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第1章 召喚編
009 不思議な力
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#009 不思議な力
馬車で屋敷に戻り、リリアーナさんの執務室に向かう。
買い物の最中に起きた、何故か現れるお金に関して相談するためだ。明らかにあれはおかしい。と言うかあれが異世界の通常だったら経済がおかしくなる。
コンコン
「どうぞ」
クレアがノックすると中から入る許可が出た。
「おや、カンザキ様何か問題がありましたか?確か今日は冒険者ギルドに向かわれたんですよね?」
「ええ、それなんですけど、冒険者ギルドでの登録は問題なかったんですけど、その後寄った買い物に問題があったと言うか」
「お金が足りませんでしたか?クレアにお金は預けてあったはずですが」
「いえ、お金が足りなかった訳ではないです。むしろお金が生まれたって言うか・・・」
「はい?」
「えっと、これを見てもらえますか?
リリアーナさんに生活費を見てもらうのは悪いなー、金貨1枚くらいは払いたいなー」
わざとらしい棒読みのセリフだが、そのセリフが終わった瞬間に俺の手には金貨が1枚乗っていた。
「は?え、ええ?!なんですかそれ!?」
「俺にもよく分からないんですけど、俺がお金が欲しいなって思ったらお金が出てくるみたいで」
「そんなばかな!?
そんな話聞いたことないですよ?!」
「ええ、でも今の見ましたよね?今日買い物に行ったときにもこれが起きまして。それでリリアーナさんに相談しようと思って戻って来ました」
「そ、それはいくらでも出るんでしょうか?」
「さあ?でも怖くて試してません。もし白金貨とか出たら怖すぎて」
「それは確かに怖いですね。何もない所から白金貨が出てくるなんて。カンザキ様は向こうの世界では一般人でしたよね?向こうの世界ではお金が出てくるのが普通なんですか?」
「そんな訳ないじゃないですか。
こんな能力があったら社畜なんかしてませんでしたよ」
「シャチク?ですか?よく分かりませんが、とにかくカンザキ様の能力ではないんですね?」
「ええ、少なくとも今日までこんな事はありませんでした」
リリアーナさんは呆けた顔をしているが、少しすると復活したみたいで、ぶつぶつ呟きながら考えをまとめていた。
「何もない所からお金が?カンザキ様はマジックバッグも持ってないはずですし、そうするとこの世界に来てから得た能力?でも加護は無かったはず。では加護でない能力を得た?でも加護を持ってないで魔法を使うなんて聞いたことが・・・いえ、異世界人なら加護がなくても使えるのかも・・・」
「リリアーナさん?」
「ああ、すいません、少し考えに集中してしまいました。
その能力ですが、誰にも言わないでください。知られたら誰に何をされるか分かりません。もし限界が無いなら経済が破綻します。国も放っては置かないでしょうし。最悪殺されますよ?」
げ、そんなに酷いのか。経済的なものは考えたけど、殺されるとは思ってなかった。
「カンザキ様、確認ですが、出てくるのはお金だけですか?」
あ、そうか、お金以外にも出てくる可能性はあるのか。
「あー、お掃除したいなぁ、雑巾でもあればいいんだけどなぁー」
相変わらず棒読みだが、手には綺麗な雑巾が乗っていた。
「お金でなくても出てくるんですね。それってなんでもありじゃないですか。カンザキ様、どうなってるんですか?私の胃をぶち破る気ですか?!」
いや、リリアーナさんに迷惑をかけるつもりは無かったんだけど。でも本当にこれってどうなってるんだろうか。
「加護はないはずなのにこんな不思議な能力があるだなんて。こんなの知られたらお父様でも持て余すわ。白金貨1万枚とか出て来たらインフレが起きるわ。そうなったら国の財政基盤も・・・」
リリアーナさんや?また思考の海に埋没していますよ?
「分かりました。今のは知らなかった事にします。
私は何も見てませんし、知りません。クレアも何も見てませんよね?」
「あ、はい。もちろんですお嬢様。今日のお代は私が払いましたです」
「カンザキ様ももうその力は使わないでくださいね?絶対ですよ?」
「いや、使おうと思って使ってる訳じゃあないんですが。まあ努力します」
「はぁ、クレア、胃薬を持って来てください。私は疲れました。今日の仕事は終わりです。胃薬を飲んだら寝ます」
「お嬢様、まだ寝るには早いかと・・・」
「眠って夢だった事にするんです!早く胃薬を持って来てください!」
「は、はい!いますぐ!」
クレアが走って部屋を出て行ったが、俺のことで申し訳ない。
「カンザキ様、本当に覚えがないんですね?」
「えっと、教会に行ったときに加護をもらったみたいな?」
「え、でも神像は光りませんでしたよね?」
「ええ、あの祀られている女神様とは違う女神様だそうで」
「待ってください! リスモット様以外の女神様?!そんな方がいらっしゃるんですか?!」
「まあ本人がそう言ってましたし。もしかしたらこの世界の神じゃないのかも」
「異世界の神ですか。確かにカンザキ様は異世界人ですし、異世界の女神様の加護があってもおかしくない?違う女神様の加護だったから反応しなかった?
でも異世界の女神様がこの世界で力を発揮するなんてことが・・・」
リリアーナさんや、また思考の海に埋没していますよ?
「分かりました」
「何か分かりましたか?!」
「理解できないのが分かりました。私は今日は悪い夢を見たんです。カンザキ様も今の話は誰にもしないでください。この世界に干渉できる他の女神様の存在なんて知られたらお金が出てくるどころの話ではなくなります」
まあそうだねえ。一神教みたいだし。異世界の神ってことにしとくのが無難かな。
「カンザキ様、お金は十分にお渡ししますので、お金が欲しいなんて考えないでください。物もそうです。
私はこれでも公爵です。大概のものは揃えてみせます。なのでお願いですからその力は使わないでください」
ああ、リリアーナさんの目から力が無くなっていく。淀んだ目になってるよ。
コンコン
「お嬢様、胃薬をお持ちしました」
クレアが戻って来た。
「クレア、もう一度言います。カンザキ様の能力に関しては他言無用です。もし漏れたりしたら命がないと思いなさい」
「は、はい、承知しました」
「カンザキ様、私は夢から覚めるために今から寝ます。明日お会いしましょう」
リリアーナさんは胃薬をグイッと飲み干すと部屋から出て行った。
困ったもんだ。
馬車で屋敷に戻り、リリアーナさんの執務室に向かう。
買い物の最中に起きた、何故か現れるお金に関して相談するためだ。明らかにあれはおかしい。と言うかあれが異世界の通常だったら経済がおかしくなる。
コンコン
「どうぞ」
クレアがノックすると中から入る許可が出た。
「おや、カンザキ様何か問題がありましたか?確か今日は冒険者ギルドに向かわれたんですよね?」
「ええ、それなんですけど、冒険者ギルドでの登録は問題なかったんですけど、その後寄った買い物に問題があったと言うか」
「お金が足りませんでしたか?クレアにお金は預けてあったはずですが」
「いえ、お金が足りなかった訳ではないです。むしろお金が生まれたって言うか・・・」
「はい?」
「えっと、これを見てもらえますか?
リリアーナさんに生活費を見てもらうのは悪いなー、金貨1枚くらいは払いたいなー」
わざとらしい棒読みのセリフだが、そのセリフが終わった瞬間に俺の手には金貨が1枚乗っていた。
「は?え、ええ?!なんですかそれ!?」
「俺にもよく分からないんですけど、俺がお金が欲しいなって思ったらお金が出てくるみたいで」
「そんなばかな!?
そんな話聞いたことないですよ?!」
「ええ、でも今の見ましたよね?今日買い物に行ったときにもこれが起きまして。それでリリアーナさんに相談しようと思って戻って来ました」
「そ、それはいくらでも出るんでしょうか?」
「さあ?でも怖くて試してません。もし白金貨とか出たら怖すぎて」
「それは確かに怖いですね。何もない所から白金貨が出てくるなんて。カンザキ様は向こうの世界では一般人でしたよね?向こうの世界ではお金が出てくるのが普通なんですか?」
「そんな訳ないじゃないですか。
こんな能力があったら社畜なんかしてませんでしたよ」
「シャチク?ですか?よく分かりませんが、とにかくカンザキ様の能力ではないんですね?」
「ええ、少なくとも今日までこんな事はありませんでした」
リリアーナさんは呆けた顔をしているが、少しすると復活したみたいで、ぶつぶつ呟きながら考えをまとめていた。
「何もない所からお金が?カンザキ様はマジックバッグも持ってないはずですし、そうするとこの世界に来てから得た能力?でも加護は無かったはず。では加護でない能力を得た?でも加護を持ってないで魔法を使うなんて聞いたことが・・・いえ、異世界人なら加護がなくても使えるのかも・・・」
「リリアーナさん?」
「ああ、すいません、少し考えに集中してしまいました。
その能力ですが、誰にも言わないでください。知られたら誰に何をされるか分かりません。もし限界が無いなら経済が破綻します。国も放っては置かないでしょうし。最悪殺されますよ?」
げ、そんなに酷いのか。経済的なものは考えたけど、殺されるとは思ってなかった。
「カンザキ様、確認ですが、出てくるのはお金だけですか?」
あ、そうか、お金以外にも出てくる可能性はあるのか。
「あー、お掃除したいなぁ、雑巾でもあればいいんだけどなぁー」
相変わらず棒読みだが、手には綺麗な雑巾が乗っていた。
「お金でなくても出てくるんですね。それってなんでもありじゃないですか。カンザキ様、どうなってるんですか?私の胃をぶち破る気ですか?!」
いや、リリアーナさんに迷惑をかけるつもりは無かったんだけど。でも本当にこれってどうなってるんだろうか。
「加護はないはずなのにこんな不思議な能力があるだなんて。こんなの知られたらお父様でも持て余すわ。白金貨1万枚とか出て来たらインフレが起きるわ。そうなったら国の財政基盤も・・・」
リリアーナさんや?また思考の海に埋没していますよ?
「分かりました。今のは知らなかった事にします。
私は何も見てませんし、知りません。クレアも何も見てませんよね?」
「あ、はい。もちろんですお嬢様。今日のお代は私が払いましたです」
「カンザキ様ももうその力は使わないでくださいね?絶対ですよ?」
「いや、使おうと思って使ってる訳じゃあないんですが。まあ努力します」
「はぁ、クレア、胃薬を持って来てください。私は疲れました。今日の仕事は終わりです。胃薬を飲んだら寝ます」
「お嬢様、まだ寝るには早いかと・・・」
「眠って夢だった事にするんです!早く胃薬を持って来てください!」
「は、はい!いますぐ!」
クレアが走って部屋を出て行ったが、俺のことで申し訳ない。
「カンザキ様、本当に覚えがないんですね?」
「えっと、教会に行ったときに加護をもらったみたいな?」
「え、でも神像は光りませんでしたよね?」
「ええ、あの祀られている女神様とは違う女神様だそうで」
「待ってください! リスモット様以外の女神様?!そんな方がいらっしゃるんですか?!」
「まあ本人がそう言ってましたし。もしかしたらこの世界の神じゃないのかも」
「異世界の神ですか。確かにカンザキ様は異世界人ですし、異世界の女神様の加護があってもおかしくない?違う女神様の加護だったから反応しなかった?
でも異世界の女神様がこの世界で力を発揮するなんてことが・・・」
リリアーナさんや、また思考の海に埋没していますよ?
「分かりました」
「何か分かりましたか?!」
「理解できないのが分かりました。私は今日は悪い夢を見たんです。カンザキ様も今の話は誰にもしないでください。この世界に干渉できる他の女神様の存在なんて知られたらお金が出てくるどころの話ではなくなります」
まあそうだねえ。一神教みたいだし。異世界の神ってことにしとくのが無難かな。
「カンザキ様、お金は十分にお渡ししますので、お金が欲しいなんて考えないでください。物もそうです。
私はこれでも公爵です。大概のものは揃えてみせます。なのでお願いですからその力は使わないでください」
ああ、リリアーナさんの目から力が無くなっていく。淀んだ目になってるよ。
コンコン
「お嬢様、胃薬をお持ちしました」
クレアが戻って来た。
「クレア、もう一度言います。カンザキ様の能力に関しては他言無用です。もし漏れたりしたら命がないと思いなさい」
「は、はい、承知しました」
「カンザキ様、私は夢から覚めるために今から寝ます。明日お会いしましょう」
リリアーナさんは胃薬をグイッと飲み干すと部屋から出て行った。
困ったもんだ。
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