7 / 24
第一章 カルディナ王国編
第6話 アルテミス、自分の種族を知る
しおりを挟む
街から森に帰って来たアルテミスたちは、家族会議することになった。
「アルテミス。今日、街に行ってわかったと思いますが、人族は魔力があっても魔法が使えないということを知ったと思います」
「はい。でもお父様もお母様も、そして私も魔法が使えるので、容姿は人族ですが別の種族ということですね」
私がそう言うとお二人は頷かれ、耳に付けていたピアスを外した。
「その通りです。この姿を見ればわかると思いますが……」
「エルフですね」
耳が長く尖っているので、お母様が全て言いきる前にくい込みに私は言った。
「確かにエルフではあるのですが、私たちは、エルフの王族であるハイエルフです」
私たちもそうであるが、エルフは森の民と言われる通り、森の中で暮らしている。
でも王族なのに何で家臣や国民である他のエルフたちがあらず、私たち家族だけで暮らしているんだろう。
姿を人族に偽装までして、何にか訳ありだったりだったりするのかな。
「お父様、お母様。王族なのに何故に、家臣や国民が居ないのですか?
人族だと偽装している理由は?」
「私は元国王で、マリアは元王妃だ。わかったと思うが、今は国王でも王妃でもない。
国がなくなったとかではない……エルフの国ラルフェーリア王国では、双子は不吉とされ、双子の弟か妹は殺す風習がある。
私たちは、その風習を無くそうとしていたのだが、その前にマリアが妊娠し、双子を生んでしまった」
前世でも大昔は、双子は不吉だとかあったらしいんだよね。
「それで、我が子を失いたくなかった私たちは、国王と王妃の座を弟夫婦に譲り、アルテミスの姉のアルカディアは弟夫婦の子として、育ててもらうことにして、私たちは国を出た」
「生まれたばかりでしたので、アルカディアに私たちの記憶はないでしょう。
申し訳ないことをしたと思いましたが、自分がお腹を痛めて産んだアルテミスを失いたくなかったのです」
お父様もお母様も私のお姉様にあたるアルカディア姉様と離ればなれになるのは、辛かったと思います。
風習によって私を殺さなければならないのであればという事で、立場を捨て、もう一人の娘と二度と会えないという覚悟を持って決断したのだろう。
私は、国と立場、を失った両親、協力してくれた父方の叔父様夫婦、本当の両親と二度と会うことが出来ないお姉様。
色んな人の思いの上に生きていられるのだと思うと辛くなった。
「アルカディア姉様には、会うことはできないのですよね?」
「そうよ。アルテミスは死んだことになっていますからね。
あの忌まわしい風習が無くならない限りは、会えないわ」
「弟のレミエルが私の代わりに国王として、風習を廃止しようとしてくれているから、いずれ会えるようになるかもしれないけどね」
エルフは長命種だから長い目で見て、風習が廃止され、いつの日かお姉様に会える日を楽しみにし待とう。
「アルテミス。今日、街に行ってわかったと思いますが、人族は魔力があっても魔法が使えないということを知ったと思います」
「はい。でもお父様もお母様も、そして私も魔法が使えるので、容姿は人族ですが別の種族ということですね」
私がそう言うとお二人は頷かれ、耳に付けていたピアスを外した。
「その通りです。この姿を見ればわかると思いますが……」
「エルフですね」
耳が長く尖っているので、お母様が全て言いきる前にくい込みに私は言った。
「確かにエルフではあるのですが、私たちは、エルフの王族であるハイエルフです」
私たちもそうであるが、エルフは森の民と言われる通り、森の中で暮らしている。
でも王族なのに何で家臣や国民である他のエルフたちがあらず、私たち家族だけで暮らしているんだろう。
姿を人族に偽装までして、何にか訳ありだったりだったりするのかな。
「お父様、お母様。王族なのに何故に、家臣や国民が居ないのですか?
人族だと偽装している理由は?」
「私は元国王で、マリアは元王妃だ。わかったと思うが、今は国王でも王妃でもない。
国がなくなったとかではない……エルフの国ラルフェーリア王国では、双子は不吉とされ、双子の弟か妹は殺す風習がある。
私たちは、その風習を無くそうとしていたのだが、その前にマリアが妊娠し、双子を生んでしまった」
前世でも大昔は、双子は不吉だとかあったらしいんだよね。
「それで、我が子を失いたくなかった私たちは、国王と王妃の座を弟夫婦に譲り、アルテミスの姉のアルカディアは弟夫婦の子として、育ててもらうことにして、私たちは国を出た」
「生まれたばかりでしたので、アルカディアに私たちの記憶はないでしょう。
申し訳ないことをしたと思いましたが、自分がお腹を痛めて産んだアルテミスを失いたくなかったのです」
お父様もお母様も私のお姉様にあたるアルカディア姉様と離ればなれになるのは、辛かったと思います。
風習によって私を殺さなければならないのであればという事で、立場を捨て、もう一人の娘と二度と会えないという覚悟を持って決断したのだろう。
私は、国と立場、を失った両親、協力してくれた父方の叔父様夫婦、本当の両親と二度と会うことが出来ないお姉様。
色んな人の思いの上に生きていられるのだと思うと辛くなった。
「アルカディア姉様には、会うことはできないのですよね?」
「そうよ。アルテミスは死んだことになっていますからね。
あの忌まわしい風習が無くならない限りは、会えないわ」
「弟のレミエルが私の代わりに国王として、風習を廃止しようとしてくれているから、いずれ会えるようになるかもしれないけどね」
エルフは長命種だから長い目で見て、風習が廃止され、いつの日かお姉様に会える日を楽しみにし待とう。
2
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説

君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか
砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。
そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。
しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。
ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。
そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。
「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」
別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。
そして離婚について動くマリアンに何故かフェリクスの弟のラウルが接近してきた。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる