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第1章 召喚編
007 冒険者ギルド
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#007 冒険者ギルド
翌日、クレアが冒険者ギルドに案内してくれるらしいので、それっぽい服を用意してもらった。
この屋敷で与えられた服ってどれも高級品で街中を歩くのには不似合いなんだよね。
馬車で町を移動すると、3階建ての石造りの建物の前に止まった。どうやらここが冒険者ギルドのようだ。
リリアーナさんの屋敷と比べると全然小さいのだが、周辺の民家と比べると断然大きい。
敷地も広いようで、間口が結構取られている。
正面の扉は開いており、中からはザワザワとした人の喋り声が聞こえてくる。
「ここが冒険者ギルドですか。俺が入っても良いんですよね?」
「もちろんです。街の人も依頼をしに入りますし。ただ中には荒くれ者が多いので喧嘩に巻き込まれないようにご注意ください」
うわぁ喧嘩とか嫌だな。冒険者って強いんだろうし、そんな喧嘩に巻き込まれたら骨の一本では済まないだろうな。
俺は意を決して中に足を踏み入れる。
中は結構広く、右手には酒場が、左手には掲示板があり、正面にはカウンターがあった。そこに何人かがいて、その前に冒険者と思しき人たちが並んでいる。
「結構人がいますね。こんなもんなんでしょうか?」
「どうでしょうか。私もギルドの中に入るのは初めてですので分かりかねます」
まあ公爵家のメイドが冒険者ギルドに用事はないか。
「おい、どけ!じゃまだ!」
後ろから声がしたと思ったら突き飛ばされた。
顔面からバシャっと倒れ込んだので顔が痛い。擦り剥いてるかもしれない。
入ってきたのは冒険者のようで、金属鎧に剣を装備している。後ろからは魔術師然とした女の子と神官服を着た男性が入ってきた。
「いてて」
俺は体を起こすが、俺を突き飛ばした連中は俺に見向きもせずに奥のカウンターに向かった。
「ちょっと、レナウンさん、ちゃんと列に並んでください!他の方はちゃんと並んでますよ!」
どうやら横入りしようとしたらしい。
「細えこと言うなよ。依頼終わったから処理しといてくれや」
そう言って何やら紙を渡し、酒場に向かう。
俺は座り込んだままその様子を見ていたのだが、あれが冒険者かとある意味納得していた。皆が従順に列を作って並んでいたので不思議に思っていたのだ。荒くれ者の冒険者がこんなに真面目に列を作って並ぶのかと。
どうやらたまたま行儀の良い人が集まっていただけのようで、列なんか見向きもしない人もいるらしい。
俺はようやく起き上がって、酒場をみるが、奥の方でジョッキを傾けており、俺のことなんか覚えてもいなさそうだ。
腹は立ったが、あのごつい金属鎧に勝てる気は全くしないのでここは無かったことにしよう。それがこの世界で生きていくコツだと思う。
バチャッ!
なんか金属鎧のやつがずぶ濡れになっているが、水でもこぼしたんだろうか。結構な濡れ方なのでコップの水レベルじゃないようだが。
「な、なんだ?!いきなり水が降ってきたぞ?!」
当人にも分からないことが俺に分かるわけもない。無かったことにしたのだから気にしない事にしよう。
「どうされますか?登録だけでもされますか?身分証明にもなりますから便利ですよ?」
あ、そう言う利用方法もあるのね。でも依頼とか受けれる自信ないんだけど。
「依頼は適当に薬草採取とかにして市場で買ってきて納品しましょう。確か登録には一度の依頼分の成功が条件だったと思いますからそれで十分のはずです」
「冒険者になる前に依頼を受けるんですか?」
「正確には仮登録して、その状態で依頼を受けます。そして1回分の依頼を成功させると正規の登録となります。身分証になるのはこの時からですね」
なるほど。でも買ってきた薬草の納品でいいならみんなやってそうだけど。
「みんなやってますよ?でないと私なんかが知ってる訳がないです。よほどお金に困ってない限りはこの方法で正規登録するらしいですよ」
そんなんで良いのか冒険者ギルド。
「じゃあ、そうですね。この列に並びましょうか」
一番長い列を指す。短い方が良いのでは?
「短い列の方が早そうですが、こう言うのは役所でもどこでも一緒ですが、知ってる人は、どの担当者の処理が早いか知ってるのです。
たとえ列が長くても順番が回ってくるのが早いところに並ぶのは当然です」
そ、そうか。役所も一緒なんだ。
でもそうだな。”研修中”とか名札に書かれてたら間違ってないかこっちが冷や冷やするしな。
俺は言われた通りに長い方の列に並んだが、本当にこっちの方が先に順番がきた。
「いらっしゃいませ。おや、見ない顔ですね。もしかして新規の登録ですか?でしたら隣の窓口へどうぞ」
・・・隣の窓口は先ほど遅いからと避けた窓口だ。また並ぶの?
「この窓口は現在依頼達成の報告専用となっています。新規の登録とか依頼の受注は隣でお願いします」
上の看板を指されたので見ると、そこには「達成依頼報告所」の文字が。隣の上には「依頼受注所」の文字が。
チラッとクレアを見ると、顔を赤くしてよそ見をしていた。彼女も知らなかったらしい。
まあ仕方ないな。初めてきた場所だし。大人しく隣の列に並ぶか。
「新規登録ですね。ではこちらにご記入ください。代筆は必要ですか?」
「いえ大丈夫です」
文字は俺の知らないものだが何故か意味がわかる。多分文字も書けるだろう。
記入場所は名前と年齢と特技の3カ所だった。住所とかないの?!
話を聞くと、宿暮らしの人がほとんどなので書く意味がないそうだ。
特技には剣とか弓とか書くらしい。
手続きはすぐに終わって冒険者の心得を聞かされる。法律を破るの禁止。私闘も禁止。ギルドへの虚偽の申告の禁止。それだけだ。
それからは制度でFからSまであるらしい。俺はGからスタートだ。これは見習いのランクで、一件依頼をこなすとFランクに上がって正式な冒険者になるらしい。
依頼は一応ランク分けされているが、基本どの依頼でも受けれるらしい。やろうと思えばSランクでも受けれるそうな。まあ死ぬ未来しかないが。
それと失敗した時の罰則も聞かされた。大概は依頼金の何割と言う形を取るらしいが、物によってはランクの降格や追放などもあるらしい。
あと、Cランクからは預金制度があるらしい。ある程度信用があると言う事で冒険者ギルドがお金を預かってくれるらしいのだ。その位になると現金を持ち歩くのがしんどくなるのがほとんどで、セキュリティの観点からも預けることが多いそうな。いくら儲かるのか知らないけど、硬貨を何百枚と持ち歩きたくないよね。
依頼掲示板をさらっと見たが、Sランクにはドラゴン討伐が、Fランクには薬草採取やスライム討伐などがあった。これは受注処理が不要らしい。罰則もなく、小遣い稼ぎに道中で見つけたらやる程度の難易度だそうな。
俺はスライムにすら勝てる気がしないので薬草を買いに行く事にした。
翌日、クレアが冒険者ギルドに案内してくれるらしいので、それっぽい服を用意してもらった。
この屋敷で与えられた服ってどれも高級品で街中を歩くのには不似合いなんだよね。
馬車で町を移動すると、3階建ての石造りの建物の前に止まった。どうやらここが冒険者ギルドのようだ。
リリアーナさんの屋敷と比べると全然小さいのだが、周辺の民家と比べると断然大きい。
敷地も広いようで、間口が結構取られている。
正面の扉は開いており、中からはザワザワとした人の喋り声が聞こえてくる。
「ここが冒険者ギルドですか。俺が入っても良いんですよね?」
「もちろんです。街の人も依頼をしに入りますし。ただ中には荒くれ者が多いので喧嘩に巻き込まれないようにご注意ください」
うわぁ喧嘩とか嫌だな。冒険者って強いんだろうし、そんな喧嘩に巻き込まれたら骨の一本では済まないだろうな。
俺は意を決して中に足を踏み入れる。
中は結構広く、右手には酒場が、左手には掲示板があり、正面にはカウンターがあった。そこに何人かがいて、その前に冒険者と思しき人たちが並んでいる。
「結構人がいますね。こんなもんなんでしょうか?」
「どうでしょうか。私もギルドの中に入るのは初めてですので分かりかねます」
まあ公爵家のメイドが冒険者ギルドに用事はないか。
「おい、どけ!じゃまだ!」
後ろから声がしたと思ったら突き飛ばされた。
顔面からバシャっと倒れ込んだので顔が痛い。擦り剥いてるかもしれない。
入ってきたのは冒険者のようで、金属鎧に剣を装備している。後ろからは魔術師然とした女の子と神官服を着た男性が入ってきた。
「いてて」
俺は体を起こすが、俺を突き飛ばした連中は俺に見向きもせずに奥のカウンターに向かった。
「ちょっと、レナウンさん、ちゃんと列に並んでください!他の方はちゃんと並んでますよ!」
どうやら横入りしようとしたらしい。
「細えこと言うなよ。依頼終わったから処理しといてくれや」
そう言って何やら紙を渡し、酒場に向かう。
俺は座り込んだままその様子を見ていたのだが、あれが冒険者かとある意味納得していた。皆が従順に列を作って並んでいたので不思議に思っていたのだ。荒くれ者の冒険者がこんなに真面目に列を作って並ぶのかと。
どうやらたまたま行儀の良い人が集まっていただけのようで、列なんか見向きもしない人もいるらしい。
俺はようやく起き上がって、酒場をみるが、奥の方でジョッキを傾けており、俺のことなんか覚えてもいなさそうだ。
腹は立ったが、あのごつい金属鎧に勝てる気は全くしないのでここは無かったことにしよう。それがこの世界で生きていくコツだと思う。
バチャッ!
なんか金属鎧のやつがずぶ濡れになっているが、水でもこぼしたんだろうか。結構な濡れ方なのでコップの水レベルじゃないようだが。
「な、なんだ?!いきなり水が降ってきたぞ?!」
当人にも分からないことが俺に分かるわけもない。無かったことにしたのだから気にしない事にしよう。
「どうされますか?登録だけでもされますか?身分証明にもなりますから便利ですよ?」
あ、そう言う利用方法もあるのね。でも依頼とか受けれる自信ないんだけど。
「依頼は適当に薬草採取とかにして市場で買ってきて納品しましょう。確か登録には一度の依頼分の成功が条件だったと思いますからそれで十分のはずです」
「冒険者になる前に依頼を受けるんですか?」
「正確には仮登録して、その状態で依頼を受けます。そして1回分の依頼を成功させると正規の登録となります。身分証になるのはこの時からですね」
なるほど。でも買ってきた薬草の納品でいいならみんなやってそうだけど。
「みんなやってますよ?でないと私なんかが知ってる訳がないです。よほどお金に困ってない限りはこの方法で正規登録するらしいですよ」
そんなんで良いのか冒険者ギルド。
「じゃあ、そうですね。この列に並びましょうか」
一番長い列を指す。短い方が良いのでは?
「短い列の方が早そうですが、こう言うのは役所でもどこでも一緒ですが、知ってる人は、どの担当者の処理が早いか知ってるのです。
たとえ列が長くても順番が回ってくるのが早いところに並ぶのは当然です」
そ、そうか。役所も一緒なんだ。
でもそうだな。”研修中”とか名札に書かれてたら間違ってないかこっちが冷や冷やするしな。
俺は言われた通りに長い方の列に並んだが、本当にこっちの方が先に順番がきた。
「いらっしゃいませ。おや、見ない顔ですね。もしかして新規の登録ですか?でしたら隣の窓口へどうぞ」
・・・隣の窓口は先ほど遅いからと避けた窓口だ。また並ぶの?
「この窓口は現在依頼達成の報告専用となっています。新規の登録とか依頼の受注は隣でお願いします」
上の看板を指されたので見ると、そこには「達成依頼報告所」の文字が。隣の上には「依頼受注所」の文字が。
チラッとクレアを見ると、顔を赤くしてよそ見をしていた。彼女も知らなかったらしい。
まあ仕方ないな。初めてきた場所だし。大人しく隣の列に並ぶか。
「新規登録ですね。ではこちらにご記入ください。代筆は必要ですか?」
「いえ大丈夫です」
文字は俺の知らないものだが何故か意味がわかる。多分文字も書けるだろう。
記入場所は名前と年齢と特技の3カ所だった。住所とかないの?!
話を聞くと、宿暮らしの人がほとんどなので書く意味がないそうだ。
特技には剣とか弓とか書くらしい。
手続きはすぐに終わって冒険者の心得を聞かされる。法律を破るの禁止。私闘も禁止。ギルドへの虚偽の申告の禁止。それだけだ。
それからは制度でFからSまであるらしい。俺はGからスタートだ。これは見習いのランクで、一件依頼をこなすとFランクに上がって正式な冒険者になるらしい。
依頼は一応ランク分けされているが、基本どの依頼でも受けれるらしい。やろうと思えばSランクでも受けれるそうな。まあ死ぬ未来しかないが。
それと失敗した時の罰則も聞かされた。大概は依頼金の何割と言う形を取るらしいが、物によってはランクの降格や追放などもあるらしい。
あと、Cランクからは預金制度があるらしい。ある程度信用があると言う事で冒険者ギルドがお金を預かってくれるらしいのだ。その位になると現金を持ち歩くのがしんどくなるのがほとんどで、セキュリティの観点からも預けることが多いそうな。いくら儲かるのか知らないけど、硬貨を何百枚と持ち歩きたくないよね。
依頼掲示板をさらっと見たが、Sランクにはドラゴン討伐が、Fランクには薬草採取やスライム討伐などがあった。これは受注処理が不要らしい。罰則もなく、小遣い稼ぎに道中で見つけたらやる程度の難易度だそうな。
俺はスライムにすら勝てる気がしないので薬草を買いに行く事にした。
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