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本編

第30話 当たらずも遠からず

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「アイリス、念話で話していたから私たちには、どんな話をしていたのかが、わからないから話してくるかな」

「……」

 話したくない。言いたくないこともあるし……
 でも、カイル兄様のスキルで、隠していることはバレちゃうから無駄な足掻きはやめて話そう。

「グレンもスノーと同じで、私の従魔になるために来たそうです」

「遭遇率が極めて低く、遭遇することはないと言ってもいいくらいなのに、この町に来たのだから、それに関しては、驚きはもう二度目なので、それほどないな」

 カイル兄様も慣れてきたんだね。
 いいよいいよ。その調子。

「あとグレンは、フェニックスなので、五百年に一度の周期で炎に包まれ、また火の中から復活するそうです。
 数日前に復活して、そのままファミーユの町に来たそうです」

「数日前に復活したばかりということは、私たちが生きている間は、グレンの復活する所を見ることはできないということだね」

 炎に包まれるのは怖いけど、私もグレンが復活するところは、見てみたいかも幻想的なんだろうな。

「スノーが従魔になった時は、聞かなかったが……従魔になった場合にデメリットみたいなものはないのかな?」

 あるのそんなの……

(どうなのスノー、グレン?)

(従魔になった場合のデメリットはあるよ)

(でも、アイリスの場合は、問題ございません)

 やっぱり、従魔になるデメリットあるだ……
 でも私の場合は問題ないってどういうこと?

「従魔になった場合のデメリットあるそうです。
 でも私の場合は、問題ないそうです」

(そのデメリットって何?)

(従魔になりますと、主が死にますと従魔も死にます)

(!!)

 え~!!スノーとグレンは、聖獣だから寿命はないと思うんだけど……

 グレンは、五百年おきに復活するみたいだけど、死ぬのとは違うんだろうし……

 私の従魔になったことで、命が有限になってしまったってことだよね。

 でも私の場合は問題ないって言ってたよね。
 私が死んでもスノーとグレンは死なないってことなのかな?

(私の場合は問題ないってのは、私が死んでもスノーやグレンは死なないってことなの?)

(違うよ)

(!!)

(魔力が多いほど、長命になるからアイリスは、魔力∞だから不老不死だよ。
 だから僕たちは、アイリスと契約していても以前と変わらず死ぬことはなんだよ)

(!!)

 私、不老不死なんだ。あれ?私は三歳だけど、ずっと幼女のまま……?

(私……ずっとこのままなの?)

(二十代前半くらいまでは成長するよ)

 よかった。二十代前半までは成長するんだね。
 何千何万年と死ぬことなく、チビのぺったんこなんて嫌だもん(泣)

「カイル兄様、従魔は主が死ぬと一緒に死ぬらしいですが、魔力が多いほど長命になるので、魔力∞の私は不老不死らしいので、スノーとグレンにそのデメリットはないそうです」

「確かに魔力が多い者は、長命の傾向があるが、魔力∞だと不老不死なのか……」

 カイル兄様は、兄なので何もなければ、先に死ぬものだ。

 私が不老不死なので、私自身は、若いままなのに身近な者たちは老いていき、見送り続けなければならないことが気になったんだろうな。

(カイルも魔力多いから普通でも五百年~千年くらい生きるよ)

 カイル兄様も千年くらいは生きられるんだ。
 前世の記憶がある私からしたら、信じられないくらい長生きだ。

 まあ、そんな私は、不老不死なんだけど……

(それにアイリスの身近にいる者たちは、規格外のアイリスの影響を受けて、長命になるからカイルは更に長生きになるし、他の者たちも通常以上に長生きできるよ)

 ああ、聖獣にまで規格外とか言われちゃったよ。

「カイル兄様も魔力多いから、通常なら千年くらいは生きれるみたいですよ。
 でも、私の影響を受けて、私の身近にいる人たちは、通常より長命になるみたいです」

「!!」

 カイル兄様は、何に対して驚かれているのかな?

 カイル兄様も自分が魔力多いから長生きする可能性があるのは、理解しているはずだ。

 だから驚いたのは、私の影響を受けることに対してだろう。

「食や物の規格外な発展、魔法やスキル、従魔の規格外っぷりだけでなく、身近にいる者の寿命にすら影響を与えるほど規格外なのか!!」

 やっぱりそこですか。規格外って言い過ぎです。

「アイリスに対する認識を改めなければならないな」

 なんですかそれ!!

「まあいいか。それで、なぜ復活したばかりのグレンがまっすぐこの町に来たのかな?」

「私の魔力に惹かれたかららしいです……」

「なるほど、聖獣様を引き寄せる匂いを発しているのかと思っていたが、魔力の方だったか。
 聖獣様ホイホイなのに違いはないし、当たらずとも遠からずだな」

 はい。そのとおりですよ。
 私は、プイッとそっぽを向いた。
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