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第1章 召喚編
017 あれ、男がいない?
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#017 あれ、男がいない?
この世界きて10日ほど。それはこの屋敷に住んで10日ほどと言う事だ。
この屋敷には沢山の人が雇われている。メイドは当然として馬丁や護衛まで。
だけど俺はまだこの屋敷で男にあった事がない。
風呂も男風呂があるし、トイレもある。なので男性の使用人もいると思ってたのだが、一度もあった事がない。
貴族なんだから執事とかいてもいいと思うんだが。
「当家には女性しかいませんよ?」
はい?
「先代当主が亡くなった時に一度全員解雇してしまったので、私が新しく雇い直したんです。その時にハルファに任せたんですけど、全員女性で揃えてしまって。それからはなんとなく男性を雇わない感じになりました」
「え、でも男性用の風呂とかトイレとかありますよね?」
「ええ、建物自体は以前のままですので。男性用の風呂もトイレも女性の使用人が掃除していますよ?」
なんてこった。もしかして俺って相当浮いてたんじゃないか?
「別に男子禁制だなんて誰も思ってないから大丈夫ですよ。たまたま女性しかいないだけですし。
ジン様が望むなら男性の使用人を雇っても良いですよ?」
「いや、それは良いです。俺がいるだけでも申し訳ないのに新たに雇ってもらうなんて。
それに何の仕事を与えるんですか?
俺の世話はクレアがやってくれてますし、他に仕事なんかないですよ?」
「それもそうですね。強いて言えばジン様の話し相手?でしょうか」
いやいや、俺もう37だよ?小さな子供の遊び相手じゃないんだから。
「いえ、大丈夫です」
ええ大丈夫ですとも。話し相手くらい自分で見つけますとも!
そう言えばずっと仕事ばっかりしてたから前の世界でもプライベートで会う友達っていなかったな。大学の友達とかとは疎遠になってたし。十五年も経ったら大概の人はメールアドレスや携帯番号なんて変わってるよね。
ダメだ、なんか悲しくなってきた。
よし、冒険者ギルドで薬草採取でも受けてこよう。何かやってないと落ち込んでしまいそうだ。
それにもしかしたらパーティーとか組んでもらえたりして、友達が出来るかもしれないし!
やってきました冒険者ギルド。
相変わらず二十人程が列に並んでいるが、今日の俺はそっちが目的じゃない。依頼だ。それも他のパーティーに入れてもらえるようなのが良い。
薬草採取でもしようかと思ってたけど、よく考えたら薬草採取なんてパーティーを組んでやるようなもんじゃない。お一人様専用の依頼だ。
パーティーでやるような依頼で命の危険がないのが良いな。この際報酬は気にしない。
Fランクの依頼を見ると、薬草採取にスライムの討伐、大工の手伝いに手紙の配達。どれもパーティー組む必要性のないものばかりだな。
よし、思い切ってEランクを見てみよう。
おお、ゴブリン討伐がある。ゴブリンって強いのかな?Fランク対象じゃないって事はある程度の実力が必要って事だよな。それだと剣の振り方を習っただけの俺じゃあ足手纏いになってしまう。それではパーティーを組む意味がない。
って言うか、俺ってパーティーを組んだ場合、何の担当になるんだ?荷物もち?
剣もろくに使えないし、魔法が使えるわけでもない。獲物の後をつけたりする技術もないし、罠を解除できるわけでもない。
体力があるわけでもないから荷物持ちでもいらないだろう。
あれ、俺って詰んでねえ?
俺は新規登録をした列に並んだ。依頼の受注を行う列だ。新規の登録とかも扱ってるからパーティーを組む相談にも乗ってくれるだろう。
「はい、次のかた~」
「あ、パーティーに関してお聞きしたいんですけど」
「はいはい。何か分からないことでもありましたか?」
「えっと、どうやってパーティーを組むんでしょうか?」
「そこからですか。えっとですね、まず酒場や訓練場で相手を見つけます。それで一度一緒に依頼を受けてみてパーティーを組むか決めます。
もちろん一度だけのパーティーなんかも良くありますから毎回違う人と依頼を受けてもOKです」
「お酒は強くないんですが」
俺の会社はノミニケーションなんてやってなかった。と言うかそんな時間があったら睡眠に回さないとやってられなかったのだ。当然新年会や忘年会もなし。そんな状態で十五年も経てば肝臓はヘタって酒自体を受け付けなくなっててもおかしくない。
別に飲んで確認したわけじゃないけど、少なくとも弱くはなってると思う。
「なら訓練場ですね。裏に回ってもらえれば剣を振り回せる広場がありますからそこで訓練している人に声をかけると良いですよ。
魔法の訓練場とは別れてますので気をつけてくださいね。魔法の流れ弾に当たっても責任は持てませんので。
あ、弓も魔法の訓練場ですので気をつけてくださいね」
よし、パーティー組めなくても話し相手くらいは見つけられるだろう。俺のコミュニケーション能力をなめるな。十五年前はちゃんと友達もいたんだ。ヨッ友だったけど。
この世界きて10日ほど。それはこの屋敷に住んで10日ほどと言う事だ。
この屋敷には沢山の人が雇われている。メイドは当然として馬丁や護衛まで。
だけど俺はまだこの屋敷で男にあった事がない。
風呂も男風呂があるし、トイレもある。なので男性の使用人もいると思ってたのだが、一度もあった事がない。
貴族なんだから執事とかいてもいいと思うんだが。
「当家には女性しかいませんよ?」
はい?
「先代当主が亡くなった時に一度全員解雇してしまったので、私が新しく雇い直したんです。その時にハルファに任せたんですけど、全員女性で揃えてしまって。それからはなんとなく男性を雇わない感じになりました」
「え、でも男性用の風呂とかトイレとかありますよね?」
「ええ、建物自体は以前のままですので。男性用の風呂もトイレも女性の使用人が掃除していますよ?」
なんてこった。もしかして俺って相当浮いてたんじゃないか?
「別に男子禁制だなんて誰も思ってないから大丈夫ですよ。たまたま女性しかいないだけですし。
ジン様が望むなら男性の使用人を雇っても良いですよ?」
「いや、それは良いです。俺がいるだけでも申し訳ないのに新たに雇ってもらうなんて。
それに何の仕事を与えるんですか?
俺の世話はクレアがやってくれてますし、他に仕事なんかないですよ?」
「それもそうですね。強いて言えばジン様の話し相手?でしょうか」
いやいや、俺もう37だよ?小さな子供の遊び相手じゃないんだから。
「いえ、大丈夫です」
ええ大丈夫ですとも。話し相手くらい自分で見つけますとも!
そう言えばずっと仕事ばっかりしてたから前の世界でもプライベートで会う友達っていなかったな。大学の友達とかとは疎遠になってたし。十五年も経ったら大概の人はメールアドレスや携帯番号なんて変わってるよね。
ダメだ、なんか悲しくなってきた。
よし、冒険者ギルドで薬草採取でも受けてこよう。何かやってないと落ち込んでしまいそうだ。
それにもしかしたらパーティーとか組んでもらえたりして、友達が出来るかもしれないし!
やってきました冒険者ギルド。
相変わらず二十人程が列に並んでいるが、今日の俺はそっちが目的じゃない。依頼だ。それも他のパーティーに入れてもらえるようなのが良い。
薬草採取でもしようかと思ってたけど、よく考えたら薬草採取なんてパーティーを組んでやるようなもんじゃない。お一人様専用の依頼だ。
パーティーでやるような依頼で命の危険がないのが良いな。この際報酬は気にしない。
Fランクの依頼を見ると、薬草採取にスライムの討伐、大工の手伝いに手紙の配達。どれもパーティー組む必要性のないものばかりだな。
よし、思い切ってEランクを見てみよう。
おお、ゴブリン討伐がある。ゴブリンって強いのかな?Fランク対象じゃないって事はある程度の実力が必要って事だよな。それだと剣の振り方を習っただけの俺じゃあ足手纏いになってしまう。それではパーティーを組む意味がない。
って言うか、俺ってパーティーを組んだ場合、何の担当になるんだ?荷物もち?
剣もろくに使えないし、魔法が使えるわけでもない。獲物の後をつけたりする技術もないし、罠を解除できるわけでもない。
体力があるわけでもないから荷物持ちでもいらないだろう。
あれ、俺って詰んでねえ?
俺は新規登録をした列に並んだ。依頼の受注を行う列だ。新規の登録とかも扱ってるからパーティーを組む相談にも乗ってくれるだろう。
「はい、次のかた~」
「あ、パーティーに関してお聞きしたいんですけど」
「はいはい。何か分からないことでもありましたか?」
「えっと、どうやってパーティーを組むんでしょうか?」
「そこからですか。えっとですね、まず酒場や訓練場で相手を見つけます。それで一度一緒に依頼を受けてみてパーティーを組むか決めます。
もちろん一度だけのパーティーなんかも良くありますから毎回違う人と依頼を受けてもOKです」
「お酒は強くないんですが」
俺の会社はノミニケーションなんてやってなかった。と言うかそんな時間があったら睡眠に回さないとやってられなかったのだ。当然新年会や忘年会もなし。そんな状態で十五年も経てば肝臓はヘタって酒自体を受け付けなくなっててもおかしくない。
別に飲んで確認したわけじゃないけど、少なくとも弱くはなってると思う。
「なら訓練場ですね。裏に回ってもらえれば剣を振り回せる広場がありますからそこで訓練している人に声をかけると良いですよ。
魔法の訓練場とは別れてますので気をつけてくださいね。魔法の流れ弾に当たっても責任は持てませんので。
あ、弓も魔法の訓練場ですので気をつけてくださいね」
よし、パーティー組めなくても話し相手くらいは見つけられるだろう。俺のコミュニケーション能力をなめるな。十五年前はちゃんと友達もいたんだ。ヨッ友だったけど。
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