転生少女は自由気ままに今世を楽しむ

紅 蓮也

文字の大きさ
上 下
6 / 24
第一章 カルディナ王国編

第5話 アルテミス、異世界で大阪のオバちゃんみたいな獣人に遭遇する

しおりを挟む
 ナダルさんに案内され、部屋に入ると異世界とは思えない服装の女性がいた。

「おい。ナタリア何だその服!!」

「ええやろう。オーダーメイドで作って貰ったんよ」

「派手すぎるだろう。頼むからその格好で店には出ないでくれな」

「あら!!マリア様。病気を治していただきまして、ありがとうございました。
 私は、この通り元気なりました」

「そのようですね」

 お母様もナタリアさんの格好と有り余った元気に若干、引きぎみだ。

「そちらは、娘さんですか?」

「そうです。娘のアルテミスです。アルテミス挨拶しなさい」

「アルテミスです。六歳です」

 名乗ったあと、左手の指を五本、右手の指を一本立て年を伝えた。

「あらら、小さいのにお利口やね。そんなお利口なアルテミスちゃんには、飴ちゃんあげよか」

 大量の飴をポケットから出し、私にくれた。

 ナタリアさんは、イメージの大阪のオバちゃんって感じだ。

 なぜ、イメージの中の大阪オバちゃんかと言うと、前世の大阪のオバチャンはヒョウ柄の服を着ているイメージがあるが、実際に大阪に行ってみるとそんなオバちゃんと遭遇することはなかったからである。

 飴ちゃんくれるのは、大阪のオバちゃんでなくても高齢の女性は、飴を持っていて子供にくれることが多い。
 大阪のオバちゃんがたくさんの飴を持っていて、飴ちゃんやろかと言ってくる頻度が高いだけである。

「ナタリアさん。お耳触ってもいいですか?」

 異世界なんだなら獣人はいるだろうと思っていて、動物好きだった私は、会ってみたかったのだが、森から出られなかったので、会うことができなかった。

 会ったら、耳や尻尾を触ってみたかったのだ。

「ダメよ。アルテミス。獣人はね。家族や大切な人にしか触らせないのよ」

「アルテミスちゃんは、耳が触りたいんか。ええよ。
 私の病気を治してくれたマリア様の娘やからな。
 特別や。しかし、獣人に驚かんし、耳触りたいなんて、変わったこやね」

「じゃあ、失礼します」

 おお、たまらん。フワフワしている柔らかい。

「アルテミスちゃんの触り方は、気持ちええな。
 癖になりそうや」

 ありがとうございます。前世では犬や猫に同じように撫でたりしていたけど、気持ち良さそうにしているのは、わかるけど人間の言葉は話せないので、感想を聞くことができなかったので、こうやって感想言ってくれるのは嬉しい。

 転生してよかった~。

 それにしても、虎の獣人なのにヒョウ柄の服って、ナタリアさん、奇抜なファッションセンスですね。

 -「ありがとうございました」

「また触りたくなっら、いつでもおいでな」

「はい。必ず!!そういえばナタリアさんは、どんな病気だったんですか?」

 今は元気にしているけど、ナタリアさんは、病気だったのだ。それを治したのがお母様である。
 こんな元気なナタリアさんがどんな病気だったのか気になったのだ。

「どんな種族でも魔力を持っていることは知っとるか?」

「はい。そして、人族は魔力を持っているけど、魔法を使えないと今日初めて知りました。
 獣人は使えるのですか魔法?」

「獣人は、肉体を強化する身体強化の魔法だけ使えるよ。
 でな、私の病気やけと、魔力が体の中で塊になって、詰まってしもうてな。
 身体中を循環していた魔力が塞き止められてしまったんよ。
 それで体調が悪うなってしもうたのをマリア様に詰まった魔力の塊を普通の魔力に治療してもらってな治してもらったんや」

「もう少し、遅かったら魔力が塞き止められ過ぎて、内側から破裂するところだったんですからね。
 これからは、異変に気がついたらすぐに治療院に行くようにしてくださいよ」

「わかってますよ。まさか命にかかるようなことだとは、思ってもみなかったから軽くみとったんや。
 これからは、気をつけます。
 口うるさいけど大事な旦那もおるし、子供を授かったわけやしな簡単に死ねんさかいな」

 ナタリアさん、妊婦さんだったのか。めでたいね。
 ナダルさんは、人族みたいだし、生まれてくる子はハーフか。
 どっちの特性を持って生まれてくるのかな?
 獣人だったから可愛いだろうな。

 お父様もお母様も魔法が使えるから見た目は人族だけど、二人と私の種族って何なんだろう?

「ナタリア!!聞いてないぞ」

「そりゃあ。今初めて言ったからね」

「そうか。俺も父親か……」

 お父さんやお母さんになるって、どんな感じ何だろうな……私は、子供を産むどころか結婚以前に、恋人すら出来ないまま一回死んじゃったからな。

 ナダルさんとナタリアさんを見ていると幸せな気持ちで一杯になるんだなと思った。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

君を愛することは無いと言うのならさっさと離婚して頂けますか

砂礫レキ
恋愛
十九歳のマリアンは、かなり年上だが美男子のフェリクスに一目惚れをした。 そして公爵である父に頼み伯爵の彼と去年結婚したのだ。 しかし彼は妻を愛することは無いと毎日宣言し、マリアンは泣きながら暮らしていた。 ある日転んだことが切っ掛けでマリアンは自分が二十五歳の日本人女性だった記憶を取り戻す。 そして三十歳になるフェリクスが今まで独身だったことも含め、彼を地雷男だと認識した。 「君を愛することはない」「いちいち言わなくて結構ですよ、それより離婚して頂けます?」 別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。別人のように冷たくなった新妻にフェリクスは呆然とする。 そして離婚について動くマリアンに何故かフェリクスの弟のラウルが接近してきた。 

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

処理中です...