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第1章 召喚編
025 下級神(リスモット様)
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#025 下級神(リスモット様)
聖女様の馬車で教会に連れられ、奥殿に入った。聖女様も一緒にいるのかと思ったら俺一人になるらしい。これも神託でも指定だそうな。
俺は女神像の前で祈りの姿勢をとると、前に見た神聖な雰囲気の場所に立っていた。
「ようこそ神崎仁さん。2週間ぶりくらいですか?」
「その位ですね。ご無沙汰しています」
「私があなたと会える機会は貴重ですからね。もっと会いにきてくれても良いのですよ?」
いやいや、特別な人しか入れない奥殿をそう簡単に使えるわけないじゃないですか。
「まあ、とにかくお茶でもどうぞ」
そう言うと、目の前にテーブルと湯気を上げているお茶が出現した。神様パワーだろうか?
ありがたく座ると、正面に女神様も座ってお茶を一口。
「仁さんはこの世界には馴染ましたか?何かひどい事とかされてたら神罰を与えますので言ってくださいね」
「ありがとうございます。でも今のところは問題ありません。良くしてもらってます」
「それは良かったです」
ところで女神様?あなたがさっき立ってた場所に女性が土下座してるんですけど。非常に気なってるんですけど。
俺の目線を追ったのか、女神様が説明してくれた。
どうやらあの人がリスモット様らしい。下級神でこの世界の管理を任されてるとか。一応この世界の唯一神として存在している偉い人なんだが。
「仁さんを巻き込んで召喚してしまったので謝りたいと言うので許可しました。今回呼んだのはそのためです」
うーん、のんびりさせてもらってるから謝る必要はないんだけどな。
「発言をお許しいただけますでしょうか?」
お、結構綺麗な声してるな。あ、顔は神像と瓜二つだ。ちゃんと姿は伝わってるんだね。
「許します」
「ジン様、私の神託によって誤って召喚してしまい申し訳ありませんでした」
そう言って頭を地面に擦り付ける。
「お詫びと言ってはなんですが、勇者につけたのと同じ加護をつけようかと思うのですが・・・」
「不要です」
ありゃ、女神様からのまったがかかった。
「仁さんには私の加護を与えてあります。あなたの加護は不要です」
「な!創造神様の加護とは!失礼しました!」
そう言って頭を地面に擦り付ける。
あ、この女神様、創造神様だったのね。そりゃあ下級神程度じゃ話すのも緊張するだろうな。
「で、ではお詫びは何がよろしいでしょうか?神託すれば大概のことは叶えられるかと・・・」
「不要です」
女神様、リスモット様が涙目になってますよ。
「仁さんには私が加護を与えた以上、必要な物は私が用意します。あなたは余計な事をしないように」
あれ?もしかしてお金が出てきたりするのって。
「創造神様、もしかして・・・」
「グリッドです」
「えっと、創造神様?」
「グリッドです」
もしかして創造神様って呼び方は好きじゃないのかな?確か名前は。
「イングリッド様?」
「グリッドです」
愛称的なものかな?
「グリッド様?」
「グリッドです」
え、流石に呼び捨ては出来ないよ?
「グリッドさん?」
「なんでしょう?」
いやー、最初からそう呼べと言ってくれれば話は早かったのに。
「あの、俺がお金が欲しいなと思ったら出てきたりしたんですけど、あれって・・・」
「私ですね。加護を与えた以上不自由はさせません。無礼者には神罰を与えますので安心してください」
いや、怖いよ!神罰ってそんなに簡単に与えちゃダメでしょ?!最終兵器だよ!
「もっと頼ってくれても良いのですよ?」
「いえ、結構です」
「そうですか。残念です。ですが遠慮は不要です。いつでも視ていますので」
え?
「遠慮は不要です」
いや、そこじゃなくて、いつでも視てる?
「仁さんに不自由をさせるわけにはいきませんので」
下級神とかにやらせてるのかと思ったら自分で見てた?
「えっと、グリッドさんは創造神ですよね?俺なんかに目を向けてて良いんですか?」
「ええ、私は創造神です。ですが、私の仕事は世界を創造した段階で終わっています。私の仕事はありません。神界から出ると影響が大きすぎるので引きこもってます。ニートです。なので仁さんを見守るのに問題はありません」
いやそりゃ創造神様が出張ってくれば影響が大きいのはわかるけど、俺をずっと見張ってるって・・・。俺のプライバシーどこ行った?
「リスモット」
「はっ」
「勇者に関してです。性格に難のある者を選びましたね?それも仁さんをカツアゲしようとした輩を」
なんかカツアゲの方を強調したな。
「はっ、申し訳ありません。魔王討伐の素質的には十分でしたので」
「言い訳は結構です。先ほどの国王との話は聞いていましたね?」
「はい」
「あなたの召喚した勇者がしでかした事を収めるために仁さんが国王に嘆願した形になりました。なぜあのような下劣な輩のために仁さんが嘆願せねばならないのですか?」
「そ、それは」
「あの輩をちょっと教育して自分の人生を見つめ直させれば良いでしょう?なぜそうしないのですか?」
もしかして洗脳的な事言ってらっしゃる?
「その、下界には出来るだけ関わらないようにとの指示でしたので」
「自分で不和の種を撒いておいて放置はないでしょう。すでに召喚の時点で関わっています。最後まで責任を持ちなさい」
「あの、グリッドさん?」
「はい、なんでしょう?」
「人間は人間で対応したほうが良いかと。なんでも女神様に頼ってしまうと人間がダメになりますし」
「仁さんは優しいですね。わかりました。リグモット、今回の件は人間に任せる事を許します。ですが次はありませんよ?」
「はっ!全力で防ぎます!」
あ、あのヤンキーたち、もう先は長くないな。あいつらが性根を入れ替えるとは思えん。もしかしたら魔王討伐後も元の世界に戻してもらえないかもしれないな。
いや、あんなのこの世界に残されたらこっちの世界の人が困るか。
もしかして消滅させられるとか?いや、流石にそこまで怖いことはしないだろう。しないよね?
「では仁さん、お茶でもしましょうか」
お茶が置いてあったテーブルにはいつの間にかクッキーが載っていた。
「あ、いただきます」
リスモット様がまだ土下座してるけど放っておいて良いんだろうか?
聖女様の馬車で教会に連れられ、奥殿に入った。聖女様も一緒にいるのかと思ったら俺一人になるらしい。これも神託でも指定だそうな。
俺は女神像の前で祈りの姿勢をとると、前に見た神聖な雰囲気の場所に立っていた。
「ようこそ神崎仁さん。2週間ぶりくらいですか?」
「その位ですね。ご無沙汰しています」
「私があなたと会える機会は貴重ですからね。もっと会いにきてくれても良いのですよ?」
いやいや、特別な人しか入れない奥殿をそう簡単に使えるわけないじゃないですか。
「まあ、とにかくお茶でもどうぞ」
そう言うと、目の前にテーブルと湯気を上げているお茶が出現した。神様パワーだろうか?
ありがたく座ると、正面に女神様も座ってお茶を一口。
「仁さんはこの世界には馴染ましたか?何かひどい事とかされてたら神罰を与えますので言ってくださいね」
「ありがとうございます。でも今のところは問題ありません。良くしてもらってます」
「それは良かったです」
ところで女神様?あなたがさっき立ってた場所に女性が土下座してるんですけど。非常に気なってるんですけど。
俺の目線を追ったのか、女神様が説明してくれた。
どうやらあの人がリスモット様らしい。下級神でこの世界の管理を任されてるとか。一応この世界の唯一神として存在している偉い人なんだが。
「仁さんを巻き込んで召喚してしまったので謝りたいと言うので許可しました。今回呼んだのはそのためです」
うーん、のんびりさせてもらってるから謝る必要はないんだけどな。
「発言をお許しいただけますでしょうか?」
お、結構綺麗な声してるな。あ、顔は神像と瓜二つだ。ちゃんと姿は伝わってるんだね。
「許します」
「ジン様、私の神託によって誤って召喚してしまい申し訳ありませんでした」
そう言って頭を地面に擦り付ける。
「お詫びと言ってはなんですが、勇者につけたのと同じ加護をつけようかと思うのですが・・・」
「不要です」
ありゃ、女神様からのまったがかかった。
「仁さんには私の加護を与えてあります。あなたの加護は不要です」
「な!創造神様の加護とは!失礼しました!」
そう言って頭を地面に擦り付ける。
あ、この女神様、創造神様だったのね。そりゃあ下級神程度じゃ話すのも緊張するだろうな。
「で、ではお詫びは何がよろしいでしょうか?神託すれば大概のことは叶えられるかと・・・」
「不要です」
女神様、リスモット様が涙目になってますよ。
「仁さんには私が加護を与えた以上、必要な物は私が用意します。あなたは余計な事をしないように」
あれ?もしかしてお金が出てきたりするのって。
「創造神様、もしかして・・・」
「グリッドです」
「えっと、創造神様?」
「グリッドです」
もしかして創造神様って呼び方は好きじゃないのかな?確か名前は。
「イングリッド様?」
「グリッドです」
愛称的なものかな?
「グリッド様?」
「グリッドです」
え、流石に呼び捨ては出来ないよ?
「グリッドさん?」
「なんでしょう?」
いやー、最初からそう呼べと言ってくれれば話は早かったのに。
「あの、俺がお金が欲しいなと思ったら出てきたりしたんですけど、あれって・・・」
「私ですね。加護を与えた以上不自由はさせません。無礼者には神罰を与えますので安心してください」
いや、怖いよ!神罰ってそんなに簡単に与えちゃダメでしょ?!最終兵器だよ!
「もっと頼ってくれても良いのですよ?」
「いえ、結構です」
「そうですか。残念です。ですが遠慮は不要です。いつでも視ていますので」
え?
「遠慮は不要です」
いや、そこじゃなくて、いつでも視てる?
「仁さんに不自由をさせるわけにはいきませんので」
下級神とかにやらせてるのかと思ったら自分で見てた?
「えっと、グリッドさんは創造神ですよね?俺なんかに目を向けてて良いんですか?」
「ええ、私は創造神です。ですが、私の仕事は世界を創造した段階で終わっています。私の仕事はありません。神界から出ると影響が大きすぎるので引きこもってます。ニートです。なので仁さんを見守るのに問題はありません」
いやそりゃ創造神様が出張ってくれば影響が大きいのはわかるけど、俺をずっと見張ってるって・・・。俺のプライバシーどこ行った?
「リスモット」
「はっ」
「勇者に関してです。性格に難のある者を選びましたね?それも仁さんをカツアゲしようとした輩を」
なんかカツアゲの方を強調したな。
「はっ、申し訳ありません。魔王討伐の素質的には十分でしたので」
「言い訳は結構です。先ほどの国王との話は聞いていましたね?」
「はい」
「あなたの召喚した勇者がしでかした事を収めるために仁さんが国王に嘆願した形になりました。なぜあのような下劣な輩のために仁さんが嘆願せねばならないのですか?」
「そ、それは」
「あの輩をちょっと教育して自分の人生を見つめ直させれば良いでしょう?なぜそうしないのですか?」
もしかして洗脳的な事言ってらっしゃる?
「その、下界には出来るだけ関わらないようにとの指示でしたので」
「自分で不和の種を撒いておいて放置はないでしょう。すでに召喚の時点で関わっています。最後まで責任を持ちなさい」
「あの、グリッドさん?」
「はい、なんでしょう?」
「人間は人間で対応したほうが良いかと。なんでも女神様に頼ってしまうと人間がダメになりますし」
「仁さんは優しいですね。わかりました。リグモット、今回の件は人間に任せる事を許します。ですが次はありませんよ?」
「はっ!全力で防ぎます!」
あ、あのヤンキーたち、もう先は長くないな。あいつらが性根を入れ替えるとは思えん。もしかしたら魔王討伐後も元の世界に戻してもらえないかもしれないな。
いや、あんなのこの世界に残されたらこっちの世界の人が困るか。
もしかして消滅させられるとか?いや、流石にそこまで怖いことはしないだろう。しないよね?
「では仁さん、お茶でもしましょうか」
お茶が置いてあったテーブルにはいつの間にかクッキーが載っていた。
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