上 下
37 / 114
本編

第34話 アリステラ公爵派の目的(公爵家当主Side)

しおりを挟む
 時は、アイリスたちが旧公爵邸に旅立った日まで遡る。


「あの忌み子を捨てたのになぜ、うまくいかない!!」

 忌み子がいなくなった責任取らせる形で、専属の二人をクビにした。

 そこまでは順調だった。

 しかし、いつの間にか領地の運営のほとんどを任せていたカイルが居なくなった。

 それだけてなく、カイルの専属の者たち、それから料理長と料理人見習いが一人、私たちが気づかぬうちにカイルと一緒に居なくなっていた。

「くそ、カイルが居なければ、私が面倒な領地運営をしなければならないではないか。
 次期当主になるために必要な経験を積ませるためだという体で、カイルに押し付けていたのに……」

 カイルは、心が読めるのではないかというくらい、こちらの考えを読んで、行動できる優秀な子だったのに……居なくなるなんて大誤算だ。

「他の子では、カイルの代わりにはならんからな……」

 次男のヒューイや三男のマイクは、誰に似たのか頭の出来がイマイチだし、任せたら間違いなく、公爵家は傾く。

 女は、男に媚びることしか出来ず、男なしでは何も出来ないから、女に領地運営など出来るはずがないので、長女のミーナには、絶対に任せられない。

「私がやらねばならぬのか……愛しのマリアベルと遊びに行く時間やアリステラ公爵派の悲願を成すための実験に当てる時間が無くなってしまうではないか」

 アリステラ公爵派は、愚かにも真面目に国を良くしようと躍起になっている王族派とは違う。

 我々は、強力な力でまずはこの国を手に入れ、世界を治めるために、まず他人のスキルを他の者に移す実験していた。

 スキルは、神から与えられるものだからなのか、何度やってもうまくいかなかった。

 魔力が多ければ、多くの魔法が扱えるし、魔力が多い者は、長命である傾向があるので、次に他人の魔力を奪う実験をした。

 これは一応、成功したといってもいいだろう。
 多少は、魔力を奪えたのだからな。

 だが、魔力が一・五倍になった頃から魔力を奪っても保有魔力は変わらなくなった。

 そんな時に我々の元に魔族がやってきた。
 その魔族の話によると、魔族の血を体内に取り込めば、魔力が爆発的に増え、不老不死になれるらしい。

 そして我々は、不老不死の体と魔族と手を組むことにした。

 不老不死になれば、老いることもなく、何があろうと死ぬこともないのだから、世界を治めることは容易い。

 魔族は、その見返りに世界の半分を寄越せと要求してきたので、了承してやった。

 まあ、渡す気はないがな……我々が膨大な魔力を手にし、不老不死になったら裏切ってやる。

 魔族は、膨大な魔力を持ち、エルフ同様魔法に長けた種族だが、不老不死ではない。

 普通の攻撃では殺すことが出来ないので、不死のように見られがちだが、強力な聖魔法で消滅できるのだ。

 そして月日は流れ、ついにこの日がやってきた。
 明日、魔王と側近たちがこの屋敷にやってきて、我らは膨大な魔力を手に入れ不老不死となり、この国は我々のものになるのだ。
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~

細波
ファンタジー
(3月27日変更) 仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる… と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ! 「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」 周りの人も神も黒い! 「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」 そんな元オッサンは今日も行く!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

処理中です...