上 下
23 / 114
本編

第20話 国王陛下に報告①

しおりを挟む
 試食会後にカイル兄様に作る許可をいただき、冷凍・冷蔵庫とかき氷機を作った。

「アイリス。明日、国王陛下に報告に行くよ」

「今回作ったのは、話すだけで、王城の調理場がどんな感じかわからないので、渡さなくていいですよね?」

「そうだな……それでいいとは思うがな……」

 ハッキリしませんね。話を聞いて、国王陛下が欲しがるとかかな?
 アイスクリームとかき氷は、作ったものを渡すことは、できますからそれでいいと思う。そうしよう。

 一晩明けて、報告のために王城にカイル兄様とスノーと一緒に転移した。

「国王陛下、エリック宰相、報告に参りました。
 町を発展させて行きますのと魔の森の開拓は、これからとなりますが、外壁の撤去と町に結界を張るのを終えました」

「そうか。今のところ問題はないか?」

「はい。問題はありません。アイリスがやらかす以外は……」

「そちらにいらっしゃるのが、聖獣フェンリルのスノー様か。私は、この国の国王をしていますランバルと申します。スノー様にお会いできて嬉しく思います」

 国王陛下が、スノーに丁寧な言葉で挨拶をした。

(国王か。そんなに畏まった感じじゃなく、スノーは普通に話してほしいな。敬称もいらない)

「国王陛下、発言してもよろしいでしょうか」

 私は通訳するために発言の許可を国王陛下に求めた。

「かまわぬ」

「スノーは、丁寧な言葉使いではなく、普通に話してほしいそうです。あと敬称もいらないそうです」

「そうか。わかった」

 そういえば、馬車のことも話さないといけないことを思い出した。あぶないあぶない。

「国王陛下、エリック宰相様、魔動馬車に関して、お伝えし忘れてしまったことが、ありましたのでご報告させていただきます。
 本日も暑いてますので、こちらを召し上がりながらお聞きください」


 私は、無限収納から器に入ったアイスクリームとスプーンを取り出し、国王陛下とエリック宰相様に手渡した。

「これは、何だ?」

「これは、アイスクリームという氷菓です」

(なにそれ、スノー知らないよ。それ)

 スノーは、子供達と遊びに行ってたからアイスクリームとかき氷作った時に居なかったからね。

(今、あげるから待ってね。甘くて美味しいよ。)

 そして、スノーにアイスクリームを出したら、すぐにペロペロ舐め始めた。

 スノーは、元の姿ではなく、小さい姿なので、食べている姿も可愛らしい。

(甘くて冷たくって美味しい。もっと欲しい。)

 スノーに追加のアイスクリームを置いてあげたら、また舐め始めた。

(今は、これでおしまいだからね。)

(わかった)

 ものわかりのいい従魔で助かります。

 国王陛下もエリック宰相様も気に入ってくれたみたいだ。

「魔動馬車なのですが、動いている時には、操縦する御者や魔動馬車に乗っている人からほんの僅かですが、魔力を吸ってサブの魔石に溜めるよう、止まっている時には、大気中にある魔素を消費した分だけメインの魔石が吸収する仕組みになっております」

「それでは、魔石内の魔力が空になることはないということか」

「はい。ですから魔石の交換も必要ありません」

「それは、便利だな。あとだな……私もアイスクリームをもう一つ貰えんだろうか」

「私も」

 そう言われたので、国王陛下とエリック宰相様にアイスクリームを渡した。

「これは、アイリスが作ったのか?」

「はい。そうです。ミルク、卵、生クリーム、砂糖、バニラオイルを使い、氷魔法で冷やし固めて作りました」

「氷魔法が使えんと作ることは、できないのか?」

「いいえ。冷凍庫があれば、魔法より時間がかかりますが作ることができます」

「冷凍庫とはなんだ?」

「冷蔵庫みたい感じのもので、食品を凍らせて、長期保存をするためのものです」

「そんなものがあるのか。作ったのか?」

「作りました。町では、使われていますね」

「私たちには……ないのか?」

「王城の調理場がどのようになっているかわからないので……」

「そうか。アイリスでなければつくれないのか?」

「冷蔵庫は既にあるのですから、もっと冷えるように改良すれば、作れると思いますよ。
 私が作ったものは、冷凍庫と冷蔵庫が一体化したもので、冷凍庫の方には、氷の魔石を設置して、内部温度を氷点下十八度以下に保たれるようにしてあります」

「そうか。他のものでも作れるのだな。
 しかし、氷魔法が使える者は、少ないから魔石を入手するのに苦労するな」

 魔石くらいなら提供してもかまわないかな。

「国王陛下、氷の魔石でしたら提供しますよ。どのくらい必要ですか?」

「まことか!!そうだな。とりあえず十万個ほど欲しいな。金はもちろん支払うぞ。十万個で、白金貨百枚でどうだ」

「!!」

 カイル兄様は、驚いているからすごい金額なんだろうけど、私はお金使ったことないからどのくらいすごい金額なのかピンとこなかった。
しおりを挟む
感想 152

あなたにおすすめの小説

記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される

マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。 そこで木の影で眠る幼女を見つけた。 自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。 実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。 ・初のファンタジー物です ・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います ・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯ どうか温かく見守ってください♪ ☆感謝☆ HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯ そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。 本当にありがとうございます!

目覚めたら地下室!?~転生少女の夢の先~

そらのあお
ファンタジー
夢半ばに死んでしまった少女が異世界に転生して、様々な困難を乗り越えて行く物語。 *小説を読もう!にも掲載中

全能で楽しく公爵家!!

山椒
ファンタジー
平凡な人生であることを自負し、それを受け入れていた二十四歳の男性が交通事故で若くして死んでしまった。 未練はあれど死を受け入れた男性は、転生できるのであれば二度目の人生も平凡でモブキャラのような人生を送りたいと思ったところ、魔神によって全能の力を与えられてしまう! 転生した先は望んだ地位とは程遠い公爵家の長男、アーサー・ランスロットとして生まれてしまった。 スローライフをしようにも公爵家でできるかどうかも怪しいが、のんびりと全能の力を発揮していく転生者の物語。 ※少しだけ設定を変えているため、書き直し、設定を加えているリメイク版になっています。 ※リメイク前まで投稿しているところまで書き直せたので、二章はかなりの速度で投稿していきます。

異世界転生は、0歳からがいいよね

八時
ファンタジー
転生小説好きの少年が神様のおっちょこちょいで異世界転生してしまった。 神様からのギフト(チート能力)で無双します。 初めてなので誤字があったらすいません。 自由気ままに投稿していきます。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

異世界召喚失敗から始まるぶらり旅〜自由気ままにしてたら大変なことになった〜

ei_sainome
ファンタジー
クラスメイト全員が異世界に召喚されてしまった! 謁見の間に通され、王様たちから我が国を救って欲しい云々言われるお約束が…始まらない。 教室内が光ったと思えば、気づけば地下に閉じ込められていて、そこには誰もいなかった。 勝手に召喚されたあげく、誰も事情を知らない。未知の世界で、自分たちの力だけでどうやって生きていけというのか。 元の世界に帰るための方法を探し求めて各地を放浪する旅に出るが、似たように見えて全く異なる生態や人の価値観と文化の差に苦悩する。 力を持っていても順応できるかは話が別だった。 クラスメイトたちにはそれぞれ抱える内面や事情もあり…新たな世界で心身共に表面化していく。 ※ご注意※ 初投稿、試作、マイペース進行となります。 作品名は今後改題する可能性があります。 世界観だけプロットがあり、話の方向性はその場で決まります。 旅に出るまで(序章)がすごく長いです。 他サイトでも同作を投稿しています。 更新頻度は1〜3日程度を目標にしています。

7個のチート能力は貰いますが、6個は別に必要ありません

ひむよ
ファンタジー
「お詫びとしてどんな力でも与えてやろう」 目が覚めると目の前のおっさんにいきなりそんな言葉をかけられた藤城 皐月。 この言葉の意味を説明され、結果皐月は7個の能力を手に入れた。 だが、皐月にとってはこの内6個はおまけに過ぎない。皐月にとって最も必要なのは自分で考えたスキルだけだ。 だが、皐月は貰えるものはもらうという精神一応7個貰った。 そんな皐月が異世界を安全に楽しむ物語。 人気ランキング2位に載っていました。 hotランキング1位に載っていました。 ありがとうございます。

処理中です...