17 / 124
第1章 召喚編
017 あれ、男がいない?
しおりを挟む
#017 あれ、男がいない?
この世界きて10日ほど。それはこの屋敷に住んで10日ほどと言う事だ。
この屋敷には沢山の人が雇われている。メイドは当然として馬丁や護衛まで。
だけど俺はまだこの屋敷で男にあった事がない。
風呂も男風呂があるし、トイレもある。なので男性の使用人もいると思ってたのだが、一度もあった事がない。
貴族なんだから執事とかいてもいいと思うんだが。
「当家には女性しかいませんよ?」
はい?
「先代当主が亡くなった時に一度全員解雇してしまったので、私が新しく雇い直したんです。その時にハルファに任せたんですけど、全員女性で揃えてしまって。それからはなんとなく男性を雇わない感じになりました」
「え、でも男性用の風呂とかトイレとかありますよね?」
「ええ、建物自体は以前のままですので。男性用の風呂もトイレも女性の使用人が掃除していますよ?」
なんてこった。もしかして俺って相当浮いてたんじゃないか?
「別に男子禁制だなんて誰も思ってないから大丈夫ですよ。たまたま女性しかいないだけですし。
ジン様が望むなら男性の使用人を雇っても良いですよ?」
「いや、それは良いです。俺がいるだけでも申し訳ないのに新たに雇ってもらうなんて。
それに何の仕事を与えるんですか?
俺の世話はクレアがやってくれてますし、他に仕事なんかないですよ?」
「それもそうですね。強いて言えばジン様の話し相手?でしょうか」
いやいや、俺もう37だよ?小さな子供の遊び相手じゃないんだから。
「いえ、大丈夫です」
ええ大丈夫ですとも。話し相手くらい自分で見つけますとも!
そう言えばずっと仕事ばっかりしてたから前の世界でもプライベートで会う友達っていなかったな。大学の友達とかとは疎遠になってたし。十五年も経ったら大概の人はメールアドレスや携帯番号なんて変わってるよね。
ダメだ、なんか悲しくなってきた。
よし、冒険者ギルドで薬草採取でも受けてこよう。何かやってないと落ち込んでしまいそうだ。
それにもしかしたらパーティーとか組んでもらえたりして、友達が出来るかもしれないし!
やってきました冒険者ギルド。
相変わらず二十人程が列に並んでいるが、今日の俺はそっちが目的じゃない。依頼だ。それも他のパーティーに入れてもらえるようなのが良い。
薬草採取でもしようかと思ってたけど、よく考えたら薬草採取なんてパーティーを組んでやるようなもんじゃない。お一人様専用の依頼だ。
パーティーでやるような依頼で命の危険がないのが良いな。この際報酬は気にしない。
Fランクの依頼を見ると、薬草採取にスライムの討伐、大工の手伝いに手紙の配達。どれもパーティー組む必要性のないものばかりだな。
よし、思い切ってEランクを見てみよう。
おお、ゴブリン討伐がある。ゴブリンって強いのかな?Fランク対象じゃないって事はある程度の実力が必要って事だよな。それだと剣の振り方を習っただけの俺じゃあ足手纏いになってしまう。それではパーティーを組む意味がない。
って言うか、俺ってパーティーを組んだ場合、何の担当になるんだ?荷物もち?
剣もろくに使えないし、魔法が使えるわけでもない。獲物の後をつけたりする技術もないし、罠を解除できるわけでもない。
体力があるわけでもないから荷物持ちでもいらないだろう。
あれ、俺って詰んでねえ?
俺は新規登録をした列に並んだ。依頼の受注を行う列だ。新規の登録とかも扱ってるからパーティーを組む相談にも乗ってくれるだろう。
「はい、次のかた~」
「あ、パーティーに関してお聞きしたいんですけど」
「はいはい。何か分からないことでもありましたか?」
「えっと、どうやってパーティーを組むんでしょうか?」
「そこからですか。えっとですね、まず酒場や訓練場で相手を見つけます。それで一度一緒に依頼を受けてみてパーティーを組むか決めます。
もちろん一度だけのパーティーなんかも良くありますから毎回違う人と依頼を受けてもOKです」
「お酒は強くないんですが」
俺の会社はノミニケーションなんてやってなかった。と言うかそんな時間があったら睡眠に回さないとやってられなかったのだ。当然新年会や忘年会もなし。そんな状態で十五年も経てば肝臓はヘタって酒自体を受け付けなくなっててもおかしくない。
別に飲んで確認したわけじゃないけど、少なくとも弱くはなってると思う。
「なら訓練場ですね。裏に回ってもらえれば剣を振り回せる広場がありますからそこで訓練している人に声をかけると良いですよ。
魔法の訓練場とは別れてますので気をつけてくださいね。魔法の流れ弾に当たっても責任は持てませんので。
あ、弓も魔法の訓練場ですので気をつけてくださいね」
よし、パーティー組めなくても話し相手くらいは見つけられるだろう。俺のコミュニケーション能力をなめるな。十五年前はちゃんと友達もいたんだ。ヨッ友だったけど。
この世界きて10日ほど。それはこの屋敷に住んで10日ほどと言う事だ。
この屋敷には沢山の人が雇われている。メイドは当然として馬丁や護衛まで。
だけど俺はまだこの屋敷で男にあった事がない。
風呂も男風呂があるし、トイレもある。なので男性の使用人もいると思ってたのだが、一度もあった事がない。
貴族なんだから執事とかいてもいいと思うんだが。
「当家には女性しかいませんよ?」
はい?
「先代当主が亡くなった時に一度全員解雇してしまったので、私が新しく雇い直したんです。その時にハルファに任せたんですけど、全員女性で揃えてしまって。それからはなんとなく男性を雇わない感じになりました」
「え、でも男性用の風呂とかトイレとかありますよね?」
「ええ、建物自体は以前のままですので。男性用の風呂もトイレも女性の使用人が掃除していますよ?」
なんてこった。もしかして俺って相当浮いてたんじゃないか?
「別に男子禁制だなんて誰も思ってないから大丈夫ですよ。たまたま女性しかいないだけですし。
ジン様が望むなら男性の使用人を雇っても良いですよ?」
「いや、それは良いです。俺がいるだけでも申し訳ないのに新たに雇ってもらうなんて。
それに何の仕事を与えるんですか?
俺の世話はクレアがやってくれてますし、他に仕事なんかないですよ?」
「それもそうですね。強いて言えばジン様の話し相手?でしょうか」
いやいや、俺もう37だよ?小さな子供の遊び相手じゃないんだから。
「いえ、大丈夫です」
ええ大丈夫ですとも。話し相手くらい自分で見つけますとも!
そう言えばずっと仕事ばっかりしてたから前の世界でもプライベートで会う友達っていなかったな。大学の友達とかとは疎遠になってたし。十五年も経ったら大概の人はメールアドレスや携帯番号なんて変わってるよね。
ダメだ、なんか悲しくなってきた。
よし、冒険者ギルドで薬草採取でも受けてこよう。何かやってないと落ち込んでしまいそうだ。
それにもしかしたらパーティーとか組んでもらえたりして、友達が出来るかもしれないし!
やってきました冒険者ギルド。
相変わらず二十人程が列に並んでいるが、今日の俺はそっちが目的じゃない。依頼だ。それも他のパーティーに入れてもらえるようなのが良い。
薬草採取でもしようかと思ってたけど、よく考えたら薬草採取なんてパーティーを組んでやるようなもんじゃない。お一人様専用の依頼だ。
パーティーでやるような依頼で命の危険がないのが良いな。この際報酬は気にしない。
Fランクの依頼を見ると、薬草採取にスライムの討伐、大工の手伝いに手紙の配達。どれもパーティー組む必要性のないものばかりだな。
よし、思い切ってEランクを見てみよう。
おお、ゴブリン討伐がある。ゴブリンって強いのかな?Fランク対象じゃないって事はある程度の実力が必要って事だよな。それだと剣の振り方を習っただけの俺じゃあ足手纏いになってしまう。それではパーティーを組む意味がない。
って言うか、俺ってパーティーを組んだ場合、何の担当になるんだ?荷物もち?
剣もろくに使えないし、魔法が使えるわけでもない。獲物の後をつけたりする技術もないし、罠を解除できるわけでもない。
体力があるわけでもないから荷物持ちでもいらないだろう。
あれ、俺って詰んでねえ?
俺は新規登録をした列に並んだ。依頼の受注を行う列だ。新規の登録とかも扱ってるからパーティーを組む相談にも乗ってくれるだろう。
「はい、次のかた~」
「あ、パーティーに関してお聞きしたいんですけど」
「はいはい。何か分からないことでもありましたか?」
「えっと、どうやってパーティーを組むんでしょうか?」
「そこからですか。えっとですね、まず酒場や訓練場で相手を見つけます。それで一度一緒に依頼を受けてみてパーティーを組むか決めます。
もちろん一度だけのパーティーなんかも良くありますから毎回違う人と依頼を受けてもOKです」
「お酒は強くないんですが」
俺の会社はノミニケーションなんてやってなかった。と言うかそんな時間があったら睡眠に回さないとやってられなかったのだ。当然新年会や忘年会もなし。そんな状態で十五年も経てば肝臓はヘタって酒自体を受け付けなくなっててもおかしくない。
別に飲んで確認したわけじゃないけど、少なくとも弱くはなってると思う。
「なら訓練場ですね。裏に回ってもらえれば剣を振り回せる広場がありますからそこで訓練している人に声をかけると良いですよ。
魔法の訓練場とは別れてますので気をつけてくださいね。魔法の流れ弾に当たっても責任は持てませんので。
あ、弓も魔法の訓練場ですので気をつけてくださいね」
よし、パーティー組めなくても話し相手くらいは見つけられるだろう。俺のコミュニケーション能力をなめるな。十五年前はちゃんと友達もいたんだ。ヨッ友だったけど。
1
お気に入りに追加
4,939
あなたにおすすめの小説
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
社畜生活の果て、最後に師匠に会いたいと願った。
黒鴉宙ニ
ファンタジー
仕事、仕事、仕事。果てのない仕事に追われる魔法使いのモニカ。栗色の艶のあった髪は手入れができずにしなびたまま。師匠は北東のダンジョンへ行っており、その親友であるリカルドさんが上司となり魔物討伐を行う魔法部隊で働いている。
優しかったリカルドさんは冷たくなり、同僚たちとは仲良くなれない。そんな中、ようやく師匠帰還のめどがついた。そして最後に師匠へ良い知らせを送ろうと水竜の討伐へと向かった──。
異世界に転生して社畜生活から抜け出せたのに、染み付いた社畜精神がスローライフを許してくれない
草ノ助
ファンタジー
「私は仕事が大好き……私は仕事が大好き……」
そう自己暗示をかけながらブラック企業に勤めていた伊藤はある日、激務による過労で27年の生涯を終える。そんな伊藤がチート能力を得て17歳の青年として異世界転生。今度は自由な人生を送ろうと意気込むも――。
「実労働8時間? 休日有り? ……そんなホワイト企業で働いていたら駄目な人間になってしまう!」
と過酷な労働環境以外を受け付けない身体になってしまっていることに気付く。
もはや別の生き方が出来ないと悟った伊藤は、ホワイト環境だらけな異世界で自ら過酷な労働環境を求めていくのだった――。
これは与えられたチート能力と自前チートの社畜的労働力と思考を持つ伊藤が、色々な意味で『なんだこいつやべぇ……』と周りから思われたりするお話。
※2章以降は不定期更新
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
異世界召喚されたのは、『元』勇者です
ユモア
ファンタジー
突如異世界『ルーファス』に召喚された一ノ瀬凍夜ーは、5年と言う年月を経て異世界を救った。そして、平和まで後一歩かと思ったその時、信頼していた仲間たちに裏切られ、深手を負いながらも異世界から強制的に送還された。
それから3年後、凍夜はクラスメイトから虐めを受けていた。しかし、そんな時、再度異世界に召喚された世界は、凍夜が送還されてから10年が経過した異世界『ルーファス』だった。自分を裏切った世界、裏切った仲間たちがいる世界で凍夜はどのように生きて行くのか、それは誰にも分からない。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる