上 下
36 / 114
本編

第33話 愚かなり、アリステラ公爵家本家

しおりを挟む
 先ほど緊急会議が終わったので、屋敷に戻ってきた。
 今日は、本当に精神的に疲れた。

 スクラルド王国は、一部に差別主義者はいるものの他種族を受け入れている。

 しかし、流石に魔族とは敵対関係なので、前魔王や配下の魔族のことだけは国に報告しないわけにも行かなかったので、きちんと報告した。

 そして今回、国王陛下と人族と友好関係を築きたい元魔王の顔合わせなどを行った。

 すぐに顔合わせとならなかったのは、結界内に入れたから悪意はないと言っても信じれるわけもない。

 なので、ファミーユの住民と友好関係を築けるか確かめてからにと私が提案し、国王陛下と前魔王が承諾したからである。

 スクラルド王国は、この世界一の大国なので、他国に対する元魔王たちの対応は、国王陛下に丸投げだ。

 前魔王からもたらされた情報の中に私たちに関係するものが二つあった。

 一つ目は、スクラルド王国の複数の貴族が魔族の過激派と手を組んでいるとのことだった。

 そして、前魔王からの聞かされた特徴から導きだされたことは、過激派と手を組んでいる貴族の一つは、アリステラ公爵家だった。

 二つ目は、アリステラ公爵家が本邸を移し、七つの村が公爵家に見捨てられた原因になった事件は、過激派だった前魔王の先代魔王のしわざだった。

 先代魔王が、アリステラ公爵家の当時の当主の二人の子供の潜在能力を危険視して、能力が目覚める前に殺害するために魔物を操り殺害したということだ。

 つまり、アリステラ公爵家本家は、自分たちの先祖を殺した仇である先代魔王が属していた派閥の者たちと手を組んでいるということだ。

 本人たちは、この事実を知らないのだろうけど、なんとも愚かなことだ。

 国王陛下を含めて、アリステラ公爵家本家が何かやらかすとは思ってはいたが、とんでもないことを仕出かしたものだ。

 その先代魔王は、人族と友好関係を築きたいと思っていた前魔王の手により殺され、前魔王が魔王になったらしい。

 私たちは、先祖の仇を討ってくれた前魔王と友好関係になっているわけで、何にか感じるものがある。

 私は、疎まれていたので、他家との交流は皆無なのでわからないが、どうやら魔族の過激派と手を組んでいる貴族たちは、アリステラ公爵家がトップのアリステラ公爵派の貴族たちらしい。

 国王陛下とエリック宰相様が

「大掃除ができ、国の膿を出しきれる」

 と仰られていたので、ろくでもない貴族なのだろう。

 国王陛下は、エリック宰相様など私たちの動向を知っている国王陛下からの信頼を得ている王族派の貴族たちを集め、緊急会議を開いた。

 決まったことは、過激派魔族と手を組んでいるアリステラ派の貴族家は、一族全てが関与している場合は、その家はお取り潰し。

 当主だけや一部だけの場合は、家は残り関与していなかった者の中で、任せられる者を当主とする。

 スクラルド王国全体を被う結界を張ることも決まったので、ファミーユは、アリステラ公爵家の領地なので、私の魔力だけで維持している。

 だが、国全体を被う結界なので、国王陛下が私だけに負担をかけるわけにはいかないと仰られた。

 なので、関わった者たちの処罰は、結界を維持するための魔力供給源になってもらうことになった。

 前魔王が過激派に送り込んでいたスパイからの情報によると、行動に出るためにアリステラ公爵本邸に過激派の魔族のトップである現魔王とその側近たち、アリステラ派の貴族家当主が三ヶ月後に集まるらしい。

 なので、大した手間なく処理するためにアリステラ公爵家本邸を中から外に出れない結界で被い、本邸を国を被う結界に魔力供給をする場にしてしまうことにした。

 アリステラ公爵派の貴族家の一族や関係者全てを私が作る予定の嘘発見魔道具で調べ上げ、関与した者は、アリステラ公爵家本邸に連れていかれる。
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

巻き込まれて気づけば異世界 ~その配達員器用貧乏にて~

細波
ファンタジー
(3月27日変更) 仕事中に異世界転移へ巻き込まれたオッサン。神様からチートもらってやりたいように生きる… と思ってたけど、人から頼まれる。神から頼まれる。自分から首をつっこむ! 「前の世界より黒くないし、社畜感無いから余裕っすね」 周りの人も神も黒い! 「人なんてそんなもんでしょ? 俺だって黒い方だと思うし」 そんな元オッサンは今日も行く!

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜

犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。 馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。 大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。 精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。 人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。

処理中です...