最初に出てくる最弱の魔物だよな?この世界でも森の浅い場所にいると言う話だし、弱いはずだ。
よし、スライムを倒すのを目標にしよう!
「そうです、そのまま振り下ろして。結構です。今度は下からあげてください。はい、そうですね」
こっそりとクレアに剣を教えてもらっている。まあ中庭でやってるのでバレて入るだろうけど。俺はスライムを倒せるように頑張るんだ!とはいえ自分で素振りしてても強くなれる気がしないのでクレアに教えてくれるように頼んだのだ。
ハルファさんに基本の型を教えてもらってはいたけど、相手がいるといざと言うときに動けないのを実感させられたから、実戦形式で教えてもらう事にしたのだ。
なんだけど、自主練と称して素振りをしている間に変な癖をつけてしまったらしく、今矯正されているところだ。
「右手に力がこもりすぎです。最初は左手だけで振ってみましょう」
いや、もう腕がパンパンなんですけど!俺に分かりやすいようにクレアが何度も見本を見せてくれるんだけど、どう考えてもクレアの方が振ってる回数多いよね!なんでそんなに平気なの?
・・・
「ジン様、こう言ってはなんですが・・・」
「何?」
「あまり、その、期待なさらない方が良いかと・・・」
つまり才能がないって事だよね!暗喩のわかる大人だからわかるよ!でも納得できるのとは違うんだ。俺がスライムよりも弱いだなんて認めたくない!
「スライムはスライムで結構厄介ですよ?火が弱点ですので火魔法が使えれば全く脅威ではないのですが・・・剣だけだと結構厄介ですよ?」
「え、スライムって弱いんだよね?」
「ええ、弱いです。ですが倒しやすいと言うのとは違います。
スライムは核を潰さないと死にません。スライムは比較的透明度が高いので核が見えてる事が多いのですが、問題は周囲を覆うスライムゼリーです。粘性があり、剣を滑らせるので、相当な使い手でなければ一撃で核を破壊するのは不可能です。
ただ、別に剣に拘らなければ最悪踏みつけて核を壊しても倒せます。一撃で核を潰さなければひっつかれて大変な事になりますが」
あれ?スライムって雫状の可愛いやつだよね?目がまんまるの。
「何を言ってるんですか。スライムは不定形ですよ。粘っこい液体魔物です。平べったくなって水たまりに擬態したり、丸くなって木の根本に隠れてたり。たまに木の枝に乗ってる場合もあるそうです。
へばりつかれたらその溶解液で体ごと溶かされますよ。まあへばりつかれてから松明をつけても間に合いますので火で殺せますが。火魔法も松明も持ってない状態でへばりつかれたら引きずって街まで逃げるしかないですね。厄介ですよ?
スライムの上位種の中には美容液の材料になるものもいますので狙う人はいますが、普通のスライムの粘液にそんな価値はないので普通は見つけても無視します。
わざわざスライムと戦おうなんて言うのはあなたくらいです」
いやだからね?戦いたいわけじゃないんだよ?スライムより強くなりたいだけで。
「スライムと戦闘力を競うのが間違いです。スライムはその性質が厄介なだけでへばりつかれさえしなければ子供でも倒せます。
いくらジン様でもそのくらいは出来ますよね?」
うぅ、対象をゴブリンに変更しようかな。こう、なんて言うのかな、男として最弱の魔物よりも弱いのが許せないと言うか。やっぱり魔物を倒すってロマンじゃない?
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